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  2. 第六十二回コンテスト 【 未来 】

第六十二回コンテスト 【 未来 】

今回のテーマは【未来】です。

◆本コンテストは(株)未来総研主催の「未来フォーラム交流会」とのタイアップ企画となります。なお、選考&選評は通常通り時空モノガタリ事務局が行います。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2014/09/08

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

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若尾裕之氏 略歴

株式会社未来総合研究所代表取締役社長、未来デザインコンサルタント、立教大学経営学部兼任講師。1961年生まれ。立教大学経済学部卒業後、日産自動車などの企業に勤務。日産自動車宣伝部時代は、現・大リーガーのイチロー選手を初めてテレビCMに起用した「イチロ・ニッサンキャンペーン」など、多くのヒットCMを担当。現在、未来デザインコンサルタントとして、人生の最期をイメージした幸せな行き方を提案。ライフデザインにおける結婚の重要性を伝えている。恋愛・結婚について造詣が深く、人と人との出会いのコミュニティ作りのため、多くの交流会、パーティー、セミナーなどのイベントもプロデュースしている。『47歳からのエンディングデザイン』(角川フォレスタ)など著書多数。コメンテーターとしてのマスコミ出演も多数。
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ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2014/07/14〜2014/08/11
投稿数 49 件
賞金 未来総研賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

4

マングローブの森

14/08/08 コメント:8件 山中

 バイクを走らせると砂煙が空高く舞い上がった。畦道のすぐ脇には海へと注ぐ河口が広がる。どこまでも続く荒れた大地に、茶色く濁った水と乾いた太陽。ベトナムの陽射しは容赦がない。昼時には観光客でなくても根をあげそうになる。こんな日はハンモックに揺られながら太陽をやり過ごすに限る。
 そんなことを考えながらしばらく走り続けていると、遠方に人の姿を見つけた。老人のようだ。湿地帯に足を踏み入れ、腰をかが・・・

4

未来巡りは山手線外回りで

14/08/04 コメント:8件 鮎風 遊

 耕介は家業を継いで欲しいという父の願いを振り切り、10年前都会で働き始めた。しかし、現実はそう甘いものではなかった。それでも朝から晩までこま鼠のように頑張ってきた。その原動力は父に対する男の意地だったのかも知れない。
 そして最近のことだ、母が電話で、父が病に伏せたという。さらに、そろそろ初孫の顔を見せてくれないかと漏らした。
 今の暮らしでは、結婚なんてほど遠い。しかし、母の言葉は・・・

10

【ルメール・フュテュール】朝顔は永遠に咲かない

14/08/01 コメント:15件 そらの珊瑚

 私は幸せだった。そしてそれが明日も明後日も、ずっと先の未来まで続くのだと思っていた。あの日までは。
 
 優しい夫と八歳の息子。去年購入したばかりの東京郊外の4LDKの一戸建て。庭には息子のひなたが植えた朝顔の苗。初めての蕾がついている。クーラーボックスの中には肉と野菜、焼きそば麺。ノンアルコールビールとジュース。小学校が夏休みに入ったばかりの日曜日。川遊びをしたあとバーベキューの予・・・

3

まるくて透明で、つるんとした

14/07/22 コメント:5件 suggino

 いま女と住んでるんだけど、と鉄男は言った。

 女、未来から来たんだ。銀色のぴたぴたしたスーツを着て、何ていうか、こう、まるくて透明でつるんとしたヘルメットみたいなの、被ってた。
 循環バスの運転手は、退屈だ。再就職にはおすすめしない。夕方帰宅ラッシュを過ぎると一気に客は減り、三、四時間で乗客なしというのもざらにある。とはいえ途中で帰る訳にもいかないし、一日中同じルートを延々廻・・・

最終選考作品

6

箱の中の温もり

14/08/11 コメント:12件 タック

老いた目にも若々しく青々と映る庭の風景がある。
縁側にそよぐ初夏の微風がほおをなで、体温を拡散させる心地よい環境がある。
背後から接近する気配に振り向けば、息子の嫁がボトルを手に立っていた。
その腹は膨らみ、二人目の子供の間近な誕生を生命感に溢れる姿で伝えていた。

