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第四十五回 時空モノガタリ文学賞【 雪 】

今回のテーマは【雪】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2014/1/15

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ ヒト・モノ・イキモノ
投稿期日 2013/11/18〜2013/12/16
投稿数 44 件
賞金 時空モノガタリ賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

8

雪鳴り

13/12/16 コメント:14件 そらの珊瑚

『雪は音もなく降っていた』という記述に、この本の作者は雪国を知らないと直感的に思った。雪が降る時ほんのかすかな気配だけの音がするのだ。生まれてからずっと北の最果てと呼ばれるこの街に住み続けている私には分かる。ホントの事なんて当事者しか分からない。私は読みかけのハヤカワミステリの文庫本を閉じた。
「しばれるなぁ」
 駐在のおまわりさんだった。『この顔にピンときたら110番!』顔写真入り・・・

4

雪は知っている

13/12/12 コメント:8件 alone

ソノは思いつく限りの防寒着を身に着け、ひざ掛けの上に手袋をつけた手を乗せ、僕が押す車いすに座っていた。
「今日はやっぱり寒い?」
こちらを振り向くことなく、ソノは僕に訊ねた。僕は車いすを押す手を止めることなく、押したまま答える。
「そうだね。少し肌寒い」
「そう……」
ソノは寂しそうな音を含んだ声を漏らし、そのまま黙った。
乾燥した空気が冷たい風に揺り動かされる・・・

13

雪響 ――ミグナッハはかく歌い――

13/11/22 コメント:19件 クナリ

私が十九歳で、合唱団最高格の歌姫を辞め、駆落ちした夜は、酷い雪だった。
大陸の端の一大都市、『歌と水の町』の冬。
貴族院付きだった私の逃亡は、団の名に泥を塗ることになる。<脱走死罪>の団の私兵をやり過ごすために私達は雪に潜り、長い時間、道端に伏せた。
追手が諦めて去る頃、私に覆い被さった恋人は凍死していた。私も寒さで病み、お腹に宿していた命が流れて散った。
歌う為に生きてき・・・

最終選考作品

10

南の島に雪が舞う

13/12/13 コメント:18件 草愛やし美

「雪だ、雪が降ってるだ!」
「雪だって、どこに?」
 草いきれに荒い息遣いをしながら目を瞑った俺は、田辺の声に薄目を開けた。恨めしいくらい綺麗な青空が広がっているが、もはや起き上がる力はない。幾日も水しか飲んでいない。最後に口にしたのは、土中のみみずだった。大きな異国の蟻が体を這い噛みついてくる。聳える椰子の木を見上げてもその実を得るすべはない。銃弾はとうの昔に尽きた。何のために戦って・・・

5

ひとひらの魔法

13/11/24 コメント:7件 朔良

「その冬最初の雪のひとひらを捕まえたら、願いが叶うんだって」
 
 雪舞う学校の帰り道、教えてくれたのは瞬だった。
 正直、こどもっぽいしロマンチックすぎると思ったのは内緒だ。
 でも、冬のオリオンを…周りに隠れた他の星座を教えてくれたのも、白い虹や青白く輝く夜光雲を教えてくれたのも瞬だから。私は素直に信じた。瞬はいつも、それまで見えなかったものを私に見せてくれる。
・・・

3

土の下の雪

13/11/21 コメント:6件 タック

 部屋を整理していた。使い道を失った部屋だった。

 部屋から不要な道具が詰まったダンボールを運ぶ最中、縁側に江美の姿を認めた。江美は木々も凍る気温の中、縁側のガラス戸を開け放ち、外気にそぐわない軽装で縁側の外に足を投げ出していた。逡巡したが、私はダンボールを置き、背後から抑制した声色で声を掛けた。

「おい、体冷えるぞ。戸を閉めたらどうだ」

「……ああ、あな・・・

5

豪雪予報

13/11/18 コメント:11件 W・アーム・スープレックス

 先日のテレビでは、たしかきょう、この辺り一帯に豪雪予報がでていたな………。
 しかしけさの隆夫にはそんなことはどうでもいいことだった。それは妻の鞠子にしても同じだったにちがいない。
 彼は、思い足取りで三階に上っていった。一階がガレージ、二階が寝室、三階が居間と客室をかねた部屋という奇妙な佇まいも、一番上は空気が新鮮だという妻の提案からきていた。
 階段を上がるにつれて隆夫の・・・

