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第四十三回 時空モノガタリ文学賞【 スイーツ 】

今回のテーマは【スイーツ】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2013/12/16

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ ヒト・モノ・イキモノ
投稿期日 2013/10/21〜2013/11/18
投稿数 59 件
賞金 時空モノガタリ賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

4

コアントローの昼下がり

13/11/18 コメント:7件 朔良

「ゆかり、シュークリーム作ってよ」

 …それを今、この場面で言う?

「ぜぇーったい、いや」

 あたしは小鼻にしわを寄せて、相馬ののほほんとした顔をにらんだ。

「やっぱり?」
「なんで、今シュークリームなんて言うかな? バカなの? 死ぬの?」

 三日前に決別した元彼の新しい彼女が「サークルのみなさんに差し入れでぇっす」って持・・・

12

記念日スイーツ

13/11/13 コメント:25件 草愛やし美

 私は、ケーキを焼いている、スポンジケーキだ。さっき、クッキーも焼けた。香ばしい匂いがキッチンに漂よっている。


 夫に三か月前、離婚を言い渡された。その夜、夫に何を言ったかよく覚えていない。たぶん、罵ったのだろう。夫に女の影を感じてから、もう一年以上になる。夫は、その夜から、平気な顔をして夜遅く帰ってくるようになった。居直ったのだろう。離婚の理由を散々問いただしたが、愛がなく・・・

10

十一月に噛み裂いた花

13/10/31 コメント:18件 クナリ

未明の、自分のアパートの不燃ごみ捨て場の中。
私は、壊れた机らしい木組みに挟まれてうずくまっていた。
短大に通い始めてふた月が経っていたが、友達はできず家族とも没交渉の日々。
こうしてごみの中にいると心が安らぐのは、自分をごみのようだと認識しているからなのだろう。
ふと、目の前で足を止めた人がいた。高校生くらいの、痩せた男子。
これは趣味なので放っておいて、と言う前に・・・

8

シベリア

13/10/24 コメント:17件 そらの珊瑚

 JR御茶ノ水駅で降り商店街を歩く。丸善、レモン画廊を通り過ぎニコライ堂の緑青のドーム屋根が遠くに見えた。約束の店はすぐ見つかった。『兎や』は間口いっけんほどの小さなケーキ屋だった。がらがら……。自動ドアを見慣れた眼には硝子の引き戸が過去の遺物に感じる。
「こんにちは」「はいよー」
 店の奥から声がする。店の棚はがらんとして商品はない。もう予約販売しかしていないというのはどうやら本当ら・・・

最終選考作品

7

シークレット

13/11/17 コメント:14件 そらの珊瑚

 私は苺を潰して食べるのを無上の喜びとする女です。完全に潰すのではありません。
 
 いうなれば半殺しです。苺を半殺しにするのです。
 
半殺しなどと、物騒な言葉を知ったのは、お彼岸の時だと記憶しております。
母がおはぎの材料である小豆の潰し方で、そういう呼び名のあることを教えてくれたのです。
 おはぎとはお彼岸に食べるお八つ。今風にいえば和風スイーツです。・・・

9

ぼたもちのひみつ

13/11/09 コメント:15件 そらの珊瑚

 女なんてつまンない。それは母さんを見ていていつも思っていたことだった。
 女なんてやっかいだ。今は自分にむけて思ってる。どんより重いお腹とその下のどろっとしたヘンなイワカン。
 初潮は初めての月経。その言葉は学校の保健体育の時間で習って何であるのかは知ってた。毎月一回子宮のかべがはがれて卵子と一緒に血になって出てくるって。ぐえっグロい、キモすぎる。それが自分の体の中で今まさに起きてい・・・

6

君の葉を重ねて

13/11/08 コメント:11件 alone

注文していたものが店員の手により僕たちのテーブルに届けられる。
僕の前には一杯のコーヒー。遥(はるか)の前には紅茶とミルフィーユ。
僕は湯気の立ちのぼるコーヒーカップを取り、一口啜る。遥はフォークの先でミルフィーユの表面を撫でながら話し始める。
「ねぇ、人間って、ミルフィーユと同じだと思わない?」
何の脈絡もなく発せられたその言葉に、僕はコーヒーを手にしたまま固まってしまう・・・

