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第五十回 【 三角関係 】 ターザン山本賞

今回のテーマは【三角関係】です。

◆本コンテストは元「週刊プロレス」編集長のターザン山本氏が選考させていただきます。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

ターザン山本賞発表日:2014/03/24



※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

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ターザン山本氏 略歴

1987年には「週刊プロレス」の編集長を、後には「格闘技通信」の編集長を歴任、筆者の思い入れを強く押し出すレポートスタイルを確立し、「活字プロレス」「密航」等の流行語を生み出す。

編集長時代には、「週刊プロレス」は販売部数40万部(公称)を達成した。また、1995年、ベースボールマガジン社は、団体の枠を超えたプロレス興行「夢の架け橋」を東京ドームで主催したが、このイベントの中心人物。

2000年、浅草キッドに見込まれ、彼ら主催のお笑いライブ「浅草お兄さん会」で初舞台を踏み、その後、芸人として太田プロダクションに所属。一時期はビートたけしからもらった「ビートたかし」名義で活動した。2001年、プロレス・格闘技のライター・編集者を育成する目的で「一揆塾」を立ち上げる。2005年から「ターザン山本!」(感嘆符を後ろにつける)と名乗る。同時期、有限会社「ターザンギャルド」を設立。2006年8月、日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の企画「芸能人サファリパーク」2013年5月、CX系「アウトデラックス」に出演。著書多数。
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ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2014/01/27〜2014/02/24
投稿数 47 件
賞金 ターザン山本賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

10

三角形の崩し方

14/02/24 コメント:15件 草愛やし美

 綾の部屋に忍び込む。親友だった女だから彼女の習慣は熟知している。就寝前、必ず飲む甘い赤ワインに毒を盛る。夫の前で鼻を鳴らしていたあの得意顔の女は苦しみに歪んだ酷い形相で死に絶える。綾は死ぬしかない女。憎い、どうして親友の私の夫を寝取るなんてことができるのか。あいつは女の風上に置けない、いや、人間じゃない。ドラマのような酷い話が、吾身に起こるなんて思いもよらなかった。
 夫は私のもの、私にぞ・・・

2

冷たいハーブティ、そしてシャンティ

14/02/23 コメント:1件 おでん

 三年間付き合った光広と別れてから、約三週間が経った。私は身なりを整え、光広が働いていたヨガスタジオにやってきた。
 受付の女性に体験したい旨を伝えると、冷たいハーブティーを出され、必要書類に記入を求められた。たっぷり時間をかけて書類を仕上げた私は、
「こちらでお世話になっていました瀬川光広の知人なのですが、葵先生に是非ご挨拶させて下さい」
 と、冷静に言った。
 ほどなく・・・

2

昏睡軽自動車

14/02/22 コメント:5件 タック

「……窓から見る星も、綺麗だな。虫の声も、オーケストラみたいだな」
「……なんだ、梶川。似合わない。お前そんなこと言うやつじゃないだろ」
「……はは、すまんすまん。たぶん、感傷的になってるんだ。こういう状況、経験したことないからさ」
「あたりまえだ。経験してたらおかしいだろ」
「うん、それは、そうだけど。経験してる可能性だって、捨てきれないぜ?」
「……だとしたら、お・・・

9

鬼獣丸

14/02/21 コメント:20件 泡沫恋歌

 殿上人の姫君が鬼の子を産んだと京童たちの間で噂になった。
 治部卿の娘、一の君が父親の分からぬ赤子を産んだが、それは鬼の子だったというのだ。
 産み落とした我が子をひと目見るなり、余りのおぞましき姿に発狂し姫は身まかった。治部卿は異形の孫を葬り去ろうとしたが、陰陽寮の技官に鬼の祟りがあるやも知れぬゆえ、殺さず、人目に触れぬように生かせと助言された。一の君の産んだ男児は、屋敷の奥深く密・・・