投稿済みの記事一覧

0

心の天気

13/12/16 コメント:3件 汐月夜空

 祖父のことはあまりよく覚えていない。
 けれど、いつもにこにこと笑っていたことや、その顔がとても暖かだったことは、祖父が亡くなってから13年が経つ今でも忘れることは出来ない。
 特に、その顔のまま『よく来てくれたねえ、勝』と父の名前で呼ばれた衝撃は、生涯において忘れることは出来ないだろう。
 いや、ひょっとしたらそんな古傷のように疼くバツの悪い思いさえも、あの病気は綺麗に隠して・・・

2

雪壁の目

13/12/16 コメント:1件 kou

「今更だけど、お父さん浮気していました」
 と『雪壁の目』を間に置いて、わたしと向かい合っている父が言った。紫陽花をむしり取ってしまいました!と告白する少年さながらの爽快さがそこには滲んでいた。「相手は、会社の取引先の広報課の女性です。二十八歳の独身」
 父の荷物を運び出す業者は午後の三時に来る。
 部屋の隅には段ボール箱が規則正しく並べられ積まれている。それは錯覚かもしれない。・・・

8

雪ちゃんとお地蔵様

13/12/16 コメント:13件 草愛やし美

 雪ちゃんに、お友達が一人もいないのはね、雪ちゃんがお家から少しもお外に出ないから。 雪ちゃんのお顔の色はみんなと少し違っているんだ。お父さんと一緒で黒いの。それはお父さんが夏しかない国の人だから。お父さんは日本に来て初めて雪を見たんだ。綺麗だと感動したので雪の日に生まれた赤ちゃんに雪ってお名前をつけたの。
 元気だった雪ちゃんが急に笑わなくなって幼稚園に行かなくなった。お外に行きたくないっ・・・

2

サンタの憂鬱

13/12/16 コメント:2件 欽ちゃん

この冬、トナカイに逃げられた。


連れ添って30年。苦楽を共にした。。。はずだった。
「サンタさん足くさいんすもん。体についた悪臭が原因で妻に逃げられるし・・
新しいサンタ見つかったんでサヨナラです」

クリスマスイに?しかもLINEで報告って。
いや、気付いてたって。でも業務用悪臭撃退スプレーとクリーム。臭い消し靴下を3枚重ね。頑張ったじゃん。ま・・・

2

あったかいミルクティー・その後〜由香編〜

13/12/16 コメント:4件 ゆえ

「おはよ〜。今日は悟が終わる時間には部屋にいるね。早くバイトから帰ってきてね。」

悟に向けてメールを出す。今日は高校から付き合っている悟の一人暮らしの家に行って過ごす、ある意味初めてのクリスマス。親には友達と皆でパーティをするって名目で泊まりと伝えた。

