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第七十五回 時空モノガタリ文学賞 【クラシック音楽 】

今回のテーマは【クラシック音楽】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2015/03/09

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。
チェンバロ奏者 斎藤はる奈

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2015/01/12〜2015/02/09
投稿数 49 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

3

温かな手を

15/02/09 コメント:3件 四島トイ

 飴色の椅子が日曜日の陽光を反射する喫茶店で私は身を縮めた。店内は温かく紳士淑女は高尚な歓談に興じている。制服姿の私達に向けられた、あらあらまあまあ、というひどく古典的な音が混ざって聞こえた。
 怒られたわけでもない。むしろ対面する貝塚君は大変紳士的な高校生男子であり、衆人環視の下で同級生たる私を叱責するとは思えない。なにせ同じクラスという理由で日曜日にコンサートに招待してくれるような人物だ・・・

9

クラシック音楽流れるうどん屋

15/02/05 コメント:14件 草愛やし美

 昭和30年代、私の実家は京都で大衆食堂を営んでいた。亡き父は大正生まれだったが、死ぬまでクラシック音楽を愛した人だった。毎日ラジオで音楽を聞いていたが、それがレコードプレーヤーやテープレコーダーを使うようになり、やがてアンプを配し左右のラッパに繋ぎステレオで曲を楽しむという本格的なオーディオへと手を伸ばすようになった。臨場感あるクラシック音楽を楽しむためには本物の音を再現するしかないという夢を叶・・・

2

きみの音は夜を照らす僕のともしび

15/02/04 コメント:2件 朝綺

 夕方降り始めた雨は、夜になっても止まなかった。ぱらぱらと窓を打つ音が硬いから、雨も凍っているかもしれない。
 庭付きの古い一戸建てはひとりで住むには広すぎて、冬中ずっと寒い感じが付きまとう。たぶんそれは寒さじゃなくて、寂しさとか孤独とか、そういう類の冷たさだ。
 パソコンのタイプに雨の音が重なるから、今日は音の種類が多い。ささやかなにぎわしさに思いを馳せると、思考は思わぬ所に着地した・・・

最終選考作品

8

モーツァルトの耳

15/02/07 コメント:10件 そらの珊瑚

 トーストの上でバターは溶け、淹れたてのインスタントコーヒーにハムエッグ。もう既に、大小二人分の弁当が出来ている。代わり映えしない、朝の風景。

 小学生の頃から、俺を真似して料理するのが好きだった娘は、ますます手際が良くなり、中学生になった今では、料理は娘担当になった。今は料理が好きというより、必要だからとやっているのだろうと思うが。
 親の欲目を引いても、味はまあまあイケる。・・・

8

アドニスのためのパヴァーヌ

15/02/03 コメント:12件 泡沫恋歌

 フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが1899年に作曲した『亡き王女のためのパヴァーヌ』は抒情的で美しいメロディだ。この曲の亡き王女とは、ハプスブルク家のマルガリータ王女をモデルに作られたといわれているが、その王女は21歳の若さで亡くなっている。
 この曲を聴く度に、こんな映像が頭の中に浮かぶ、雲の切れ間から放つ一条の光に導かれて、小さな女の子がゆらゆらと舞いながら天国へ昇っていくのだ。

8

蘇るベートーベン

15/01/30 コメント:7件 草愛やし美

「セラ、僕はベートーベンを蘇らせるのに成功したんだ」
「嘘、二百五十年も前の人だよ」
「あれほどの才能を持ちながら、五十六歳で死んだベートーベンは、死亡前に難聴の原因を調べるため、自分の解剖を依頼していたのさ。ヨハン・ワグナーという医師がベートーベンの家で解剖をやった、だから、遺体は残ったってことさ」
 ケンは手元にある本を読み始めた。