9

スイーツ系男子

13/11/07 コメント:15件 泡沫恋歌

 親友の莉奈(りな)から、『相談があるので会って欲しい』とメールが届いた。
 うちは自営業なので昼間の二、三時間なら都合がつくのでスタバで会うことになった。待ち合わせの時間に着くと、莉奈はテラスの席でブラックコーヒーを渋い顔して啜っていた。
 私は注文したココアを持って、彼女の席に着いた。
「急にどうしたの? 何かあったの?」
「う〜ん。ちょっと……」
 なんだか元気・・・

3

放課後の家庭科室

13/11/04 コメント:5件 haruta

 私は調理台に頬杖をついて、こちらを見向きもしないカレシをぼんやりと眺めている。
 将来はパティシエになりたいと言っている椎君は、毎日の様に学校の家庭科室でお菓子を作っているのだ。家のオーブンでは、火の通りが悪くて上手く焼けないらしい。
 私から告白して椎君と付き合うようになったのは二週間前。
 高校の入学式が終わった後に、彼と廊下ですれ違った時に胸がざわめいた。一目ぼれだったの・・・

3

いつもの客

13/10/23 コメント:7件 W・アーム・スープレックス

 蜜子が厨房に入っているとき、彼女に代わってウェイターをしている安野がオーダーを通してきた。
「フルーツパフェがワン」
「はい」
 蜜子はさっそくパフェグラスを用意して、バニラアイスやフルーツ類、ホイップなどを手際よくそこに盛りはじめた。いつもはウェイトレスを務めている彼女だったが、ときにこうして厨房係の安野と交代して注文をこなすことがあった。コーヒーをドリップでいれたり、軽食を・・・

投稿済みの記事一覧

1

隣の彼女は甘いだけ

13/11/18 コメント:1件 汐月夜空

「おお! なんていう素晴らしいものをお持ちなんだ! 見たかよコウヘイ!」
 お昼のショッピングモールで、落ち着いて昼食に臨めるレストランを探して早一時間。やっぱりこの時間帯のレストランで落ち着こうとする方が間違っているんだよなあ、とうんざりしている康平の横で平次はテンションマックスではしゃぎまくっていた。
 平次の視線の先は、もうすぐ冬だというのに胸元までがっつりと空いた、大学生くらい・・・

8

こんぺいとうのとげ

13/11/18 コメント:19件 平塚ライジングバード

―それは、甘い甘い金平糖のトゲに怯えるような毎日だった。

素朴で優しい、美しい色をしたその甘味を何故いびつな形状だけを理由に敬遠したのか。
形あるものは全て有限であり、独特の突起も口の中で転がしているうちにやがて丸くなるし、更に長い時間を経過すれば消えてしまう。

そんな当たり前のことさえ僕は分からず、無意味に彼女を遠ざけ、あまつさえ噛み砕こうとしてしまった。

5

フレンチトースト

13/11/18 コメント:1件 kou

 一本路地を抜ければ十字路がある。
 その右隅に『スイング珈琲』という親しみを讃えた店を構えて四十年の店主である水上伊之助は妻である由美子の安らかな眠りを見届けた。最後の時間軸は創業以来歩み、肉体の一部と同化している、この『スイング珈琲』の香りに囲まれながら天に昇りたい、という願望を伊之助は叶えられ満足と共に寂しさも募る。涙は枯れ果て、最後に作った『スイング珈琲』の名物であるフレンチトースト・・・

5

しあわせのパステルイエロー

13/11/18 コメント:7件 日向夏のまち

甘ったるい恋愛は、幻想だ。
そんな塩辛い事を考えながら、全てをあやふやにする様にホイッパーでかき回す。ミルクと卵のマーブル模様は、あの子の気持ちを表している様な気もした。
あの子――リビングのソファにもたれる、我が娘の事だ。少しひねくれた毒舌キャラ以外は、普通の中学三年生。ただ、