籐椅子に預けていた背中を起き上がらせ、グラスに注がれる麦茶に礼を言う。
笑顔で返答した嫁は茶の間・・・

1

夕餉の心配

14/08/10 コメント:1件 五助

 物事を先回りして考えている人がいますが、あまり先のことを、考えてはいけません。
 鰻重をいただきましてね。関東風の背開き、絶滅危惧種なんて言われてますが、鰻は江戸前、昔は江戸の堀でもよく取れたみたいですよ。蒸してタレを付けて焼いて、ご飯にのせて、蓋を開けた瞬間、鰻の香ばしいのとタレの甘いのがね、そいつをね。お酒と一緒にいただいたわけですよ。ちゅーと、ついさっき、楽屋でね、お昼にね、いただい・・・

3

もうなんか石油王とかと結婚したい

14/08/09 コメント:3件 

お昼休みの終わり頃、お弁当を食べて歯を磨いてデスクに戻った頃を見計らって気弱そうな若いのと化粧の濃いおばさんとふたり組でやってくる。
控えめな笑顔で控えめな口調で、強引にパンフレットを渡してくる。
個人年金に加入しませんか。定年の時にはこれだけ増えて戻ってきますよ。定期預金よりこっちのほうが断然お得です。なんと、住民税が年末調整でちょっとだけ返ってくるんです。すごいでしょう。
は・・・

3

娘の絵

14/08/09 コメント:5件 遥原永司

 小学校の授業参観にきたシングルマザーのアキは、教室外の壁の前でしばしあっけにとられていた。
 娘の絵が右上の最も目立つところに貼ってあり、しかもそこには堂々「大賞」と書かれた金色のリボンまで付いている。
「サトミちゃんの絵、三年年の学年コンクールで大賞をとったんですよ」
 横から、担任である若い男性教員がうれしそうに声をかけてきた。
 それは『未来』という課題によって描か・・・

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あなたの【 未来 】占います

14/08/02 コメント:8件 泡沫恋歌

『あなたの【 未来 】占います』
 人通りの少ない路地の奥で、こんな看板を書いた占い師がいた。
 私に未来なんかあるのだろうか? 十年近く付き合っていた男に振られた。
 理由は来月結婚するから……気づかなかったけど、二股かけられていたみたいで相手の女性の方が若いから、そっちと婚約したのだ。――ああ、私の存在って何だったの?
 私、今年で三十二だよ。新しい彼氏を見つけるのも難・・・

3

断髪式。さよならなんだ。ひそやかに。

14/07/23 コメント:7件 滝沢朱音

――違う。
――手が覚えているの。

「まるで別の人に抱かれてるみたい」
素直にそう囁いたら、男は苦笑した。
「言うかな、そういうこと」
「だって」
両手を伸ばし、彼の髪に触れる。短く苅られてしまったその毛は、あたしの手のひらでちくちくと嫌な感じに主張する。
「何。違う奴とやってるようで、興奮するって?」
「……」
男の長い髪を下から掻き・・・

3

隠れみの

14/07/14 コメント:8件 W・アーム・スープレックス

 さっき店主が打ったばかりの蕎麦を食べながら、平山はいった。
「タイムマシンなんて、できるわけないだろ」
 すると、テーブルの向こう側から、立川が、
「論理的には、必ずしも、不可能じゃない」
「そりゃ、論理でいけば、ブラックホールの穴の底まで楽々、見渡すことだってできるさ」
「平山。僕たちが今空にみるあの星は、ずいぶん過去に光ったものなんだぜ」
「それとタイムマ・・・

投稿済みの記事一覧

9

神の恩赦

14/08/11 コメント:10件 草愛やし美

「ゼウス様、早くお決めになっていただかないと、間に合わなくなってしまいます。いろいろと手配に時間がかかりますので……」
「アダム、そうか、恩赦を決めなければのぉ」
 神ゼウスは、娘ミクラの婚礼の恩赦を考えた。ここ神様界では祝い事があると、全能の神ゼウス様が、下界の人間達に恩赦と称して何か祝儀を与えることになっている。それは、紀元前からの慣わしとして、もう幾度となく実施されているのだが、・・・

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チェリー!

