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第八十八回 時空モノガタリ文学賞【 罠 】

今回のテーマは【罠】です。

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「時空モノガタリ×パピルス」タイアップ企画として本コンテスト入賞作品が幻冬舎の文芸誌『パピルス』平成27年10月28日発売号に全文掲載されます。掲載作品は選考時にもっとも評価の高かった一編のみとなります。
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恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2015/09/07

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2015/07/13〜2015/08/10
投稿数 71 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

5

花になれなかったかまきり

15/08/10 コメント:2件 高橋螢参郎

 蘭の花畑を飛び回っていた蜜蜂たちのうちの一匹が、ある時ふっと姿を消した。仲間の蜂がその事に気付きしばらく探し回ってみたものの、見つからない。
 巣では幼虫と女王が待っている。たかが一匹の、それも替えの利く働き蜂の為にいつまでも時間を割くわけにはいかなかった。残りの蜂たちは決まった量の蜜をきっちりと集め終えるなり、元来た道をそそくさと帰って行った。
 蜂はこの花畑で一体どこへ消えたとい・・・

6

わたしは罠にかからない

15/08/05 コメント:6件 梨子田 歩未

‐ぽきっ、ぽきっ
 冷凍のインゲンは、少し力を加えただけで気持ちよく折れる。
 朝の弁当作りに冷凍食品は欠かせない。最近では、野菜の冷凍も種類が充実してきて、カボチャ、ブロッコリー、インゲンなどは、お弁当に彩りを添えるのに重宝する。
 お弁当に入れるにはインゲンは少し長いので、解凍前のインゲンを半分に折っていく。
 共働きの我が家では、弁当作りはわたしの役割だ。そういうこと・・・

8

シュガーキャッスル インザスカイ

15/07/24 コメント:14件 クナリ

 ノコノコと呼び出されて来た夏の校舎の屋上で、同級生のタカユキの唇が血の香りを残して、私のそれから離れた。
 私は思い切り、タカユキの頬を張る。
「悪いけど私、喧嘩する人嫌いだから」
 ごしごしと、制服の袖で口を拭う。
「彼氏でもないのにのぼせていきなりキスする奴も嫌い。彼女がいるのに簡単そうな女にキスする奴も嫌い。私を簡単そうな女だとみなす奴も嫌い。じゃあね」
 高・・・

最終選考作品

8

瀕死の蝿

15/08/10 コメント:8件 そらの珊瑚

 朝、目が覚めた。別に覚めたいわけでもなかったのに、覚めてしまった。
 出来ればずっと寝ていたかった。えいえんに。えいえんに寝ていることを死んだというなら、それは大変喜ばしい。
 もはやワシにとって楽しいことなどひとつもありゃあせん。身体中のすべてが石のように重い。おーい、誰かワシを川に投げてくれんかのう。そしたらドボンといわせて、そのまま沈んでしまえるだろう。
「あら、お義父さ・・・

8

それだけのこと

15/08/10 コメント:8件 6丁目の女

 総じて男は白衣に弱いと世間一般に言われるが、無論すべての男がそうであるとは限らない。大阪市内の病院で二十数年、事務員として働く永井純一は、職業柄、白衣の女など見飽きて久しく、今更何を感じるでもない。
 世の中の多くの男どもが妙な妄想をかきたてるようだが、そんなことを一々やっていたのでは仕事にならない。第一、純一は白衣を着て働く女たちの本性というものを知りすぎていた。女たちはまず例外なく気が・・・

4

最後の台詞

15/08/10 コメント:8件 murakami

 心のどこかに罪悪感があると、人は夢を見るものなのかもしれない。たとえ、自分が忘れていたとしても、本当にあったことというのは、決して消えはしないものだから。

 その日、小学校の時の同級生の葬儀があった。もう二十年以上も会ったことさえなかったが、ずっと地元にいれば顔を出さないわけにもいかない。
 夕暮れ時に終わった告別式の帰り道、真っ白な雪の中に赤い点が見えた。不思議に思い、俺は・・・

4

風祭り

15/07/30 コメント:4件 かめかめ

「じゃあ、いつまでもいな。お姉ちゃん帰るからね」
 由岐がそういって雪を踏みしめ児童公園を出ていく。
「おねえちゃん! やだ、置いてかないで!」
 鼻にかかったひなの声に由岐はため息をひとつ吐いて振り返った。そこには一面の雪が広がっているだけでひなの姿は見えなかった。
「ひな、ふざけないで。ほんとうに帰るよ!」
 そこここに作られた雪山、大人よりも大きな雪だるま。二十・・・

6

お返し

15/07/13 コメント:10件 夏川

 雪の降り積もるある冬の日。
 大きな木の下に仕掛けておいた罠を見に行った俺は思いもかけないものを目にした。

「おお……これは」

 それは美しい鶴であった。
 狐か狸や雉が罠にかかっていれば今日の鍋の具にでもしようと思っていたが、まさか鶴がかかるとは。
 しかし鶴の捌き方などよくわからないし、何より鶴は縁起物だ。俺は悩んだ挙句、鶴を離してやることにした・・・

