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第八十四回 時空モノガタリ文学賞 【 江戸時代 】

今回のテーマは【江戸時代】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2015/07/13

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2015/05/18〜2015/06/15
投稿数 43 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

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ご家庭で簡単に作れる江戸時代

15/06/15 コメント:10件 平塚ライジングバード

☆平塚頼子の簡単クッキング☆〜第84回「江戸時代」〜

※本レシピでは、市販の武士を使用しています。武士から作られる際は、新鮮な貴族をよく発酵したものをご使用ください。

【材料2、3人分】
@武士(三河産源氏系):300g
A征夷大将軍:20g
B関ヶ原:1片
C東京(泥付きのもの):1個
D足軽:大さじ1
E騎馬:小さじ1
F鉄・・・

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移ろひやすきは

15/06/15 コメント:15件 光石七

 染野の手が好きだ。あたしを撫でる優しい手が。染野の声が好きだ。「ふく、おいで」とあたしを呼ぶ温かい声が。染野の匂いが好きだ。染野の胸に抱かれると、伽羅の香りにほんのり甘さが混じって鼻孔をくすぐり、心地良い。染野と会えない時間は寂しいが、染野は客を見送ると真っ先にあたしの元に来て抱き上げてくれる。
「男よりふくのほうがええ。しなやかでやわらこうて。その赤い首輪、よう似合うてる」
あたし・・・

4

ゆうれい

15/06/13 コメント:8件 梨子田 歩未

 うだるような暑さの中、与吉は天井を見ながら寝転がっていた。与吉は絵師とは名乗っていたが、待っているだけでは絵師の仕事が来るはずもなく、その日暮らしをしていた。
 顔がなまじいいものだから、本人もそれを承知で、うまいことを言って女から銭を巻き上げていた。女を長屋に連れ込んで、色白で色っぽい女を描いてやれば、落ちない女はいなかった。
 だが、すぐにぼろが出て女たちは金を返せというのだが、・・・

5

黒洞沼の鯰(くろうろぬまのなまず)

15/05/22 コメント:10件 クナリ

 ――沼だ。沼が。
 ――光作なら、喰われたよ――

 江戸時代、特に元禄期は、生活を脅かす戦が長く遠のいたこともあり、大衆娯楽の一大隆盛期となった。
 特に、絵の類は質・量ともに無類の充実を見た。
 ただし、表があれば裏もある。
 江戸は小石川の片隅に、格別名もなしていない絵師が長屋暮らしをしていた。
 周囲の家々では、腕のない絵師が貧乏長屋で食いつめて・・・

最終選考作品

4

爬虫侍 孤独剣

15/06/15 コメント:6件 久我 伊庭間

 桔梗屋の前で、十人ほどの男たちが一人の男を取り囲んでいた。
「サシで喧嘩も出来ねぇのか。全く情けねぇ」
「野郎ッ」
 次々と飛びかかる男を軽くいなして、重い手刀を叩き込んでいく。その姿、粋にはだけた着流しに、立派な銀杏髷……と言いたいところだが、頭はツルッと何もない。代わりにびっしり鱗に覆われ、口は真横まで裂けたトカゲ男。俗にいうカナヘビ者だ。そのカナヘビ者にのされ、ぐるりと囲・・・

2

鉄漿かね

15/06/15 コメント:3件 水川 遥月

――この夜が明けたら、私は花嫁になる。
 両親があつらえてくれた花嫁衣裳を身に着け、角隠しと同じくらい肌を白く塗りこめて、顔もろくに知らない男の隣で、初々しい新妻にふさわしい笑みを浮かべなければならない。
 それは私が生まれたときから決まっていたことだ。
 商家の娘に生まれ、商家の娘として育ち、年頃になれば家の格に相応しい伴侶を与えられ、そして嫁ぎ先の家の幸福のために生きる。

8

花簪(はなかんざし)