「いってきま〜す♪」と上機嫌に家を出る。天気予報では雪がちらつく箇所もあると言っている。でもそうしたらホワイト・クリス・・・

2

あったかいミルクティー・その後〜悟編〜

13/12/16 コメント:3件 ゆえ

「おはよ〜。今日は悟が終わる時間には部屋にいるね。早くバイトから帰ってきてね。」

朝のメールを見てからどうしても顔がにやつく。高校から付き合っている由香が俺の一人暮らしている部屋に来てで朝まで一緒に過ごす、ある意味初めてのクリスマス。

本当は宅配ピザのバイトも休みたかったが、店長に泣きつかれ仕方なく18時迄のバイトを承諾してしまった。由香に伝えると残念そうな顔をしたが、・・・

1

ホワイト・クリスマス

13/12/15 コメント:4件 弥栄 譽

街角のカフェに寄ろうと、ふと思った。身体の芯まで凍えるような風が吹いたから。

仕事を終えて、家に帰ってやることもなし。それならばいっそ、美味しいコーヒーでも飲もう。おお、まさにできる大人じゃあないか。そんな軽い気持ちで店に入ったのだが……

私はカフェに入って十秒で後悔した。何故なら店の中にはアベック(死語だろうか?)がたくさんいたから。痛恨のミス、そう言えば今日はクリス・・・

5

六花のもとに永遠を

13/12/15 コメント:8件 日向夏のまち

純白に散るは色ガラス。崩れ堕ちるは廃墟の外壁。きっと以前は、美しい。
叙情的な感想。しかし思うだけで、私は無慈悲にステンドグラスの欠片を踏みつけていた。ぱりん、と、案外呆気なく亀裂が入る。
今から死のうというのに、神への冒涜とはいい度胸だろうか。
不意に唇を歪めれば、立ち昇るのは白い息。それは睫毛を少し湿らせ、瞬き一つの間に霜となると僅かに私を彩った。氷河期の寒さは、私をも白く染・・・

1

彼女はスノードームの向こう側に

13/12/15 コメント:2件 四島トイ

 電話するんじゃなかった、と受話器の前で立ち竦んだ。頭に昇っていた血が引いて体中が冷え込む。深々と降り積もる後悔のなか、己の浅薄さを呪った。

 前略、という律儀な前置きで、宮川千晴の手紙はいつも始まる。
「次は向戸。向戸です。お出口は左側です」
 小さな丸文字を目で追っていると、車内アナウンスが現実の喧騒を呼び戻した。
 電車が揺れ、乗客が身動ぎする。長椅子の下から・・・

2

とある猫のお話2

13/12/14 コメント:2件 しーぷ

 僕は猫である。

 飼い猫なので、名前はもちろんある。

 今年もやってきたこの季節。
 眩しいくらいに光るイルミネーション。町行く人は、邪魔に感じるほど増える。僕は、人間の歩く“ホドウ”というとこを散歩するのが好きなのだが、この季節だけはなかなか出来ないのだ。人が多いし、なによりも寒い。
 それがピークを迎える、ある日の夜。
 我が家に、いくつか人間が・・・

1

雪の降った日

13/12/10 コメント:1件 さとる

鼻をつんと、冷たい空気が意地悪をするかのように通り過ぎて行った。
その意地悪のせいで彼は、眠りから現実へと引き戻された。
目覚ましが鳴るよりも少し先に目が覚めてしまった。
布団から出て窓の外を見ると、一面雪に覆われ真っ白になった、いつもとは少し違う世界があった。
いつから雪が降り出していたのだろう?
そう思うと、ふと昨日の夜の天気予報を思い出した。
日付が変わっ・・・

1

夜の図書館

13/12/08 コメント:3件 サイクロイド

 悟は図書館で勉強をしていた。明日から冬休み、それが明けたら期末試験。だから勉強に、一層身が入った。講師が指定した教科書はもちろん、教科書から派生して参考図書まで読み進めていた。しかも窓の外は肌が切られるような寒さで、風が吹いていたから余計に寒く感じた。そんな寒さを感じることなく、ぬくぬくと学べている境遇に、悟は満足していた。

 「同じ費用でも、平均と限界は違うものなのだな。この考え・・・

2

忘却の雪

13/12/08 コメント:2件 rug-to.

 絵の具よけのためにエプロンではなく白衣を着る。
 左手の指と指の間には平筆、丸筆、ペインティングナイフをそれぞれ挟んでいる。サイコパスの外科医が怪しい手術でもしている様な恰好がサークル部屋内での先輩の姿だ。今は使い古された50号のキャンバスを一旦白い絵の具で塗りつぶす作業に専念している。絵を描かない僕はそれを観ている。
「それ、何を描くんですか」
「さあ、何だろうねえ」
・・・

1

雪婆

13/12/07 コメント:1件 五助


 風もなく、雪はただゆっくりと落ちていた。押し降り積もった雪の下には、数え切れないほどの死と、春に向かって蓄えられた命がある。雪景色が広がっていた。

 長い白髪を顔の前に垂らし、白い割烹着を来た老婆が雪の中、小さい目で辺りをうかがいながら、静かに移動していた。老婆の肌は雪に劣らず白かった。皺は十分に刻まれていたが、皮膚には、まだ張りがあり、顔を覆っている髪は落ちてくる雪をはじ・・・

1

雪ん子の冒険

13/12/07 コメント:1件 t-99

高い、高い、雲の上から雪ん子が外を眺めていました。
きらきらきら、星より地面が、きらきらきら、輝いています。
「いったいなんだろう?」
気になった雪ん子はお母さんに内緒で、雲からこっそり抜け出してしまいました。
ひらひら、雪ん子はどこまでも落ちてゆきます。