絶賛、初恋にして失恋中だったが。

「もう恋なんてしない」等と呟く始末なのである・・・

2

あの日言えなかった言葉

13/11/18 コメント:3件 ゆえ


「晴れて良かったぁ・・・。」

改札を抜けて、鎌倉の駅の前で由紀は冷えた手を温める為に吐いた息と一緒に呟いた。
前日の天気予報での天気は曇り時々雨。

だが、降り立った鎌倉は青空だった。
前に、翔太と一緒に来た時のようだった。

甘い物が好きだった翔太。
いつも、出かけると「あれも食べる」「これも食べる」とご丁寧に由紀の分までキチンと二・・・

2

香る、夏

13/11/18 コメント:4件 水無月

甘い。
一番最初に思ったことはこれだった。何の一番最初かは彼、水島泉の存在を認識した最初だ。厳しく注意する意味ではなく、単純に嗅覚の方だ。
水島君は俺が生徒会長を務める生徒会のメンバーで、半年間活動を共にしてきた。卒業生のお姉さんの勧めで生徒会に入ったらしい。色白で華奢で童顔で、と俺とは真逆な容姿で女子に持て囃されていそうだが口下手であまり喋ろうとしない為、大人数で行動しているところは・・・

2

甘やかな声に佇む

13/11/17 コメント:4件 四島トイ

 荒瀬のことを考えると、最新型の心拍計でも計測できないような不規則な脈が体中を駆け巡り、胃液が逆流するようなムカつきを覚える。首より上が火照り、形容しがたい気持ち悪さに苛まれる。まるで呪いをかけられたよう。
 それらをぐっと飲み込んで握り拳に力を込める。迎撃体制は整った。
「根本的に面白くないんだよね。この手の携帯小説っぽいもの」
 文芸部の部室が凍りつく。
「スイーツ(笑・・・

1

幸せの大福

13/11/17 コメント:1件 汐月夜空

 昔々、里から遠く離れたあるところに、三人の若い兄弟が居た。
 長男はせっかち者で、楽しいことはすぐに実行しないと気が済まない男だった。
 次男は計画上手。酸いも甘いも計画通りに行わないと気が済まない男だった。
 三男はのんびり者。楽しいことは最後まで取っておく男だった。
 そんな三人のところに唐突に神様が現れることから物語は始まる。


「それで、この大・・・

10

プリンの力

13/11/16 コメント:20件 草愛やし美

 そのプリンは、オーラを放っている。冷たくプルルンと揺れる卵黄色したプリンは夢の世界を醸し出す。誰よりも、待っていたのは私達親子だった。

 昭和五十九年、少し肌寒い春の日。
「さあ、行こう、じいちゃんばあちゃん、待っているで」
 息子二人は、嬉しそうに自分達の荷物をリュックに詰める。終業式を終えたその日、私達親子三人は隣県にある実家へ遊びに行った。小学四年の長男は、少し風・・・

1

アップル・パラダイス

13/11/16 コメント:2件 ヨルツキ

 まどかが大学のサークル棟でブログの更新をしていたときだ。物音がした。振り向くと窓辺に何かが置いてあった。白い箱だ。そのひと抱えはある箱を覗いて、まどかは首を傾げた。
「ケーキ? リンゴのタルトかしら?」
「え、ケーキ?」とほかの菓子同好会のメンバーがまどかに群がった。「わあ、美味しそう」。「食べよう食べよう」。
「あの……誰が持って来たのかわからないケーキだし。危なくはないかし・・・

4

バースデーケーキ

13/11/16 コメント:9件 murakami

 ベッドに入ってしばらくすると、いつものように階段を上がってくる音がした。
 一段ごとにみしっ、みしっと、踏面が軋む。
 父が亡くなって、四十九日はとうに過ぎていた。この日を過ぎたら納骨しなければいけないということはわかっている。けれど、私は大好きだった父を――、父の遺骨を、まだ手放すことができずにいた。針金を解いて骨壺の中から取り出した骨の欠片を握り締め、父の優しい足音を子守歌がわり・・・

3

Dear Anna

13/11/15 コメント:4件 小田イヲリ

――ザー……。

 突然の雨に降られて、俺は店名も確認せずに喫茶店へ飛び込んだ。客は、平日の昼間のせいか、俺一人だ。店主に呼ばれるままカウンター席へ座り、コーヒーを注文する。それから、ぼんやりとメニューを確認していると、聞き慣れない名前を目にする。

