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第七十三回 時空モノガタリ文学賞【 隣室 】

今回のテーマは【隣室】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2015/02/09

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2014/12/15〜2015/01/12
投稿数 48 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

8

ペットショップ哀歌

15/01/12 コメント:10件 そらの珊瑚

透明なアクリル素材で、各部屋は仕切られている。
スピッツの隣室は、一週間ほど空き室であった。以前は茶色のトイプードルがいたのだが、人気犬種のためか、すぐに買い手が付いて出ていったからだ。
 今日、そこへ新しい子犬が入居した。
 クシャっと潰れた顔のパグ。まだおぼつかない足取りで、一歩踏み出してはよろけている姿を、女子高生の客が「めっちゃ、ブサかわいい!」と言いながら、しきりに・・・

3

104号室

15/01/11 コメント:6件 ぽんず

 2015年最初の朝は、目覚まし代わりにしていたテレビの音に起こされて始まった。液晶の向こう側では、晴れ着姿の人気お笑いコンビが、新年を祝った特番を盛り上げている。
元旦から大変だねぇ。浩市は重い体を起こした。

新聞と年賀状を取りに(と、言っても年賀状は両親と会社くらいのものなのだが)玄関の扉を開けた。乾いた冷たい風が全身をなでる。
「うう、寒っ」ガクブルや。
寝間・・・

1

隣の部屋のゴーストシンガー

15/01/01 コメント:1件 安城和城

 そうだ早く眠らなくては、と私は思い出した。
 暗闇の中で光を放つスマートフォン、その画面の中央には00:59という太字。間もなく深夜一時。良い子も悪い子も眠るべき時間だろう。
 私は目覚ましアプリがON設定になっているのを確認して、スマフォを枕元に置く。そしてそれをもう一度手に取って、スマフォがマナーモードになっていないかを確認した。マナーモードになっていると目覚ましも鳴らないのだ。・・・

1

三本の鉛筆は……?

14/12/22 コメント:2件 ちほ

 緑色の鉛筆のHBと書かれたその横に、クリス・シュナイダーは星の印を彫刻刀で刻みつけていた。壁に押しつけられた右耳からは、隣室のシュルツ兄弟の喧嘩の様子がこちらに聞こえていた。
 ここグリーンゲート音楽院には世界各国から音楽の才能のある少年少女たちが集められ、専門的に学ぶ彼らは寄宿舎生活をしていた。クリスマス休暇にはみんな自分の国に帰る。帰れない事情のある僅かな子どもたちだけが残っている。<・・・

6

隣りの小豆洗い

14/12/18 コメント:9件 みや

高校受験を間近に控え受験勉強という名目の夜更かしをしている僕の耳に、お隣の家からまたあの音が聞こえてきた。

ショキショキ ショキショキ ザー ショキショキ ショキショキ ザー

また来てくれたんだ、と僕は嬉しくなって自分の部屋から飛び出した。

初めてその音を聞いたのは、お隣の家が引っ越ししてすぐの事だった。
お隣には80歳くらいのおばあちゃんと娘さん夫・・・

最終選考作品

6

僕は妹の部屋に向いて歌う

15/01/10 コメント:8件 夏日 純希

長いものに巻かれるのは構わないけれど、自分で巻きつけるのは首吊りをするみたいで嫌だから、せめて長い奴自ら巻きに来て欲しい。そんなことを自分の楽曲を検索しながら思い、仕方なしに自分で楽曲の登録リクエストを行った。タイトル名から検索すればもちろん検索出来るのだが、少しマイナーな部類に入る鼻歌による音楽検索サービスでは自分の曲がまだ表示されない。だから登録リクエストを自ら行う売れないシンガーソングライタ・・・

3

壁の穴、小さな穴

15/01/06 コメント:3件 更地

 仕事を終えてアパートに戻ったら、部屋の壁にビー玉が貫通したくらいの穴があいていた。私の趣味で壁紙は真っ白だから、その穴の、何もかもを吸い込みそうな黒さが余計に目立つ。自室という慣れた空間にはそぐわない異質さをそれに感じた。
 私はそのよく分からない小さな穴が何故出現したのかを考えた。穴のあいている壁の向こうは隣室である。ゆえに隣人の想像もつかぬ悪意によって私の領域が侵されたのではないかと最・・・

9

年の初めから隣りの部屋が満室だ!