15/06/12 コメント:11件 泡沫恋歌

 お鈴は数えで十二歳のときに廓に売られた。 
 商いに失敗した親の借金の形に、器量良しのお鈴が家族の犠牲となった。
 吉原に売られたお鈴は、禿(かむろ)から始まり、振袖新造になった。姉女郎の元で三味線や舞いの稽古を積んで、芸事でも一目置かれるようになり、初見世のお開帳で破瓜の血を流し十六で女となり、今年十九で座敷持ちの鈴音太夫(すずねだゆう)と呼ばれ、吉原でも売れっこの花魁である。

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吉原の牡丹

15/06/06 コメント:9件 そらの珊瑚

 江戸の遊郭、吉原の大門をくぐれば、そこは浮世を隔てた別世界。

 夜五ツ。花魁淡雪の寝床に置かれた行灯(あんどん)の火が揺れている。夜の間、寝ず番がやってきては菜種油を足してゆくので、朝の光が再び現(うつつ)を見せるまで、それは消えることはない。

 かさり。灯りにかざされている読本の薄い美濃紙の頁を、淡雪の細い指がめくる。昨日、版元・文渓堂で刷り上がったばかりの『南総里・・・

3

時代の終わり〜西南戦争前夜〜

15/05/18 コメント:2件 るうね

 明治十年のある夜、大久保利通は静岡の徳川慶喜邸に招かれた。
「よく来てくれた、大久保」
「は」
 行燈のともされた慶喜の居室に入り、彼と相対した大久保は自然と頭を垂れた。将軍職を辞し、この静岡に蟄居してから十年になるというのに、いまだに大久保の頭を下げさせる何かが、この慶喜という男には備わっていた。
「今日呼んだのは他でもない。西郷のことよ」
 西郷隆盛。
 ・・・

投稿済みの記事一覧

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返還

15/06/15 コメント:0件 坂井K

「五郎丸、此奴を押さえておいてくれ」「あい分かった」女は男の右目を抉り、右耳を削ぐ。鼻の中心に切っ先を入れ、右半分を切り落とす。口をこじ開け、右半分の歯を歯茎ごと抉り出す。着物を剥いで、右胸の肉を削ぎ落す。男の右腕および右脚は、既に切り落とされている。「お壱、拾い集めて行李の中に入れてくれ」女は傍にいる少女に言った。

彦次郎の長屋を訪れたのは、見たこともない大きな身体の女であった。そ・・・

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お蔭参りしたシロ

15/06/15 コメント:10件 草愛やし美

 なめくじ長屋の熊さん、朝早くから何やらゴソゴソしてると思ったら、なんと旅支度していたんだ。人間一生一度はお伊勢さんに参りに行くのが習わし。けどよ、お種ばあさんはいまだに伊勢参りできていない。死ぬまでにお蔭参りできなきゃ死んでも死にきれねぇっていうのに、つれの大工の茂作と死に別れてから心の臓が弱っちまって臥せっている。近頃じゃめっきり弱っちまって心残りで死に切れねぇってうわ言まで言い出す始末だ。隣・・・

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江戸時代婚活噺

15/06/15 コメント:10件 泡沫恋歌

皆さん、ご存知でしょうか?
江戸時代は現代よりも、ずーっと結婚難だったのです。
よく落語に出てくる、長屋暮らしの八っつぁん熊さんには嫁のきてがなく、生涯独身で過ごす者がほとんどでした。
そういう男性のために繁盛したのが吉原などの遊郭だったのです。

――では、なぜ結婚難だったのか。

早い話が男性に比べて女性の絶対数が不足していたのです。
人間の出生・・・

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大奥☆ガールズトーク

15/06/15 コメント:9件 そらの珊瑚

 えー今は昔。現代では皇居となっていますが、江戸時代、そこには江戸城が建ってございました。
 その中にあった『大奥』は、最盛期には三千人ともいわれるほどの、女のひしめく園であったそうです。
 ◇
「ねえ、ミっちゃん、最近きれいになったんじゃない? 化粧変えた?」
「えへっ、わかるぅ? 目のきわにちょっと朱を入れたの。口紅は玉屋の紅小町よ」
「えっブランドものなの? い・・・

