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第七十六回 時空モノガタリ文学賞 【 戦国武将 】

今回のテーマは【戦国武将】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2015/03/23

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2015/01/26〜2015/02/23
投稿数 43 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

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歸(とつぐ)―ある印判師の初恋―

15/02/22 コメント:10件 滝沢朱音

 左平が座敷に上がると、既に座っていた僧衣の男は居住まいを正し礼をした。
「恐れ多い……お顔をお上げ下さいませ、沢彦(たくげん)様」
 沢彦宗恩。昇竜の勢いの武将・織田信長の師である彼は、かつて京の妙心寺にいた僧だ。印章を作る篆刻(てんこく)職人の左平とは、若き日に友誼を結んだ仲であった。
 その沢彦が都を去って早や幾年月。ここ尾張へ招かれた左平は、歴史に名高い『天下布武』印の作・・・

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九分九厘あり得ぬ話

15/02/22 コメント:17件 光石七

 あの男がこのような暴挙に出ようとは。秀吉の援軍に向かわせたはずが主君を奇襲。信長は歯噛みしつつ、なだれ込んでくる兵に矢を放つ。
(光秀……!)
弓が折れ、信長は薙刀に持ち替えた。近づく兵を切りつけ、突き刺す。鉄砲の弾が信長の肩をかすめた。敵勢は更に押し寄せてくる。信長は応戦を諦め部屋に下がった。寺に火を放つよう蘭丸に言いつけ、奥の小部屋に向かう。
(ここで果てようぞ)
戸・・・

3

夏芽さんにかまってほしい

15/02/13 コメント:6件 村咲アリミエ

「前世の記憶が戻ったんだよ、夏芽さん。俺、明智だった。明智のこと、好き? それとも織田信長の方がいい?」

 黒髪の美少女は、休み時間に入った途端に目の前に現れた同級生男子を華麗にスルーし、隣の席に座る友人に声をかける。
「焼きそばパン買いに行こうか」
「つれないよ、夏芽さん!」
 叫ぶのは、自称明智の生まれ変わりである、一史である。短髪黒髪は夏芽の好みだったが、絡み・・・

1

光秀奇談

15/02/09 コメント:2件 ナポレオン

この日、光秀は主君である織田信長公の私室に招かれた。急なことであったが、今すぐに来いという主君の命のために身支度もそのまま安土城の金の戸の前に馳せた。
戸の先に座る信長はいつになく神妙な顔をしており、それが招かれた光秀の緊張感をいっそう掻き立てた。今回は何があったのだろうか。急な呼び出しとは碌なことがない。戦の話であろうか、それとも俺が何か粗相を……。不吉なことを思い浮かべながら主君の前にい・・・

最終選考作品

3

15/02/23 コメント:6件 四島トイ

 鏡の前で少女が身を翻す。
 深紅のドレスの裾が浮き上がり少女の秘密を体現したような白い脹脛が僅かにのぞく。
 身体の後ろで手を組み小首を傾げて私を見つめる。
 まだわずかに幼さが感じられる。それでも、齢は二回りも違うのに、同じ女としてため息が漏れそうだった。
 彼女がしかめ面でなければ。
「お嬢様、笑顔を」
 口の端が痙攣するように震える。
「もっと自然・・・

9

相模行軍顛末ノ記

15/02/14 コメント:10件 そらの珊瑚

戦乱の世。いくさは避けては通れない宿命としても、それには相応の目的があるし、勝たなければ意味はない。勝ってこそ領土を広げ、甲斐の国をより強固にすることが出来る。
 だからこそ、殿より「相模の北条を討つ」と聞かされた時、腑に落ちないものを感じた。

なぜ今、北条なのか?