15/01/05 コメント:9件 草愛やし美

「そちに悟空の術を授けてやろう、ありがたく思え」
「そういうあなたは?」
「私は、彼の有名な三蔵法師じゃ」
「何で、彼の有名なって自画自賛……」
「何か申したか?」
「いえ何も。でその有名なお方がなんで、私になど?」
「気にするでない、ほんの正月の気まぐれじゃ」
「気まぐれねえ、悟空とはあの孫悟空のことですか?」
「そうじゃ、三蔵法師といえば、それ以・・・

8

事故物件

15/01/03 コメント:9件 泡沫恋歌

 ビル管理の会社を始めて、三十年経つ。女一人で宅建の資格だけを頼りにやってきた商売だが、バブルの頃にはそこそこ儲かった。
 郊外にマンションを買い、外車を乗り回し、結婚はしなかった、当然子供もいない。独り身の気楽さは有るが、やはり年齢と共にひしひしと孤独を感じることもある。一昨年、十八年飼っていた愛猫に死なれた時には……心にぽっかりと穴が開いてしまった。私にとって身内と呼べる家族はその猫だけ・・・

5

友達ではなく、仲良くもなかった

14/12/18 コメント:5件 クナリ

 私が小学生の頃に暮らしていたのは、傾きかけた木造アパートだった。
 隣の部屋には、同じクラスのナグモさんが住んでいたけど、特別仲良くはなかった。
 ナグモさんは運動が得意だったけれど、日がな一日サッカーに興じる彼女に、女子の友達はいなかった。女に劣ることを恥じる男子達も、彼女を敬遠した。
 私はいじけた性格で、家でグッピーに餌をやるのだけが楽しみというインドア派であり、また生ま・・・

3

真っ白な吐息

14/12/16 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 妻が小さな娘をつれて、家を出ていったときも、和人は酔っぱらっていた。
 あなたには、つくづく愛想がつきました。
 妻のその言葉よりも、娘のこちらをみつめるまるで他人にむけるようなよそよそしいまなざしに、和人は胸をえぐられた。呼びとめる言葉の、ひとつも、口にできなかった。
 仕事をリストラされて以来、まともな仕事につくこともせず、毎日アルコールに溺れ、そのうさを晴らすかのように妻・・・

投稿済みの記事一覧

1

虐待音声

15/01/12 コメント:2件 タック

 隣室から怒声が響くのを私は聞いている。その後に子供特有の甲高い叫び声――痛みを放出するような男児の悲鳴――が続けざまにやってくるのも明確に私は、意識して聞いている。
 
 うるさい、こんな夜更けに、なんだ――。

 そう思ったのも、最初期だけのことである。隣室で起きている事件を、確かに理解するまでの短い時だけのことだった。壁の薄いアパートは隣室の情事を漏れ伝わせる期待もあ・・・

4

獏の棲む、その部屋は。

15/01/13 コメント:6件 滝沢朱音

――私は獏。悪い夢を食べるという、獏。

 ここに住んで、もうどれくらいになるだろうか。七室並ぶ古くて小さな集合住宅。私はその中央の部屋に長年居座り続けている。
 巷でここが「出世ハイツ」と呼ばれているのは、実は私のおかげであることを誰も知りはしない。このハイツを出て行く者はね、みんな誇らしげな顔をしてるのさ。