「ババ……ロア?」

思わず声に出して首を傾げると、

「珍しいですか」

店主が声をか・・・

2

初めてのバースデー

13/11/15 コメント:4件 タック

――さあ、焼けた。うまくいったかな。

 ミトンを着けながらキッチンへ向かう。オーブンを開けると香ばしい匂いが漂い始めた。その香りに成功を思う――が、ケーキの表面は黒く焦げていて、奇麗にいかない現実に僕はため息をつく。何と似つかわしくないケーキなのか。能力の欠如に辟易しながら、僕は飾られたテーブルにケーキを運んだ。

――焦がしてしまったよ。練習したんだけど、難しいね。やっ・・・

1

幸福

13/11/15 コメント:2件 山中

 わたし達の過ごした時間を思い出してみる。忘れかけた記憶を探すには集中力が必要だ。それはあなたとの関係が希薄なものだったということではないのよ。そうではなくて、何か大きなものに支配されてしまったということ。
 マイルス・デイビスを聴き終えてからペール・ギュントの「朝」を耳にしたときのような、劇団四季を見た後でブロードウェイを鑑賞したような、そういったとても印象深いものに塗りつぶされてしまった・・・

1

こしあん事件

13/11/14 コメント:1件 五助

 業務用の饅頭蒸し器の隙間に男が押し込められていた。饅頭の甘い匂いがする。共に蒸されていた男は死んでいる。
「まさかと思うが饅頭を盗み食いしようとして蒸し焼きになったって事はないよな」
 警部は言った。
「落語ですか。生きたまま閉じこめられたわけではなさそうです。後頭部に打撲痕があります」
 検視官が言った。
「饅頭と一緒に死体を蒸し上げたわけだな」
「別の場所・・・

1

とろとろり

13/11/14 コメント:1件 来良夢


 透明に、べとべとする。

■□■□■

「バレンタインなのにさ、本命なのにさ、思いっきり既製品チョコってどうなの?」
 炬燵から首だけ出したこたつむり状態の彼は、さっきまで外していた眼鏡をかけ直してこっちを見上げていた。脱ぎっぱなしの制服の上着がだらしなく床に放り出されている。
「贅沢言わないでよ、このでんでん虫」
「え、でんでん虫? なんで、と・・・

2

スイートポテト

13/11/13 コメント:1件 雲鈍

 おいしくない、と思った。彼の好きなスイートポテト。黄金色をしていて、消しゴムぐらいの大きさ。私はそれを手に取って、端っこからもしゃもしゃとかじっていく。
 口に広がるのは芋本来の甘さ。その甘さはしつこくなくて、優しくて、まるでお母さんのような味だ。手作りだからかもしれない。けれどおいしくない――、いや違うな、物足りないのだ。ケーキみたいに砂糖をふんだんに使ったお菓子に慣れてしまっているから・・・

1

サエ子

13/11/12 コメント:1件 おもち

 サエ子の部屋はいつも甘い香りが充満していた。六畳半のその部屋にはベッドと机しか置かれてなく、今時の大学生にしては酷く殺風景に思えた。
 しかし私はそんなサエ子の部屋が好きだった。私が部屋を訪れる度、サエ子は自作のケーキを私に振る舞ってくれた。ここ一週間では肉の入ったケーキや、魚でも入れたかと思う程の生臭いケーキが出されたが、サエ子は研究熱心なんだなあと、むしろ感心した。食べる事が大好きな私・・・

1

甘いばっかりじゃ

13/11/12 コメント:1件 山盛りポテト

たけしは意を決して今年65歳になる母親から二百円を受け取った。
「たけしちゃん。本当に大丈夫?本当に行くの?お母さんは嬉しいけどほんとに平気なのね?」
「うるせえんだよババア。俺は決めたんだ。今からコンビニへ行ってケーキを買いに行くんだから」
たけしは10年間一歩も家から出ない引きこもり生活を続けいた。
高校卒業後、進学も就職もせずに、日夜ネットゲームに明け暮れた。
・・・

7

第2木曜日の贈り物

13/11/09 コメント:11件 ふぐ屋

毎月、第2木曜日に届く彼女からの贈り物。
薄紫の紫陽花の模様が施された正方形の箱を、僕は開けなくなってもうすぐ2年になる。
最後に彼女と言葉を交わしたのは、今から12年前、8歳の夏休み最後の日。
ランドセルには夏休みの宿題を、デパートの紙袋には彼女と一緒に作った
貯金箱を大事に入れた時だった。