4

おとりの条件

15/07/13 コメント:6件 るうね

 同一犯によるひったくり事件が続発していた。
 マスコミは、ひったくり犯を捕まえられない警察を糾弾する。
 業を煮やした警察は、一計を案じた。おとり捜査である。婦警をおとりにして、犯人をおびき出そうというのだ。婦警は、いかにも一般人といった服装で、ひと気の少ない道を歩く。だが、犯人が現れることはなかった。その間も、おとり捜査の間隙を縫うようにして、事件は起こり続けた。
「くそう、・・・

投稿済みの記事一覧

2

操作されてる、僕たちは

15/08/10 コメント:2件 坂井K

最近、いわゆるAI(人工知能)の進歩が著しい。このまま進めば、あと数十年のうちに、AIが最高レベルの知識人らを超え、技術の発達に人間が関与しなくなる(出来なくなる)とも言われている。AIは人類を支配し、地球を支配し、宇宙を支配するようになるのではないか、と警鐘を鳴らす学者もいる。

彼らが自らの意思を持ったとき、私たち(人類)を仲間として認識するのか、あるいは敵と見なすのか、そういう議・・・

7

女性専用車両

15/08/10 コメント:10件 泡沫恋歌

 朝一番に会議があるというのに、僕は寝坊してしまった。
 駅のホームで発車間際の電車に慌てて飛び込んだら、車内は女性ばかり乗っている。
 どうやら女性専用車両に乗り込んでしまったようだ。車両を移動したいが混雑していて動けない。急行なので次の駅まで十五分は停車しないだろう。周りの女性たちの非難がましい目が気になるが、ここは耐えるしかない。
 痴漢と間違えられないように、僕は両手で吊・・・

8

鹿は鹿でなくなった

15/08/10 コメント:11件 草愛やし美

 人間はその罠を仕掛けるために、森林を伐採した。大きな空地が山中だというのにできていった。円形の禿山状の傾斜ができあがった。人間はその縁の周りすべてに大きく頑丈な鉄製の罠を埋めていく。その中心に浅い穴を掘り杭が打たれ鎖が繋がれた。やがて一頭の鹿が連れてこられ、その鎖に繋がれると人間はその足元を泥で覆い鎖や杭を隠し笑い声を残し下山していった。
 鹿は山中でもがいた。足元が土中で固定されていて動・・・

8

ナトシオア王朝終焉の内幕

15/08/10 コメント:11件 光石七

 弟を見舞った王ラトは宮廷医の言葉に愕然とした。
「ルーは二度と歩けぬと……?」
「恐れながら陛下、毒に神経を侵されたため御御足が……」
「そなた医者であろう? 治せぬのか? ルーはまだ十四、これからが……」
「申し訳ございません」
宮廷医はうなだれる。
「兄上、責めないであげて。命は助かったんだし」
従者に支えられながらベッドに腰掛けていたルーが口を挟ん・・・

1

押したい背中

15/08/10 コメント:2件 たっつみー2

 ある大学のサークルで行われた登山で、桜谷直哉という学生が転落し亡くなった。
 直哉の通夜にはサークル仲間の姿があった。そして今、彼らは居酒屋へと場所を移している。

 だいぶ、ピッチが上がってきたようだ。もっと飲め。飲んで曝けだせ。
「ねえ! さっきから鈴っちおかしいよ。検死でも事故か自殺ってことになったんでしょ。それなのに変な事ばっかいって、いったい何がいいたいのよ」<・・・

6

月夜の晩のおしゃべり

15/08/10 コメント:6件 そらの珊瑚

 女の価値は、罠で決まる。

 どれだけ大きくて立派な罠が張れるか。丈夫であることは言うまでもなく、風が吹けばたおやかにそよぎ、太陽の光が当たればまるで魔法のように見えなくなってしまうほどの細い細い糸で丁寧に編まれた罠ほど、上等だ。
 それまで空を飛んでいた虫が、罠にかかって初めてその存在に気づく、そんな罠を編むことの出来る蜘蛛ほど、男にモテる。つまり男蜘蛛は、よりたくさんの獲物・・・

0

致死

15/08/10 コメント:0件 ケイジロウ

 「おっ、、、とぉ」
 と人々は言う。停止中のエスカレーターを上ろうと二段目に足を下した時に。「今日のプレゼン噛みまくったなぁ」と階段の最上段に達していることに気付かず、なおも上り続けてしまった時に。「おっ」で驚き、句点の間で色々可能性を模索し、「とぉ」で結論に達するといったところか。すなわち、なかなか結論を出せずにいると句点がどんどん増えていく。そして、出された結論によって「とぉ」のトーン・・・

7

父に守られて生きていく

15/08/10 コメント:8件 草愛やし美

 あの日は、亡き父の遺品整理をした帰りだった。平日の夕方、郊外の私鉄は空いている。「あなた劇場で会った方よね」 隣に腰かけた白い花柄の紺色ワンピを着た若い女性に話しかけられた。
「ほらS小劇場の五月公演『非凡』」
「えっあなたも行かれたの?」
「主演の橘さん演技巧いね」
 橘は私の大好きな役者だ。すぐに私達は旧知の友達のように打ち解けて話していた。転職の準備期間で休職中だか・・・