 ベストセラーを連発し続けているAっていう作家、知って・・・

2

青い芝生

15/01/12 コメント:4件 四島トイ

 学級会は通夜のようにしめやかに執り行われた。
 発言はひとつもなく黒板を打つ白墨の音すらしない。教壇に立つ学級委員長の中里君が眼鏡の弦に触れる。
「……じゃあ文化祭はポスター展示ということで」
 他に意見ありますか、と俯き加減に問いかける彼の声に応じる者もいない。
 不意に笑声がドッと響く。
 クラスメイトは誰も顔を上げない。
 快活な太い声がする。乗ずるよう・・・

0

隣室の音

15/01/12 コメント:0件 堀田実

 壁にしっかりと耳をあて、隣室の声を聞こうとしたのは何も私がそのような趣味を持っているからではない。身前としては清廉潔白であり、新卒で現在の商社に勤めてからは今に至る20年間一切欠勤することもなく、真面目に仕事をこなし、そして来年には常務になることさえ保障されている地位にいる。部下からの信頼も厚く、敬意を持って「さん」をつけて呼ばれ、相談やあるいは愚痴を聞く役目さえ果たしている。
 そんな私・・・

8

光石七の自己満足的隣室奇譚

15/01/12 コメント:14件 光石七

 どうも、光石七です。テーマが「隣人」ということで、初めて一人暮らしをしたアパートでの体験をお話しします。
 今から十ウン年前、入試直後に雪道で滑って転ぶという不吉な出来事を乗り越え、私は大学に合格しました。私の故郷、滅多に雪降らないんですよね。ちらっと降っただけで大はしゃぎ、積もれば一大イベントで。あの時は試験が終わった解放感もあって余計に雪に浮かれて……って、これ関係ないか。
 で・・・

1

いくら暗くとも、音は聞こえる

15/01/12 コメント:0件 alone

音大には才能が溢れていた。寝る間を惜しみ、食事もせず、練習に没頭しても、上には上が必ずいた。
僕の評価は常に、二流。先生の言葉は、否定、否定、否定。
ボウイングがめちゃくちゃ。ポジショニングが悪い。曲の解釈がなってない。そして――才能がない。
いくら練習しても、評価は変わらなかった。才能がない、その判だけを押され続けた。
周りの人間すべてが敵に見えた。嘲り、蔑み、卑しみ……・・・

15

【講義】百モノガタリ

15/01/11 コメント:10件 石蕗亮

 ガラガラガラ
講義室の扉が開いて夢師が入ってきた。
「みなさん席に着いてください。今日の受講者は読み手の皆様です。
本日は百物語について説明したいと思います。」
夢師はそう言うと黒板に百物語と書き込んだ。

<百物語>
「まず、百物語については諸説ありますが複数の人数で行うため大きな屋敷で行われていました。
行われる部屋は1部屋ではなく、続きの3部・・・

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ラブラブトラブル

15/01/11 コメント:2件 村咲アリミエ

 隣人同士のトラブルは、とても幸せな解決を迎えた。

 ある寒い日の朝、五号室と六号室の住人から、大家に連絡が入った。
「隣の人がストーカーなんです!」
 警察に連絡をした大家の判断は、賢明だった。警察が来るから、と言われた二人は、それまでの憤りっぷりが嘘のようにおとなしくなった。
 やってきたのは若い警察官だった。大家の部屋の居間で座り込む男性と女性の目の前に、正座・・・

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隣のトイレのギリザギ

15/01/11 コメント:8件 クナリ

便所飯、をご存知だろうか。
クラスに友達もいなければ居場所もない孤独な奴が、誰の視線にも犯されず、誰とも何の影響も与え合わないで済む空間としてトイレを選び、その個室にこもってゆっくりと昼食を摂ることを言う。
僕は中学二年生にして既に、便所飯のプロだった。
隣でどんな音が響こうが、どんな匂いがしようが、全くたじろぐこともなくおいしく昼食を摂ることができる。
とにかく、友達がい・・・