14/08/11 コメント:10件 泡沫恋歌

 チェリー! チェリー!
 君と出会えて、僕はとても幸せだった。

 最愛のチェリー、かけがいのない家族――それは君なんだ。

   *

 22世紀初頭、『オタクリスト』と呼ばれる男性たちは、二次元のアニメキャラを愛することから始まって、自分好みにカスタマイズしたアンドロイドと一緒に暮らすようになった。
 合弁会社セガニック(セガ+パナソニック+ヤ・・・

1

天使彼女

14/08/10 コメント:0件 ゆえ

「ねぇ、このソファー可愛くない?」
店頭に飾ってあるソファーを見るなり、美由紀は可愛いソファーに腰をかけた。
ソファーは真っ白で、触るとふわふわした感触がしそうな素材だった。
明の目線が【座らないで下さい】と記載されているPOPにくぎ付けになる。

「可愛いね。よく似合うよ。でも、そこには・・・」
「あたし、一人暮らししたらこういうソファーとか、可愛い家具を揃え・・・

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ひとりよがりな傷、描けぬ明日

14/08/10 コメント:6件 光石七

 妹が無事に第一子を出産したとの知らせに私は安堵した。
(これで死ねる……)
いい加減この世から消えたかった。決意を固めつつあったところに妹がおめでた婚となり、ショックで流産されても嫌だと実行を延期していたのだ。
(2か月後、だな)
出産後しばらくは体が大変だろう。妹が赤ちゃんとの暮らしに慣れて落ち着いた頃がいい。私は密かに自らのXデーを定めた。

 鹿児島の実・・・

1

仕組まれた未来

14/08/10 コメント:4件 yoshiki

 シグマ博士は長年の研究の末、ついにタイムマシンを完成させた。というより、正確に言えば時空連鎖帯の発見こそが重大で、そのループする管丈の時間軸を素粒子と化して自由に移動できる乗り物は意外に簡単に出来上がった。
 この偉大なる発明が後世にどれほどの影響を与えるか計り知れない。いや、もうこの時点で運命の変更も可能なのだろう。少なくとも博士はこう考えていた。シグマ博士はマシンの研究で世間に知られて・・・

1

No.373320より 誰か見つけたら読んでください

14/08/10 コメント:2件 村咲アリミエ

 マスターは信じなかったけど、僕は信じているから、今僕はどきどきしているよ。
 まずは自己紹介をするね。僕は南光央。魔法陣の真ん中で空を眺めるのが好き。友達は美作冬夜。今日もドラゴンに乗っているよ。
 マスターの話もしなきゃね。マスターはたくさんいるけど、僕は昨日三百年ぶりにマスターに会ったよ。さよならの時依頼だ。二人で魔法を身体に流してた時の事さ。扉が開いたと思ったら、マスターが現れ・・・

6

月下のレッドアイ

14/08/10 コメント:9件 そらの珊瑚

 目の前の男によって、女の未来は選ばれようとしている。
 思えば女が捕虜の身となる前、小さな王国で姫と呼ばれていた頃、――それはつい三日前の事だが、とても遠い過去のようだと女は思った。不幸というものから逃れたいという心の作用なのだろうか。あの頃、女の未来はまるで晴天の空のように、みじんの曇りもなく明日へと約束されていた気がしたのが嘘のよう。
 肥沃な大地と清らかなアルプスの雪解け水。初・・・

4

70億の白い部屋

14/08/10 コメント:6件 ナポレオン

気が付くと男は真っ白な部屋に立っていた。

白い床に白い壁、白い天井。電灯のような物は見当たらないが、部屋全体が眩しいほどに真っ白だった。そしてなぜか部屋の中央を横切るように白い骨組みのベルトコンベアが二本あった。
男が後ろを振り返ると、壁の一部が白い扉になっていた。男はこの扉からこの部屋に入ったようだ。しかし、男にはこの部屋に入る前の記憶が何一つなかった。何一つ、自分の名前さえ・・・

