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  2. 第六十一回 時空モノガタリ文学賞【 夜に光る 】

第六十一回 時空モノガタリ文学賞【 夜に光る 】

今回のテーマは【夜に光る】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2014/09/01

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2014/06/30〜2014/07/28
投稿数 56 件
賞金 時空モノガタリ賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

3

不在の証明

14/07/26 コメント:5件 たま

 隣人は今日も不在だった。

 不在の証明を持たない隣人がアパートから消えたのは七月のこと。不在の証明というのは、あなたがこの世に存在しないことを証明しなさい……というもので、役所が定めた名称は「不在に不在の証明」というものだったが、一般には略して、不在の証明と呼ばれていた。
 毎年七月になるとこの証明を持たない住人は街を出てゆくことになるが、不在の証明といってもややこしい話しで・・・

3

夜に光る、瞳の中の。

14/07/14 コメント:3件 橘瞬華

 街灯の少ない道を一人で歩いていた。遮る物のない風景にはちらほらと点在する民家と山、田圃だけが広がっていた。雲が月を隠し、かろうじて畦道が見える程度の薄い月明かりが洩れる。私が立てる足音以外に人の生活音はなく、山の方から僅かに虫の鳴く声が響くのみである。
 親戚であり恩師でもある人の法要で久方ぶりに訪れた田舎。親族の全てを包括する程の部屋を持つ家。古い木造建築特有の静けさ。歩く度に音を立てる・・・

最終選考作品

1

眠りの手前

14/07/28 コメント:2件 四島トイ

 天井に青い光が反射している。
 眠りの底に引き寄せられながら、ぼんやりとその光を眺める。
「……消灯ですよー」
 そっと呟くと、二段ベッドがわずかに揺れた。
「お姉ちゃん起きてたの?」
 室内を照らしていた灯りがふっと消える。衣擦れの音と木製の骨組みが軋むかすかな音が暗闇に溶け込んだ。
「……もしかして、起こしちゃった?」
 おずおずと伺う妹の声に、そん・・・

6

拡散効果は凄かった

14/07/28 コメント:8件 草愛やし美

「ど・ど・どうした研ちゃん、お前の手光ってる!」
「シー! 声がでかい」
「どうして……この間の蛍狩り?」
「う・うん、あの時、何かに呪われたのか、夜になったら光るんだ、どうしよう。将、俺、死んじまうのかな?」
「呪いって、研ちゃん……」
 夜の闇に鮮やかに碧く光る俺の手、蛍の光より、LEDライトのような碧色で綺麗に光っているのだけど、俺には大問題だ。蛍の呪い、あるい・・・

4

パイロットフォルム(警備員)

14/07/27 コメント:7件 黒糖ロール

 町の中央に建つ塔には、夕時から夜にかけて鳥が集まってくる。塔に身を寄せる鳥たちは、優しい光を纏っている。輝く鳥たちが、グラデーションがかった宵闇の空を滑るようにして飛んでくる光景は美しかった。
 同僚たちには鳥たちの姿は全く見えないらしい。幼い頃から、スタヴにしか見えないものがあった。もう、そういったことを気に病むのはやめていた。
 夜のはじまりに溶け出した鐘の音の、薄められた残響が・・・

14

青く光る森の妖精

14/07/24 コメント:16件 草愛やし美

 その森では、今も夜になると仄かな青い光が灯るという……。あれから、何年経ったのだろう。少年はその森で何を見たのだろう?
 自国のみが唯一の民と主張する独裁者バドは、テロやゲリラ戦を仕掛け隣国ナモハに攻め入り支配下に置いた。バドの狙いは、その地に眠るエネルギー資源。その採掘場はナモハの北の果ての森にあった。だが、莫大なエネルギー物質は、人の命を危険にさらすものだった。採掘に従事させられたナモ・・・

