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第三十九回 時空モノガタリ文学賞【 待つ人 】

今回のテーマは【待つ人】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2013/10/15

※注意!R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ ヒト・モノ・イキモノ
投稿期日 2013/08/26〜2013/09/23
投稿数 68 件
賞金 時空モノガタリ賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

1

夢待ち

13/09/23 コメント:2件 堀田実

 いつになっても訪れない夢に金城孝之はやきもきした気持ちを抱えながら、ギィギィと音を立てる古びた椅子の背もたれに凭れ掛かっていた。指折り数えながらいったい何日が経過したかを思い返してみる。日の光がカーテン越しに淡い色を放ちながら注いで部屋の隅から隅をぼんやりと照らし出している。角の木枠に隠れていた蜘蛛もそっとタンスの背後へと隠れる。小学生になると同時に買ってもらった勉強机には蕾のままのチューリップ・・・

12

無人駅の子

13/09/20 コメント:27件 草愛やし美

「しいちゃんここで待っていて、母さん、すぐに戻って来るからね」
 そう言って母は、改札を出て行った。田舎の駅、初めて来た知らない駅。誰もいないホームにポツンと一人残された私は、母を待った。手には母が置いていったジュースの小瓶と、少しばかりの菓子の入った袋を持ち待っていた、何時間も無人駅で。最終列車らしきものが、通り過ぎても母は戻って来なかった。山奥のその駅の近くの人からの通報で、私は、その駅・・・

3

待ち人来る

13/09/05 コメント:5件 メラ

「待ち人来る」
 確か正月に近所の神社で初詣した時、おみくじにはそう書いていたと思う。夏美はそんな事を思い出したが、それは今の状況にとってなんの慰めにもならなかった。
『ごめん!どうしても仕事が終わらない。必ず埋め合わせはするから』
 交際相手である雅人からそんなメールが届いたのは、待ち合わせ場所に着いてからだった。
「ありえない」
 夏美はそう思ったし、そう返信した・・・

3

桜で終るふたつのストーリー

13/08/28 コメント:5件 W・アーム・スープレックス

 昭和九年 三月吉日

 一日千秋の思いとは、この事でございましょう。
 いつも、手紙をポストに投函してからというもの、あなたからの返事を待って、気もくるわんばかりの日々を送らなくてはなりません。
 いっそ汽車に乗って、あなたのところまで一散に飛んでいきたい衝動に、何度駆られた事でしょう。
 けれども、いくつもの山河を越え、方言さえ異なるあなたの町に何日もかけて・・・

15

カミツレとジギタリス

13/08/26 コメント:18件 クナリ

辺境の女子孤児院を、リラの花弁が彩る季節が来た。
十年前の革命暴動の際の孤児が多く居るこの施設で、私とフラヴォアは七歳の時に出会った。今年、お互いに十七になる。
フラヴォアは貴族の血を引く端麗な容姿の持ち主で、その金髪碧眼は院内でも目立っていた。毅然とした立ち居振る舞いに憧れている子も多く、彼女と友達であるということは私の自慢でもあった。ただ、友情と言うよりは、憧れに近い感情ではあった・・・

最終選考作品

6

星を待つ人

13/09/24 コメント:11件 平塚ライジングバード

寝る前に部屋のカーテンを少し開ける。
それは夜風を取り込むわけでも、月を眺めるためでもない。
僕はただ待っているのだ。
その隙間から、切り取られた夜空から、彼女が顔を出すのをただただ待ち望んでいるのだ。



僕の初恋の相手は宇宙人だった。
異性に興味を持ち始めた思春期、朝方に出会ったばかりの女の子から突然「好き!」と告白され、ファーストキスを奪わ・・・

7

星飼いの夜

13/09/22 コメント:9件 猫兵器

 夜がひっくり返ったような閃光と、雷みたいな大きな音に、星飼い姉弟のリーシュカとトアは思わず首を竦ませた。
「……びっくりした」
「星が墜ちたのね」
「こんなに近いのは初めてだ」
「行ってみる?」
「リシュが行きたいんでしょ。いいよ」
 何日も降り続いた大雨で、姉弟の狩場である硝子の砂漠は半分水没していた。
 あちこちにできた水たまりを、龍の革を鞣したブー・・・