『・・・ねぇ、一緒に、ホットケーキ作ろうよ。最近、全然作ってないで・・・

2

甘味

13/11/08 コメント:4件 タック

 真っ当にならなくてはいけません。怒られないようにしなければなりません。

 お菓子が好きです。甘くて、ふわふわして、痛いの無くなるお菓子が大好きです。お菓子はいやな気持ちをどこかに飛ばしてくれます。だから食べたいなあ、と思いますが、今は食べられないので、わたしはとっても悲しくなります。お口が苦くてしょうがないのです。
 
 こどものころは、食べました。おじさんがたまに買っ・・・

3

ケーキの甘さと姉の優しさ

13/11/06 コメント:3件 睦月広高

「ケーキを作ってみたんだ。輝、食べてみる?」
「食べる!」
 姉の作ったケーキが大好きだ。
 いつも殴ったり、意地悪をしたりする姉が、ケーキを作った時だけ優しくなる。
 ケーキの甘さも一時の姉の優しさも俺の心を和ませてくれた。
 小学一年のある日、僕は姉の真似をしてケーキ作りに挑戦した。
「えーっと、牛乳を入れて……。次は卵かな? えっと小麦粉も入れるんだよね。・・・

4

甘味症候群

13/11/05 コメント:8件 猫兵器

 よく熱した中華鍋にごま油を引き、みじん切りのニンニク、生姜、葱を手早く炒める。豆板醤を加えて、少し長めに火を通す。近くで見ていたハルちゃんが気化した豆板醤を吸い込んで自爆しているが、構ってなどいられない。
 豚挽肉を豪快に投入し、適当なところで甜麺醤中心の合わせ調味料と、熱々の中華スープを注ぐ。火力を最大にしてぐらぐら煮立たせ、下茹でした木綿豆腐と絡める。一旦火を止め水溶き片栗粉。とろみが・・・

2

黄昏スイーツァー

13/11/04 コメント:3件 遥原永司

 真夏の夕方はまだ明るく、うだるような暑さのなかを、空気を読まずに突っ走る元気な姿があった。
「ただいまぁっ!」
 帰宅するやアサコは冷蔵庫まで一直線、満面の笑みで冷凍室を開ける。
 途端にその顔が曇る。
「お、おねいちゃぁん……」
 一転、ふらつきながら少女は居間の姉へと声をかけた。
 三つ上の中学生のマヒルは、エアコンの効いた部屋で立ったままゲームのコントロ・・・

7

Bye bye オレンジチョコレート

13/11/04 コメント:11件 朔良

 午前一時。
 僕は、時間をかけて丁寧に珈琲を淹れ、大嫌いなチョコレートを一口齧った。
 口腔で溶けるなめらかなチョコレートとオレンジピールの苦み。
 甘いもの好きな君がくれたチョコレートはさすがの味で……。でも、やっぱり僕は、チョコレートが嫌いだと思う。

 大きく伸びをして、狭いアパートの窓を開ける。
 少し冷たい夜風と秋の終わる匂い。遠い夜空の星。
・・・

2

メリークリスマス

13/11/03 コメント:2件 いもあん

 四時間目の授業が終わってすぐ、弁当を食べる前のこと。担任の小川先生が教卓に立った。
「はい、皆さん。えっと、あさっては高校生活最後のクリスマスということで、沖田君がお菓子を!作ってきてくれたそうなので、みんなでいただきましょう」
 沸き立つ歓声。弁当を外で食べようと教室を出かけていた人たちが、ぱっと振り返る。沖田君は恥ずかしげににやついていた。
 沖田君が?初耳だお菓子を作れる・・・

5

Black and White

13/11/03 コメント:7件 しーぷ

「俺と付き合ってください」
「無理」
優が放った一言を、私は間髪いれずねじ伏せた。嫌いじゃない、大好き。優は幼なじみ。友達から恋人へと変わってしまうと、なんか、恥ずかしい。
「じゃあ」
「ん?」
「お前が美味いって叫ぶくらい、そんくらい美味い菓子を作ったら、そしたら付き合ってくれ」
こいつは突然何を言ってるんだ。お菓子なんか作ったことないくせに。
「あん・・・