「1827年、難聴に苦しみ続・・・

1

カムパネルラへ

15/01/27 コメント:5件 糸白澪子

「なあ、エリック・サティはクラシックやと思う?」
希美(のぞみ)はアイスキャンディを食べながら私に聞いた。
「クラシックやなかったら何になんの?」
私は汗をかいたペットボトルを握ったまま希美に聞き返した。
「サティはクラシックっていうほど古典的な雰囲気ないねんもん」
「あー…ね」
蝉の声が降ってくる。
じーじーじー。
みんみんみん。
しゃわしゃ・・・

10

アンナのアリア

15/01/24 コメント:9件 泡沫恋歌

18世紀、ウィーンはハプスブルク家が栄華を誇り『音楽の都』と呼ばれていた。当時はヴィヴァルディやバッハのバロック音楽から、交響曲の父・ハイドンを中心にウィーン古典派が開花しようとしていた。ヨーロッパ中から成功を夢見る、才能溢れる音楽家たちが集まったウィーンの街外れの下宿屋に、その音楽家は住んでいた。
彼は下宿屋の娘と恋に落ちて、今度、公演するオペラの成功を強く望んでいた――。

・・・

投稿済みの記事一覧

12

歓喜

15/02/09 コメント:5件 石蕗亮

 今日は彼女との初めてのデート。
クラシックのコンサートに来たが緊張で曲も何も聴こえたものではなかった。
会場の中は薄暗い為か他の客の姿は見えず、まるで二人っきりの世界に居るように思えた。
それが尚更緊張に拍車を掛けた。
ステージ上ではライトを浴びて指揮者がタクトを振っている。
その姿が目に映ってはいるが、耳に響いているのは自分の鼓動だけであった。
きっと彼女も・・・

2

モノクロームの運命

15/02/09 コメント:4件 村咲アリミエ

 運命。
 交響曲第五番。重々しい始まりが、頭の中をがんがんと叩く。勘弁してくれ。運命がドアを叩く音、だっけか。
 音楽家にして、耳が聞こえなくなっていった彼は、その中でさえ作品を残していく。
 俺は、じゃあ、どうするんだ?

 ふざけるな。絵描きなのに、こんな、運命。まるで神様の暇つぶしだ。
 可哀想な俺。ある日起きたら、世界から色が消えていた。モノクローム。・・・

0

答えはショパンの「ノクターン」

15/02/09 コメント:0件 坂井K

2014.12
寒い朝、カーテンを開けると白い雪。積もった雪を見た瞬間、下村雅人は思い出す。向かいの家に住んでいた、吉岡大樹とショパンの曲を。

1999.6
雅人と大樹は家が向かい。親友というわけじゃない。だけど一緒に行き帰り。話す事柄なくなると、大樹はいきなり歌い出す。トゥ、ティッティッティートゥルリー、ティラ、ティッティッティートゥルリー、ティラ、トゥトゥラリッタッタ・・・

1

オルガンの先生

15/02/08 コメント:2件 橘瞬華

 クラシック音楽と言えば、思い出すことがある。それは大学に入って最初の一年だけ受講していた、パイプオルガンの演習、の、先生。
 その授業の履修条件はピアノでモーツァルトのこの曲程度ピアノが弾けること。そう書いてあったにも関わらず一度だけ調べて聴いて、まぁ、ダメだったら先生もとるのをやめろと言うだろなどと思いながら履修のボタンを押した。大学での講義が始まってから、まだ一度も授業を受けていないと・・・

7

ショパンの呪い

15/02/08 コメント:11件 光石七

 私はショパンに呪われている。好きな人と一緒にショパンの曲を聴くと、その恋は絶対うまくいかない。
 小学生の時、音楽の授業で『小犬のワルツ』を聴いた翌週、好きだった同じクラスの男の子が突然転校した。中学では全生徒強制参加の特別音楽鑑賞会があり、直後に先輩に告白して玉砕。曲目の一つがショパンの『ピアノ協奏曲第1番』だった。
 高校で初めて彼氏ができたけど、交際三ヶ月で「他に好きな子ができ・・・

6

アダムとイブが愛した音楽は

15/02/07 コメント:7件 滝沢朱音

――この地に堕ちたアダムとイブは、裸で、長髪で、小箱を一つ手にしていたという。そんな言い伝えを知ってるかい?