1

13/08/26 コメント:2件 田太浪

 海岸に立っていた。鉛色の海が白い曇り空の下に広がっている。はてしなく続く灰色の砂浜は静かに寄せる海の水にグラデーションをなして溶け込み、自分が海の上に立っているかのような錯覚を抱かせる。時々吹く海からの冷たい風の生臭さに思わず顔をしかめた。境界もなく無限に広がる世界の中で、いつか自分の立つ場所を見失っていた。海に背を向けてどこまで歩いても波は私を追ってきた。海に飛び込んで死のうとも思ったが、一歩・・・

投稿済みの記事一覧

1

欲しがる者は

13/09/23 コメント:1件 汐月夜空

「あー、良い男いないかなあ」
 深夜のファミレス。また君が僕の目の前でそう言った。
 そうだね。僕はきっと良い男じゃないんだね。少なくても君にとっては。
 そんな当たり前なことに幾度となく傷つきながら、僕は君の待つ言葉を投げかける。
『大丈夫だよ。君はかわいいから』
『すぐ良い人が見つかるって。僕が保障する』
『でも、君の周りに居るやつは本当に見る目がないから大・・・

3

夏の終わり

13/09/23 コメント:6件 つるばた

「私の美しさの前に声も出ないって感じ?」
 ウエディングドレス姿の恋人を前に呆然と立ち尽くす黒沢正人を見て、京子は揶揄するように言った。
「うるさいな。でも……綺麗だよ。本当に綺麗だ」
「ありがとう」2人ははにかむように笑った。
「正人が来るまでにね――昔のことを思い出してたの。結婚式のときに正人に話そうって決めてたんだ」
「昔の事?」
「9月末くらいだったかな・・・

0

空の君

13/09/23 コメント:0件 来良夢

待つ人


 僕の筆箱はもうぼろぼろなんだ。でもそれは僕がこの筆箱を乱暴に扱ったというわけではなくて、もともとこれは僕のではなくて、僕が使い始めたときにはもうかなり古くなっていたんだ。
 これを初めて手にしたのは小学校6年生のときで、その頃はそう、僕はまだ今よりはクラスに溶け込めていた。派手な女子たちがいて、サッカーの好きな男子たちがいて、ごくたまに勉強好きな子がいて、僕は・・・

2

霧の晴れた街へ

13/09/22 コメント:1件 サンジェルマン

 部屋の窓を開けると冷気が流れ込み、酒で温まった私を鎮め去っていく。
十二階から見える周りの高層ビルは空を侵食し、夜空には僅かな空間しか与えていない。
夜空は与えられた空間から、街を静めようとしている。

 索漠とした風景を誤魔化すためなのか、街に霧が覆いかぶさっている。
覆いかぶされたビルからは、橙と白の生活の明かりが外へと流れ、
霧に色をつけている。・・・

0

いつもの定位置に向かった

13/09/22 コメント:1件 ゆめ

少し小腹がすいたので、ふらりと外へ出た。どこへ行こう。何を食べよう。特に何も考えずに外へ出た。
昨日から外がにぎやかだなぁと思っていたが、どうやら近くの神社でお祭りをやっているみたいだ。珍しく時計も持たずに外へ出た私は、今が何時だかわからないがとにかくおなかが減っていたので、マスクを付けたままパジャマの用な服装で神社の中に入っていった。
いつもは朝の4時半に目覚めたときにたまに挨拶にく・・・

1

執行の時を待つ者

13/09/22 コメント:1件 つるばた

「神様っていると思うか?」
 マイクがコーヒーを飲みながら雑誌を読んでいると、同僚のジョンが話しかけてきた。
「うん? キリストのことか?」
「キリストでもアッラーでもいいが、神とよばれる存在がだよ」
「うーん、そうだなあ……」
 ジョンは古代文明とか地球外生命体とかオカルト話が大好物で、暇があれば議論を吹っ掛けてくる。まあいつものことだ。
 マイクが天井を仰ぎ・・・