1

ウーロン茶

14/02/04 コメント:3件 メラ

「ソレちょっとありえなくねえ?」
「でしょ?」
「ええと、何だっけそいつ?」
「うん?タカぽん」
「ぽん?」
「タカぽん。かわいいでしょ。本名は・・・」
「いや、どうでもいいけどよ。ユミもそんなんだからナメられてんじゃねえの?」
「嫌だー、カッ君。それ下ネタ?タカぽんとはまだ・・・」
「ばか、全然ちげえよ。空気読めよ」
「でも、タカぽんね、すっ・・・

4

線香花火

14/01/31 コメント:7件 黒糖ロール

 真奈美の真上に夜空が広がっている。透明色にわずかだけ曇りをつけたガラスを通して見たような空だ。都市郊外の夜は弱々しい。まばらな電気の明かりと夜の闇が混ざっていて、物足りない。田園がまだ多く残る故郷では、星はもっとくっきり光っていて、背後の闇は深くて強い。ただ寒さについてはあまり変わりがないらしく、ベランダに立っていると靴下の薄い布地から冷たさが這い伝わってくる。寝間着の上に羽織ったコートの襟をか・・・

最終選考作品

4

メタ・トライアングル・ラブストーリー

14/02/24 コメント:9件 平塚ライジングバード

蝉の声が響いていた。
真っ青な空に、真っ白な雲。眩しすぎる太陽。
もうすぐ夏が終わるなんて信じられなかった。
でも、確実に終わる。
夏の終わりとともに、僕たちが紡いだ世界は終焉を迎える。
僕たちが悩みに悩んだ軌跡は、ひと夏の物語として昇華され、それはきっと素晴らしいハッピーエンドになるのだろう。

廃線となった電車のホームに腰掛けながら、僕は考える。

8

誘蛾灯

14/02/24 コメント:17件 朔良

 網膜に焼き付く青白い光。
 ジジジ…と低い唸りを漏らす誘蛾灯の無慈悲な輝きに魅せられて、ぱちんと命が爆ぜる。



 ガラス張りのカフェに冬の光が差し込む。スマホから着信音が響いて十分。そわそわと視線を泳がせる奈緒子さんを見て潮時を悟る。意地悪はこのくらいでやめておこう。
「先輩、どうしたんです? 何か心配事でも?」
「う、うんん、そんなんじゃないの」・・・

0

京都と博多の狭間で

14/02/24 コメント:1件 ルミサム・オー

1月も終わりに近かった。
画用紙を買うため、一泊二日で京都へ行った。
畳の寸法程もある大きくて良質な画用紙は、地方ではなかなか入手し難いが、
周辺に越前や美濃や丹後などの和紙の産地を控えている京都の画材店では、
漉き方の違いや異なる技法の組み合わせによる多くの種類が豊富に揃っている。
私は、別に仕事を持ちながら、クレパスと色鉛筆を使った画を描いている。
京都にい・・・

1

おれの大好物

14/02/23 コメント:4件 欽ちゃん

「どっちも好き!どっちも選べないなんて、いいかげんにしなよ!」
「そうです!ずるいと思います。どちらか選んでください」

突然の修羅場
何故こんなことになってしまったんだ


ワンルームの一人暮らしの部屋
今頃は大学生ライフを満喫している、、、はずだった
入学直後に腸捻転で緊急入院
復学した頃、すでにできた周りに存在する友達の輪は鉄壁。サ・・・

0

ミルクとコーヒー半分ずつ

14/02/23 コメント:0件 ゆえ

「彰吾の事好きだよ。また一緒に遊ぼうね♡」

ほんの出来心だった。
昨日、奈美とのやり取り。

「え?彰吾ってそんなに仕事忙しいの?他の子とあってたりして・・・。」
ホットコーヒーに砂糖を落としながら奈美が言う。ショートヘアーで切れ長な瞳が妖しく光った。(気がしただけだけど)
「・・嘘だぁ〜。」とココアを両手で抱えて頑張って笑うけど、正直そうな・・・