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逢瀬の宿にて

15/01/11 コメント:12件 草愛やし美

 鄙びた山間にあるその宿で、男と女は互いに隣室の様子を窺っていた。二階の一番奥の部屋に滞在していたのは女、手前の部屋に男が入ったのは女のすぐあとだった。
 観光地から離れ老朽化した宿だが、経営が順調そうなのはこの宿が逢引宿として成り立っていたからだ。都会の煩わしさをから逃れ、誰にも知られない逢瀬を楽しめる宿。宿の一室で、道ならぬ恋に悶える男女がしのび逢う。宿の女将は客の事情を承知しているから・・・

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エッセイする人の隣室をテーマとした呟き R14指定

15/01/11 コメント:9件 黒糖ロール

 「エッセイする」という日本語は正しくないのだろう。
 ただ、エッセイストではない私が、エッセイとは決して呼べない、それでいてエッセイを模した文章を書くことは、エッセイを運動ととらえた「エッセイする」という表現がぴたりと合う気もする。したがって、題名とさせていただいた。ご承知の上、読み進めていただきたい。
 読み進めていただけない?
 納得のいかない方は、目を閉じて、「エッセイす・・・

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白色アイデンティティー

15/01/10 コメント:7件 霜月秋旻

「あなたの好きな色は何色ですか?」

 バイト帰りに道を歩いていると、見知らぬ女性に声をかけられた。いきなりの質問に、私は狼狽えて返答できずにいた。私をじぃっと見つめる彼女の瞳は引き込まれそうになるくらい、美しく輝いている。まるで私の心の中を見透かされているかのようだった。
 彼女は私の返答を待たず、クスクス笑いながら去っていった。

 好きな色?私は何色が好きなのか・・・

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架空隣人

15/01/10 コメント:6件 そらの珊瑚

 まだ夕方五時を少し回っただけなのに、すでに闇というものが辺りを飲み込んでいた。
 冬の夜というものは圧倒的に早い。

 小高い丘の上に、オレンジ色の部屋明かりがまるで何かの目印のように浮かんでいる。そこは静雄の住むアパートの一室だった。

 一日の労働を終えて、疲れた体で家路をたどれば、それはともし火のようだった。今日も迷わずに、帰るべきところへ帰りつくための、愛す・・・

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独りで迎える聖夜は酷く寂しいものなのです。

15/01/10 コメント:0件 FRIDAY

 酷く悲しく寂しいもの。独りカラオケ、独り遊園地、独り初詣で…ちなみにこれら全て経験済みである。それも一度や二度ではない。むしろ最後に誰かと行ったのいつだっけ? てな具合である。
 そして今現在、もう何度目か知れない独りで迎えるクリスマス・イヴ。
 これでいいのか!? 若さ漲るこの歳でこんな寂しくていいのか!? 断じて否!!
 とか悶々と作っていたら大量の鍋おでんが出来上がってし・・・

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ムケる

15/01/09 コメント:0件 坂井K

 一時間目の後の休み時間。

「隣のクラスの遠藤な、どうやらもうすぐムケるらしいぞ」「遠藤って、遠藤奈津子のこと?」

「当たり前だろ。二組に遠藤は一人だけだろ。知ってるだろ?」「もう、みんな知ってるの?」

「まだ芳樹と俺だけだ」「遠藤自身は気付いてるの?」

「まだみたいだぜ。自分では見えないうなじの辺りらしいからな」「芳くんは何で気付けたの?」・・・

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隣人

15/01/09 コメント:0件 橘たんぼ

 ゴソリ、ゴソリ。隣室の物音に耳を澄ます。奴は今日もけだるそうに動く。ガタン、ガタン。こっち側の奴は無駄に騒々しい音を立てる。ガラスの砕ける音が聞こえることもある。パリン、てさ。
 俺は物音を立てない。静かに、じっと座っている。朝飯の時間にはまだ早い。いつも決まった時間に採る。カップヤキソバ。どうも最近、様子がおかしい。大家の奴が家賃を取り立てに来ない。毎月一度、部屋の隅に積んである札の山か・・・