0

逆ピラミッド遺跡

15/08/10 コメント:0件 牛髑髏タウン

「これが……その、遺跡か。古代民族が宝を残したという……。それにしても巨大な遺跡だ」
 探検家は、一人つぶやいた。
 ここは未開のジャングルの奥地。長年探していた遺跡をついに発見した。対角線で二キロメートルほどもある巨大な正方形の遺跡は、中心に向ってくぼんでいた。遺跡のあるところだけ草一本生えておらず、綺麗に黒い岩が敷き詰められている様子はこれが人工的な建造物であることを示していた。<・・・

1

ひっかかった大物

15/08/10 コメント:2件 霜月秋旻

 毎晩真夜中になると、台所の方から物音が聞こえる。シンクの三角コーナーにある残飯をあさる音。ネズミだ。私の家は、毎晩ネズミの被害に遭っていた。
 朝起きてみると所々にネズミの糞。台所がネズミの小便くさい。ネズミの汚物の後始末ばかりのこんな毎日に、早くおさらばしたい。
 今までネズミ捕りを台所のところどころに仕掛けたが、小さい羽虫ばかりがくっついていくばかりで本命のネズミがひっかからない・・・

9

ハニートラップ

15/08/10 コメント:13件 田中 丸才

 7月のオレンジ色の空の下、ゆっくりペダルを回していた。大通のスーパーを右手に曲がり、スピードを緩めた。すぐ先には、自宅のマンションが長い影を作って待っているけど、この狭い路地に、女の子が倒れていた。
 白い鞄が放り出され、栗色の髪を垂らして蹲っている。トンボが、回転音を立てている自転車の上を飛び交っていた。
 自転車を降りて近寄り、鞄を拾った。無造作な髪から顔が見え、潤んだ眼が僕を見・・・

4

遠ざかる彼女

15/08/09 コメント:5件 冬垣ひなた

ようやく、ようやくたどり着いた、彼女の待つ城へ……。
彼女いない歴を生かし、山登りで鍛えた身体は伊達じゃない。
岩で出来た堅牢な城壁は、バーチャルゲーム内とは思えない質感で圧倒するが、俺には無意味だ。
開始から2時間が経過している。俺の活躍を陰ながら見守る彼女を、これ以上待たせてはならない。
俺は意気揚々と城内へ足を踏み入れた。
「あっつい!」
叫んで俺は引き返・・・

2

繁殖

15/08/09 コメント:3件 坂上 沙織

 母の名は千賀子というらしい。
 千賀子さんは僕が生まれるとすぐに僕と父を捨てた。だから僕は千賀子さんのことは何も覚えていない。
 千賀子さんのことを尋ねると、父はいつも鉛をのんだような苦しげな顔をした。叔母は唾を飛ばして千賀子さんを罵る言葉を吐いた。なんでも、本土には父親の違う千賀子さんの子どもが何人もいるという。
 千賀子さんについてあと知っていることといえば、彼女はこの島特・・・

1

生涯の不覚

15/08/09 コメント:1件 リアルコバ

「痛っ」「あっ和仁見っけた、また引っかかってやんの」
 公園を取り囲む雑木林は缶蹴りの隠れ場所には絶好の場所だった。そこに潜んだ私が絡み合う蔦を払うと小枝が私の顔を打ち付けた。《ブービートラップ》幼馴染の孝男はいつも自分が隠れてる間にこんな罠を仕掛けるずる賢い奴だった。まさかこんな形で再開して相対するとは、宿命なのか・・・。

「有野、ありのかずひと。親子3代この街のために尽くし・・・

7

双子座

15/08/08 コメント:10件 泡沫恋歌

 早朝に玄関のチャイムが鳴った。眠い目を擦りながらインターフォンのカメラを覗くと、まるで鏡に映った自分が立っていた。
「……どなたですか?」
「すっとぼけてないで! あたし那美よ」
「どうして、ここが分かったの?」
「あたしたち双子だもん。離れていてもテレパシーで分かるって」
「突然どうしたの?」
「亜美、早くドア開けてよ!」
 苛立って靴でドアを蹴ってき・・・

1

深く沈んで、秋。

15/08/08 コメント:1件 ゆい城 美雲

目を覚ますと、白い天井と柔らかな光が差し込んで、眩んだ。微かに香る薔薇の香水の香りと、お日様の香りに、ここは僕の部屋じゃなかったかと気づく。寝返りを打つと、肌色のままでベットに腰掛けている美琴さんを見つけた。同時に、アルコールのツンとする香りが漂う。昔、嗅いだことがある。ああそうだ、姉がペディキュアを落とすのに使っていた除光液と、同じ匂いだ。あのペディキュア、落としてしまうのか。飴玉のような、忘れ・・・