相模の国と我が甲斐の国は隣合っているといえども、その城のある小田原は遠方であるし、かつては・・・

5

信長の遺産

15/02/06 コメント:8件 るうね

 地球の戦国時代にタイムトラベルしていたヒポポタマス星の王、ドナイヤネン三世は天正十年、西暦にして一五八二年、宇宙歴にすれば八七六五年の本能寺にて織田信長の手の者に捕まってしまった。
「くぅ、機械類の故障さえなければ」
 唇を噛むが後の祭り。
 地球の歴史に名高い本能寺の変を間近で見ようと高度を下げたのがいけなかった。時空船の光学迷彩に異常が出て、信長に見つかってしまったのである・・・

1

マムシの子

15/02/05 コメント:1件 五助

 斎藤道三は追い詰められていた。マムシの道三といわれた己が、息子、義龍(よしたつ)に追い詰められるとは思ってもいなかった。

 城にこもっていては、いつ味方に裏切られるかわからない状況であった。籠城中に裏切りに合えば、どのような城でも、中と外からあっという間に攻め滅ばされてしまう。そうなるより、味方をかき集め、城からうってでた方がましと、道三は城から出たものの、ついてきた兵はわずかであ・・・

8

芥(ごみ)

15/01/27 コメント:12件 クナリ

少年の頃、私は、両親と祖父母と共に暮らしていた。
小学校五年生の時、ユムラ君という友達が出来た。
近所を流れる浅い川の水が温む頃、彼は初めて私の家へ遊びに来た。
私の家の庭先には物置同然の蔵があり、その中に、古い兜があった。
見事な三日月を天頂に乗せたそれを私が被り、戦国武将ごっこをやった。
私にはその兜が、さしたる取り柄もない自分の唯一の自慢の種だったので、決してユ・・・

投稿済みの記事一覧

7

女武将は刀を包丁に持ち替え戦う

15/02/23 コメント:7件 草愛やし美


「やめときな、板前は男の世界だ、苦労するだけだ、念寧はお家に帰ってネンネしときな」そう言ってよく苛められた先輩板前の洋平が前列に座っているのが見えた。手に持つ「念寧ガッツだ!」と書かれた応援プラカードを千切れんばかりに振っている。念寧の目頭が熱くなった。{先輩の厳しい指導のお蔭です}と念寧は心で感謝していた。
「念寧、大賞だ、よくやったな。お前ならできると思っていたよ。だからこそ、厳・・・

7

月下の宴

15/02/23 コメント:11件 泡沫恋歌

 明るい満月の下で、戦勝の宴は開かれる。
 生還を果たした武将たちは、晴れやかな顔で酒を煽っては、己等のあげた武功を自慢げに語る。時折、羽目を外し過ぎた者たちの喧騒がいっそう宴の席を賑やかにする。だが、文官たちの中に、それを咎めようとする者はいない。
 普段は人々の平穏の為に使われるべき、武将らの知恵や武力もいざ戦となれば、いかに多く敵軍を殺戮するか、しのぎを削っているのだ。ようやく訪・・・

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岩崎城の夜明け

15/02/23 コメント:0件 高橋螢参郎

 時は天正十二年、四月九日夜半の事であった。
 岩崎城城代、丹羽氏重とその姉婿、加藤忠景は天守にてただ二人きり向かい合っていた。忠景の出していた物見が戻り、豊臣勢が東北東にある香流川を越えすぐそこまで迫っているとの報がもたらされたばかりだった。その数は夜目である事を差し引いても六千は下らないという。
 だというのに、大それた戦評定は開かれなかった。粗末な床几に腰掛けた氏重が、忠景の報告・・・

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敗将とむすめ

15/02/23 コメント:2件 須磨 円

 上手く気管に入らぬ空気にごほごほと噎せれば、肩が上下する事によって刀傷を受けた胸が激しく痛む。もしかしたら骨を何本かやられているのやもしれない。今すぐ腰を下ろして休んでしまいたいが、それは今は叶わぬし、確実に身を隠すことのできる場で無ければ、此の命はあっという間に消え去るだろう。
 某は、敗軍の将である。

 慶長20年、夏。
 見慣れた森林が、微々たる音一つ聞こえぬこの・・・

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DV〜家庭内武将

15/02/22 コメント:0件 堀田実

「太郎は立派な戦国武将じゃな」
こどもの日、鎧兜に身を包んだ孫を前にして作太郎は呟く。太郎はにっこりと微笑みながらハイハイをして作太郎の膝にすがりつく。晴れた午後のことだった。前日の雨が嘘のように晴れ渡り、屋外には子供らが駆け回り鯉のぼりが空をたなびいていた。それぞれが思い思いの家族団らんの時を過ごし、あるいは独り身やホームレスはいつもどおりの生活を送っていた。
 そんな中、斉藤家の作・・・