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氷詰めにされた江戸

15/06/15 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

奥多摩が東京都にあるときいてもまさかと思う人がいるようですが、確かにあの山や渓谷といった大自然に覆われた地域をまのあたりにしたら、ここに東京の文字をあてはめるのに違和感を覚える人も多いかもしれません。それはともかく、おそらく今世紀最大の発見ともいうべき大発見がこの地域であったことを、しっているのはいまのところほんのかぎられた人々だけではないでしょうか。
獣でさえ足をふみいれないような峩々とし・・・

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楽しいことは海の向こうから

15/06/15 コメント:0件 村咲アリミエ

「お母さん、お腹がすいたよう」
「そうですね、もう少し待っていてね。あと少しで、お母さんがひょいとご飯をとってきますからね」
「今じゃだめなのですか」
「まだ少し時間が早いのですよ。あせってはいけない、何事もね」
「しかしお母さん、おなかがすいた、この空腹感はどうにもできません」
「我慢が大切ですよ」
「お母さん、僕はおばあさんの時代に生まれたかった」
「・・・

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日曜日の世直し

15/06/14 コメント:1件 島井宗元

怒声罵声が地を這うようにやってくる。
アパートの麓まで衆は近づいていた。

男はドアというドアの内鍵を悉く閉め、寝室の押入れに身を隠す。
男の部屋の前、野太い声が宣言文のようなものを読み上げ始める。
衆の声が折り重なり、山彦式にそれに続く。
それが一通り終わり、実力行使が始まる。
最初は玄関ドアを破ろうとしていたようだ。
が、分厚い鉄扉は前近代の道具・・・

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大魚、白河を泳げば

15/06/14 コメント:5件 冬垣ひなた

『白河の清きに魚の棲みかねて もとの濁りの田沼恋しき』

そんな狂歌が、お江戸のブームらしい。
白河とは元白河藩主の松平定信、つまりはわしの事。
田沼とはもちろん、あの宿敵・田沼意次の野郎だ。

わしはむんずと鯉の餌を掴むと、パアッと勢いよく池に撒いた。
すぐさま錦鯉が跳ねながら集まってくる。
よしよし、可愛い奴じゃ。
わしはニコニコと笑い、心・・・

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エドルのハナシ

15/06/14 コメント:0件 くにさきたすく

「確かに江戸時代の言葉を勉強しろと言ったのは事実だが……」
 小林は心を落ちつけようと煙草に火をつけた。
 吐き出す煙の向こうには、日野ヒカリが曇りのない目を小林に向けて座っている。
 彼女の努力を買ってやりたいという気持ちが小林の語気を弱めていた。
 まだヒカリは若い。ここできつく言って泣かれても困る。周囲の目も気になる。喫茶店で若い女を泣かせる男。そんな風に見られるのも・・・

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江戸の水

15/06/14 コメント:1件 五助

 江戸の水はまずいと昔から言いますが、それにはわけがございまして、江戸というのは元は湿地帯で、漁村がいくつかあるぐらいで後は何にも無いところだったんです。それを家康さんが苦労して埋め立てて江戸の町を作ったわけです。
 江戸の庶民が、井戸の水をくみ上げている光景を時代劇などで見たことがあると思いますが、あれ、普通の井戸とはちょっと違うんです。元が湿地帯で、海が近いものですから深く掘れば別ですが・・・

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血筋

15/06/12 コメント:0件 宵野遑

 1024人の人間がいたら、その中には何かしらの才能をもった人間がいると思わない?
 僕の高校のクラスメイトはスポーツで全国大会に行ったり、音楽コンクールで入選したりしてる。数十人のクラスの中にさえ、才能を持った人間が何人もいるんだから、1024人もの人間を集めたら、そこにはいろんな才能が見つかると思うんだ。
 これって、きっと江戸時代でも同じだよね。江戸時代の人間が1024人いたら、・・・

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土と香りにつつまれて

15/06/12 コメント:2件 たっつみー2

「『野菜&フルーツもぎたてまるかぎりバスツアー』の大成功を祝して乾杯!」
 部長の声とともに打ち上げは始まった。
 程良く酔いも進んだ頃、ビール瓶を手にした部長が横にやってきた。
「ほんと、フルーツだけでなく、いろいろな野菜もその場でとって食べるって企画最高だよ」
 短大を卒業し入社して4年、ずっとお世話になってきた部長は、酔いがまわっているのか上機嫌だ。
「企画作成・・・