0

Rスクール

15/08/08 コメント:0件 沢藤南湘

 R国公使の辞令がでた民間採用の山根は、外務省の門を出た。外は雨だった。タイミングよく入ってきた電車に乗り込んだ。
(R国か、単身で行くしかないか)山根は、一人囁いた。
 日本を出発して、十時間ほどでR国に到着した。 大使の倉本が、笑顔満面で山根を迎えた。  倉本は、山根につく事務官の田端を呼んで、山根に紹介した。
「山根さん、お疲れでしょう、今日は山根さんのハウスでゆっくりして・・・

0

上等な狐

15/08/07 コメント:0件 更地

 ああ、後ろ足が痛い。まさかこの狐様が人間風情の仕掛けた罠に掛かるとは。こんなことなら日課にしている鼠いじめなぞよしておけばよかった。あのクソ鼠め、いつもは俺の前足でコロコロ転がされるだけの下等な輩の癖に、今日に限って逃げまわりやがって。追いかけたらこのザマだ。うう、本当に足が痛い、ちぎれそうだ。
 それにしても皆は薄情者か? 俺がこうして罠にはまって苦しんでいるのに、誰も助けに来ようとしな・・・

1

眠れぬ夜

15/08/07 コメント:0件 八月美咲

 ねずみはひと晩じゅう細い声で鳴き続ける。
 キィィー。
 金属を擦るようなそれは布団にもぐって耳をふさいでも聞こえる。
 キィィー。
 こんな夜は眠れない。

 誠実でやさしい夫だった。ねずみ取りにかかったねずみを決してわたしに見せようとしなかった。
 木版にバネがついたトラップは挟まれると一瞬だがその衝撃で死に様がひどい。
「真理ちゃんは、あっち・・・

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エモノのアイ

15/08/06 コメント:0件 千也子

 ネイは白いダイニングテーブルに置いた鍵を見つめている。
 郵便受けにいつもの憂鬱な白い封筒でなく、花柄の封筒を見つけたのは昨日の事だった。
「メイ……」
 差出人を見て小さく声を上げると、他の郵便物を無造作にバッグに放り込み足早に自室へ向かった。例の白い封筒もめっきり届かなくなり、すっかり安堵していた頃だった。
 メイは、ネイの双子の姉である。顔の形はもちろん、美しい瞳の・・・

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白雪姫はただの林檎を食べました

15/08/05 コメント:0件 レイチェル・ハジェンズ

 白雪姫は母親にもらった毒林檎を食べ、王子様とのキスで解毒、もしくは喉につまっていた林檎を吐き出す、この流れが一般的です。
 お話では白雪姫は心も身体も美しい余りに実の母に命を狙われてしまいますが、それでは面白味がないのでレイチェルがここで設定を追加しましょう。


 このお話の白雪姫、案外「ズル賢い」です。


 友達に150円渡して自動販売機に行っても・・・

0

身動きのとれない白い天使達

15/08/04 コメント:0件 有朱マナ

 少女は物凄い形相でこちらに向かってくる。
「私をはめたでしょ?」
ユリエはレイの顔を睨み付けて言った。レイは何のことだか全くわからない。…いや、本当はわかっていたが、敢えてわからないフリをしていた。
「何のことだろうか?」
「…とぼけないで!レイ、横矢先生が他のクラスの子をヒイキしているって言ってたじゃない?」
「そういえばそうだったね」
レイの目線は窓の外を・・・

2

罠々(わなわな)バトルフィールド

15/08/04 コメント:5件 鮎風 遊

 給与はそこそこ、福利厚生はまあまあ。サービス残業はなく、やりがいが持てる成長企業。こんな記事がリクルート誌に載っていた。
 俺は、人生を賭ける会社はここだと確信し、入社試験を受けた。そして運良く合格。ホント嬉しかったぜ。
 ところがだ、これがとんでもない会社だったんだよ。
 社是は『人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり』。これってパクリだろ。だけどなんとなく、何が何・・・

0

不安

15/08/04 コメント:0件 たっつみー2

〜♠
レンタル店に入ると店内を見渡していった。
旧作コーナーで足が止まる。棚を眺め見ながら、DVDを手にする女性に近づいていく。そして、棚から一本手に取り、独り言を漏らす。
「クリス監督の作品ってやっぱり映像が綺麗だなぁ」
一瞬、視線を感じた。数歩離れた横を意識し、さらに「風景美で巧みに心情を表していた作品はどれだったかなあ?」
少しわざとらしいと感じつつ・・・

2

運命の女神はケタケタと笑う

15/08/03 コメント:6件 海見みみみ

 運命の女神はなんと理不尽なのだろう。まさかこんな普通の日常に罠が潜んでいるとは思いもしなかった。
 今朝食べたカレー。四日目だけど火さえ通せば大丈夫だと、のんきに考えていた今朝の自分を呪いたい。あの腐りかけカレーこそが罠だったのだ。
 大学の帰り道、突然俺は腹痛に襲われた。やばい、これは超弩級の物が出そうな予感だ。
 慌ててトイレを探す。この辺りにトイレはないか。しかしここは住・・・