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未来のために

14/08/10 コメント:0件 たつみ

カチャッ。通話は途切れた。
電話で突然、僕の夢の話しを信じて下さい、と高校生の俺が言ったところで、テレビ局の人がまともに取り合ってくれるはずがない。
「やっぱりだめだ」
携帯電話を放り投げ、ベッドに横になった。
「どうするつもり?」
勉強机の椅子に腰かけ、電話を聞いていた千夏の声が聞えてくる。
「どうするも何も、信じてもらえないんだ。どうにもできないよ」
・・・

2

14/08/09 コメント:3件 alone

僕はきっと夢を見ているのだろう。

空は真っ赤に染まっていた。「通りゃんせ」がどこからか聞こえてきた。けれど横断歩道は見当たらない。信号も見当たらない。
僕は道の真ん中に立っていた。
道はまっすぐ伸び、他の道と交わっていた。いち、に、さん……五本の道。そこは五叉路だった。
五本の道はどれも直線だった。右に曲がることもなく、左に曲がることもない。ただまっすぐに伸びていた・・・

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REーEARTH

14/08/09 コメント:8件 草愛やし美

「あと数カ月で百億年か……。今度はどんな星になるのだろう、青いこの星は美しく輝いているというのに。前回は赤い星だった、その前は黄色。私としては、この青い星が好きだ。今日まで、懸命に人間なる生き物が生きている姿を見てきただけに、あと数カ月で消滅することは堪らなく辛い。どんな形にしろ、あのお方は何も残さないだろう、ずっとそうだったから。以前の紫星の時、ノアという者に姿を変えられ、再生を引き延ばされたこ・・・

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未来への切符

14/08/08 コメント:0件 天田珠実

地球を掌で転がした。
青い透明の球体は地球と名づけられた物体。
この青い透明の器の中に神によって創造された全てが入っていた。

「私はザイン」神は自らをそう呼んだ。
「ザイン」の傍らには4人の天使がいた。

夫々の天使は「海」と「空」と「地」と「人」と呼ばれていた。

4人は「ザイン」の命により青い透明の器に洪水を引き起こし
絶滅させたば・・・

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規制都市の残響

14/08/06 コメント:2件 広尾

 後に「規制恐慌元年」と呼ばれる2079年には不運な出来事が続いた。2月には幼児誘拐事件の犯人宅から猟奇映画のビデオが発見され、メディアはこれを一斉に報道した。続く3月には、両親を惨殺した男がホラー映画のマニアだと発覚し、同月末には犯罪映画に影響を受けた男が路上でナイフを片手に暴れ回った。評論家たちは口々に映画の影響を公言した。
 表現規制を求める声は絶えず続き、死傷者を出すデモにまで発展し・・・

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未来に布を織る

14/08/05 コメント:10件 草愛やし美

「幸、さちぃ〜」
 誰かが呼んでいる私の名前を。大嫌いな名前、お願い呼ばないで、呟いた私の唇に優しくキスされた。辛かった頃の夢を見ていたようだ。
「私ったら眠ってしまっていたのね」
 目尻に涙が滲んでいるのを感じ、慌てて、あくびが出た振りをしてごまかす。
「どうしたの? ハニー、大丈夫、新婚旅行が強行軍で、疲れさせちゃった?」 
「ううん、大丈夫よ、樹(イツキ)」

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焦げた道

14/08/05 コメント:2件 k.k.


 約束をしました。
 あなたと思い描く、理想の家族の。
 時の流れには、どうしても逆らえませんね。
 ずっと隣にいると信じていた、そんな儚い夢も、しょせんは夢でしかないですもの。
 叶わないからといって、嘆くものではありません。
 「あなたは、空で笑っていますか?」
 焼け落ちた家も。
 黒焦げた家族も。
 私の側にいてくれません。
 ・・・

4

未来のタイムカプセル

14/08/05 コメント:9件 夏日 純希

「明日はタイムカプセルを作りますからね」

僕はタイムカプセルなんてものを知らなかった。
僕は隣に座っていた辰巳君に尋ねた。ちなみに、彼は意地悪だ。
悪役のように笑う彼を見て、僕は聞くんじゃなかったと後悔をする。