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浮世絵の謎

15/06/12 コメント:11件 草愛やし美

 その子はまったく不思議な子だった。

 歌川家お抱え庭師佐平が満開の桜の枝に引っ掛かっている銀色の異様な物体を見つけたのは春爛漫の文化文政の頃だった。佐平は楕円の形状からそれを行李だろうと考えたが、見たこともない物体を怪しみ庭で燃やそうとしたが、赤子の泣き声に慌てて火中より拾い上げたのがその子だった。歌川家の奥方は捨て子を不憫と思い、役人に引き渡さず子供のいない佐平に託した。佐勘と名・・・

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図書室

15/06/10 コメント:0件 ウはうどんのウ

 恵子ちゃんはいつも図書室の古典文学コーナーにいる。昼休みの間、ずっとだ。恵子ちゃんは運動が苦手だ。だから古典文学のコーナーにいる。「性根競姉川頭巾」という本を読んでいる。なんと読むのかさえ僕にはわからない。恵子ちゃんは本を読む。江戸時代の文学を読んでいる。僕は椅子に座ってなにもしない。ただ恵子ちゃんの真剣な顔だけを眺めている。そうしている間に予鈴が鳴る。あと五分で昼休みが終わる。恵子ちゃんは本を・・・

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僕たち、妖怪同好会

15/06/09 コメント:2件 レイチェル・ハジェンズ

 僕の高校には、変わったクラブがある。その名も妖怪研究部。略して妖研部。

 部員は4名だけなので同好会に格下げし、部費も全くおりてこなくなった。部室と学校の備品は幾つか貸してもらえるが、非常に肩身が狭い。幽霊部員ならぬ、幽霊クラブとまで言われるくらいだ。





 僕と、友達の沢村は楽なクラブに入って3年間ダラダラと続けていくつもりだったのだが・・・

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殿

15/06/07 コメント:2件 つつい つつ

 授業が終わって、隣の六年三組の教室に入る。周りを見渡したけど、殿の姿がない。近くにいたマッチャンに聞いたら、慌てて廊下に連れ出された。
「なんだよ、マッチャン?」
「あのな、カケル。殿、タクトに嫌がらせされて、すぐ帰っちゃったんだ」
「なんで?」
「休み時間に体育館のそばで財布拾ったんだ。それをタクトが使っちまおうって言ったのに、殿が反対して、先生に届けちゃったんだよ」<・・・

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姫、時間旅行する

15/06/06 コメント:0件 有朱マナ

 あの人は我に問う。
「未来の何処へ行きたい?」
「千年後だ。」
頼子は答える。
「それは何故?」
「我は絶対この世に生きてはいないからだ。」
そして、霧のようなものが立ち込め、頼子の周りを覆い、やがて意識を失った。
「制限時間は12時間ですよ。」
遠くから、消えるように聞こえた。

 頼子が起きた時一番驚いたことは、そこが「江戸」と呼ば・・・

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江戸の町と光の花

15/06/05 コメント:2件 アシタバ

 この世に終わりがあるとすれば、今がまさにそうだろう。

 夏の雲ひとつない空。
 灼熱の太陽は今日も江戸の町をジリジリと焦がしている。
 仕事の依頼で雨傘を直しにいく途中、手拭いで汗を拭きながらふと思ったのだ。
 徳川将軍様のお膝元。江戸の町。そこに住む人々は昔から、威勢のいい華やかさと、どこかサッパリとした力強さがあったはずだ。そう思っていた。
 しかし、今・・・

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お江戸スクール・カースト

15/06/03 コメント:2件 南野モリコ

20××年、若者の間で広がる格差問題の対策として、日本政府は新たな教育改革を実施することを発表した。江戸時代に敷かれていた身分制度、士農工商を学校教育に活用し、各々の家庭環境に合った教育法を目指すというものである。日本独自のユニークな教育政策であることから、Ordinal Education of Domestic Organization(OEDO)と名付けられた。

 士農工商ど・・・

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鯰、暴れる

15/06/03 コメント:0件 沢藤南湘

昼食を終えた後、相助は紙に描いた如意輪観音の絵を見せながら、松太郎と与助に説明した。
「膝と手の位置の間隔が難しんだ」
「親方、揺れていませんか」
「鯰が暴れだしたぞ」
 ゴー ゴー という不気味な音が聞こえた。
「でかいぞ」
 おさまったかと思って、三人は外へ出たところ、また揺れだした。周りの家々がみしみし音を立てながらつぶれはじめた。
 幸いにも、・・・

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完璧な器

15/06/01 コメント:0件 みや

人生50年、と言われていたのは江戸時代のことだったか?