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日本語

15/08/02 コメント:0件 インド人舞踏家

 俺は廣瀬ハルオ。この町では名の知れた名士だ。

 『外国人に間違った日本語を使わせる』

 これが俺の生きがいである。この前など留学生に「ふがいない」という言葉を「親切だ」という言葉の最上級の表現だと教えてやり、人前で恥をかかせてやった。

 さて、今日うちに来る奴は昔俺が色々と世話をしてやった劇団員のジョセフだ。俺のことを信用しているから何でも言うとおりに話・・・

0

決戦

15/08/02 コメント:0件 華匡一

「おかえりなさい、あなた。お疲れでしょう、ご飯にしますか、それとも先にお風呂にしますか」
 仕事を終え、帰宅した私を妻が優しく出迎えた。おかしい、私がそう思ったのは彼女があまりに普段と違うからであった。
 付き合っていた当時はいつもにこにこしてとても気立てのよい女性であった。そんな彼女の性格にほれ込んで結婚を決めたものの、それからの彼女はまるで別人であった。わがままで、少しでも気に入ら・・・

0

ニマイジタ

15/08/02 コメント:0件 みや

腹ペコで今にも倒れそうな狼は森の中を歩いている可愛い女の子を見つけ、舌舐めずりをした。

美味そうな女の子だ。馬のふりをして近づいて、あの娘を食べてやろう。
そう考えて狼は、馬のふりをして女の子に近づいた。

「お腹がペコペコで死にそうだよぉ、何か食べ物を分けておくれ」
「あら、お馬さん可哀想に…お婆さんのお見舞いに持って行くマドレーヌを一つ分けてあげるわ」

2

甘い罠

15/08/02 コメント:3件 つつい つつ

 僕は今自分がいる状況が信じられなかった。駅前のお洒落なカフェバーで綺麗な女の人と向かい合わせに座り、遅めのランチを取っていた。もう二八歳になるけど、デートなんてしたことなかった僕は、手なんか震えてるし、顔なんてひきつってるだろうけど、彼女はそんなこと全然気にする素振りも見せず楽しそうに笑っている。こんな天使のような女の人が存在するなんて今まで思ってもみなかった。
 綺麗な人はいくらでもいる・・・

1

人生相談

15/08/01 コメント:0件 インド人舞踏家

 K先生、はじめまして。今日は私の人生相談に乗っていただけると幸いです。

 私の名前は春野桜子、今年の春から大学生になりました。
 新しい友達もでき、毎日見るもの、聞くもの全てが新鮮で、順風満帆のスクールライフを送っております。

 ですが、最近困ったことがあります。

 毎日、顔を合わせる近所のお爺さんの様子が変なのです。以前は顔を合わせると普通に挨拶・・・

3

あやまち〜恋のメロディ〜

15/08/01 コメント:1件 はなうた


◆ ○月×日 午後四時四十分

 放課後。
 思春期まっ只中の中学一年生――尾田和政は、この瞬間を待っていた。
 誰もいなくなった教室の最後部。整然と並ぶ二段ロッカー。下段は男子、上段は女子の荷物がそれぞれ収められている。
 和政は自分のロッカー、その真上の段に貼られた名前シールを見つめる。
『乙葉由愛(おとはゆめ)』
 彼はその女の子に恋をして・・・

0

雨の罠--罠の雨

15/07/30 コメント:0件 j d sh n g y

※「--」はリンクシーンのつながりを表す記号です

コンビニの窓に雨粒が目立ちはじめる。屋戸達也は外で降りしきる雨をイートインスペースでぼんやり眺めていた。今朝の天気予報は午後から快晴、ハメられたと思った。まあ、そりゃ予報なんて当てにならないこともあるだろうが、たまたま折り畳み傘も持ち歩いていない今日のような日にこういう状況に出くわすと、愚痴の一つもこぼしたくなる。
・・・

1

罠にかからないためには?

15/07/30 コメント:1件 贋作師

『ある時、1人の男性が「罠にかからないためにはどうすればいい?」と聞かれた。
 男性は「誠実に生きることに決まっている」とネクタイを直した。
 そう言った男性は上司の出世争いに巻き込まれ、競争相手にその上司もろとも首を切られた。
 
 誠実であったって、罠からは逃げられやしない。
 
 
 ある時、1人の女性が「罠にかからないためにはどうすればいい?」と聞・・・

1

3Kイケメンじゃなきゃ嫌なんです!

15/07/29 コメント:2件 海見みみみ

 あなたは3Kというと何を思い浮かべるだろうか。私の場合は高学歴、高収入、高身長の三つだ。
 正直、私は3Kでイケメンの男以外には興味がない。私は自分がそれだけの事を言える美女である事を自覚していた。だから3Kでイケメンではない男は門前払いなのである。
 そんな私に転機が訪れる。あれは五月の涼しい日、合コンでの事だった。

 その日の合コンで、私は早速一人の男性に目をつけた・・・

3

女鬼(おんなおに)の罠 ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

15/07/28 コメント:7件 鮎風 遊

『台風直撃下、社長・桐坂一郎氏、公園で刺殺される!』
 夕刊にこんな見出しが躍る。そして記事には…。
 昨夜都心を襲った大型台風、その暴風雨の中、桐坂氏は自宅から3キロメートル離れた公園で、鋭利な刃物により刺し殺された。
 第一発見者は公園の管理人。台風が去り、朝方見回ったところ、倒木の脇で俯せる男を発見。救急車を呼ぶが、すでに死亡していた。
 男性は大企業の社長・桐坂一郎・・・