「サリってば、またクラシック聴いてる」
 僕の部屋に入ってきたアマは、BGMに顔をしかめた。僕には耳馴染みのよい定番曲だが、彼女には不快らしい。
「いいよ、クラシック。聴けば聴くほど深いし、飽きないよ」
「私は嫌い。古くさいし、重っ苦しいし」
 アマは・・・

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音の光

15/02/07 コメント:0件 haruta

 中学三年の冬だった。受験も終わり、私は何となく気の抜けた日々を送っていた。その日は音楽室を掃除するクラスメイト達がインフルエンザで休んでいた為、普段は教室掃除担当の私と、庭掃除担当の瀬川君が運悪く慣れない掃除区画をあてがわれてしまった。二人だけで勝手の分からない音楽室の掃除をするのは億劫だし面倒くさい。それは瀬川君も同じだったらしく、この日は掃除をサボるという事がひそやかに決定された。
 ・・・

0

タイム・ストップ・ムーブ

15/02/07 コメント:0件 くにさきたすく

 なにしろ彼にとって初めての経験だったのだ。
 こんなに思い悩まされるとは予想していなかった。
 明日になればまた時間は動き出すと分かっている。しかし、気分は落ち着かない。この停止した時の中で、彼は必死になって時を進めようと抗っていた。
 彼は椅子に深く腰を掛け、目を閉じ、頭の中で時を進める。
 その思考イメージは、複雑で難解だ。常人には理解し難い。筆舌に尽くし難い。どうに・・・

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Eine kleine Nachtmusik

15/02/07 コメント:0件 FRIDAY

 きっかけは昼休み、部活の用事で体育館への渡り廊下を歩いているときだった。
 大会の時に張るテント用具一式をひとりで抱えて歩いていると、どこからかピアノの音が聞こえてきた。
 行きは対して気にとめなかったが、戻りにもまだ聞こえたのでふと気になって音のする方へ行ってみた。
 発信地はすぐに見つかった。夏だから暑いのだろう、窓を全開に開けた教室だ。別に悪いことをしているわけではないの・・・

1

クラシックおじちゃん

15/02/05 コメント:2件 白豚劇場

春のうららかな陽が差し込み、南から吹くそよ風が閑静な住宅街を暖める。耳をすませば、その街の一角、窓が半分開いた家からクラシックと思しき音楽が聞こえてくる。
家には一人のおじいさんが住んでいた。家からいつも微かにクラシックが聞こえてきていたので、僕の家ではそのおじいさんのことを「クラシックおじちゃん」と呼んでいた。親が仲がよかったことから、僕は小学生のころ、その家に足繁くおじちゃんの家に通った・・・

7

亡霊の告白

15/02/05 コメント:9件 そらの珊瑚

 ノイシュヴァインシュタイン城へ、ようこそお越しくだされた。深い深い森の中に佇む白亜のこの城こそ、我が命。王として生きた証。
 さて、お客人、ワーグナーの広間には行かれましたかな? あそこは私が敬愛した作曲家ワーグナーへ捧げた部屋。彼の産みだした楽劇の場面を壁画にして描かせたところ。皮肉なことに彼をそこへ招待することは、ついぞ叶わなかったが。
 二十一世紀の現代においては、彼の作った音・・・

3

魔王殺しの連鎖 ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

15/02/05 コメント:7件 鮎風 遊

 夏の始まりだというのに、森林公園の月が異様に青い。そして木々の葉がざわざわと揺れる。多分悪霊が息を吹き掛けたのだろう。
 その紺青の闇を破るかのように、激切なピアノの三連符が響き渡る。
「いよいよ始まったか」
 噴水の縁に立つ霧花圭は野外舞台へと振り返った。その動作に間髪入れず、甲高いテノールの歌声が――
 ♪ Wer reitet so spät durch ・・・