5

卑弥呼が愛したスイーツ

13/11/03 コメント:9件 鮎風 遊

 魏志倭人伝に〈南至邪馬壹國女王之所都水行十日陸行一月〉とある。
 つまり不弥(ふみ)国、現在の福岡市箱崎を起点に南へ、いやこれは間違い。東へ海路十日、もしくは陸路一月で、女王が統治する倭国の首都・邪馬台国に着くという。
 そして、〈卑彌呼事鬼道能惑衆年已長大無夫婿有男弟佐治國自爲王以來少有見者以婢千人自侍唯有男子一人給飲食傳辭出入〉、すなわち女王・卑弥呼は鬼道の宗主。夫を持たず、高齢・・・

2

げろあびた

13/11/03 コメント:5件 rug-to.

「ちゃんとしたい」と「やってられるか」との二つに脳みその中身が分裂し、常に熾烈な争いを繰り広げている様子をなす術もなく呆然と眺めている。
 闘っているのは自分、眺めているのも自分、戦場も自分である。有益なことなど何もしていないのに私は疲れ果てる。

 そんなときは無力な女子高生的存在がひどい目に遭っている映像が無性に観たくなり、レンタルDVD屋をうろうろと歩く。うつろな眼で棚の間・・・

2

退屈なカフェ

13/11/01 コメント:2件 Closed

「俺は気に喰わないね。受け入れる奴がいるってんならそいつらだけで勝手にやってろよ」

こうなることは分かってた。瞬はノイズの入った音は大好きだ。だけど頭にノイズの入ったフワフワ女子が大嫌いなのだ。だから私はあらかじめ次の一手を用意していた。瞬のリーダーシップがなくては私たちの学園祭は絶対上手くいかない。だから頑固な瞬を乗り気にさせる秘策が必要だった。お父さんがいつだか私に言ってた言葉を・・・

2

パラレルケーキ

13/11/01 コメント:2件 キリト@イェーガー

 最近気付いた事なのだが、私は甘いものを食べると自分の知らない記憶を思い出すことができるらしい。
 自分でもわけが分からないが、それは明らかに自分が所有している記憶とは異質な記憶なのだ。確かほんまもんのレアチーズケーキを食べた時、頭に電撃が走るような衝撃を受けて、その瞬間“フードを被った男のにやけ顔”が見えた。暗い場所ではっきりとよく分からなかったのだが、目の前に黒いフードを被った男が気色の・・・

2

甘い話を聞かせておくれ

13/10/30 コメント:1件 ライオンさん

「んっんー、甘い、甘いね。君の妄想」
彼は紅茶を飲む。お菓子を作っていたようで、その服装はブレザーの上にエプロンだ。
「君も大方、誰かに俺のウワサを聞いて来たんだろう」
調理部部長にして高校生ながらパティシエの資格を持っているイケメンの彼には、もう一つの顔がある。
それは、僕のような恋に迷う学生の相談に乗り、それを成就させてくれるという……。
「そう、『七高のラブパテ・・・

4

スイーツ・カフェ [ Whats new ? ]

13/10/29 コメント:8件 鮎風 遊

 単身赴任中の貴史、休日にブランチしようと張り切ってアパートを出た。行き先は以前から気になっているスイーツ・カフェ[Whats new ?]
 何か新しいこと、ある? って、新作スイーツでもあるのかな?
 貴史は看板を目にした時、興味を持ち、そして今日ワクワクしながら自動ドアーの前に立った。

「えっ、洋介に舞子、なんで、ここにいるんだよ!」
 カウンターの中にいる二・・・

4

魔法のノート

13/10/29 コメント:6件 染井 ヨシノ

小さい頃の私の夢。
「お母さんみたいな魔法使いになる」
優しく暖かい母は、私の憧れ。
覚えてるのは、甘い匂いと母の笑顔。母の手には、いつも1冊のノートが握られていた。そのノートのページを開き、エプロンの紐をきゅっと結ぶ。
「今日は、何を作ろうかな」
私がケーキを食べたいと言うと、嬉しそうに作業に取りかかる。
キッチンは、魔法使いの母の場所。
魔法のノートを・・・

2

我がため息は地殻を突き抜けるか

13/10/29 コメント:4件 rug-to.