「仕方ない。教えてやるよ。タイムカプセルって言うのはな、

“時間を圧縮してカプセル状にし、未来で、呪文により圧縮した時間を再度取り出せ・・・

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ミィと俺の二週間。そして、未来の約束。

14/08/03 コメント:3件 夏日 純希

何も載っていない両手を上下させてみる。ため息。
天秤は楽でいい。計る基準は明確だし、比べる対象も二つっきゃない。

街頭のテレビに目がとまり、俺は立ち止まっていた。
一年前、わけあって二週間だけ一緒に暮らしたアイドルがそこにいた。
今はもう一方通行で眺めることしか許されない。
汗を浮かべながら必死に歌う姿に、あのときに見せた儚さはない。

何かを握り・・・

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とある錬金術師が売る未来

14/08/03 コメント:0件 きまねこ

「この瓶の中に入っているのは未来なのですよ」
親指程度しかない小瓶をこちらに突き出しながら、物憂げな表情で錬金術師の男はそう言った。
歳の頃にして40代前半。
長く伸ばした金髪を後ろで1本に結び、髪の色とよく合った金糸の刺繍が美しいローブを羽織った姿は幻想的ではあるのだが、どうにも私の眼には胡散臭いペテン師にしか映らない。
おそらく、古臭い丸眼鏡の奥にある気だるげな双眸と異・・・

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産休革命

14/08/02 コメント:2件 みや

産休を申請した石井美波に、永井部長は目を白黒させた。

「石井さんは…独身やったなあ?あ、もしかして結婚決まった?できちゃった婚か」
「独身ですが、結婚の予定はないです。あ、妊娠の予定もないです。多分これからも」
美波が平静とそう言うので永井部長は益々目を白黒させた。美波はもう38歳になるので、おそらくこの先も妊娠する事はないだろう。独身であれば尚更。

「産休・・・

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白の珈琲

14/08/01 コメント:8件 夏日 純希

私の未来は白の珈琲。

台所から目玉焼きを焼く音がする。自然と妻が台所に立っている姿が、うつろな夢を上書きする。
いつも自分より先に起きて朝ご飯を用意してくれている。
今日もいつも通りの一日が始まった。

泥沼に半身を沈めたような気分で台所へと向かう。朝はいつだってひどい気分だ。
「あら、おはよう。今日は朝から機嫌が良さそうね」
妻は言った。
・・・

3

ガリレオの望遠鏡を持つ女

14/08/01 コメント:4件 たま

 青い瞳の女だった。

 土の壁を刳り貫いた窓には、暗緑色のペンキを塗りたくった鎧戸があって、部屋のなかは薄暗いままだった。
 暑くないか? と男が言うと、女は小さな扇風機を回した。
 ごめんね、明るいのは嫌なの。

 窓辺のベッドの上で男と女は汗にまみれて埋め合わせをする。鎧戸から漏れたわずかな白熱の光が女の顔に当るたび、右眼だけが宝石のように青く灯るのを男は・・・

0

未来から来ました。

14/07/30 コメント:0件 北村ゆうき

「ぞれにしてもあっづいなぁ〜。」
パタパタとうちわを仰ぎながら、真菜はうなだれていた。
地球温暖化が進んでいて毎年気温が上がっているとか上がっていないとか?
北極の氷が溶けるとか溶けないとか?
未来ってどうなってるのだろう?
本当に人が住めないくらい気温が上がっているのかなぁ〜。

「そんな事は無いですよ。」
えっ!?
今、声が聞こえた?