7

ドリーム戦国大戦

15/02/22 コメント:9件 泡沫恋歌

 全国から選りすぐりのゲーマーたちが召喚された。
 老舗のゲームメーカー任侠堂が新しいゲームソフトを開発した。今までのゲームの概念を覆す画期的な商品で、ドリームリアリティゲームと銘打つ、そのゲームはコントローラーを使わず、頭で考えた通りにゲームキャラたちを動かすことができる。
 ヘッドオンのような機器を頭に被り、プレーヤーはレム睡眠状態になり、まるでゲームの世界に入り込んだようにキャラ・・・

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今際のモノガタリ

15/02/22 コメント:8件 石蕗亮

今際の淵で男は傍に付き添う妻に語りかけた。
「お前のおかげで俺は大きな何かを成し遂げたと思うておる。
意義有る人生だったと満足しておる。
しかし、何故ここに至ったかは得心がいかぬ。
お前の言うことを信じ、いや、最後に決め実行したのは確かに俺なのだから、俺の意思で成したことなのだが。」
 妻は夫の手を握り、顔を近付けると囁く様に語りかけた。
夫は目を細め、息も弱く・・・

3

御心のままに

15/02/22 コメント:4件 久我 伊庭間

「ふざっ、けんな!このクソゲーが!」
あっ、と思った時にはもう携帯ゲーム機が宙を飛んでいた。
やばい。またやってしまった。
物にあたるなんて最低だ。
わかってはいるが、カッとなるともう手が動いていた。

 俺はゲームは感情移入して楽しむタイプだ。
だからこそ、キャラクターが取りそうもない行動は決して選択しないし、
よしんば選んでしまったとしたら、そこ・・・

8

歴史探査機ワカトイ

15/02/21 コメント:8件 草愛やし美

 信長が本能寺の変で死んではいないという説がある。その謎を究明するため歴史探査機ワカトイが発進した。──といっても、糸山が自ら研究室と呼んでいる自室アパートの部屋から小さな四角形の機器が消えただけだったが……。
 ワカトイの名称は西暦2003年に打ち上げられた小惑星探査機はやぶさの探索目標であった小惑星イトカワに由来している。小惑星探査のため開発されたはやぶさは、地球の軌道と似た小惑星イトカ・・・

3

最愛

15/02/21 コメント:6件 夏日 純希

「あんたなんか戦場で絶対くたばって来なさい」
妻、乙代の言葉。戦場で脳内再生。聞こえの悪い言葉。繰り返し再生。

叫び。地面と人との衝突音、鈍い金属の衝撃音。

次々と刺さる大量の矢。
地面、誰かの肩・胸。叫喚。
佐吉の足下。溜飲。無視(不可)。

凄腕の友人籐野。迷わず追走。
慎重に進撃。切り開かれた経路を進行。
卑怯者? 短く深・・・

3

名・武将

15/02/21 コメント:6件 くにさきたすく

「どうした? 深刻な顔をして……」
 同僚の教師が、話しかけてきた。
 私はデスクに向かってじっと一点に集中していたが、肩に手を置かれてはっと我に返った。振り返ると同僚が入れたてのお茶を片手に微笑んでいる。
「なんか悩み事があるなら相談しろよ。俺たちは『魚と水』だろ?」
「いや、大したことじゃない。もしかしてこの『龍』もそうなんだろうか、と……」
 クラス名簿を見なが・・・

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歴史が僕に教えてくれたこと

15/02/20 コメント:10件 海見みみみ

 幼い頃から僕は同性に興味があった。もちろんそれが普通でない事も理解している。でも僕が好きになる相手は決まって男の子だった。
 同性愛者である事を誰にも打ち明けられず、自分は異常者なのだと苦しむ日々。そんな日々を変えてくれたのが、茶沢君との出会いだった。