7

漂流の果てに

13/09/21 コメント:13件 そらの珊瑚

ぼんやりと意識が覚醒していく。――俺は生きている? 重い瞼を開けば、そこは見たこともない砂浜だった。夢じゃないか?
ジャリッ。口に中まで砂まみれで、濡れた身体は鉛にように重かった。まるで他人の所有物のようだ。なんとか起き上る。朝日が眩しかった。
 助かったのだ! 昨晩乗っていた船は時化に合い、あっけなく沈み俺は海へ投げ出されうねりの中で無我夢中で板をつかんだ後、意識を失った。荒れ狂・・・

2

愛をください

13/09/21 コメント:3件 たっつみー

 私は、誰かを待っている。それは誰でもいい。そう、誰でもいいの。だって、私は――あなたに出会うまでは、そう思っていた。

 私はあなたを愛しています。
 まだ、出会って間もない私が、こんなふうに思っているなんて、あなたは笑うかもしれません。笑うも何もありませんね。あなたにとっては出会ってもいないのだから……。あなたを見た瞬間、私の心が惹かれた、ただ、それだけ。
 これをひと・・・

1

夜襲直前

13/09/20 コメント:1件 イノウエヒロト

周囲はもうすでに帝国兵に囲まれていた。
シスコ島に巨大な壕を敷き抵抗を続けるバルム同盟軍をオルハン帝国が囲み何度かの戦闘が起きた後、バルム同盟軍の部隊は壊滅寸前までぼろぼろになっていた。

大事な戦友や指揮官を多く失った部隊群のやせ細った兵士達は生きて容易に生還する事ができないことを知ると人望の厚い、実力あるリーダー、葦原ダイチの元に身を寄せ、指示を待っていた。

日・・・

1

待つ祭

13/09/19 コメント:0件 世魅

小さく、濁った息を吐いた。
その息の行き着く先は心なしか薄暗く、わたしの不安を煽るような色をしていた。
近くのお店を覗いても、綺麗に磨かれたショーウィンドウに冴えない顔のわたしが映るばかり。今日はせっかくおめかししてきたのに。
また一つ、ぬるいため息をついて空を見上げる。

暗い。さっきまでまだ夕焼けが街を照らしていたのに。なんて早い。

耳をすましてみれ・・・

5

かぜまち

13/09/19 コメント:6件 猫兵器




 ずっと風を待っていた。
 こんなに暖かくなったのに、風はまだ吹かない。
 引っ張られるように空を仰ぐと、初めて見るような蒼穹が大口をあけて笑っていた。

「ニーネ、降りておいで。いつまでそんなところに登っているんだい」
 おばあちゃんだ。
 ニーネは軽快な足取りで屋根の縁まで歩き、下にいるおばあちゃんに顔を見せた。
「だって、いつ・・・

2

待ち人達

13/09/19 コメント:2件 四島トイ

 揚げ出し豆腐が来ない、と大渕が吼えた。頬は朱に染まり、酒が回っているのは一目瞭然。ただ、小山のような体格の彼が叫ぶ様子は、夕暮れの山びこを眺めるようで壮大な気分にさせられた。
 大渕は、ひっひっふうっと息を吐きながら卓上のメニューをめくった。
「頼んだよな。なあ、津田。俺、頼んだよなあ」
「どうだったかな」
 正面に座る津田が、いつもどおりの柔和な笑みを浮かべたまま小首を・・・

1

「救助を待つ」という周囲の幻想

13/09/17 コメント:2件 タック

 垢が浮いた肌からは異臭が立ち上る。艶の無い髪。歯垢に塗れた歯。憧憬の眼差しに晒された制服には皴がより、その効果と清潔さを無残に失っている。私は、そんな自分の姿を新鮮な面持ちで見回した。
 日光と世間から隔絶されたマンション内の和室。畳の上にはごみが散乱し、澱んだ空気が室内には充満している。穢れた一室。およそ、経験したことのない状況。その中で私は糸の切れた人形のように、ただ、無気力に座り込ん・・・

1

おいっ! こっちを見ろ!