もちろん身分や家柄によりその平均寿命に差があった事は明白ではある。そして食料の不充実、医療の未熟、などにより平均寿命は現在に比べると確実に短かかった。しかし日本人の平均寿命は時代の変化に伴い確実に伸びていった。
食料の充実、医療の進歩により明治時代、大正時代、昭和時代、平成時代と時代が変わり、遂に日本人の平均寿命は世界一と・・・

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ウソ話

15/05/31 コメント:0件 三文享楽

「やっぱりねえ。おめえ怪しいと思ってたよ」
 俺は動きを止め、声の出所を確認するため振り返った。
「あんたはさっきの茶店にいた」
 記憶力は良い方ではないが、この男はしっかり覚えている。なにせ、俺がこちらの世界に来て初めて見た顔なのだから。
「おめえさん、何者なんでえ? お江戸の茶店で、初対面の相手にお城の場所を訊くとはまともな了見じゃねえ。上京したての田舎者ならまだしも、・・・

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ちょっといいかい

15/05/31 コメント:0件 三文享楽

「ちょっといいかい」
「へえ」
「平左、なんだって毎日そう腑抜けた顔をしてるんだい」
 また始まった、番頭さんの小言である。
「へえ、なんででしょうねえ」
「まったく。お前さんにはねえ、覇気がないんだよ、覇気が」
「はあ」
「もっと亀吉みたいにできないものかね」
 おっと、こういう時に自分の名前が引き合いに出されるのは喜ばしいものではない。
 ・・・

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日本独特の表現

15/05/30 コメント:2件 高木・E・慎哉

その昔、竹田鉄屋という男がおったそうな。
鉄屋はその名の通り、鉄を火で打つ仕事をしていた。
鉄屋は大変貧乏だったが、女房の香のお陰でなんとか元気にやっていた。
「なんかエエモンでもあればええがのー」
「そやねー!なんかイイモンほしいなー」
二人はそんな話をしていた。

小説家とはそもそも文章で勝負するもの。
言葉を使っていかに、読者に表現するかが大事・・・

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時を超えて

15/05/30 コメント:0件 森氏蛙夢吐

私は今年四十四歳になった。娘が一人いる。今でもぼーっとしているが、十五の頃は今よりもっとボーとした性格だったと思う。両親は仲が悪く、派手な夫婦喧嘩の時は、いつも近くの神社に避難して、ほとぼりが冷めるのを待っているのが常だった。
そんなある日、いつものように避難して境内の竜神池のほとりにいた。池は浅く底が見えた。昔、雨乞いの時、空から龍が降りてきたという伝説が残っている。こんな浅い池にどの・・・

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花の命

15/05/29 コメント:0件 山盛りポテト

父親の借金のカタとして遊郭に売られたハルはろくに休みも与えられずに男達の相手をしていた。
いつ返済できるかも分からぬまま、自らの身の上を嘆く暇もなくつらい日々は過ぎ去っていった。
まだ年若く、お世辞にも美人とは言えぬが肌は白く目はパッチリとしていてまるで人形のようだった。
そんなハルのもとへ旅のお侍が客としてやってきた。
「もっと顔をよく見せてくれ」
「そんなに近くで・・・

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月下の桜

15/05/28 コメント:1件 かめかめ

 武蔵の剣は月光を受けギラリと光る。
 対する権之助は手にした杖を突き力を入れぬ態で黙然と立っている。
 二人相対するのは二度目のこと。

 初めて権之助が武蔵に挑んだのは血気盛んな二十歳の頃。その時すでに有名をほしいままにしていた武蔵は竹刀で権之助を打ち据え、力の差を見せつけた。
 権之助は唇を噛みしめ、去っていく武蔵の背を睨んだ。しかしその視線さえも武蔵の気合いの・・・