「……はぁ」


自分でもこれ以上はないと思うほど、重い重いため息で始まる一日。
いや、毎日。

私のため息はとてつもない重量を含んでいる。
地殻を突き抜けて、マグマを通り抜けて、果てしなく行ってしまう。

そしてブラジルの皆さんの元気まで奪ってしまう。

―――そんな妄想をする。


ごく一般的に、ごく客観的に自・・・

2

いつかチーズケーキのなくなる日

13/10/29 コメント:4件 四島トイ

 切ないなあ、と駒野先輩が呟いた。一方、わたしはチーズケーキと紅茶の相性の良さに夢中だった。学校帰りに寄った駅ビルのカフェでのことだ。顔を上げて、向かいの席に座る先輩の綺麗な黒髪を見やる。
「どうしたんです先輩」
 先輩はふうっとため息をついた。その仕草が艶っぽくもあり、反射のように見とれてしまう。
「ケーキはいつか消えるのよ。誰かのお腹の中に」
 テーブルから椅子まで珈琲・・・

3

グリーンゼリー

13/10/28 コメント:4件 マナーモード

 冷蔵庫の冷蔵室の下の方の奥の、少し薄暗くて目立たないところに、それはひっそりとしまわれていた。樹脂製の透明な、小さなカップである。その中に、ライトグリーンのフルーツゼリーが入っている。それは、メロン味のフルーツゼリーではないかと、小生は思った。赤ワイン色ならばグレープ味、ピンク色ならば桃の味、オレンジ色ならばみかんかオレンジの味だろう。それらのものはなく、いつもメロンゼリーだけが置かれていた。<・・・

1

イングリッシュ トフィー

13/10/27 コメント:2件 Halka

   くしゃっとしたグリーンのセロファン、縁は金色。それを伸ばして向こうの空を透かした。きれいだなと思って見ている。
中身は今口の中。イングリッシュトフィー。とろける味を舌先で転がしながら、楽しんでいる。
 
 その時だった。「アメ食べてるの?」と声がしたのは。
振り返ると、そこにはなんとも人懐こい笑顔をした、でも知らない男の子がいた。
「僕、君と友達になりたい。」<・・・

2

あるひとりのプディング

13/10/26 コメント:2件 タック

「――どうぞ」

「――これは?」

「みなさんにお出ししているものです。どうぞ」

 ――若く、身なりの整った男が差し出したのは、カップに収められたプディングだった。女は困惑する。説明のないままにテーブルに着席させられ、いきなりスイーツを出されたのでは、ありがとう、と受け取るほうがどうかしている。そう思い、女は目の前のスプーンを手に取ることなく、男とプディング・・・

8

スイーツルーレット

13/10/24 コメント:13件 yoshiki

 永田稔は黙って目を閉じ、チョコレートパフェを口元にもっていき、生クリームの部分を舐めようとしたが、計り知れぬ戦慄が重く圧し掛かって舌先が硬直した。とうに唇は渇き、顔面蒼白で目さえ虚ろだ。なぜに、この一流パティシエがつくったチョコレートパフェがそんなに恐ろしいのか?
 中に青酸カリウムが混入されているからだ。この毒物を経口摂取すればおよそ十五分以内に中毒死する。
 暗い部屋の中、小さな・・・

2

食べることが大好きだった私へ

13/10/24 コメント:4件 蓮之愛

小さな頃、私は食べることが大好きだった。三食しっかり食べ、暇な時、お菓子を食べていた。食事はお母さんがよそってくれた量だけを食べていて、お菓子も、グミや飴を常に舐めていた程度だったから、太ってはいなかった。

お母さんの料理は美味しかった。お母さんと一緒にお菓子を作ったりもした。お母さんは、甘いものがあまり好きでないのに、私たち娘のために。お弁当を持って、緑が綺麗で広い公園にピクニック・・・