13/09/17 コメント:0件 たっつみー

 拙者は、ここにいてはいけない。それを奴≠ノ早く伝えなくてはならない。

 拙者は静かなる場所にいる。とはいっても、誰もいないわけではない。周りには男もいれば、女もいる。だが、誰もが口をつぐんだまま、この時を過ごしている。そんな中に奴もいる。早く気付かせなくてはならない。拙者がここにいるということを。
 おいっ! 拙者じゃ、拙者がここにいるぞ。
 周りに気付かれぬように無・・・

6

スカボロー奇譚

13/09/17 コメント:11件 そらの珊瑚

水晶の小舟は、常若の国のひとつであるスカボローの浜辺に着いた。
 
 しらじらと昏い夜が明けようとしている。砂浜には誰の姿もない。
 舟べりを蹴って、ケヴィンは一気に砂浜に降り立った。まだ舟の揺れが身体に残っているとみえ、振り子の玩具にでもなったように、ゆらゆらする。
 
 船頭に礼を言おうとして彼は振り返ったが、舟ごと忽然と消えてしまっていた。
 そうこうし・・・

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プレート王国物語

13/09/16 コメント:0件 日向夏のまち

「ふははははは!この時を待っていたぞ我が宿敵よ!」
「あぁ、オレもさ。魔王。ずっとずっと、てめェを打ち倒し、乗り越える日を待っていた!」
「はっ!そう簡単に行くとでも思っているのか?貴様が、貴様の弱点を知り尽くしたこの儂に、勝てる訳が無かろうに……!」
「それはどうかな……今のオレには、心強い仲間と、この伝説の武器、トライデントがあるんだ!」
「なっ、それはっ!?」
・・・

1

続編希望

13/09/16 コメント:0件 NOGAMI

 年末も押し迫った12月20日、私は商品企画室に届いたメールをチェックしていた。一日に数十通届くメールの大半は、何が書いてあるのかさえ分からない英文のスパム。ユーザーから届いたものも数通混じってはいるが、そのほとんどがクレームだ。スパムメールを慣れた手さばきでゴミ箱へと移動させる。
 カチッ、カチッ、カチッ、あっ…
 マウスをクリックする指が止まった。

 件名:オールドキ・・・

1

携帯写真家

13/09/16 コメント:0件 とおや

 女子と飲みに行くことになった。
入ったのは、小洒落たコース料理を出すという居酒屋。
「ここ一度来てみたかったんだ」
 彼女の機嫌は上々だ。
 注文をして、会話をしながらしばらく待つと、料理が運ばれてきた。
店員が一品目の皿を置いた瞬間。
「ちょっと待って!!」
 突然、彼女が会話を遮った。
 カシャ!!
 カシャカシャ!!
 携帯カメラ・・・

0

空にいる待ち人へ

13/09/16 コメント:0件 染井 ヨシノ

小さいころすでに父はいなくて、母と兄と私の三人で貧しく暮らしていた。
母は行方知らずになった父を待ち続けている。
私も、父に会いたくて毎日神様に祈りを捧げていた。
神様、神様と見たこともないものを信じるのはバカらしいかもしれないが、私には家族と神様を信じることがすべてだったから。
だけど、私が小学生のころに兄が死んでしまった。
交通事故にあって、即死だったらしい。

9

eternal seed

13/09/15 コメント:14件 泡沫恋歌

 ――永遠が始まった。
 人類の生命が詰まった宇宙船ダンデライオン号が発射台から今飛び立つ。それは宇宙に蒔かれたタネだった。この無限の宇宙の中で見つけてくれることを願いつつ永劫の旅を続けていく。

 西暦21xx年、人類は地球史を閉じた。
 地球にはもう誰も住めない。核戦争、環境汚染、地殻変動、地球温暖化、人口増加、食糧不足、資源の枯渇など多くの原因が重なりあって、ついに地・・・