1

破壊された都市

15/02/05 コメント:2件 堀田実

 彼は耳をそばだてる。長い間聞くことのなかった音楽のように錯覚を起こす。今は望みという望みはほんの少ししか叶えられない。たった1日のうちにすっかり変わってしまった。戦争は彼から日常を奪っていく。
 瓦礫の山からひっそりと響くのはカンパネラだった。いつ誰がつけたともわからない。大きな羽の音を轟かせて虫たちのようにやってきた『報復者』に攻撃されてからは、誰もが色々なものを失ってしまったのだ。目が・・・

2

『わたし、特技ありまして……!』

15/02/04 コメント:4件 タック

――フレデリック・ショパン――   
 

「ねえ、ケーキ作ってきたんだけど、食べてみてよ!」
「えー? やだよ。お前、料理へたじゃん。美味かったこと、一度もないじゃんか」
「今回は自信、あるんだって! ちゃんと、分量も量ったしさ」
「ホントかよー? 全然、信用ならねえんだけど」
「ダイジョーブだって! ほら、一口、一口!」
「わかったわかった………・・・

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ひきこまれるクラシック

15/02/04 コメント:7件 霜月秋旻

 受験勉強の際、机の上に漫画本を置いておくのは危険な行為です。理由は言うまでもないですね。家の大掃除の際に昔のアルバムを見つけてしまった時と同じような結果が訪れてしまいます。スマホもそうですね。集中力の大敵になるでしょう。
 漫画本とスマホさえ封じてしまえば、勉強に集中できるのか?
 それは間違いです。最大の敵は、睡魔という名の大敵。方程式をひとつ解くたびに、重力を逆らい続けてきたまぶ・・・

3

酒とホームレスとボレロ

15/01/31 コメント:6件 堀田実

 タカラはあまり人が好きではなかった。できることなら無人島で暮らし、日長一日をぼうっとして過ごすことに憧れていた。放っておいて欲しかったのだ。ただ景色の音を聞くだけでも幸せなのに、わざわざ言葉を使ってコミュニケーションを取る人の営みに煩わしさしか感じなかった。
 彼の母はとても心配した。最低限の処世術だけでも得させないと、いつか飢え死にして死んでしまうだろうと思った。私が生きている間はいいが・・・

2

世界は音でできている

15/02/01 コメント:4件 みや

ピピピ、ピピピ。いつもの時間に鳴り響く目覚まし時計はファの音かな?
眠気まなこでキッチンに降りて行く。お母さんのおはよう、の声はミの音?

洗面所の蛇口から流れる水の音は…わかんないや。歯を磨く音も。
いただきます、と家族みんなでテーブルに座ってお母さんが作ってくれた朝ご飯を食べる。お姉ちゃんの食器のカチャカチャ、お父さんの新聞のガサガサ、お母さんのスリッパのパタパタ。色ん・・・

1

宙ぶらりん

15/02/01 コメント:1件 更地

 身支度を万端整えた後に、お気に入りのクラシック音楽をかけた。そうすると部屋の中に気分が落ち着くような調べが満ちて、私の心は風が凪いだように静かになった。未練や恐怖もどこかに行ってしまった。私は部屋の真ん中にこしらえた縄の輪っかに首を通し、特に迷いもなく一気にぶら下がった。
 苦しいのは最初だけだった。縄の軋むギシギシという音が頭蓋の中に響き、息が詰まって、ああ苦しいと思ううちに何も感じなく・・・

1

奏でられたパンツァデュオ

15/02/01 コメント:1件 霜月秋旻

 澄みきった湖。周りは木々に囲まれ、風でざわつき落ちた木の葉が水面に波紋を広げる。やがて雨粒がこぼれ、湖と雨と風の三重奏。そこに雷鳴が加わり四重奏。人為的ではなく、すべては自然の力が作り出す情景。それが、私がクラシックを聴いているときに目を瞑って作り出す、頭の中の幻想の世界。その中に身を投じることで、日常を一時的だが忘れることができる。その世界には、わたし以外の人間が入ることは許さない。
<・・・