8

夜光蟲

14/07/17 コメント:13件 そらの珊瑚

今晩は新月。
 
隣で寝ている夫から、小さな鼾がまるで小動物のあえぎ声のように漏れている。だらしなく熟睡している。それが今夜はいつもにも増してカンに触る。
 
 舅と姑、九歳を筆頭にまだ幼い子どもが五人。貧乏人の子沢山とはよくいったもので、子が産まれるたびに、ただでさえ少ない三度の飯はさらにひもじくなる。
 米はもう食べ尽くし、あとは漁で得た魚と野で摘んだ草のおひ・・・

2

星は映らない

14/06/30 コメント:1件 三条杏樹

頂上に向かわなくては。


悲鳴が聞こえたあとに、塔への攻撃が激化した。下はもはや火の海。階下へ逃げることは不可能だった。
かといって上へ逃げてもそこに待ち受けるものはたかが知れている。それでも階段をのぼった。酸素を欲する体が血を噴き出す。撒かれた毒ガスに侵され始めた。

崩れ落ちる瓦礫が少女を容赦なく叩きつけた。痛みに自分の体を抱きしめる。
轟音の中うず・・・

投稿済みの記事一覧

1

忘却の蛍

14/07/28 コメント:2件 タック

隣に立つ妻の嘆息には、震えすら覚えるようであった。
 

川岸の付近は電灯がなければ満足に先すら見えぬ闇である。
まとわりつく虫の羽音が周囲に満ち、手持ちの電灯を振らせる面倒な情景である。

清廉な川面は緩やかな水流をたたえ、川音は耳朶に違和なく溶け。
涼やかな空気は残熱に火照る体から熱を奪い去り、解放は私に、大口の息を吐かせる。

電灯の明か・・・

1

触れてはいけないモノ

14/07/28 コメント:1件 ゆえ

視界の端にはアスファルト
感覚がなくなりつつあるけど、体が悲鳴を上げているのはわかった。視界が紅に染まる。頭から熱が伝わる。自分の体内に納まっているはずの血液が体から逃げるように出ていくのがわかった。遠くで誰かの悲鳴が聞こえる。目だけをそちらに動かすと何か二つの光が見えた。真赤な視界に広がる、僕を見下ろす人。視界が赤いからかその人の瞳が赤く光っていた。これが、僕の見た最後の景色。

1

届かぬ光へ

14/07/28 コメント:1件 黒川かすみ


 魔法使いが、その老いた指で杖を一ふりした。
 すると、七色の光が【灰かぶり】の名で呼ばれる少女の体を包んだ。
 続いて、ひからびたカボチャと、地面を這っていたトカゲと、そして僕。それぞれに杖の先で触れた。

 事の起こりは数時間前。僕がネズミだったとき、魔法使いの魔法にかかる前。灰かぶりは泣いていた。
「私だって、舞踏会に行きたい。綺麗なネックレスをつけて、・・・

4

決戦の大掃除

14/07/28 コメント:6件 ナポレオン

「ちょっと!タクミくん!真面目に掃除してよね、掃除係でしょ」
まったく女子というのは何故こうも面倒くさいのか。
「はいはい、わかったよ」
タクミくんこと僕は、鬼の形相で迫るシオリちゃんの前に跪き、青いプラスチックの塵取りを差し出す。シオリちゃんが自在箒で埃を入れる。ともすれば騎士と姫君だな、なんて窓の外を見る。日が暮れかけている。僕はため息をつく。

今日は年に一度の・・・

0

夏花火

14/07/28 コメント:0件 skyなblue

熱い……。これは誤字ではない。それくらい暑いという事である。
そうか。夏なんだ。この季節が今年もやってきた。
雨のせいでしばらく来ていなかった屋上へと向かう。十年前と何一つ変わってない屋上だ。
梅雨の季節は雲のせいで太陽が見えない。天に届かないという事実が酷くオレの心を痛めつける。
缶コーヒーの蓋を開ける。十年前は苦くてとても飲めなかったブラックコーヒー。今はこの苦みを感じ・・・