2

人待ち風邪

13/09/14 コメント:4件 鮎風 遊


 台風の本土接近。そのためか最近の天候は荒れ模様。気温も落ちた。
 その反面、人たちは秋の訪れを実感し、猛暑続きで干上がった心も、ホッ。
 サラリーマンの颯太も同じ、まるで拷問のような夏の日々を乗り越えて、世間のみなさまと同様に、ホッ。
 こうなればジョギングの再開でもと。もちろんコースは慣れた川沿いの道、すべてから解放されてタッタッタッと気分は上々。そして何回か繰り返す・・・

2

帽子のないクマ

13/09/14 コメント:6件 名無

 私はこんなところで一体何をしているのだろう。隣のシャワールームから響く水音が、私の気持ちを何処までも引っ張って、深い深い谷底に引き摺り込もうとしているように思えた。
 何ヵ月も家に帰らずふらふらと彷徨って、行きずりの男と関係を持って。頭の片隅で鳴り響く警鐘は、この薄暗いホテルの一室にも響くのでは無いか思うほどだ。
 鍵につけている小さな帽子を撫でる。昔母が作ってくれた、縫いぐるみ用の・・・

4

終わらない夏にリナリアを

13/09/14 コメント:4件 日向夏のまち

「こんにちは」
 夏だ。そう思った。
「あなたも、ここのお庭がお好き?」
 ひまわりだと、思った。
「あたしはここ、気に入ったわ」
 でも、何処か儚げで。
「とっても幻想的……」
 今にも、消えてしまいそうで。
「ねぇ……そうは思わない?」
 そしてすごく、綺麗だった。

 金木犀の木の下で。麦わら帽の彼女は笑った。
 それは・・・

5

待ち続ける人

13/09/14 コメント:12件 草愛やし美

 あなたが、眠る場所へ僕は訪れよう。
「探したよ。あれから、何年になるかな? 君はやっぱり待っていてくれたんだね、遅れてごめんよ。何も言わなくてもいい、僕にはわかるから」
 
 ☆       ☆

 気だるい朝が、またやって来た。私は、のろのろ起き上がり、鏡の前に立った。自分の顔を見て思わず溜息をつく、何という疲れ切った顔。「皺増えたわ、もうすぐ六十……疲れたわ」<・・・

0

13/09/12 コメント:0件 tenn

「私、行くから。もう決めたの」
そういうと里香は挑むように母をにらんだ。
「お母さんは反対だよ。何も今ついて行かなくてもいいじゃない。彼の、向こうでも生活が安定して、それから迎えに来てもらったらいい。本当に好き合っているのなら待てるはずだし、必ず迎えに来てくれる。それが信じられないのは気持ちが本物ではないからだよ」
母の言葉にいら立ちが募る。本物の気持ちだから一緒に居たいとは思わ・・・

2

ウェイティング・ガール

13/09/11 コメント:4件 佐川恭一

「待ってる間が一番楽しいって思わない?」
 杉原さんが突然そう言ったのでドキッとした。これは僕の、彼女との初めてのデートで、今のところうまくいっているとは言い難い。午前中に観た映画は妙に哲学的な内容であまり気分も盛り上がらず、その後巻き返しを図ろうと得意なボウリングに持ち込んだのだが、2ゲームやって僕のスコアは103と96。彼女の方は72と51。これじゃ何も面白くない。
 おかしいな、・・・

2

秋、こないかな。

13/09/11 コメント:4件 こぐまじゅんこ

 くまのまくちゃんは、夏のあついときから、ずっと秋がくるのを、首を長くして待っていました。
 夏がきらいだというわけでは、ありません。夏には、夏のいいところがあります。
 きつねのコンすけくんが、人間に化けて、かき氷という珍しいものを食べさせてくれたり、川に入って、魚をとって遊んだり、楽しいことがいっぱいありました。
 けれども、まくちゃんは、秋の、あの高い空と、さわやかな風、夜・・・