地面に舞い降りると、光って見えていたのはたくさんの家の明りでした。
温かい光が街を包み込んでいまし・・・

7

墓雪(ぼせつ)に眠る

13/12/07 コメント:14件 草愛やし美

──北の墓標は墓雪 さう云ふ人がゐる 夜に渡る冥府 待ち人來たらず 雪に逝きを重ねれば 迷へる者を 白き雪は優しき眠りへと導く── 

 人の幸、不幸はどこで決まるのだろう。明晰さ、美貌、財産、それとも……。日本海を望む山寺にその墓はあった。北に位置し山道の急斜面にある墓は、冬には、深雪に閉ざされる。霜月の声を聞く頃には、すでに雪が降り出し、毎日のように深々と降り続けると、やがてそこは・・・

2

ある冬の日、プラス犬

13/12/07 コメント:4件 タック

 ある年の冬、何でもない日常の話である。
 
 私の住む家は豪雪地帯とまではいかないがそこそこに雪の降るところであって、地面の凍結や、尻、腰の強打が頻繁に起こる、何とも不便な場所なのである。何せ、散歩すら満足にできない。滑らないように、かかとから地面に着く体勢でそろそろと歩く、逆にストレスを感じるような前進を繰り返す様相、それが、雪の降る地方の普遍的な光景であり、何とも嫌になる、田舎の・・・

1

雪は孤独の増す薬

13/12/07 コメント:2件 タック

 街の、ガヤガヤした感じが好きじゃない。特にこの時期、クリスマス前の浮ついた空気は歯噛みするほどうっとうしく感じる。無理にライトアップされた街路も、だらしの無い顔で道を行く大勢の人達も、なに考えてんのってくらい情けないし、見ていてツバを吐きたくなるくらいみっともない。なんか、明るさとか温もりを勘違いしているような気がする。集まれば温かいのかよ、とか思う。なんか、寒い。空気感と気温、両方の意味で。街・・・

12

初雪

13/12/07 コメント:17件 泡沫恋歌

 家業の新聞販売店を継ぎたくないと思っていた。
 冬は寒いし、夏は暑いし、朝夕刊あるからまとめて寝られない。休みが極端に少ない上、チラシや集金、新聞の拡張とか雑用もいっぱいあって忙しい。おまけに職場はおじさんやおばさんばかりで冴えない。
 それなのに、俺は実家である新聞販売店を手伝っている。

 大学卒業後、会社員として他府県で働いていた。
 自営業と違って安定した生・・・

5

ホワイト・クリスマス

13/12/07 コメント:8件 鮎風 遊

 そっと開けたカーテンの間隙、その向こうに少しくすんだ風景が見える。本当は白銀の世界なのだろう。しかし、新月だった闇の中で雪はしんしんと降り、今も舞い落ちる六花(りっか)の重なりなのか、グレーぽく目に映る。
 凛太郎は、そんな雪夜の名残にふーと息を吹きかけ、ボソッと呟く。「雪だよ」と。

 ベッドの中にいる麻伊からは、興味がないのだろう、「そうなの」と、おかしみのないレスポンスし・・・

8

雪の降る日の物語

13/12/05 コメント:17件 そらの珊瑚

 ルチアは約束通り、仕事が終わってアントニーの下宿を訪ねた。ドアを開けると、油絵の具の匂いが揮発されて漂ってくる。脱いだダッフルコートを壁のフックにかけた。
 
 壁という壁には作品の数々が所狭しと立てかけてある。彼の描く風景はなぜかみな雪景色で、ルチアにとって馴染みのある絵ばかり。それが今夜はどこかよそよそしくそっぽを向いているように感じるのはなぜだろう。
「夕食まだだろう。座・・・

1

雪おに

13/12/04 コメント:1件 fujisaki


 部屋の明かりを消して、モッズコートを羽織ってベランダに出た。錆びた網戸を押しひらいて、ベランダに踏みだすと、思ったよりも冷えた空気にモッズコートのジッパーを喉もとまで引きあげた。靴下を通して、枯れ葉で散らかった床の冷たさが伝わる。慌てて、部屋に引き返して靴を玄関から取ってきた。
 そうだ、カメラと三脚も忘れていた。
 台風の影響で、延期になった花火大会がよりによってこんな真冬・・・