1

コールバック

14/02/23 コメント:2件 NOGAMI

 朝一番に始まった新規プロジェクトの会議がようやく終わった。時計の針はすでに午後二時を指している。デスクへ戻ると、大量の伝言メモがペタペタと貼られていた。
「昼飯食ってる時間、ないよな…」
 ただでさえ忙しい月末。未決箱には山積みの書類。夕方には重要な商談も控えている。今朝駅で買った缶コーヒーを一気に飲み干し、ハッ!っと、短いため息をついた。
 パソコンの電源を入れ、起動するのを・・・

7

ぺたんこトライアングル

14/02/21 コメント:10件 光石七

 奈結は保健室のベッドで目を覚ました。
「大丈夫か?」
傍らの篤樹の輪郭が徐々にはっきりしてくる。
「あっくん……」
「カエルの解剖は奈結にはきつかったか。グロいの苦手だもんな」
篤樹が奈結の頭をそっと撫でる。奈結は自分が生物の時間に倒れたことを思い出した。
「もうすぐ4時間目始まるから、俺戻るわ。奈結も元気になったら教室来いよ。昼、一緒に食おうぜ」
篤樹・・・

1

モアビター

14/02/21 コメント:4件 双六

琴美と付き合うことになった。

インスタントコーヒーの入ったカップの淵に唇をつけたところで、勝也は僕にそう切り出してきた。
放課後、話があるという勝也を僕の部屋に招いて間もないタイミングだった。
いつにない真剣な空気に嫌な予感はあった。

すまない。

ベッドに腰かける僕の前で、勝也は両手をついて謝る。
抜け駆けしてすまない、と。
「お前・・・

1

三角人形

14/02/21 コメント:4件 タック

「♪ さんかく さんかく さんかくかんけい ジャックとロック ジャックとロック どっちがわたしとけっこんするの わたしをわたしをすきなのどっち♪」

――日光の箱。リノリウムの床に作られる影。影は落ち着きなく左右に動き、大きなリボンが、その頭部で揺れている。その傍で、タキシードの男は礼を繰り返していた。窓を透過する陽光が、そのプラスチックの瞳を照らしていた。
「ミオリさま、ミオリ・・・

13

本妻と愛人

14/02/20 コメント:15件 草愛やし美

【本妻】




ぬくぬくと眠りをむさぼる冬の朝
これほど愛しいと思うものがあろうか……

布団……
これこそ私の恋人だ

私を抱き留めてくれるその暖かい思いやりに
私もまた応えたいと抱きしめ愛を語る

夢見心地のまま 
あと5分 あと5分だけ
愛撫しあいたい

この愛を成就するには短すぎる・・・

3

白髪頭とミーチャと子猫

14/02/20 コメント:6件 gokui

 妻に先立たれた寂しさを埋めるように、私は子犬を飼い始めた。雌のラブラ
ドールレトリバーだ。今年成人式を迎えた孫が、もう歳なんだから大型犬はや
めておけと提案してくれたが、私はペットショップでじっと見つめられ、ミー
チャに一目惚れしてしまったようだった。孫の声にはこたえず、ただ白髪頭を
かきむしるだけで、結果として私はその意見を無視してしまった。今まで犬を
飼っていた・・・

1

三角関係 〜名古屋への切符〜

14/02/18 コメント:2件 綾瀬和也

 上田武司。22歳。高校三年のときにエースとして春夏連覇を達成。高校卒業後ドラフト一位で東京オリオンズに入団。
 斉藤行則。22歳。上田武司とは小学校から高校までチームメイト。四番ショートとして活躍。武司と同様にドラフト一位で大阪サンダースに入団。
 藤井晴海。22歳。二人とは小学校から高校まで一緒。中学校から野球部マネージャーとして二人を陰から支えた。京葉大学4年生。
 武司と・・・