3

この縁へと繋がるため

13/09/10 コメント:5件 鮎風 遊


 光司は雨戸を開ける。夜来の雨はあがり、淡々な光が一瞬に薄暗い部屋に差し込む。その目映さに逆らい庭へと目をやると、木々が色づいてきているようだ。しかし、光司はそんな季節の移ろいに特段のときめきを抱くこともなく、キッチンへと向かう。トーストをカリカリに焼き、ハムとレタスを挟む。あとは無造作にマグカップにコーヒーを注ぐ。あ〜あ、一つため息を吐いた。そして、仕方ないかと呟く。

 半・・・

1

あなたの笑顔

13/09/09 コメント:0件 ゆえ

ざわつく店内 目の前にある、抜け出せない夢のような黒い色をした冷めたコーヒー
揺らいで消える煙草の煙 


その音が遠ざかってあなたの冷めた顔から一言でた言葉


「もう、こうやって会う事もないと思う。今まで本当にありがとう。さよなら」



ここで反転して意識が覚める。何回か見た夢。繰り返し見る夢。
でも、どこまでも変わらな・・・

1

眠れぬ夜のたわむれに

13/09/09 コメント:0件 かめかめ

午前0時、由美は皿に乗った料理を三角コーナーに捨てる。
三角コーナー、なんて変な名前かしら。三角で、コーナーだなんて。用途をちっとも表さない。
三角で、コーナー。形だけ。

由美は三角コーナーに、サワラの香草ワイン蒸しを捨てる。キャベツとベーコンのソテーを捨てる。ニンジンとツナのサラダを捨てる。コーンポタージュスープを捨てる。夫の好物たち。

三角コーナーに臭い・・・

1

人生

13/09/07 コメント:0件 まな

「安らかに眠る」ということを、これほどまでに実感する日がくるとは思っていなかった。。見知った顔、気の置けない仲間、愛する家族に囲まれ、私は暗闇の中のかすかな光の中に身を埋めようとしている。

こうした環境に身をおくようになって、私の人生を振り返ってみると一番似合う言葉は間違いなく「平凡」だろう。決して裕福とはいえなかったが寝食に困ったことはないし、たくさんの人と出会い、たくさんの仲間が・・・

4

ハナシノブ

13/09/06 コメント:2件 光石七

 ようこそお越しくださいました。お荷物お持ちいたしましょう。――ええ、ありがとうございます。ここは緑の美しさが自慢なんですよ。お部屋にご案内しますね。
 お客様はどちらから来られたのですか? ――そうですか、道中長かったでしょう。ぜひゆったりおくつろぎください。こちら、「ハナシノブの間」がお部屋になります。
 ――いえ、花の名前ですよ。まあ、限られた場所にしか咲かない花だそうですから。・・・

1

晴天乱気流

13/09/06 コメント:2件 寝猫

パァンと乾いた音が青空を貫いた。


「頑張れー!」
「負けるなぁ!」


大きな歓声が空気を揺らし、校庭に響く。

待機していた生徒が一斉に一列前へと進むと、
靴が地面を擦って砂埃が舞った。


「なぁ、これが終わったら昼だろ?
 お前んちはどこで食うの?」


前にいた柳田がクルリと後ろを向き・・・

0

財布

13/09/06 コメント:0件 華丸

 駅前の喫煙所に、黒い革財布が落ちていた。何人かはその財布を拾ったが、中身が空っぽだと分かると元の位置にそっと置き直したり、残念そうに舌打ちしたりした。
 財布を落としたのは、駅のそばの大学に通う男子学生だった。研究室の飲み会で隣に座った教授の鞄から財布を盗むと、中身を全て抜き取って帰り道に捨てたのだ。教授は店を出るときに財布が無いことに気が付いたが「大学に忘れかな」と言って大騒ぎしなかった・・・

1

待つ女

13/09/05 コメント:0件 yoshiki

 夜がよほど更けたころ、女は満月を背負うようにして静かに待っていた。その横顔はまるで日本人形の様な上品さで、神秘ともいえる柔和な、それでいてどこかに哀愁のある佇まいである。
 風が吹いていた。その風が女の紺の留袖の裾を時々翻した。女の目は何処までも続く丈高い塀を見上げ、月光がなよなよとした身体の輪郭を怪しく照らし出していた。後ろには果てしない一筋の道が霞んでいる。その道を女はとぼとぼと歩いて・・・