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新居

15/01/09 コメント:0件 あこ

白いクマ2体にそれぞれ蝶ネクタイとベールをつけながら、顔がほころぶのを止められずにいる。もちろんこの部屋には自分しかいないので、どんな顔をしていようが問題はない。
式を来月に控え、両家の挨拶も問題なく、新居は新築マンションを購入してあるし、新婚旅行もイタリアで友人から羨ましがられてばかりだ。明日は新居へ家具が届く。なにもかもが華やかな毎日だ。


「結婚の何がいいの・・・

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百物語

15/01/08 コメント:7件 石蕗亮

 私は魔法使いの弟子である。
正月も過ぎた冬休みのある日のこと。
私は師匠にある指南をお願いした。
「あのぅ、師匠。教えて欲しいことがあるんですが。」
「なんです?」
「季節外れではあるんですが、今度友達と百物語をすることになりまして。」
「それはまた古風な遊びですなぁ。」
師匠は懐かしむような眼で虚空を見上げた。
「それでですね、百物語のやり方を教・・・

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夜の太陽

15/01/08 コメント:2件 ゆい城 美雲

私のアパートの右隣の部屋には、モグラが住んでいる。名前はモグラ。名字がモなのか、モグなのか、それともモグラに名字と名前の区別はないのか、気になっているが聞いたことがない。
私はこのモグラと、なかなか良い付き合いをしていると思う。彼は目が弱いから、日中は部屋から出られないらしいので、食事の買い出しにも行けないのだ。だから、私は彼のぶんも、スーパーで買ってきて、更にご飯を作ってやる。モグラはなん・・・

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人面蜂(じんめんばち)

15/01/08 コメント:8件 鮎風 遊

 駿(すぐる)は長い一日の業務を終え、オフィスを出た。すでに12時半、今から走れば終電に間に合う。しかし、そのエネルギーは残っていない。
「今夜はホテルに泊まるから」 妻の夏希に連絡を入れた。
 こんなことはよくあること、夏希は「あら、そうなの」と返し、「明日は帰ってきてよ、由佳の学校のことで相談したいから」と必要時のみの出番を要請する。
 駿には二人の娘がいる。長女は来年中学、・・・

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隣の引っ越し

15/01/08 コメント:0件 アシタバ

わたしの住むアパートの前にトラックが止まった。
窓から見なくても部屋に入ってくる音だけで大体わかる。
そのまま耳を澄ませていると、誰かが階段をのぼってくる足音がした。
隣の部屋から聞きなれたチャイムの音が鳴り、ドアの開く音と先輩の話声が聞こえてきた。
どうやら予定通り引っ越しの業者が来たようだ。

今日、先輩がこのアパートを出ていく。
大学を・・・

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隣室

15/01/08 コメント:0件 橘たんぼ

 僕は懸命に槌を振るった。一振り一振り、渾身の力を込めて壁に打ち付ける。濛々と立ち込める粉塵に僕はせき込む。汗が噴き出してくる。やめない。やめてなるものか。隣室に、いるのは誰だ。そこに誰がいる。腕が痛い。腰が痛い。作業用の手袋を引っ張り出して手にはめる。次の一振りを、打つ。決して体格は良くない。もう幾振り目か。ゼイゼイと息をつく。苦しい。
 いつからだろうか。こんなに部屋の壁という壁が僕を圧・・・