2

人は死んだら星になる

14/07/27 コメント:4件 スレイ

交通事故で亡くなった母のお通夜の帰り道、当時4歳だった妹のユウが私の服の袖を握りながらこんなことを言った。
「ねえ、お母さんはどこに行ったの?」
ユウは「死」というものをまだよく理解出来ていないのだ。私は考えた。どう答えようか。どう答えたら妹が「死」を理解できるのか。どう答えたら幼い妹はショックを受けずに済むだろうか。
それはその頃の小学四年生の私には難し過ぎる質問だった。私は何・・・

1

月の光

14/07/27 コメント:1件 多羅

雨が降っている。


目をつむって、動かない、しゃべらない。
むかし祖父に言われたこの言葉を頭の中で反芻しながら、もう1時間は横になっていたのではないだろうか。
クーラーも扇風機もないこの部屋では、窓から入る風だけが暑さをしのぐ方法だ。
それなのに、今日は激しい雨のせいで窓を開けることができない。
いつまでも終わることのない拍手のように、雨は盛大なリズムで・・・

0

月光

14/07/27 コメント:1件 多羅

雨が降っている。


目をつむって、動かない、しゃべらない。
むかし祖父に言われたこの言葉を頭の中で反芻しながら、もう1時間は横になっていたのではないだろうか。
クーラーも扇風機もないこの部屋では、窓から入る風だけが暑さをしのぐ方法だ。
それなのに、今日は激しい雨のせいで窓を開けることができない。
いつまでも終わることのない拍手のように、雨は盛大なリズムで・・・

7

狐火

14/07/27 コメント:11件 泡沫恋歌

 あれは小学校最後の夏休みだった。
 幼馴染の健太と達彦と僕の三人は裏山にあるお稲荷さんで『肝試し』をすることになった。僕らの育った村はかなり過疎地域で、360度グルッと山と田んぼと畑に囲まれている。家が近所でずっと一緒に育った仲良し三人組だが、達彦が夏休み中に転校することが決まった。
 実は両親が離婚することになったらしい、達彦は母親と共に都会に出て行くので、もう三人では遊べない。転・・・

0

死神と天使 イマージェンシー

14/07/27 コメント:0件 村咲アリミエ

 死神の青年は、この町で一番高い時計塔の上にいた。つい先ほど繰り広げた、ここの管理人との会話を思い出し、眉間にしわを寄せる。
 仕事かと訪ねられ、違うと言うとすぐに「じゃあ青髪の天使ちゃんか」と笑われた。なぜ知ってる、と目をむくと、図星だなと管理人は愉快そうに手を叩いていた。
 ロマンチックだの、とからかわれたことも思い出す。全く、誰が言い触らしたのだ。
 見渡す景色は、薄暗かっ・・・

0

大きな望遠鏡

14/07/27 コメント:0件 yoshiki

「だから、何が見えたというのですか?」
 その質問に博士は黙して答えなかった。
「どうしても世間に成果を発表出来ないとおっしゃるのですか?」
 研究開発局の局長は真剣な顔をして博士に質問した。もう陽が沈み星々が点々と輝きだした頃だ。巨大望遠鏡の設置された研究所は小高い山の頂上付近にあった。空に近く大気の澄んだ場所だ。
「――まあ、そのう、うーん」
 老年の博士がゆっく・・・

7

蛍籠

14/07/27 コメント:9件 光石七

 まもなく暮れ六つという頃。弓月藩江戸屋敷の居室でそよは一通の文に目を通していた。読み終えるとそよは無造作に文を畳み、びりびりと裂いた。
「よろしいのですか? ご実家からでは?」
侍女のたづが遠慮がちに尋ねる。
「構いません。先日の文と同じ事しか書いてありませんから」
そよは答えた。
「これは捨てておきなさい」
「かしこまりました」
たづは破れた文を受け取・・・

1

トモコ

14/07/27 コメント:1件 更地

 ボロアパートの一室で俺は膝を抱えている。時刻的には夜であるらしい。明かりをつけていないから、周りは澱んだ闇に包まれている。息をするのが辛い。空気の中に何かが混ざっていて、それが俺の呼吸を妨げているのかもしれない。俺はさらに深く顔を膝にうずめた。
 トモコが死んだのは何日か前の夕方だった。その日はデートだった。デートとは言っても半分は散歩みたいなもので、俺たちはレジャー施設にも洒落た飲食店に・・・