3

sorrow

14/07/30 コメント:6件 ジョゼ

ジョゼは泣いていた。
悲しくて悲しくて泣いていた。
飼っていた鳥が今朝起きたら死んでいたから。

昨日まで何も変わらなかったのに、いつも通りだったのに、もう二度とこの小鳥と会うことが出来ないなんて。


ジョゼは思い出していた。
そんなふう泣いた12年前の夏のことを。
目の前に横たわる愛犬を見つめながら。
さよならの意を込めて、優しくなで・・・

1

ある日の休日

14/07/29 コメント:1件 山盛りポテト

どこまでも広がる青空、心地よい虫の鳴き声、草むらからはひょっこりと可愛い小動物が顔を覗かせる。
一面に広がった田畑の真ん中には、川が流れており、真夏だというのに涼しい風が吹き付けていた。
「あなた、きてよかったわね」
「ああ、そうだね」
「パパー!向こうで遊んで来ていい?」
「ああ、いっておいで」
「あらあら、あんなにはしゃいで」
俺は休日を利用して、妻と・・・

1

未来予知者の分岐点

14/07/29 コメント:2件 さがみの

「未来が、見えない」
 私は狼狽した。 

 未来予知という能力を使った占い師を私は職業にしており、業界ではそれなりに名が知られているとの自負がある。しかし、いつものように依頼人の未来を視ようとしたところ、特定の月を境に未来が全く視えないことに気がついたのだった。
 その後も何度も未来を覗こうと試みたが、やはり視ることが出来ない。最初は能力が枯れたのかと思って、それこそ先の・・・

5

いつか四つ葉のクローバーが絶えた野原で

14/07/28 コメント:7件 かめかめ

 その人に気付いたのは三日目の晴れた日のことだった。
 僕は一眼レフを抱えて近所の橋の上から川岸を見下ろすことを、ここ最近の日課にしていた。映像学の課題の写真のために。
 初夏の風に揺れる草花。にこやかに散歩する夫婦。決まった時間にランニングする人。すべてがおだやかに、すべてが僕の被写体にぴったりな午後だった。
 草むらにしゃがみこんでいる一人の女性に目が止まった。早春ならば土筆・・・

3

株乗りジョニーと、女神もどき

14/07/26 コメント:6件 鮎風 遊

 ネット内の株式サイト掲示板、私のハンドルネームは――株乗りジョニー。

 正直、私の一日は、起床後夕べのニューヨークの動きを分析するところから始まる。
 午前9時には市場が開き、寄り付きをチェックし、今日のザラバの値動きを予測し、売買する銘柄を決める。この10時までの1時間、これこそ生死を決めるテンバリの時間だ。
 それを乗り越え、前引けまでは少し気が抜ける。私はこの時間・・・

1

変える光

14/07/25 コメント:1件 佐藤 陽佑

(おいおい、こりゃあなんてことだ。)


真夏の夜、とても暑い夜だった。

闇に包まれた夜の公園で、二人の男が睨み合っていた。
双方とも激しく息を切らし、体中から湯気が立つ程の熱気を放っている。

その身体からは尋常ではない量の汗が噴き出し、足がガクガクと震えている。
片方は、顔のあちこちにアザがあり、もう片方は鼻から血を流し、右目の上が腫れ上・・・

1

二十二世紀の「ヒト」

14/07/24 コメント:2件 坂井K

 私が弁当の準備をしていると、上司のマツナガから連絡が入った。メールを開く。「事件だ。早く来い」との文字。返信しつつ息子の顔を見る。「ゴメン。お弁当作れそうにないよ」「いいよ。パン買うから。それより、気を付けて。お母さん」ありがとう、息子。

 俺にとって、妻は最高のパートナーだ。彼女は完璧だ。顔も。スタイルも。性格も。そして、性の相手としても。だから俺は彼女を放したくない、いや、彼女・・・

1

過去、現在、未来

14/07/23 コメント:2件 北村ゆうき



「しずくちゃん、人間って毎日過ごしながら、未来を作っているのだと思う?それとも過去を作っているのだと思う?」
「うーん、未来かなぁ?」
「確かに未来かもしれないね。けれどね、過去を作っているのかもしれない。」
「どうして?」
「1分過ぎると、もうその1分前は過去になっている。1秒過ぎるともう1秒前は過去になっている。何もしなくても時間は経過する。それはもう過・・・

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誰にも語られない明日の話

14/07/22 コメント:2件 FRIDAY

 朝練がある日は、地方に住む私は始発の電車に乗らねばならなかった。
 冬の始発の時間は大抵まだ日が出ていない。凄く寒いし、他に人もいないから駅構内も閑散としている。
 だから私は、部長になって妙に張り切る先輩へ内心で恨み言を並べつついつもひとりで電車を待っているのだけれど。