2

ハツコイバンビ☆

15/01/30 コメント:4件 冬垣ひなた

溝口先生が亡くなった。
風呂場で脳卒中を起こし、そのままだったそうだ。顧問の突然の訃報に、N高校吹奏楽部の皆は涙を流し、その死を悼んだ。

「広瀬。先生の、追悼演奏会をやらないか?体育館使えるって」
言ったのは、コンサートマスターの杉谷だった。
「部長は僕だぞ」
「実は、もう曲を決めてある」
杉谷は強引だ。クラリネット奏者としての実力は誰もが認めるが、ワン・・・

3

エリーゼのために。

15/01/29 コメント:6件 たま

 その頃も、夜の街を群れて泳ぐ小魚たちがいた。

 午後5時すぎ、地下鉄の階段を駆け上って今池の大きな交差点に立つ。八月の名古屋はとても暑くて声もでない。交差点を渉っていつもの喫茶店に入ると、開店前のキャバレーのホステスたちが同伴の客をつれて席を埋めていた。
「ユウスケ、こっち」サダオさんがわたしを呼ぶ。
「ねぇ、今日はどうしてこんなに多いの?」
「本日オープンだよ。・・・

1

ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第5番『春』

15/01/28 コメント:2件 堀田実

 江里香はピアノの前に座りある男のことを考えてた。凛として背筋を伸ばし、鍵盤を通して聴衆を惹きつけるいかにも権威的なピアニストのように振舞いながら、心は昨日出会ったハンスに向けて飛んでいた。
 鍵盤を撫でる指はそそくさと何度も何度も引き続けたベートヴェンの『春』を、まるで違う生き物のように機械的に流れていく。身体はわかっていた。どのように弾きこなせば母から糸目をつけられずにつまらない時間から・・・

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変異音楽・B面

15/01/27 コメント:0件 泥舟

ちょっとした知り合いの橋下氏は、コーヒーショップが好きだ。
本人は、「こんなものは、泥水だ」と全くコーヒーの味を解していないようではあるが、酒類が全く駄目なこともあり、落ち着ける場所としては、こんなところしかないのかもしれない。
そんなわけで、こんな夜も更けた大人の時間に、男二人が面と向かってチェーン店のコーヒーショップにいるわけだ。

「そう言えば、この間の○○で発生した・・・

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変異音楽・A面

15/01/27 コメント:0件 泥舟

○○市の地域振興イベントの一環で開催されるクラシック音楽コンサートで昔馴染みの演奏に聴き入っていた。
学生時代に通った名曲喫茶に、背伸びして通った学生時代を思い出す。
授業をさぼって友人と語り合った。初めての恋人と愛を育んだ。でも、一人で店内に流れるクラシック音楽に耳を傾けながら、一人読書にいそしむ時間が一番長かったかもしれない。
楽しかった思い出ばかりが走馬灯のように甦る、と言・・・

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レクイエム

15/01/24 コメント:0件 ちほ

 誰もいない真夜中の商店街を、冬姫は制服姿で歩いていた。その表情は真剣そのものだった。冬の冷たい風が、彼女のスカートの裾を揺らす。ふと、自分を呼んでいる声が聞こえた。そのよく知っている声に、彼女は駆け足になる。
「陽斗……陽斗!」
 夜の闇を切り裂くほどの二つの金色の光をぶつけられても、冬姫はもしかして彼が近くにいるのではないかと思い、彼の名を呼んで走った。
 気がついたら冬姫は・・・

0

クラシック

15/01/24 コメント:0件 Lukewarm

「くそ……なんでいなくなっちまったんだよ!!!」

 俺は某家電量販店で大きな叫び声をあげた。
 何故消えてしまったのか?何故見当たらないのか?俺には思い当たる節が全くなかった。

 叫び声を聞きつけて店員が飛んできた。
「お、お客様どうなさいましたか?」
 店員は息を切らしている。どうやら急いできてくれたようだ。
「前はここにいましたよね……?」<・・・

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【講義】夢の中の音楽について

15/01/24 コメント:10件 石蕗亮

 いつものように黒いローブ姿で夢師が講壇に立った。
「えー、本日も講義に参加頂きありがとうございます。今回は夢の中における音楽について説明(次回作におけるR指定気味の言い訳)をしたいと思います。
そう言うと黒板に「分類」と書いた。

 夢の分類
「夢占(夢解き)において【音】は様々な予兆を示します。
の、前に夢の分類について説明しましょう。
夢には3つの分・・・

2

娘ちゃんのクラシック!