1

範疇は蚊帳の外

14/02/18 コメント:2件 AIR田

 季節は秋だった。
 私と彼と、そして共通の友人である涼子の三人は小さな山に登った。
「めっちゃ登りたい。山頂で温泉入って酒飲みたいわぁ」
 涼子がそう言うものだから、じゃあ登ろうかということに。
 そして、当日。
 「うわぁ。めっちゃ綺麗……でもないね」
 幾ら山とはいえ、10月では紅葉の色づきは見る影も無かった。
「でもね」
 登山の途中で見える・・・

12

君のファンクラブ

14/02/18 コメント:21件 泡沫恋歌

「君のファンクラブ作ったから!」
「はあ?」
 私、高瀬未菜(たかせ みな)高校二年生、容姿は並。放課後の教室で、いきなり幼馴染の同級生章太(しょうた)そんなことを言われた。
「ファンクラブって? 私ってば普通の女子高生だよ。――で、メンバーは誰?」
「B組の伊藤誠と俺」
「たった二人?」
 伊藤君とは吹奏楽部で一緒だけれど、特に意識したことない相手だった。

0

とんぼ

14/02/18 コメント:2件 AIR田

 緑色の川沿いに立ち並ぶ倉庫街。大型トラックが多く走る国道。そこにかかる橋の上から、新村はとんぼの番いを見ていた。
 駅から職場までの短い道のり。その間にある短い橋にさしかかれば、職場である倉庫が見えてくる。
 その日は少し肌寒かった。いくつかの台風が通り過ぎ、気が付けば朝や夜は涼しい日が続くようになった頃。橋の上には走る大型トラックより多く、とんぼの番いが飛んでいた。
 

2

三角関係フリーキー

14/02/17 コメント:4件 四島トイ

 ローカル線の無人駅。
 天井だけが高い駅舎。
 三角形に切り取られた天窓に、夕日が反射していた。ベンチの他には何も無いがらんどうの構内。オレンジ色の三角形がくすんだ床や壁にくっきりと投影される。形を持った陽だまりはきらきらと輝いていた。
 ベンチに腰掛けて、やがて暮れて消えるそれらを見る。
 下校を促す高校のチャイムが、遠く聞こえる。
 須原君、と名前を呼ばれた。<・・・

2

これは青春なんかじゃない

14/02/17 コメント:4件 タック

「おまえ、水瀬のこと、どう思ってんの?」

 投げた石が斜面を転がり、草むらの向こうに消えていった。背中に当たる夕日が、おれたち二人の影を濃くしていた。土手に座る二人。古臭い青春ドラマみたいだと思ったが、もう遅い。言葉をうけたヤツ――小林はしばし沈黙し、顔を赤くしている。夕日のせいじゃないだろう。なぜなら、こっちを向いた小林の顔は、日の当たらない部分も真っ赤だったから。
「……ど・・・

3

イヌノキモチ

14/02/16 コメント:7件 みや

昼寝をしているおれの鼻先をかすめるスパイシーな香り。
今夜はカレーだな。
大きな伸びをして、おれは大きなアクビをする。

キッチンに行くとお母さんがいて、やっぱりカレーの支度をしていた。
おれは立って両方の前足でお母さんのふくらはぎに突撃。
「ココちゃん邪魔だからあっちに行ってて」
お母さんつれないぜ…おれもカレー食べたい…

おれの名前はココ・・・

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夫婦円満

14/02/15 コメント:0件 リードマン

夫婦円満の秘訣として、『三角関係』について語りましょう。私には主に二人の妻がおります。
美しき鏡であるリリスと、美しき人形であるイヴです。

自分と同格の能力を持つリリスを恐れた私は、世界を産み出す役目に特化し、ハッキリとした自我さえ持たせなかったイヴとのセックスを繰り返し沢山のヒロインを産み出す事で、彼女達を中心とする物語の世界を産み出し、本として図書館に保管するという作業を繰・・・

1

鈍角三角形

14/02/15 コメント:2件 黒川かすみ



 純子と透、そして私は、小学生のころから中学3年になった今までずっと一緒にいる。家もお互い近くで、登下校は必ず一緒だった。さすがに高校に入るとそれも難しくなるだろうけど、それでも幼なじみとして仲の良いままでいられると思う。ふたりは誰より私をわかってくれるし、私も彼らを誰よりわかっている。なにより一緒にいて疲れない。それは三人とも同じ気持ちだと、そう思っていた。
「俺……凪の・・・