1

星砂の浜辺

15/07/27 コメント:0件 Fujiki

 彼が愛した星砂の浜辺に落とし穴を仕掛けておいた。好んで寝転がると言っていた地点に直径一・五メートル、深さ二メートルの巨大な穴を掘り、ソテツの葉を編んで作った薄い覆いをかぶせて砂で隠した。彼が新しい女を連れてこの浜辺に戻って来れば、二人ともアリジゴクの罠にかかった昆虫のようにひとたまりもないだろう。
「ここは子どもの頃から知っている俺だけの秘密の場所。今でも仕事で疲れた時や、つらいことがあっ・・・

1

読者を死に至らせる作者の罠

15/07/25 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

この作品を読んでいるみなさんへ、忠告します。
いますぐ読むのをやめなさい。
読んでもためにならないとか、面白くないとかいうことではありません。
その理由なら、これまでの私の作品すべてについていえることで、わざわざ断るまでもないでしょう。
この作品に関して読むのをやめろというわけは、こうです。
この作品を最後まで読み終えたとき、あなたはまちがいなく死んでいることでしょう・・・

2

沈みゆくトンビは

15/07/23 コメント:4件 夏日 純希

沈みゆく潜水艦の中は静かだった。カラスは

「もう何もできねぇな」

と言って尻もちをペタンとついた。トンビは計器に焦点を合わせないまま、口に手を当てて、何かを考えるふりをし、

「やっと千代に殺してもらえる」

と手の平の中でつぶやいた。艦内に残っているのは五人だけだった。トンビは静かに安堵のため息をついた。水圧で鋼鉄が歪められる音が重たく響く。<・・・

2

それでも

15/07/21 コメント:1件 りん

「秋川、聞いているのか」
僕はいま、神奈川県警の取調室にいる。
なんでこんな事になってしまったのか。
それは1ヶ月位前のこと.....


ポンッ
メールが届く。由紀ちゃんからだ。
『突然すいません。
廣川 由紀です。
秋川さんにお渡ししたい物があって。
25日の18時に、赤レンガ倉庫に来ていただけませんか?・・・

0

ネズミとり

15/07/20 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

観測ステーションのドーム内のあちこちに最近、奇妙なものをみかけるようになった。細長いワイヤを加工して作った小さな入れ物のようなもので、入り口が開いていて、その中になにやら餌のようなものが吊るしてある。中に入ったものがその餌をとると、いきなり蓋が閉まる仕掛けになっていた。これの製作者は地球出身のアオイという隊員だった。彼が制作したその罠をもとに、おなじものが何十と製作され、ドーム内の至る所に仕掛けら・・・

1

近未来ラブレボリューション

15/07/20 コメント:2件 夏日 純希

少子化に歯止めが効かないからって、政府の奴ら何考えてんだか、離婚のときに慰謝料請求できないように法律を変えちゃった。おかげでほら、もう俺の元妻なんて無償で捨てられて泣いてんじゃん。無償の愛だけに無償で捨てられて、スマ婚だけにスマートに離婚もできる。なんて合理的なんだろう。いやいや、政府の方針キタコレだから、俺に対して何か言うのはお門違いだぜーってなわけで、偉い先生が言うには、流動性が大事らしいから・・・

0

子種

15/07/19 コメント:0件 ハヤシ・ツカサ

 乗っていたプロペラ機の墜落事故により、山奥に取り残された俺。ここがどこなのかはわからない。パイロットと同乗の取材記者は死亡したものと思われる。機体が空中分解された瞬間、彼らも四方八方に飛び散ったらしく、生存の有無がわからないのだ。
 わかっているのは、この村に男は俺一人であり、謎の老婆とその娘に助けられたことだけだ。そして、気が付けば年の頃なら35、6の、強引に娘の婿にさせられていたことだ・・・

3

忘れたこ頃に

15/07/17 コメント:4件 小沼 道明

 日曜の夜、食事を終えテレビを見ながらのんびりしていた時だった。
スマホの呼び出し音が鳴る。見ると恵梨香からだった。

 私は恵梨香に好意を持っていた。できれば結婚したいとも考えていた。
一度、交際を申し出たが、あっさり断られた。友人でいたいと言う。

恵梨香は会社の1年先輩で総務課に勤務していた。容姿は派手ではなく、
どちらかと言えば、純朴な感じで清潔感・・・

3

カレーの罠

15/07/17 コメント:3件 メラ

 夫の引き出しに怪しいものを発見した。
 大きな茶封筒だった。ずいぶん古いものだ。年季が入っていて、封筒自体はよれよれになり、所々シミのような汚れもある。
 その引き出しは普段は鍵がかかっている。それまで別段気にしたことなどなかったのだけれど、夫の出張中に掃除をしていて、その引き出しがほんの少しだけ開いていることに気付いたのだ。
 夫はここ最近出張が増えた。そして、やけに私に優し・・・