 茶沢君とは中学校の同じクラスで知り合った。当時からなよなよとしていて体の弱い僕に男の友達は少ない。対して茶沢君も友達が少な・・・

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上司に気に入られるための3つの心得 プラス1

15/02/19 コメント:11件 鮎風 遊

 サラリーマンの皆様、毎日滅私奉公のお勤めご苦労様です。さて今日は、満身創痍で頑張ってるのに評価されない、そんな不満を持つ貴方への特別講習、テーマ『上司に気に入られるための3つの心得 プラス1』です。

 花井吉男は最前列の席で、必死の形相をして司会者の開会挨拶に耳を傾けてる。なぜなら、上司とは反りが合わず、昇進も遅れ、もうボロボロなのだ。そこで一念発起、ライバルたちをキャッチアップす・・・

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戦国クイズ

15/02/19 コメント:9件 メラ

「あー、なんてったっけ?ここ、ここまで出掛かっているの、あーん、なんだっけ」
「ノド?ノドまできてる?」
「そう、ここ、ここまできてる。あーん、思い出せなーい」
「そのノド元トントンするのやめろよ。なんかオッサン臭えし」
「えー?だって、ほら、もうここまできてるの。分かるでしょ?えーとね、なんだっけ?」
「なんだよ、アッコが戦国大名クイズやろうっつったから問題出してん・・・

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十年越しにも何気なく

15/02/19 コメント:0件 FRIDAY

 高校を卒業とともに飛び出すようにして出てから、一度も帰っていなかった実家に十年ぶりに帰ってきた。
 何か理由があるわけでも、きっかけがあったわけでもない。ただ、何となく、だ。自分でも、実家の門前に立ってもまだどうして自分がここに戻ってきたのかわからなかった。
「…………」
 インターフォンを鳴らす。家にいるかどうかはわからない。何も確認せずに来た。だが、いるならばひとりだけだ。・・・

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天海と盲目の少女

15/02/16 コメント:0件 11doors

その日、徳川家康の軍は峠の麓あたりで、行軍を停めた。家康の体調が悪くなったためだ。指揮を務める陣代は家康の体調を気遣い、近くの寺を徴収することにした。寺の住職は快く彼らの申し出を受け入れ、兵たちもしばしの間休息をとる。


「家康殿の腹痛はいかがなものかな?」


奥から年配の僧侶と、10歳ほどの少女が、陣代に近づいてくる。


「はて? もし・・・

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ファンタジック戦国おじいちゃん

15/02/16 コメント:0件 堀田実

「わしゃあ戦国武将じゃった……」
介護用ベッドに寝そべるおじいちゃんが水平から30度起こした状態でポツリと呟いた。僕は傍らでそれを聞いていて、しばらくその意味を模索した。
「長い戦いじゃった……わしゃあ人を殺したんじゃ……」
きっと夢を見ているのだろう。そう思いおじいちゃんの顔を眺めると目はパッチリと見開かれている。まるで虚空を見つめるように眼の焦点は顔から1メートルのところで結・・・

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飴色の稲穂

15/02/14 コメント:4件 白豚劇場

入道雲が西の空で能天気に佇んでいる。目を焼くように眩しい直射日光。僕は母屋の外の日陰に入って、青々とした芝生をぼんやりと眺めていた。耳元に当てた携帯電話からは、時折鼻をすする音が聞こえる。
「ごめん、なんか心配かけて。」
「適当に謝らないで。」
やっとの想いで紡いだ言葉がかき消される。来ているTシャツが、べっとりと汗でぬれている。
「俺、わかんないんだ。大学院行きたいとは言・・・

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時空を超えてみたりなんかしたりして

15/02/14 コメント:4件 かめかめ

 気がつくと、見知らぬ部屋にいた。
 広々としたフローリングに畳が四枚だけ置いてあって、そこに寝かされていたようで、私の上にはなぜか着物がかけてあった。なぜ?
 古い木造家屋は風通しがよすぎて、初夏だというのにくしゃみが出た。扉を全開にしてあるからそのせいなんだけど。
 私は立ち上がると部屋の外、庭に面した廊下に出た。どうやらこの廊下は建物の周りをぐるりと囲んでいるようだ。お寺み・・・