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壁の向こうの男と女 ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

14/02/14 コメント:9件 鮎風 遊

 OL斬殺事件、その重要参考人として山端郁夫の取り調べが始まった。
「あなたは一流企業の重役候補。それでも部下の、いや愛人の里村綾乃を刺し殺してしまった。邪魔になったのですか?」
 慇懃無礼に問い質していた刑事、今度は「会社は首なんだよ。だから、全部吐露せ!」と頭に血を上らせ、椅子を蹴り上げた。「綾乃との縁を切るつもりはありませんでした。だから私は殺害してません」と山端は声を震わせた。・・・

8

ル・トリアングル

14/02/10 コメント:19件 そらの珊瑚

 あの女はやめときな、とクロエが言う。いつだってそう、僕の女を褒めたためしがない。
「どうしてさ」
――ルネ、あんたのおめめはポンコツだから気づかないだろうけど、あの女のとりえは美しい顔と若い肉体だけ。オツムのほうはすっからかんときてる。おまけに色仕掛けだけが取り柄だってこと、わかんない? あわよくばあんたの専属モデルになろうっていう魂胆の打算的な女。口紅を塗り直す時見たんだ。爪の間に・・・

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あなたのいる理由

14/02/08 コメント:0件 雨の国

 要するに、そんな出だしで、言語のない我々に初めて言語で想いを伝えたあの人は、自身の想いを確実に伝えた。
「要するに、好きならば、いやはやもっと重要な、存在理由さえ揺るがすほど恋焦れるならば、なにを恐れるのかと、ボスとして君臨するあのお方の、第一夫人が申したのだ。
 前足をくるりとひとまわりさせて、言葉との連動制は皆無なのだが、必死な表情を見れば、ないがしろにはできないのではないか、そ・・・

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こうして私は殺された

14/02/08 コメント:0件 坂井K

   どうして私を?

 会社からの帰途、Mが包丁を持って私の前に現れた。怖さより先に驚きを感じた。それほど意外だった。躊躇なく私の腹を刺す彼。薄れ行く意識の中、力を振り絞って声を出す。「なぜ私を刺す……?」Mが恨みを持っている人物は、少なくとも3人いる。(私でなければならなかったのか……?)

   金を奪った男

 私がMから金を奪った、と言われるのは心外だ・・・

4

鳶に油揚げ

14/02/07 コメント:8件 鮎風 遊

「お父さん、紹介するよ」
 慶太がリビングでくつろいでいると、背後から息子の拓夢が声を掛けてきた。えっと振り返ると、若い女性が息子に寄り添い立っている。
「花瀬玲奈と申します」
 ペコリと頭を下げ、長い髪をかき上げながら面(おもて)を上げた。端正な顔立ちに緊張が窺える。慶太はこの様子から察し、息子がやっと生涯の伴侶を見付けたのかと。
「拓夢ったら、お嬢さまを突然お連れするも・・・

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Password  Control

14/02/06 コメント:17件 そらの珊瑚

 夫のパソコンにはパスワードがかかっている。私はそれを知らない。
 
 結婚して十年が経ったが今だ子は授からない。冬のあとに春が来るのを疑わないように、これから先もそうだろうという予感はたぶん現実になるであろう。
 毎日基礎体温をつけて、妊娠することにやっきになった日々もあった。人の女の排卵日は巧妙に隠されている。持ち主の女自身にもそのパスワードは知らされない。唯一それを推し量る・・・

2

猫の背中

14/02/06 コメント:3件 メラ

 どうしてこんな事言ってしまうんだろう。いつもそう。自分の気持ちは、いつも人に言えないまま。
「マヤはね、ホントにいい子だよ」
 マヤはあたしの親友。そして、レイにずっと片思いしている。マヤが先にそれを打ち明けたせいか、私もレイのことが好きだとはマヤに言えなくなった。
「そんな事、分かってるけど・・・」
 レイはそう言いかけてから、小石を拾って枯れ細った草むらに投げた。いさ・・・