0

夏夜に光る白き流星

14/07/27 コメント:0件 たつみ

もし、あの馬に出会っていなければ、中央(競馬)の騎手試験を受ける事はなかっただろう。地方(競馬)とはいえトップジョッキーにもなった。所詮地方での話だと下に見られようが、それでもいい。俺はもう41歳なのだからこれで充分、そう思っていた。
だけどアイツの背中に跨ると血が騒いだ。忘れたはずの何かが揺さぶられた。
アイツの走りが問い掛けてくる――それでいいのか。
あのレースが問い掛けくる・・・

1

夫を残して、深夜。

14/07/25 コメント:2件 タック

 お腹に乗った夫の足をどかすと、はずみでいびきが止まる。静けさに硬直を余儀なくされた私はベッドの上でしばらく息を潜めた。…………………。

 少しの間の後、再開されるいびきに胸を撫で下ろし、私は、今日もそっと寝室を出る。ドアを音もなく閉め、暗い廊下を歩む、その瞬間は背徳感に似た思いが胸をしめつける、私だけの密やかな瞬間であり、また、密やかな行動でもあった。

 リビングに電・・・

1

ひかるものたち

14/07/25 コメント:2件 小李ちさと

図書館が6時にしまって、それからの3時間が勝負だ。
図書館の裏をすこしのぼったところ、高台にある人のいない公園が ぼくの居場所。今みたいな冬にはずいぶんさむいところだけれど、一度人の多いところにいておまわりさんに見つかったことがある。家に連れ帰られて、そのあと親からこっぴどくなぐられた。あんな思いをするくらいなら、それまで帰って来るなと言われた9時まで、こうしてこごえていたほうがいい。

7

父さんはホタル族

14/07/19 コメント:7件 そらの珊瑚

『夫婦って主導権を握ったほうが勝ち! っていう気ィせん? 
 うちの両親見てるとさ、めっさ、母さん強いしコワいし。 ̄◇ ̄;
 父さんもあたしもさからえんもん。えーリコんちも?』

「唯、いい加減勉強しなっ」

『あっ母さんが風呂から帰還。じゃねっまた明日 ´ ▽ ` ノ』

 私はスマートフォンのラインを抜けた。午後九時以降スマートフォン禁止令は私の・・・

2

宵山奇譚

14/07/19 コメント:7件 suggino


 ストーンヘンジという遺跡がイギリスにはあるが、それが作られた当時、原始時代の人間たちはイギリス全土から、遠いところなら数ヶ月間歩き続け、その場所に集結したという。まだ生きていた頃そんな番組をテレビで観、徒歩で? と驚いた記憶がある。そんなことを七月が来る度思いだす。祭りなどのために毎年毎年酔狂な。と。
 死んでから千年が経った。千年。今では覚えていることいえばそんな埒のないことばか・・・

1

祖母ちゃんは、おそらく鳥の夢を見た

14/07/19 コメント:0件 坂井K

 この僕の生まれる十数年も前、祖母ちゃんの家に鳥が来た。種類はボウシインコと言って、緑の綺麗な羽を持つ、かなり大きな鳥だった。祖父ちゃんが外国航路の船員で、ブラジル辺りで手に入れて、日本に連れて来たという。

 当時、父さんの妹がまだ小さくて、「鳥さん」という言葉が言えず、「トンちゃんトンちゃん」呼んでいた。――それが正式な名になった。トンちゃんは頭が良くて言葉も喋る。だけど家族の者以・・・