4

冷たい結晶

13/12/03 コメント:4件 三ツ矢ちか

 今年は雪が降らないかもしれない。湿った鉛色の空を、窓の向こうに見た。
 ぼんやりと聞こえてくるラジオから天気予報を伝える男の声がする。今日はあいにくのお天気となりましたが、明日、明後日はカラリと晴れてお出かけ日和でしょう。空気が乾燥していますので、火の元には十分注意してください。
 仕事納めの金曜日。いつにも増して気合いの入った工員さんたちの姿を見ながら、指についたオレンジ色の蛍光ペ・・・

2

悲しみうなぎ

13/12/03 コメント:1件 雨の国

 悲しみうなぎは、雪に乗じてやって来る。
 濃厚な夜の、もっと濃密な、音を閉じ込めるような雪の夜に、悲しみうなぎは上陸してくるのだ。
 街は静かだ。
 雪たちが静寂をもたらし、密やかな言葉をわたしたちは交わして、それは愛にまつわることであったり、人生に関することであったり、いずれにしても、夜に相応しい、とても静かな話題なのだ。
 悲しみという感情は人を無力化する。
 ・・・

4

雪の日の記憶

13/11/30 コメント:8件 yoshiki

 ――雪が降っていた。
 辺り一面の白銀世界が眩しいほど輝いて見える。私は雪の深さに足を取られながらぎこちなく、時々倒れそうになりながらも懸命に歩いていた。頭の中に霧がかかっていて意識がはっきりしない。記憶は何かの断片みたいに曖昧なままだ。それにもまして妙な事に、私は雪の冷たさを感じない。身体は麻痺したように感覚がない。
 私はいったいどこに向かって歩いているのだろう? 目的も意志も漠・・・

2

ゆきおとけんちゃん

13/11/29 コメント:1件 ミカリ




やあ。僕の名前はゆきお。
見ての通り、小さな小さな雪だるまさ。
この家に住んでいる、けんちゃんっていう男の子が作ってくれたんだ。それなりにかっこいい顔をしてるでしょ?
…ううん、そんなことないって分かってる。だって僕、もう半分ほど溶けてしまっているから。
口の葉っぱは落ちてしまったし、目の石も位置がずれてしまっている。頭にかぶっていた小さなバケツは、・・・

1

ウソツキ。

13/11/26 コメント:1件 ミカリ

「ユウちゃんの嘘つきっ!」
ヒステリックな金切り声とともに、スパァンと小気味いい音を立てた俺の頬。
やたらひらひらした洋服とくるくる巻いたエクステをひらめかせて、ユキはどたばたとこのボロアパートから出ていった。もう夜中だってのに。
「ってーな畜生…」
無精ひげをかきながら、ついでにぶたれた頬に手を当てる。女の細腕とはいえ、本気でぶっ叩かれたらそれなりに痛い。元よりぶたれる謂・・・

3

雪鬼

13/11/26 コメント:5件 名無

〜新米保護観察官、新堂真希の記録〜

雪鬼に掴まったのだ、とその少年は言った。

 小さくノックの音が響いて、無機質な白いドアが開いた。現れたのは同僚の篠島で、手には厚いファイルの束を抱えている。
「何か進展はあったか?」
 聞かれて私は首を横に振った。目の前の資料は先程から何も頭に入ってこない。凝り固まった肩を回して、背凭れを軋ませた。
「何でかなぁ…」・・・

1

雪の女王

13/11/25 コメント:4件 いもあん

 ゲルダは旅に出た。カイを取り戻す旅に。雪の女王のもとへと――。


 丘は一面、白い。木々も、山も、農村の家も。およそ一ヶ月、雪は積もったままだ。そして、この真っ白の丘には変人がいる。私は肩にバッグを下げ、今日もその丘へと行く。
「しっかし、よくこんなところにずっといれるねえ」
「いや、結構平気だよ。よく日が当たって、寒いってこともあまりないし」
「……十分、・・・

1

HELLO!! OUR WORLD!!!