1

にとうへん☆さんかく

14/02/04 コメント:3件 ナツ

   小学校に上がる前に病気で父をなくした私は、その出来事もあいまってか母親が好きだった。おそらく他の家の子供よりも。
私には3歳、年の離れた妹がいる。この年の差が微妙なものでよくつまらないことでケンカした。その度に母は私たちを叱った。そういうことには長けていた妹は頭を働かせよく私のせいにした。
「違うよ、私が悪いんじゃない!」
「おねぇちゃんなんだから。」<・・・

1

ウツボカズラ

14/02/03 コメント:2件 湧田 束

 どうしてユノが教授との不倫のことなど俺に話したのか、知りたくもないし知る必要も無かった。俺がそんな話を聞いたところで、ユノへのわだかまりが消える訳もない。
「ねえ……何か言ってよ」
 縁側に座り込んだユノが、手にしたタオルを指で弄びながら小さく口を尖らせる。
 俺は縁側から裸足のまま庭に降り、ユノの方を振り返りもせずにポケットからくしゃくしゃになった煙草を取り出す。火をつけると・・・

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この辺を外したい

14/02/03 コメント:4件 汐月夜空

 その日誠は、大好きなカラオケの最中にも関わらず帰りたかった。

 なんてことはない。ささいなことだった。
 誠が栞を好きになったのは出会ってすぐのこと。
 彼女の声が好きで、その声を聞くたびにときめく自分の心に気付いたからだった。
 その声を聞きたくて。もっともっと聞きたくて。一生懸命話しかけて、仲良くなって、君のことが好きです、と想いの丈を伝えた。
 結果は・・・

2

乙女心は悩ましい

14/02/01 コメント:8件 笹峰霧子

 人間の付き合いで三角関係というと嫌な予感がする。
 なぜかといえば、そういう関係にかなり遭遇して、はじき飛ばされる側になったからだ。
 自我が芽生え始める思春期の頃の交友関係から始まって、大学時代、結婚して子供ができてママ友との付き合い……、その辺りまでは、そうそうあるある、そんなこと、と思ってもらえるかもしれないが、人の気持はどうも年齢には関係なさそうだ。
 
   ▽・・・

1

妻と秘書と運転手

14/02/01 コメント:2件 五助

 夫

 やはり、妻は私の浮気を疑っているようだ。
 他社の創立記念パーティーに呼ばれ妻と共に出席した。壇上に上がりそれらしい挨拶をして、妻と一緒にパーティー食を少しつまんだ。私の秘書もすぐ後ろに控えており顔と名前が一致しない人物について適切なアドバイスを耳元でささやいてくれる。その彼女と私の仲を妻は疑っているようだ。
 一時間ほどたったところで、私の専属運転手がやってきた・・・

0

不器用な私たち

14/01/31 コメント:0件 むあ


 私は親友の彼女の為にも、はっきりさせるべきだと男の元に向かう。
 それは朝早くにかかってきた、一本のSOS着信だった。幼馴染の彼女と、これまた幼馴染の彼の、間に起こってしまった一夜の過ちを、彼女が泣きじゃくって打ち明けてくれたからだ。

「あ、春」
「ふざけてるのあんた」

 長年住んでいるマンションだが、両親とは違う階に一人部屋を借りた彼。そんな一・・・

11

自殻自壊のマズルカ

14/01/30 コメント:18件 クナリ

刀子が、変な名前だと小学校でからかわれているのを、僕と克己がかばったのがきっかけで、僕らの交友は始まった。
いつも三人で遊び、三人で学んだ。
中学の時に刀子が担任の木島先生に恋煩いをしているという吐露を受けて、男二人は自分達の気持ちに気付き、やがて彼女の初恋があっさりと冷めたと聞いて、共に安堵した。