1

夜の世界に光る蝶

14/07/18 コメント:1件 棚丘えりん

「もう嫌なの。優しい顔して寄ってきて、でも風俗嬢だって分かると絶対に大事にはしてくれないの。その癖、やる事だけはしっかりやっていくのよ」
「どうしても偏見はある人が多いからな。世界には、恩恵に預かっていながら、感謝をしないどころか見下す奴が多すぎる。発展途上国しかり、お前しかり、だ」
「ほんとそう!鏡夜だけだよ分かってくれるの。ありがとね」
「皆がお前を分かってくれなくても、俺だ・・・

8

夜に光る三白眼

14/07/18 コメント:11件 泡沫恋歌

まだ、夜が明けきれない真っ暗な街の中。

自転車のペダルを漕いで、自分は朝刊を配るアルバイトをしていた。
――後、三十分もすれば朝日が昇るだろうか? 
なんだか小雨も降ってきて、早く朝刊を配り終えて家へ帰りたい。
真っ暗な街はいいようもなく不気味で、仄暗い路街灯だけが頼りなのだ。

前方から、透明のビニール傘を差した若い男が歩いてくる。

こん・・・

0

『夜に光るもの』

14/07/18 コメント:0件 さがみの

「『夜に光るもの』って、なんだと思う?」
 私は恋人に聞いた。

 ホテル最上階のちょっと高級なラウンジ。時刻はディナー後の駆け引きタイム。
 ドレスアップした自分の姿と外の世界を見下ろせる巨大な窓を見ながら彼女は少し考え、私の方へ顔を向けて微笑んだ。
「月、かな」
「そうだね、月は夜にこそ最も存在を主張し、最も価値が出る。昼間に見える月は風情が無いというか、面・・・

0

ほたる 

14/07/17 コメント:0件 佳麓

 昔、私は蛍と約束をした。
『毎夜歌って?そしたら皆で光るから』
 星の煌めきと木々の吐息、蛍達のリズムに中てられた幼い私は、何の迷いもなく頷いた。
 深い森を掻き分けて大きな空色の湖に立つと、大勢の蛍達が出迎えてくれる。私の歌に合せて光を放つ。まるで気分は蛍姫。

(天の星を水面に移す 瞬くさざ波 踊る月
  森の呼吸を薄羽で捉え ふわりふわりと弧を描く)

3

『私は夜に光る』

14/07/17 コメント:6件 滝沢朱音

――何を見ているのかな。空?

そのトナカイは四本足で立ち、胸をぐっと反らせて上を見上げている。体は木でできていて、半透明なミルク色の立派な角はずいぶんと重たそうだ。
僕も真似して、のけぞるように上を見た。でもここはただのちっちゃなお店。古ぼけた天井が見えるだけ。
「気に入ったの?」
コクンと僕が頷くと、おばあさんは微笑んだ。
「君にあげるわ」
「えっ、い・・・

0

鉱山生物詐欺、その実態を暴く

14/07/16 コメント:0件 五助

「定年退職をして五年、家のローンも終わってるし、そこそこ暮らせてたんですわ。なんであんな話に引っかかったかなぁ」
(ご家族の方はいらっしゃらないんですか)
「だいぶ前に離婚して独り身ですわぁ」
(相談できる方がいなかったと言うことですね)
「そうなるな」
(どういう経緯で蜘蛛の養殖詐欺に引っかかったんですか)
「チラシが何度か、きとったんです。それは無視してたん・・・

2

夜空に輝く網星、ホシアミグモについて

14/07/16 コメント:2件 五助

 光を発生する生物がいます。海の生物などは発光する生き物が多く、チョウチンアンコウなどは光を使い狩りをします。他にもカウンターイルミネーションといって、自らの影を消すためにおなかを光らせる魚もいます。ヒカリキノコバエという洞窟に住む虫で、光を発する粘液の糸を垂らしそこに止まった虫を補食するものもいます。異性を探す目印にしたり様々な用途で発光をおこないます。生物発光といい、すべて化学合成による発光で・・・