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真夏の罠

15/07/17 コメント:0件 北川莉緒

「・・・・・・俺、死んでんだ。10年前に」

 一瞬、音が無くなった気がした。あんなに煩かった出店の呼び込みや、祭りを心底楽しむ人々の声でさえ、まるで宇宙空間にでも吸い込まれたみたいに。すぅっとなくなって。
 静かな静かな静寂の中、ぽかんと口を開けてただ隣のこの人の顔を見つめた。

 前々から、おかしな人だとは思っていた。友達は自殺した高校生の霊だとか、今日の君のオー・・・

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青春の罠

15/07/17 コメント:0件 馬鹿兎

「助けてっ」

そう俺に、助けを求めてきたのはクラスメイトの瀬野美鈴(せのみすず)。
クラスでも人気の美人で、可愛い女子。
俺、本郷一輝(ほんごうかずき)は普通に「どうしたの?」っと話に乗ったのだった。

「そんなふざけた話は無いでしょ!?『校舎裏に居る捨て猫に餌をあげに行きたいけど、ストーカーに追われてる気がするから来てくれ』なんて、馬鹿みたいな話じゃん?」<・・・

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青春の罠

15/07/17 コメント:0件 馬鹿兎

「助けてっ」

そう俺に、助けを求めてきたのはクラスメイトの瀬野美鈴(せのみすず)。
クラスでも人気の美人で、可愛い女子。
俺、本郷一輝(ほんごうかずき)は普通に「どうしたの?」っと話に乗ったのだった。

「そんなふざけた話は無いでしょ!?『校舎裏に居る捨て猫に餌をあげに行きたいけど、ストーカーに追われてる気がするから来てくれ』なんて、馬鹿みたいな話じゃん?」<・・・

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やさしいわな

15/07/17 コメント:4件 浅月庵

 私の家はお金持ちで、なおかつ私は箱入り娘で世間知らずなので、散々他人に騙されてきました。

 歳をとるにつれ、さすがにこのままではいけないといった感情が高まります。
 それなので、私を騙そうとする人間を注意深く観察するよう心がけると、一つ特徴を見つけました。それは私を騙そうとするとき、相手の顔が狐のお面みたいにちょっとだけ歪むのです。今にも化かしてやろうと企む醜悪な表情。私はそ・・・

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ウサギ罠

15/07/14 コメント:2件 三文享楽

 はてさて皆さん。この状況、おかしいのは私なのでしょうか。
 山にしかけた罠を確認しに行った私は、ウサギがひっかかっているのを見たのです。
 いえ、もちろん、それ自体はおかしい状況ではございませんよ。
 そのウサギ、なんとまあ腕組みをしてこちらを見ているではありませんか。
 痛がる、逃げようと暴れる、というのが一般的な反応ですよねえ。百歩譲って、もう逃げられないからどうにで・・・

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高台寺党服部武雄

15/07/14 コメント:2件 三文享楽

 新撰組元参謀の伊東甲子太郎が切腹した。
 その死体を引き渡すということで、伊東甲子太郎が代表を務めていた高台寺党の面々に連絡が入った。
 その面々には、元新撰組八番隊組長の藤堂平助らも含まれていた。
 一行はすぐに油小路へと向かった。
 我らの先生を一刻も早く引き取らなければならない。
 しかし、現場に到着した彼らが見たのは、野晒しにされた一体の死体だった。
・・・

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録音器

15/07/14 コメント:0件 三文享楽

「ああ、私ボギーでしたよ」
 しめた、あのバカ、ひっかかりやがったぞ。
 良武はプレー中にも拘わらず、同僚の亀田の姿を見てほくそ笑んだ。
 あれだけのオーバーをしていたら、誰が見たってボギーではない。少なく見積もってもトリプル、下手すればプラス四か五だ。これであいつの信頼はガタ落ち、いられなくなるだろう。
 そう思いながら打ったショットが、思いの外よく飛んだ。
 職場・・・

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悪魔のささやき

15/07/14 コメント:0件 ポテトチップス

20畳ほどの部屋に30人ほどの聴衆が、並べられたパイプ椅子に座って俺を見ていた。
俺の足はガクガクと震え、軽い眩暈すら感じはじめ、あれほどスピーチの練習をしたのに、何から話したらよいのか、すっかり忘れてしまった。
そうだ、まずは自己紹介だと思い、目を瞑って深呼吸をしたあと、目を開け上ずった声で自己紹介をした。
「皆さん、こんにちは。僕の名前は上杉友和と申します。あのう……、これか・・・

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天才的な怪奇事件

15/07/14 コメント:0件 高木・E・慎哉

その夜も、白戸博重は、ある怪奇事件を解決しようと苦労していた。
最近、よく起こる妙な怪奇事件。
いくつもの、美術館で、多くの芸術品が盗まれる事件が多発していた。
刑事である、博重は、なんとか犯人を捕まえようと、必死に頑張っていた!