僕らは同じ高校に進学した。
僕には何人か女友達も出来て、その内の一・・・

7

葛藤

14/01/28 コメント:14件 yoshiki

 もし月が生きものでいて、それも飛び切り人間的な情動を持っているとしたら、きっと地球に惚れるのじゃないだろうか? だって地球は美しいし、まだ若いし、大きいもの。
 それに引き替え月はあばた面だし、そりゃ地球から見た満月は美しいけれど、傍に寄ったら顔色も悪いから幻滅かも知れないし、たぶん月は女に決まってるから、もじもじして地球が好きなくせに、好きだなんて到底言えないだろうな。
 そんなこ・・・

3

雨に唄えば

14/01/27 コメント:2件 山盛りポテト

どしゃ降りの雨だ。
分厚い灰色の雲から飛び出した雨粒がコンクリートを叩きつける。
不運にも傘を忘れた私は、かれこれ二十分近く校舎の玄関で、雨が止むのを待っていた。
しかし雨足は強まるばかりで、一向に止む気配がない。
こんなことなら、傘を持っていくべきだと後悔した。
降水確率40%とという曖昧な数字の予報などテレビで流すべきじゃない、とお天気お姉さんを恨んでみたが、無常・・・

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お大事にどうぞ

14/01/27 コメント:0件 ポテトチップス

「お大事にどうぞ」
国谷和夫は女性の後ろ姿に声をかけてやった後、カルテを看護師に渡して次の患者を呼ぶボタンを押した。
しばらくして悩みありげな顔をした、ロングの髪を金髪に染めた女性が診察室に入って来た。
椅子に腰を下ろした女性に「どうされました?」声をかけた。
「三角関係で悩んでいます。この診療科ではこう言った悩みも扱っているんでしょうか?」
「ええ、扱ってますよ。私・・・

2

ジャガイモくん

14/01/27 コメント:4件 こぐまじゅんこ

 夏の暑い日。

 畑で収穫された3種類の野菜たちが、カゴの中で自慢話をして言い争っています。

 まず、ごつごつしたジャガイモくんが、トマトくんと、とうがらしさんに向かって自慢しています。
「この中で、煮ても炒めても揚げてもおいしいのは、このぼくだけだ。ぼくが野菜の中で一番えらいんだ!」

 トマトくんが、真っ赤な顔をして反撃します。
「でも、ジャ・・・

2

火星の上で激情にもえる

14/01/27 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 はじめてモモミをみたとき、チェロはいやな予感がした。
 なにより彼女は、自分より美人だった。チェロはしかし、すぐにそれをもみけした。片道切符の火星の上で、死ぬまでともに暮らす仲間にたいして、そんな悪しき感情は抱くものではない。
 そのときモモミは、こちらをみて、にこりと笑った。
「よろしくね」
 同性に対してもこんなに魅力があるなら、男性にはいかほどのものか………チェロは・・・

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いやな奴

14/01/27 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 ようやく二人は地獄峠の麓にたどりついた。
 一人は武家姿の青年、もう一人は、これはあきらかに町家の娘―――両人とも、ここまでの厳しい道のりを物語るかのようにめっきり窶れていた。
 三月前、とある茶屋でしりあった二人は、たちまち互いに心ひかれて、夫婦になることを誓い合うも、おきまりの身分の違いから両方の親たちに猛反発をくらって、やむをえず恋の逃避行にはしってここまできたのだった。

4

ずるい。

14/01/27 コメント:8件 かめかめ

なつみから数学の教科書を貸してもらった。
うっかり忘れたんだけど、忘れてよかった。
私が借りる直前に航介くんが借りていたらしい。そんなこと、考えただけで胸が高鳴る。

教科書の表紙をそっと撫でてみる。航介くんが触ったところを私も触ってるんだ……。
いけない。馬鹿なことしてないで、少しでも予習をしなきゃ。

あわてて教科書を開くと、裏表紙のあたりから、なにか・・・

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