2

アマイアマイ病

13/10/24 コメント:5件 メラ

 ああ、美味い。あまーい。ぞくぞくする。鳥肌が立つ。頬っぺたが落ちるとよく言うけど、顔面すべてがとろけそうだ。
 オレのばあちゃんは「イタイイタイ病」の人を知っていると言っていた。いや、別に公害の話をしたいわけではない。オレが言いたいのは、オレはもう何ヶ月も「アマイアマイ病」だという事で、それはただ響き的に語呂がいいだけで、不謹慎にもイタイイタイ病の話しなんか持ち出してしまったのだ。
・・・

2

おお、麗しのサバラン

13/10/24 コメント:4件 かめかめ

「すみません、サバランはありませんか?」
洋菓子店の扉を開けると佐和子は真っ先にそう尋ねる。返ってくる答えは十中八九
「やってないですねえ」。

サバラン。
フランスの美食家の名前を冠するこのケーキの歴史は古い。
伝統的なフランス菓子であるがゆえ、日本にも早くに紹介された。
やや古臭い印象なせいか今ではなかなかお目にかかれない。

佐和子がこの・・・

2

ありがとう

13/10/22 コメント:5件 YF-36

「えぇ?欲しい物?そうだねぇ〜、久しぶりに甘い物でも食べたいね。」
「わかった!」
答えを聞くや否や、小さなインタビュアーは一目散に部屋を飛び出して行った。
またもや一人ぼっちになってしまった私は、窓の外へと目をやる。自分の目線だと、澄みきった青空が顔を覗かせるばかり。
季節は春。私にとっては可愛い孫娘が春風そのものだった。

__しかし誕生日なんて言われても、・・・

3

夕張メロン 涙の思いで

13/10/21 コメント:7件 プリオ

私が7歳の頃の思い出です。
当時の私は、メロンが世界で1番おいしい食べ物だと思っていました。
緑色の宝石の様なアンデスメロンをはじめて食べたとき、
「この世にこんなにおいしい食べ物があったなんて!!」と感激したのをよく覚えています。
メロンを食べさせてもらう時は、一口一口噛み締め、皮に残ったわずかな果肉にまでしゃぶり付いていたほどです。

ある日、母と一緒にお友・・・

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祖母と伯父とバームクーヘンと

13/10/22 コメント:16件 光石七

 二年ぶりに実家に帰省した。父も母もバス停で待っていてくれた。久しぶりの孫たちとの再会に顔がほころんでいる。
「柊平君はやっぱり来れないのか?」
父が少しがっかりした声で聞いてきた。
「うん、仕事が大変みたいで。お父さんと一局指したかったのに、ってぼやいてた」
「そうか、残念だ」
将棋という共通の趣味を持つ父と夫は、会えば必ず対局する。父はパソコン等が苦手なため、オン・・・

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スィーツ星人

13/10/21 コメント:6件 W・アーム・スープレックス

 他の惑星からの訪問者を迎えるとき、なにが困るかというとそれはやはり、食べるものだった。まあ我々でさえ、カエルや昆虫を好んで食べる国へでかけるときは、それなりの覚悟を必要とする。しかし親善目的で飛来する大使に、そんな覚悟を期待するわけにはいかない。今回のスィーツ星人たちにはその気遣いは無用だった。というのもかれらは、自分たちの食糧をわざわざ宇宙船に積んでやってきたのだから。
 歓迎パーティの・・・

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思い出のスイートポテト

13/10/21 コメント:8件 こぐまじゅんこ

 これは、本当にあった話である。

 娘が、保育園に通っていたころ、いもほりをしてきた。
 保育園の近所の畑で、さつまいもをほる行事だ。ほったさつまいもは、子どもたちみんなに分けられ、娘も、二本、しっかりにぎって持って帰ってきた。

「お母さん、おいもほってきたんよ。とっても楽しかった! なにか、おいもで作って!」

 にこにこ顔の娘から手渡されたさつまい・・・

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たまごのふわふわ ゆでぷりん

13/10/21 コメント:7件 かめかめ

たまごのふわふわ ゆでぷりん

   材料(2人分)
卵      2個
牛乳   1カップ
砂糖   大さじ1
蜂蜜     適宜

   作り方
1. 卵をよく撹拌し砂糖を混ぜ溶かす
    (泡立てない)
2. 牛乳を小鍋で煮立たせる
3. 牛乳の表面にできた膜を取り除く
4. 鍋肌に添わすように卵液を流しいれ、す・・・

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