その事件の妙な所は、盗んだ作品が、また美術館に戻ってくることだ!
だから、博重も犯人を捕まえにくかった。
放っておけば、また・・・

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ちっちゃな末っ子の大きな勇気

15/07/14 コメント:2件 ちほ

 私たち夫婦には三羽の息子がいる。
 上の二羽は何をやらせても器用にこなした。生まれてたったの十日で、もう飛ぼうとし始めたことには驚かされた。隣の奥さんも感心していた。
「まぁ、お早いこと」
 それで我々夫婦も有頂天になっていたのだが、三つ目の卵から生まれてきた子には、別の意味で驚かされた。全身が真っ白で、目も赤い。
「この子、誰の子?」
 妻も首を傾げるばかり。我々・・・

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コウノトリの新サービス

15/07/14 コメント:4件 南野モリコ

及川ノリユキが体に異変を感じたのは、1週間以上前だった。
仕事が終わり1人電車に乗ると、立っていられないくらい体が重い。
だるさと吐き気、そして、腹部に異物感がある。何ていうか、蠢いている、というか。
先々週、同窓会に行ってから、じわじわと始まったのだ。飲み過ぎたせい?それとも、その後のあれ?

マンションに帰り、ソファに横になっていると、急に目の前が輝いたかと思うと・・・

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至福の繭

15/07/13 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

観測基地の近くにいたクバを最初に発見したのは隊員のミサだった。この惑星に降り立ってひと月がたった時のことで、かけつけた隊長ラムも、そのふわふわしたまん丸の生き物をみて目を細めた。世の中にはたとえば赤子のように理屈なしに愛くるしく思えるものがあるが、この生き物がまさにそれで、ミサたち女性隊員などはおもわず頬をすりよせずにはいられなくなるほどだった。
生物学者のキコは、どうもそれはクバのもつある・・・

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幸せという落し穴

15/07/13 コメント:1件 笹峰霧子

 人は自分の判断力を越えた先は見えにくいものだ。当たり前に暮らしているように思ってこそいても、もしかして自分は間違った道へ踏み込もうとしているのではないかなどとはさらさら思わない。
 
 伸一は正統派の人間ではあったがまさしくその例に漏れない人物だった。ふつうの何の非もない両親の元で成長し 思春期に入っても反抗期さえなくて有名大学を難なく卒業した。
 飴と鞭をもって生きるすべを方・・・

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チョコレートに潜む罠

15/07/13 コメント:2件 るうね

「はい、これ。チョコレート」
 そう言って、由香里は翔太にラッピングされた箱を差し出した。
 翔太は、いぶかしげな顔をする。
「……今日って、バレンタインデーだったけ?」
「別に、バレンタインデーじゃないと、チョコレートを渡しちゃいけないってことはないでしょ」
 ちょっと頬を膨らませる由香里。
 翔太は、はいはい、と肩をすくめる。まあ、彼女が気まぐれなのは、いま・・・

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好きな

15/07/13 コメント:2件 るうね

 あいつを罠にはめてやろうぜ、ということになった。
 あいつというのは、坂巻哲哉。いつもクールな鉄面皮で、動揺するところなど見たことがない。
 その哲哉を、クラスの男子数人で罠にはめてやろうというのだ。
 決行は、修学旅行の初日の夜。
 いわゆる、「好きなやつ、一人ずつ言っていこうぜ。パスはなしな」という、甘酸っぱい青春の一ページだ。ここで罠を仕掛けて、哲哉の鉄面皮を崩して・・・

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門の音

15/07/13 コメント:0件 浅月庵

 翔は勿論、翔の浮気相手も同罪で断罪だ。あたしはそいつの家に土足で上がり込む。
 とぼけた顔の女に右ストレートをプレゼントすると、血は出ないまでも鼻と心を折るには充分。
 ごめんなさい、ごめんなさいと女は謝るけど、許すわけにはいかない。馬乗りになってビンタとパンチをリズミカルに織り交ぜる。女は涙と鼻水でグズグズになって、不細工のデラックスパフェ。
 ようやくわめき声が静かになり、・・・

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現実アレンジメント

15/07/13 コメント:2件 夏日 純希

これは僕がはまった罠の話だ。

サークルも、アルバイトも、合コンもしない。成績表に優を集めるだけの大学生活。大学は勉学に励むところ。こんな当り前が友人に理解されることは一度もないまま、僕は大学三回生の後期を終えようとしていた。

不正行為、ダメ、絶対

A4用紙に書かれた啓蒙のビラが事務棟の掲示版に貼られていた。僕はそれをチラリとだけ見て、隣にある試験の通知をチ・・・

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蝶ドローン

15/07/03 コメント:2件 ハヤシ・ツカサ

 合コンで知り合ったケチで女たらしのダメンズ・剛に弄ばれたアラサーOL・美咲は、ひそかに復讐を考えていた。
「ざけんなよ、この野郎!絶対、絶対にあいつに復讐できる罠を考えてやる」
 キンキンに冷えたビールを冷蔵庫から取り出し、美咲はテレビをつけた。
 テレビでは、ドローン規制についての法案の是非を問う討論が、学者らを中心に連日、繰り広げられている。例のいくつかの騒動が問題視され、・・・

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