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ビデオテープ

15/01/07 コメント:2件 希咲 海

 あれは私が20歳になったばかりの事でした――。

 社会人になり古いアパートでしたが、一人暮らしを始め、毎晩のように友人達と部屋呑みをして騒いでいたんです。

 今思えば、若さ故なのかもしれませんが、度が過ぎていたのは明白でこれほど後悔したことはありません。

 あの日もいつものように酔っ払ってバカ騒ぎしていました。

「あれ?酒がもうねぇな。買い・・・

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幸福荘奇譚

15/01/07 コメント:7件 泡沫恋歌

『隣に居ます。一度訪ねてください』

 俺の部屋のドアポストにそんなメモが挟まれていた。
 白い便箋に黒いマジックで丁寧に書いてあった。一度訪ねて……って、ずいぶん押し付けがましいと思った。半年前に引っ越ししてきたが近所とは付き合いがない、たしか隣室は空部屋のはずだ。
 俺の住むアパートは駅から徒歩40分、築30年以上、日当たり悪く、壁はシミだらけ、擦れ切れた畳、1K四帖半・・・

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無情な隣室

15/01/06 コメント:1件 地ー3

 隣室。
 読んで字の如くとなりの部屋。部屋の隣に位置する部屋。THEお隣さん。
 私が住む安アパートの自室、その両隣にも部屋がある。
 そして、安アパートに住んでいれば壁が薄くてプライバシーもへったくれもないというのはご存じだと思う。両隣のお部屋の会話どころか、独り言さえ聞こえる。
 例えば、右隣。
「指名手配から逃れて一年。このまま逃げ切れればいいんだがな」

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壁越し恋模様

15/01/04 コメント:5件 橘瞬華

「あの、」
 今日こそは言おう。貴方が夜遅くにギターを奏でるのが迷惑なんですって。そう決めて隣室のインターホンを押したはずなのに、出てきた彼に咄嗟に私が放った言葉は思っていたのとは全く違うものだった。
「その曲、好きなんですか?」
 寝癖でボサボサになった頭、ダルダルになったロングTシャツ。片々のサンダルに足を突っ掛け気だるげな表情で出てきた隣人が
「好き」なんてはにかむも・・・

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ひみつのしんごう

15/01/04 コメント:2件 とおや

「ピンポ〜ン」

朝方、玄関のチャイムが部屋に鳴り響いた。
インターホンのカメラを覗くと、そこにはスーツを着た一人の中年男性が立っていた。
見覚えのない男なので、放っておこう。
気にせずベッドで寝ようとすると、男はしつこくチャイムを鳴らしてきた。
どうやら部屋にいるのに気づいているようだ。

仕方なくインターホン越しに対応する事にした。

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静かな寝室

15/01/04 コメント:7件 霜月秋旻

  私は、ママについていくか、パパについていくか迷っていた。

  両親の間にすれ違いが生じていることは、薄々気づいていた。

  私の部屋の隣には、両親の寝室がある。前までは夜になると、両親の話し声が隣から聞こえてきてて、うるさくて眠れなかった。でも最近は、ドアやカーテンを開け閉めする音だけが虚しく響くだけ。

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あいうえおの館 ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

15/01/03 コメント:6件 鮎風 遊

 梅の花がちらほらと咲き始めた。時節は春間近、気持ちが少々華やぐ。それは犬とて同じこと。鎖から解き放たれた柴犬が、以前から余程気になる物があったのだろう、『あいうえおの館』と呼ばれる小さなアパートの、裏手にある雑木林に一目散に駆けて行った。
 しばらくして、犬はドヤ顔で、骨一本銜えて戻って来た。鶏にしては太過ぎる。飼い主はびっくりし、交番へと届けた。

『お手柄ワンちゃん、好物の・・・

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タカハシさん

15/01/03 コメント:0件 堀 宇智

 気づけば時計の針は14時を指していた。日曜日もあと数時間で終わってしまう。
 もうパソコンの画面は見たくない。なんでおれはこの仕事を選んだのだろう。その自問自答を繰り返しながら築30年の賃貸アパートの天井をぼんやりと見つめていた。
 仕事が嫌で嫌で仕方がなかった。明日からまた、朝から晩までパソコンに向かってプログラムをつくらなければならない。3年前、就職活動をしていた時期に思い描いて・・・