15/01/23 コメント:2件 浅月庵

 俺が晩酌をしていると、娘ちゃんを寝かしつけ終えた嫁さんがこちらへ向かってくる。
 昨日、嫁さんが娘ちゃんにピアノを習わせたいと言い始めて、近頃小さいピンクのおもちゃピアノに娘ちゃんが熱心に向かってたなというのを思い出して、つい口を滑らせる。
「でも娘ちゃんさ、俺たちのお子ちゃまなのに、ピアノなんてやる柄なのかな」
「どういう意味?」嫁さんがむっとした顔で椅子に座る。
「別・・・

3

天上の音楽

15/01/22 コメント:4件 かめかめ

『めぐみ音楽教室』

 703号室のポストに書いてあるその名を、僕はうっとりと見つめる。エレベーターに乗り、階数ボタンを押そうとして慌てて手を引っ込める。『7』というボタンを押してしまいそうになった。僕の住まいは603号室なのに。703号室に行きたいという強い思いが、いつも僕の手を勝手に動かしてしまう。

 このボロビルに引っ越して半年。
 最初は家賃が安いだけで取り・・・

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バッハに感謝

15/01/21 コメント:0件 11doors

僕は大学卒業後、就職した会社の女性と結婚しました。彼女は
4歳年上。僕が3階の経理課で、彼女は4階の総務課でした。

彼女と知り合ったきっかけは携帯電話。二人とも同じバッハの
『イタリア協奏曲』を着信音にしていたんです。

それを知ったのは、社内の休憩室。少し離れたところで『イタ
リア協奏曲』の着信音が聞こえたので、僕は驚きました。自分
と同じ曲を着・・・

0

薄灰の夕暮れ

15/01/20 コメント:0件 一ノ瀬 冬霞

第1幕 Lonely/Piano


甃の路地を曲がって坂道を下る。
薄灰の街並みはどこか寂しそうだ。

*piano

 始めは優しく
 段々と強く



第2幕 Sparkling/Glockenspiel


無邪気な子供が駆け出してくる。
足元に向けられたその視線は、とても楽しそうだ。

0

蓄音機

15/01/19 コメント:0件 橘たんぼ

 その純粋な感情を、管理培養し適切な制御の下に置く。僕が目指したのはそういうことだ。ともすれば僕らに与えられた思考と情動が、僕らを苦しめるから。
 いつからのことだっただろう。理想を追い求め、理想の行きつく先を見ようとした。しかし理性に裏打ちされた論理と、僕に動機を与える情動が相容れなかった。渇望する僕の熱情に適切な船頭を与えうるものを、探している。
 僕は名を喜多島という。
「・・・

1

チューブ入りクラシック音楽

15/01/19 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 最初は歯磨きをいやがる子供のために作られたものらしい。
 チューブをしぼりだすとともに、アニメソングが鳴り響いた。
 いったい、どんな仕掛けになっているのか、私はなんども子供の歯磨きの様子をそばからながめ、また実際にチューブを手にとってあらためもしたが、結局答えはみつからなかった。よその大人たち同様、化学が生んだ奇跡だと、月並みな驚きの表現しか口にできなかった。
 記録的な売り・・・