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歴詩(連載6) 真田幸村・大坂夏の陣

15/02/13 コメント:8件 鮎風 遊

 ほんの七月(ななつき)ほど前に 大坂冬の陣
 真田幸村は 城の南方に築いた 真田丸から
 怒濤の攻撃
 そして徳川方は 惨敗した

 戦が終わり 和議を結んだ
 徳川が 外堀を埋める
 一方豊臣は 内堀を、と

 いかにも 老いた家康は焦っていた
 あっと言う間に、内堀まで埋めてしまったのだ
 難攻不落の大坂城が、これで――裸城に・・・

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力の示し方

15/02/12 コメント:0件 早音芽

戦国武将はかっこいい。

「刀の意味ってなに」
今までの会話とは百八十度、というか分度器を違えるほどカテゴリの違う話にそこに居る全員は目を白黒させる他なかった。
「いや、う〜、うん?」
辛うじてリーダー格の柳が内海の言葉に応える。内海は柳が「いやそんな話より明日のテストだろ」といった感情を含めたのを一切感じ取らずに続けた。
「だってさ、戦国武将はかっこいいじゃん・・・

1

三矢の教え

15/02/11 コメント:2件 山田結貴

 ある日毛利元就は三人の息子を呼びつけ、こう命じた。
「この矢を、わしの前で折ってみよ」
 息子達はわけのわからぬまま、差し出された矢を折ってみせた。
 元就はそれを満足そうに見届けてから、さらに命じた。
「ふむ、流石は我が息子達。では、次はこれを折ってみよ」
 次に息子達に差し出されたのは、三本に束ねられた矢。
 そう。元就は今、息子達に結束の重要性を説こうと・・・

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温かい日差しの下で

15/02/11 コメント:0件 霜月秋旻

 冷たい…。頬に雨粒が触れるのを感じる。
 絶えず小刻みに耳を震えさせる、馬の駆ける音。それに混じり、火縄銃が放つ重い音、飛び交う矢の風切り音に、刃と刃が反発し合う音。それらの耳障りな音は、私の耳を容赦なく攻撃する。
 馬の上にあった私の体は、背後から襲った鋭い痛みの末落馬し、いつのまにか地面に仰向けになっていた。
 ひんやりとした地面に背中を当てて私は、ただ空を見ていた。

1

駒殿

15/02/10 コメント:3件 洞津タケシ

 お天道様が真上に登り、麗らかな陽気に、見渡す限りの水田がキラキラと輝いている。
 所領の農民や家臣達の田植えを、山科領小浜家当主、小浜輝正は眩しそうに眺めていた。

「あれまぁ、輝正さま」

 土まみれの若い女が、輝正を見つけて朗らかに声をかけた。

「精が出るな、とめ」
「そりゃあもう。お加減はよろしいので?」
「あぁ。すまなんだな、皆が田・・・

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その男はSAMURAI

15/02/09 コメント:0件 みや

境内の拝観料を自分が出しますと言いながら、緊張と寒さで手がかじかんでいるので小銭を上手く出せずにもたついている自分が武士は恥ずかしかった。
ライスフィル氏に飽きれられているのではないか…ライスフィル氏は案の定、武士の後ろで肩をすくめていた。

気を取り直して境内に足を踏み入れると、その朱色の建物にライスフィル氏はwow…と外国人らしい感嘆の声をあげて、武士はほんの少し安堵した。<・・・

4

妄想新説・本能寺の変

15/02/08 コメント:8件 鮎風 遊

 天正10年(1582年)6月2日の未明、本能寺の変は起こった。轟々と燃え盛る炎の中で織田信長は自害したと言われている。
 しかし、明智光秀は燻る焼け跡でくまなく遺骨を探した。されど見つからなかった。
 謀反を起こした光秀にとって、信長に代わり天下を取ることが第一義。このままここに留まってるわけにはいかない。この後光秀は電光石火に京を治め、残党を追捕し、近江平定を行った。
 6月・・・

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信繁の土竜

15/02/07 コメント:6件 冬垣ひなた

兵吾は卑賎の身だが土木に非凡な才を持つ。もとは石田三成に仕え、忍城戦にて長大な堤を築き上げ、これをもって水攻めしたほどだった。が、忍城が持ちこたえると三成は激怒した。
その時、兵吾の命を繋いだ若い武将の名を、信繁といった。
信繁はまめに働く朴訥な兵吾を重用し、兵吾もまた忠義を尽くした。関ヶ原で信繁は敗残の将となり紀伊国に流されたが、二人は変わることなく、世は徳川の天下となった。
・・・