0

つぐない

14/12/28 コメント:3件 笹峰霧子

 俺の寝室の隣の部屋をクローゼットにすると先に言ったのは俺だった。
 妻の部屋をクローゼットの向こう側にしたのは、夜なべをするミシンの音が煩くて眠りを妨げるからという理由だけのことだ。
 俺は今妻のことを思うと実に可哀そうなことをしたと悔やむ気持が少しはある。
 
 その夜俺は別の女とスマホで話していた。
 その女というのは俺にとってかけがえのない大事な存在で、その彼・・・

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めそめそ

14/12/20 コメント:1件 三条杏樹

また泣いてる。
アパートの隣の部屋の住人は、夜中になるといつも泣き出す。壁の薄いここではすすり泣きですら丸聞こえだ。
しかも毎晩。
いい加減にしてくれないと、こっちの気が滅入りそうだ。泣き声から察するに若い女性のようだが、毎日飽きもせず何がそんなに悲しいのか、とにかくここ半年ほど、欠かさず毎晩泣いているのだ。

こんなストレス社会だ。泣きたい気持ちも分かる。でも、隣人・・・

1

バカ兄貴

14/12/19 コメント:2件 坂井K

 私の隣の部屋にいるのは、アホボケクソカスバカ兄貴。二十代も半ばになるのに、引き籠っている駄目なヤツ。高二の夏から引き籠り、今年ですでに七年目。兄さん兄貴お兄ちゃん――そう呼ぶ気などしないから、私はいつも呼び捨てだ。

――昔々あるところに、一人の少年がおりました。元々は臆病者だった彼ですが、有りったけの勇気を出して、村を荒らし回る盗賊を、知恵を使って捕らえます。しかし、優しい彼は、盗・・・

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輪廻

14/12/18 コメント:1件 かめかめ

 怒声。
 悲鳴。
 割れる音。
 赤ん坊の叫び声。

 今夜も壁の向こうから聞こえてくる。
 俺は壁に背を向け、眠りにつく。

 その人はいつも扉の前に立っている。
 まだ小さな赤ん坊を抱いて、その瞳には何も映っていないかのように。
 俺は無言で通り過ぎる。会社へ行くとき、家へ帰るとき、そこに何もないようなそぶりで、通り過ぎる。
・・・

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隣でよかった

14/12/17 コメント:1件 五助

 出張先のホテルでの出来事である。
 部屋で、明日の会議に使う資料の見直しをしていた。いくつか修正を行ない、そろそろ休もうかと、伸びをしたとき、壁に三角形の白いものが出てていることに気がついた。
 はがれた壁紙だろうか。
 主張先から近いという理由だけで選んだビジネスホテルだ。外観も内装もどこか薄汚れている。劣化したのか湿度の所為か、白い壁紙が一部めくれたのだろう。
 それ・・・

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どうぶつえん

14/12/17 コメント:2件 こぐまじゅんこ

 どうぶつえんのオリの中。
 ここは、さるくんの部屋です。
 さるくんの部屋は広くて、木があり、仲間もいっぱいいます。
 今は、冬なので、さむくてさむくて、さるくんは、みんなとくっついてじっとしています。
 そのようすを、オリの外の人間たちは、おもしろそうにみています。
「おいおい、さるがくっついて、あっためあってるぞ! かわいいなぁ。」

 さるくんは、・・・

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フライ級を制するこの拳

14/12/16 コメント:2件 ポテトチップス

体重計に乗った。55.4キログラムだった。相模力也は体重計の針を見つめたままため息を吐いた。
合田ボクシングジム会長の合田守が体重計を後ろから覗きこんで言った。
「あと3.4キロの減量か」
「そうっすね」
「計量日まであと8日だ。そろそろ地獄部屋に行くか?」
「明日からにしたいんです。今日はちょっと、バイトがどうしても休めないんです」
「まあ、いいけど。でも明日・・・

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