13/11/21 コメント:2件 リードマン

Today is coming! Good Morning! HEYHEY! UP the Your tension! Today,I talk THE WINTER as SNOWFALLING!! I like a snow! I very iike the SNOWS!! I LOVE MY ONLY SMALL SNOW!!! HAHAHA!! CAN YOU SPEAK JAPANESE・・・

7

訪れぬ雪解け

13/11/20 コメント:12件 光石七

 雪の絨毯に赤い斑点が染み込んでいく。あの方の血……。大勢の観衆が詰めかけた処刑場に、もう一発銃声が響いた。再び血が飛び散る。執行人があの方の首を切り落とし、高く掲げた。滴る血が更に雪を紅に染める。歓声が高くなった。私は一人震えながら、嗚咽を堪えていた――。

 白い息を吐きながら石畳の道を歩く。アパルトマンまであと少し。一日の労働を終えた私は家路を急いでいた。
「アンリさん、ち・・・

1

12月の初雪Tokyo

13/11/19 コメント:1件 ポテトチップス

「もしもし、明日の有明でのピッキングのお仕事はまだ受け付けてますか?」
『もう定員がいっぱいになりました』
「そうですか。分かりました」
望月友則は公衆電話の受話器を元に戻し、また携帯電話の画面をしばらく見た後、10円玉を緑の公衆電話に入れダイヤルを押した。
『はい、イーストタートルサービスです』
「もしもし、明日の新木場での倉庫内作業の仕事はまだ受け付けてますか?」・・・

2

洞窟モノガタリ

13/11/19 コメント:4件 イノウエヒロト

少年兵はひたすらがむしゃらに歩いていた。

たった一人少年として加えられた小隊で、吹雪の中、行軍中にはぐれてしまったのだ。

少年兵は重たい小銃と背嚢(はいのう)を放棄して豪雪の中を一人、歩いていくのだった。

しばらく歩くと、雪はどんどんと少年兵の体力を奪っていった。
吹雪は強くなる一方で、一面銀色の世界の中、少年兵の視界を奪い体力を奪うも、少年兵はただ・・・

1

美しい世界

13/11/19 コメント:1件 山盛りポテト

-女子高生の会話-

「ねえ知ってる?あの噂」
「知ってるに決まってんじゃん超やばいよね」
「ロマンチックだよねっ」

-日本最先端医療大学 山田功教授の日記-

ニュースでは未曾有の寒波が訪れると言っていたが、今日はひどく寒かった。
世間では、ある噂が流行っているようだが、私からすれば信じられるものではない。
ペンを持つ手がかじかんでう・・・

3

聖夜の出来事

13/11/18 コメント:6件 yoshiki

 一人の少女が雪の降り積もった路を歩いていた。辺りには物音さえなく、小さな長靴が雪を踏む音だけが微かに軋んで聞こえていた。少女はしっとりとした栗毛に利発そうで大きな瞳、襟元には赤いマフラーを巻いていた。息は白い靄になって冷たい大気に漂う。
 少女が足早に街角に差し掛かると、路肩に得体のしれない塊があるのに気づいた。それがもそもそと動いたとき、少女は不安そうに立ち止まった。そして眼を凝らして見・・・

5

咳の夜に思う

13/11/18 コメント:5件 かめかめ

雪の日にひろったから名前はユキ。
手のひらに、ふうわりと軽い、しろい子猫。
母親とはぐれ雪の降りつむ公園で、にーにーと鳴いていた。
私は赤い傘を置き、子猫を抱き上げた。
子猫は私の指をくわえ、力強くちうちうと吸った。
それからユキと私の二人暮らしが始まった。

 目も開かぬころに拾ったせいか、ユキは毛繕いが下手な猫に育った。いつも適当に舌で毛を・・・

5

雪うさぎ

13/11/18 コメント:8件 こぐまじゅんこ

 ほのかちゃんは、小学二年生。
 冬になって朝、布団からでるのに、ひと苦労しています。

 今朝も、寒くて布団の中で、ちぢこまっていました。
「早く、起きなさいよー。」
 お母さんが、台所から大きな声で言うのが聞こえます。
「うーん、だって寒いんだもん。」

 ほのかちゃんは、ぐずぐずしていましたが、えいやっと、気合いを入れて、布団をはねとばし、やっ・・・

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