2

夜道

14/07/16 コメント:3件 メラ

 疲れた。今日も。疲れた。なんでこんなに忙しいのだ。マジでブラック企業だよウチ。
 俺はそんなことを考えながらクソ満員の西部新宿線の最終電車に揺られていた。
 サービス残業。クレーム処理。手柄は独り占めにし、ミスは部下のせいにする課長。カットされたボーナス。慢性的な人員不足。そんな会社に誰も入るわけない。
 やっと最寄駅についた。急行の止まらない小さな駅。パラパラと電車から人が吐・・・

0

別の顔

14/07/15 コメント:0件 藍田佳季

 ある昼休み。
 同僚の堀君が福島さんとの雑談中に、昨日ライブハウスで見たヴォーカリストが私に似ていた、と言い出した。

 その話を振られては困る。
けどそれは通じず、福嶋さんに促された堀君が私の席まで来た。
「あのさ、昨日の夜九時頃どこにいた?」
「……私もライブハウスに」
 諦めて答えた。
「本当に? まさか歌ってたってことは……」
「ない・・・

0

夜を歩く

14/07/15 コメント:0件 FRIDAY

 月は半欠けだった。星もあまり見えない。けれども街灯のお陰で暗くはない。
 蒸し暑く、肌には常にうっすらと汗を浮かせている。
 夏の夜だ。
 どこかから、蛙の鳴声が響いている。
 小川沿い。
 人影は二つ。
「――だから、お前は飲み過ぎだって」
 男が、肩を貸してやっている女に呆れた声をかける。対して女は、
「だって、皆が飲め飲めって言うからさあ……・・・

0

ラムネの秘密

14/07/14 コメント:0件 くにさきたすく

 僕は走ってその屋台までたどり着いた。
 氷が浮かぶ冷たい水で満たされた水槽の中には、僕にとっての宝物が沢山並んでいた。汗と共に握りしめていた百円玉を差し出す。店主は宝物に付いた水滴をタオルで拭い、僕に渡した。
 ラムネだ。
 手に入れた宝物を大事に抱え、人通りの少ない脇道へと急いだ。一人きりで楽しみたい。浴衣を振り乱しサンダルをパカパカと鳴らしながら、祭りの喧騒を抜ける。

2

夜に想うは

14/07/13 コメント:2件 きまねこ

「俺の眼はどうやら腐ってしまったらしい」
加藤がふいに夜空を見上げながら呟いた。
「星の光がどうしても思い出せないんだ」
「そんなことを言ったら僕だって耳が壊れてしまったよ。虫の羽音が煩わしいんだ。車のエンジン音は平気だというのに」
東京の街中にあるにもかかわらず、まるで忘れられたかのように存在する小さな公園。
錆び付いた少ない遊具を一望できるペンキの剥げたベンチに腰・・・

2

UFO推進原理

14/07/13 コメント:1件 ぴーち姫

「なんだあの光は?」
 西の夜空にオレンジ色に輝く光体を見つけ翔太は訝った。
「金星だろ」
「いや、さっきまで30度南にあった。それが突然尾を引いて移動したんだ」
「まさかぁ」
「あ〜っほら!また移動したぁ!」

 天文部の観測会で翔太は初めてUFOに遭遇した。

 天野翔太、21歳、大学では物理学を専攻している。
 その夜以来翔太はUF・・・

1

絶えぬ光

14/07/13 コメント:0件 しーぷ

ある処に、一人の男がいた。男は国の端に居を構え、国一番の鍛冶屋として五十余年ほど鉄を打ち続けていた。家族はいない。
王宮へ依頼の品を届けた帰り、浜辺で赤子の声を聞いた。声のする方を見てみれば、産まれて一年と経たないであろう子が、毛布に包まれて泣いていた。
何を思ったのか、男はその赤子を拾い上げ、再び帰路についた。





「じじぃ!」<・・・

2

夜のささや木

14/07/12 コメント:4件 鮎風 遊

「そろそろね」
 福夫がアパート近くの公園で夜空を見上げていると、横のベンチに座る若い女性から囁きが聞こえてきた。

 熱帯夜、どうも寝付きが悪い。気分転換にとベットから抜け出して、ふらりと出掛けてきた。
 天空の天の原には夏の大三角形、ベガ、アルタイ、デネブが輝き、それを貫き、天の川がどっかと横たわる。
 都会から見上げる宇宙は決して煌びやかなものではない。それでも・・・