1

着想中毒

15/01/18 コメント:1件 につき

 クラシック音楽を私はあまりよく知らない。それどころか、音楽というもの事態を分かってはいない。単なる素人の聞き手として好きなだけであるかも知れない。
 ピアノもいい。バイオリンもいい。それらに決して詳しいわけではないが、その他の楽器はもっと知らない。だから、オーケストラは豪華すぎてますますよく分からない。

 youtubeの動画配信で、初めて耳にする曲も多い。私にとってクラシッ・・・

3

ガソリンアレイのエチュード

15/01/16 コメント:5件 クナリ

隅田川沿いの長屋通りに、子供は、僕とフユカだけだった。
フユカの親が彼女に与えた最初の玩具は、何かの貰い物だったらしいキイボードだった。
フユカは朝から晩まで、鍵盤を叩き続けた。小学校を卒業する前に、
「私はクラシック奏者になるぜ」
と、ロッカーの方が似合いそうな、父親譲りの蓮っ葉な言葉遣いでのたまっていた。
僕がピアノを始めたのは、フユカの傍にいたかったからだった。・・・

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ショパンを愛した二人の男

15/01/14 コメント:0件 ポテトチップス

演奏を弾き終えた。羽根岸健一はピアノの鍵盤からゆっくりと両手を離し、余韻に浸るように目を瞑ったまま、聴衆からの鳴り止まぬ拍手に歓喜した。
目を開け、椅子から立ち上がって会場の聴衆に一礼をした後、マイクを手に取った。
「本日は私の、羽根岸健一 2014年 ウインターソロピアノリサイタルにお越し頂きまして、誠にありがとうございます。いま弾いた一曲目の曲は、私の大好きなフレデリック・ショパン・・・

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ベートーベンの肖像画

15/01/14 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 ぼくは、音楽室に飾ってあるベートーベンの肖像画に見入っていた。
 ベートーベンは、晩年には耳が聞こえなくなっていたというのに、曲を作り続けたと聞いた。

 それほどまでに夢中になれるものが、ベートーベンには生涯あったということだ。
 ぼくには、それがうらやましい。

 ぼくは、太田なおき。四年生だ。
 小学一年生のとき、お母さんにすすめられて英会話教室に・・・

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純粋音、あるいは見られてはいけない光景

15/01/14 コメント:0件 五助

「あなたは音楽が好きなの、それとも音が好きなの?」
 むかし、妻にそう問われた事がある。

 静かな喫茶店だ。客は数人、店主がコーヒーを入れる音がする。音楽はない。外は雨が降っている。店の天井の隅にはスピーカーが設置されている。コーヒーを持ってきた店主に音楽はかけないのかと聞いてみた。
「雨の日は、かけないことにしているんです」
「どうしてです」
「雨がやんだ音・・・

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セッション

15/01/13 コメント:0件 るうね

「うー、寒い寒い」
 宿直室を出た僕は、夜気の冷たさに背を丸めた。今夜はやけに冷える。
「さっさと見回りを終えてしまおう」
 一人つぶやき、懐中電灯をつける。
 夜の学校は、なんとも言えぬ不気味さがある。
 一階を一通り回った後、二階に上がる時に異変に気付いた。
 音だ。
 二階の奥の方から、かすかな音が聞こえてくる。
「な、なんだろう」
 思・・・

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ピアノなんて好きじゃなかった

15/01/12 コメント:2件 みや

美帆ちゃん、ピアノを習ってみない?

小学一年生だった私に祖母はピアノを習う事を勧めた。今なら祖母も母も弾けないのに何故と不思議に思うけれど、本当は祖母は母にもピアノを習わせたかったのだが、母が拒否したらしい。我が子で叶えられなかった夢を孫の私で叶えたいー

だから祖母は孫の私にピアノを習わせたかったのだ。そしてエリーゼのためにと言う曲が祖母のお気に入りだったから、というシ・・・

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曲盗人

15/01/12 コメント:6件 W・アーム・スープレックス

 ベートーベンは、苦虫をかみつぶしたような顔になった。
 いま彼は、作曲中だった。全身全霊を、ピアノの鍵盤上を踊るようにはしる指先に集中している真最中だった。
 窓の外に、だれかの気配がした。はりつめられたベートーベンの神経に、いらぬ不協和音ががなりたてたた。
 ………まただれかが、おれの曲を盗もうとしている。この家に越してきたばかりだというのに、はやくもかぎつけられたのか。

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