0

真説・本能寺

15/02/06 コメント:0件 泥舟

天保10年5月終わり、未だ明智光秀は悩んでいた。
主君である織田信長の光秀に対する仕打ちは、明らかに他の家臣に対するそれとはと異なっていた。皆の前でのあからさまな侮蔑、時には蹴られもした。
そして今回の毛利攻めにおける出陣命令だ。総大将ではなく、羽柴秀吉の下での支援だった。秀吉の出自や下品な振る舞いを嫌っている光秀にとって、秀吉の配下につく、というのは、武士としての誇りが許さなかった。・・・

1

とある兄弟の話

15/02/06 コメント:0件 更地

 どこかの街にある小さな家に、仲のいいような悪いような兄弟が住んでいました。
 兄の方は聡明です。いつも独り部屋にこもって本ばかり読んでいました。
 弟の方は少し愚かです。何かこれという目標を定めると周りの迷惑も顧みずにそれへと猛進しました。弟は頭がおかしいと皆に思われていました。
 ある日のことです。いつものように兄が肘掛け椅子に腰掛けて革張りの分厚い本を読んでいると、紙でこし・・・

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足軽平六の夢

15/02/01 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 足軽の平六が、戦場の中心から離れた雑木林のなかで、その鎧兜に身をおおわれた屍をみつけたのは、夜明け前からはじまったいくさも、膠着状態のまま午後となり、日も大きくかたむきはじめたころのことだった。
 屍はどうやら、敵の武将のひとりらしく、見事な甲冑からみて、相当なランクにあることぐらいは、平六といえども用意に理解できた。
 おそらく、配下の兵にさきんじて、みずから敵陣に斬りこんだ勇猛果・・・

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花は桜木 人は武士

15/02/01 コメント:0件 みや

殿は誠に桜がお好きなお方でございました。

咲き誇る姿、潔い散り際、散っても尚美しいその様に殿はその様な武士でありたい、と憧れの様な思いをお持ちであったのだと私は思うのでございます。

鳴かぬなら殺してしまえホトトギス。その様な残酷な歌を詠む事で冷徹で残虐な面を持たれている、と恐れられておりましたが、その反面、裏切られても人を信じ続ける、と言う懐の深さもお持ちでございました・・・

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DNAに眠る『小田原評定』の謎

15/01/28 コメント:0件 11doors

私は妻と、彼女の祖父房太郎に会いにいった。

「おじいさま、千早です」
「おお、千早か、ひさしぶりじゃのう。そうか、ついに離婚か」
「おじいさまは、私たちが必ず離婚するといわれました。何か根拠がおありだったのですか?」
「あの頃は、ただの勘でな。それに親の反対する結婚は大抵ダメになるじゃろう」
「あの頃は…ですか。では、今は他にも根拠が?」

房太郎・・・

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歴史のべんきょう

15/01/26 コメント:2件 こぐまじゅんこ

 どういうわけか、ぼくは歴史の勉強が嫌いだった。昔の人が何をしたかなんて勉強して、何の意味があるんだろう。ぼくは、今、この時代を生きるだけで必死なんだ。

 ぼくは、黒川光秀。五年生だ。
 歴史の嫌いなぼくに、どうしてこんな名前をつけるのか、本当に親をうらむ。
 社会の時間に、明智光秀がでてくるたびに、クラスメートがくすくす笑うんだもの。

 そのうえ、歴史の嫌・・・

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私の殿さま

15/01/26 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 バナナを最初に食べた日本人は、おそらく殿さまではなかったか。
 短気で怒りっぽい性格は、臣下の面々にとっては脅威だった。
 なかでも、小姓のひとり、古玖才造はいつも、びくびくものだった。
 小姓という職業柄、たえず殿のそばに控えていなければならず、殿の癇癪のとばっちりをくう、最初の人間が彼だった。
 殿の逆鱗にふれたらさいご、それがだれであれ、瞬時に首が飛ぶところをこれま・・・

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