3

 蛍 火

14/07/12 コメント:5件 かめかめ

 夜の闇はねっとりと、肌にまとわりつくように重い。
 祭り囃子が遠く聞こえる。
 美夜子は明るさに背を向けて走る。
 足元を照らす灯もなく、足の先は闇。月は厚い雲におおわれ地に影を落とさない。美夜子は走る。

 村はずれの六本松。そこから南の山際へ十町。
 御蔵川にかかった橋のたもと。あの人がそこで待っている。
 逸る足を押さえ、息を整え、いかにも余裕のあ・・・

1

ひときわ

14/07/11 コメント:1件 浅月庵

 ーー黒。私が唯一自信を持ってわかる色で、産まれた時からずっと私はあなたと顔を付け合わせ、にらめっこをし続けている。目を背けても瞑っても、あなたは私の前へと現れ、特に表情も変えずそこらを覆っている。
 私はずっと檻の中だ。一寸先も遥か未来も“闇”が待ち構えていて、この景色が政治と一緒でなにも変わらないことを知っているし、また今日も周囲を埋める車のクラクションの音は、私の存在意義をかき消そうと・・・

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てんつくてんつくてんてん天突く

14/07/11 コメント:3件 佳麓

 天井を両の手で突き破って、空へと頭を出した。
 隣でもぞもぞとやっていた奴も、程なく顔を覗かせる。
 どうやら間に合ったようだ。まだ天井を見つけられていない者達は、今頃必死に頭の上を掻き分けている事だろう。

 「これだけ早く空の匂いを嗅げたのは、日頃の行いが良いからだ」
 隣の奴に伝わったらしい。プルプルと笑う風がヒゲを通して伝わってきた。
 「あんただって・・・

0

たいせつなもの

14/07/11 コメント:0件 糸白澪子

ーー何を、君は探しているんだい?
「髪飾りだよ」
ーー大切な、ものなのかい?
「お母さんがくれたんだ。たった一つしかないんだ。お母さんはもう、作れないから」
ーーそうかい、それは大切だね。
「綿毛さんは何を探しているの?」
ーー僕は、彼の命を探しているのさ。
「カレノイノチ?」
ーー彼は、僕を育ててくれたのさ。優しく、優しく育ててくれたのさ。
・・・

1

14/07/10 コメント:0件 タック

重苦しい家を出て 

真っ新なアスファルトを歩く 

外は黒闇 外灯が頭を焦がし 

家々のざわめく希望が 

ぼくの焦燥を しずかに煽る そのなかで

ぼくは歩く 

ぼくは歩く 

気づかれぬよう 人目に触れぬよう 

ぼくは歩く

ぼくは歩く

言い知れぬ 病魔とも言えぬも・・・

0

1年に1度

14/07/08 コメント:0件 北村ゆうき


7月7日、夜。
河川敷。


毎年、いつもの場所、いつもの時間。
日中は蒸し暑いが、夜になると涼しい風が吹き抜ける。
その風を感じると穏やかな気持ちになれる。
今日はあいにくの曇り空。
年に1度の事なのに、と悔しく思う。
それでも河川敷の真ん中に立って両手を広げて空を見上げる。
広大な空。
全てを包み込んでくれそうな空。

3

夜光姫 ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

14/07/06 コメント:6件 鮎風 遊

 都会から遠く離れた山里、夏の夜空には天の川が横たわり、地上の清流では蛍が群舞する。平家の落人たちが細々と暮らしてきたと言われる小さな集落で、殺人事件は起こった。

「この川縁で、夜に光るもの、それは蛍だけです。だけど昨夜、向こう岸の草むらでポーポーと妖しく光ったのですよ。何だろうと見に行ったら…、倒れられてました」
 第一発見者の平貴蜻蛉(ひらきかげろう)と名乗る二十歳そこそこ・・・