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将軍同士でデスゲーム

15/05/28 コメント:4件 るうね

??「はーい、江戸幕府歴代将軍の皆様、おはこんばんちわ。これから皆様には殺し合いをしてもらいます」
家康(初代)「なんじゃ、どういうことじゃ?」
秀忠(二代目)「殺し合いだって?」
??「ルールは簡単。この中で死ぬのはたった一人。それを話し合いによって決めてもらいます」
家光(三代目)「話し合いだって?」
??「歴代将軍の中で最も不要だと思った人を多数決で決めてくださ・・・

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お犬様

15/05/25 コメント:0件 るうね

「さて、弥五郎よ。なぜお主をここに連れて来たか分かるか」
 いいえ、お代官様。
「先日、お主は犬を殺しただろう」
 な、なぜそれを。
「お主の子が口を滑らせたのだ。犬を殺して喰ろうたとな」
 太助のやつが。
「子を責めるでないぞ。子供の口に戸を立てようとするのが、土台無理な話なのだ」
 お、お許しを、お代官様。今年は飢饉で食べる物がなく、仕方なしに……。<・・・

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タイムマシン

15/05/22 コメント:1件 メラ

「ねえねえ、タイムマシンがあったらどうする?」
「はあ?タイムマシン?」
「そう。どこに行きたい?」
「唐突に言われてもなぁ・・・。てゆーかメシ食ってからにしねえ?花マルうどんでタイムマシンのこと話すなよ」
「ええー、いーじゃん?ぶっかけうどんでしょ?すぐ食べれるじゃん」
「すげえ意味不明だよ。それにお前は天ぷら乗せすぎ」
「・・・。うーん、美味しい。でさ、どう・・・

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大江戸美人娘 おろく

15/05/21 コメント:0件 沢藤南湘

  浅草寺地内にある湊屋という水茶屋で、江戸一の美人との評判娘が、茶を運んでいた。
「おろくちゃんのお茶は天下一品だ」
 薬問屋の若旦那の田助がいった。
「おろくちゃん、相変わらずきれいだね」と、大工の留吉は言った。
 微笑みを返したおろくは、
「ごふくの茶、参れ、参れ」と、お参りの人に声をかけた。
 
 陽が傾いた。おろくは、弁慶縞の小袖に着替えて、湯屋・・・

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良薬は口に苦し、人魚の肉など尚の事

15/05/21 コメント:2件 夏川

 座敷にて三人の若者が「それ」の到着を今か今かと心待ちにしていた。
 彼らは江戸で名を馳せる大店の若旦那たちで、唸る程の金を使い阿呆な遊びをすることでも有名である。しかし今日はいつもとは使う金の規模が違う。
 なにせ、彼らがこれから買おうとしているのは不老不死そのものなのだ。

「お待たせしてすいません」

 入ってきたのは商人風の中年の男。三人の視線は男の持っ・・・

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武士道考

15/05/19 コメント:4件 クナリ

 江戸時代と言えば、その長い太平期間に様々な文化が花開いた一大エンタテインメント期でもあります(多分)。
 そんな時代に確立された概念として武士道があります。
 この武士道が、平和な時代の新たな規律として彼らに降り立ったわけですね。

 これは逆に言えば、それまでの時代には武士道というものが存在しなかった(個々の信条はあっても、体系立てられてはいなかった)ということになりま・・・

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江戸への扉

15/05/18 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

いつしか私は見知らぬ森の中に入りこんでいました。
渓谷に咲く珍しい草花を観察しているとき、岩場を歩く独りの女性の姿が目にとまりました。いまどきめずらしい着物姿の艶やかさもさることながら、彼女の身辺から漂う、なんともいえないアルカイックな風情にたちまち魅せられてしまい、気がついたら私は、彼女の後を追いかけていました。
大学教授がストーカーに。そんな新聞の見出しが私の頭をよぎりましたが、私・・・

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