 今日は珍しく、反対路線側に人がひとり座っていた。
 地方の小さな駅だ。待合のベンチなんて背・・・

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記憶、お売りください。

14/07/21 コメント:3件 三条杏樹

『記憶、お売りください』

そんな売り文句が完全に定着したのは生まれた頃。
悲しみも憎しみも怒りもちょっとした嫌なことも。
忘れてしまえば、感情が起こる前の状態に戻れば、誰もが幸せになるだろう。
この画期的システムはすぐに国民に広まった。
国の総合施設に行けばものの五分で消したい記憶だけを忘れさせてくれる。苦痛は一切なし。
むしろ、記憶を売ればそれが凄惨な・・・

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コーヒーとチョコレートと、未来の話

14/07/20 コメント:2件 橘瞬華

「あなたの思い浮かべる未来とは一体どんなものですか」
 この問いに対して答えた未来が遠ければ遠い程精神年齢が若く、そうでなければ……という尺度になるらしい。そのような問いを投げかけられ、ここでこうしてらしい等と言っている私の答えは残念な程に若々しさからは縁遠いものだった。
「佐山さんもまぁ、えらくコメントしづらい答えを出したもので……」
「放っておいてよ……」
 各々が好き・・・

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きたるべき未来

14/07/19 コメント:5件 かめかめ

 2028年、日本の偉大な発明家・ドクターまかなつによって、人の脳に直接、情報を記憶させることができる装置<すいすい記憶くん>が開発され、

 そのおかげで教育格差がなくなり、すべての試験が廃止された。

 加速する少子化も伴って、小中高校は完全無料化、大学は希望者のみだが低廉で進めるようになった。

 しかし、学習はすべて<すいすい記憶くん>によって行われるた・・・

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最近のみらいよちTVについて

14/07/18 コメント:2件 佳麓

 日曜日 PM五時

 田中彼方が友人宅を訪ねていた。円テーブルの上に紙くずを並べて、一人憤慨している。
「人間は、全ての未来を予測出来た方が幸せになれるんだ」
 知世雷三は、田中が頭から湯気を出している理由を推測できたので、口出しを控えていた。
 ちなみに、先の台詞は田中が知世のアパートで最初に発した言葉である。

 その日のレースは、涙無しには語れない・・・

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楽園のシーツ・チルドレン

14/07/17 コメント:12件 クナリ

大陸の端に、寂れた街があった。
昔の塹壕と川が繋がって水路となっており、縦横に街中を走る為、農地化も難しい。
廃墟同然の家々は公然の子捨て場所となっており、近隣からの孤児が多く住みついていた。
「俺ら、シーツ・チルドレンて言うんだってよ。金無くてシーツを服にしてるから」
キイルリが言うと、シュロが笑った。
共に十五歳。二人でこの街の孤児を束ねている。
「金が欲し・・・

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「なぁ、あんたはこれ持ってるか?」

14/07/15 コメント:2件 佳麓

「ん?……あれ?」
 何かを落っことした気がして、俺は立ち止まった。
 手の中を見ても、ポケットをまさぐっても、見つからない。地面を見渡してもそれらしいものは見当たらない。
 それでも何かを落っことした事は確かなのだ。
 不思議に思いながら歩き出そうとして……ぶつかった。何も無い所にぶつかった。
 透明な壁、そんなイメージ。
 道半ば。この道はまだ先へと続いてい・・・

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光に

14/07/14 コメント:1件 糸白澪子

俺が駆けつけたときには、いや、駆けつけてなんかいない。確かにここに着いたけれども俺はとても駆けつけるなんて出来なかった。そりゃ、大学寮から出て東京駅で新幹線に乗るくらいまでは肩で息をするほど走っていた。でも、いざ故郷の地に二年ぶりに降り立つと、怖くて、怖くて…。
変わり果てたユウコに会う事が、怖くて仕方なかった。
ユウコが事故に遭ったと聞いた。両腕の複雑骨折。意識も無い。目覚めたとして・・・

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