1

例えば、星じゃなくて。

14/07/06 コメント:0件 八子 棗

「夜にだけ光るものがあるんだよ」
 ユウちゃんが胸を張ってそう言ってきたのは、じいちゃんの三回忌後の、食事会も終わりに近い頃だ。
 僕とユウちゃんは、食事会のセッティングがされたホテルのレストランの宴会個室の隅で、お絵描きノートを広げて話をしていた。
「お兄さん、なんだと思う?」
 集まった親戚の中で、一番ユウちゃんに年に近いのは僕だった。年が近いといっても、一回り違う。<・・・

3

香苗

14/07/02 コメント:3件 洞津タケシ

 満月の夜、峠の中腹にポツリと明かりがついたら、香苗が僕と会えるサインだ。

 僕らはずっと、そのサインを頼りにしてきた。
 このアナログな付き合いも、かれこれ8年になる。
 峠の途中で、ガードレールが途切れた所。鎖の仕切りを外して、轍もない草道をバイクで登ると、整備された芝生が開ける。
 その奥にペンション風の建物が建っていて、そこが僕らの会う場所と決まっていた。<・・・

1

グラウンド・ゼロ

14/07/01 コメント:1件 ポテトチップス

東京の夜空が一瞬、カメラのフラッシュのような強い光で包まれた。町田駅から自宅に向かって歩いていた野口洋介や周りにいた人々が、光につられて空を見上げると同時に、凄まじい爆音が鼓膜を振るわせた。落雷する音とは違った人工的な何らかの爆音に、野口や周りにいた人々は耳を両手で押さえた。
星のない夜空に浮かび上がるキノコ雲を見た時、両手で耳を抑えたまま息をのんだ。
『あの方角は都心だ……』野口は携・・・

1

夜に輝く恋心

14/07/01 コメント:1件 北村ゆうき



私は高校2年生。
半年前から付き合っている彼がいる。
彼は23歳。
社会人なので日中は仕事で会えない。
土日は彼は休みなのだが、色々と付き合いもあるらしく、会える時間がない。
なので、彼と会えるのは夜だけ。
私は今日も彼の帰りを待っていた。


そろそろ帰ってくるはずだけどな…。
紅葉の季節が過ぎ、冷たい風が冬の訪れを運ん・・・

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不眠症

14/07/01 コメント:1件 みや

AM11:00
今日もまた眠れないのか、と男は溜息を零した。

昼に眠り夜に働く生活が始まって約六ヶ月。男はその生活に慣れないでいた。
昼夜逆転の生活。今迄働いていた時間に眠り、眠っていた時間に働くー
簡単な様に見えるが、今迄の習慣を壊す事は思う以上に難しく、ストレスがかかる。
男は不眠症に陥っていた。身体は疲労困憊なのに精神がそれを拒絶しているかの様に男は眠れ・・・

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悲しさは、誰も知らない理由たち

14/06/30 コメント:6件 クナリ

金村洋子が踏切に飛び込んで死んだのは、彼女が中学二年の、夏の深夜だった。
両親の離婚や校内でのいじめも重なっていたのだが、本人が辛そうな素振りも無く飄々としていたので、年若い担任の小倉香苗はつい洋子の救済を後に回していた。
洋子の自殺に、偶然居合わせたのも香苗だった。
制止しようとして駆け寄る香苗に、英語が苦手な筈の洋子が、
――Do you know how many t・・・

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のぞき穴

14/06/30 コメント:1件 W・アーム・スープレックス

 家賃が安いというだけで入ったアパートで暮らすようになってすでに三年がたった。
 礼子は、スーパーの買い物袋をさげながら、アパートにかえってきた。
 真っ暗な部屋に入り、目が闇になれるにつれて、向かいのホテルが投げかけてくるネオンの赤が、窓ガラスに瞬くのがみえだした。
 礼子は照明をつけた。着替えをしてから、食事を作りはじめた。野菜と豚肉を炒めたものと味噌汁といった簡素な夕食だっ・・・

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