1

贈り物

13/09/05 コメント:2件 山中

 彼は静かな海を泳いでやってきた。黄金色の体毛に海水を湿らせながら、力のない声で「フォン」と吠える、悲しい姿のレトリバー。
 首輪にはかすれて読めなくなった文字があり、それが彼の名前なのだろうと思った。だからわたしは、本当の名前がわかるまでフォンフォンと呼ぶことにした。


 誰もいない夕暮れの海岸。響き渡る波の音が、取り残された観客に終わりのない旋律を聴かせてくれる。わた・・・

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かなちゃんのギター

13/09/04 コメント:4件 扇樹

ぼくはギター。かなちゃんの、空色ギター。
ちょっと珍しい色の僕を抱えて、かなちゃんはフォークソングを歌っていた。
甘く澄んだ歌声で。
ぼくの夢はかなちゃんの夢。
大好きな彼氏と同じバンドで、デビューしたいという夢だった。
ライブのたび、かなちゃんはぼくをかきならす。
ぼくは体を震わせて、甘い歌声に合わせて歌うんだ。

一生懸命がんばったけど、なかなか・・・

2

温もりの海の中で私は待ち望む

13/09/04 コメント:3件 alone

トクン……――。トクン……――。
トクン……――。トクン……――。

絶え間なく同じ間隔で刻まれるリズムが、温もりの満ちた海に浸透していく。
音色は海の中に強く響き渡り、深く深くどこまでも息づいている。
そこで私は微小な存在として、意識を確立した。
右も左も、上も下も、前も後ろも、何も分からない。
ただただ、同じ間隔で伝わる音の染み入る海の中で、私はその音・・・

0

デンシャ

13/09/04 コメント:0件 

がたん・・・ごとん・・・がたん・・・ごとん・・・
今日も電車は走る。
まだ日は高く、晴れた空からは暑い日差しが降り注いでいた。窓から入ってくる風もなまぬるく、汗で髪が頬にひっつくのを感じた。窓の外はどこかの住宅地。ふと、視線を前方に向けると、黄色い鞄に黄色い帽子をかぶった、小さい子が一人立っていた。
ああ。この電車に乗るのか。

電車はホームに緩やかに止まった。

1

雨傘

13/09/04 コメント:0件 桜田悠

 夕立の日に傘を貸してもらってから、一度も彼女を見かけない。
 いつも同じ電車に乗っていた彼女。駅でしか会わないのに、私に傘を貸してくれたのだ。
 綺麗にグラデーションを作り出している夕焼けを見ながら歩いている人々を眺める。彼らも私も、何も知らない。自分だけの世界の中に生きている。この夕焼け一つにも様々な見え方があって、それを『美しい』と感じるのだ。
 美しい。
 何が美し・・・

10

銀の牢獄

13/09/04 コメント:14件 青海野 灰

彼女は奇跡だった。
黎明の光の中でそれは踊る様に、唄う様に、自らも光を放っているかの様に美しく舞っていた。
彼女は希望だった。
いつも見上げていた。
ずっと眺めていた。
焦がれていた。

――あなたはいつも、そんなに険しい顔をして何を待っているの

だからそれが僕に向けられた言葉だと気付くのに、時間がかかってしまった。

…命だよ<・・・

0

目覚めには笑顔を

13/09/03 コメント:0件 @ハンク

 ある夏の日の午後。
誰もが素通りする様な寂れた停留所に、1台のバスが停まった。
扉が開き、中からは1人の客が降りて来る。背がスラリと高い、優しい顔つきをしている少年だった。
うだるようなこの暑さの中、彼はしっかりとスーツを着こなして、手には大きな旅行鞄を抱えている。
バスの中はあまり冷房が効いていなかったのか、額には汗を浮かべていた。彼は手の甲でそれを拭うと、懐かしむ様に・・・

1

ひどい夏の思い出

13/09/03 コメント:1件 てんとう虫

あの日前野ゆいと別れた大型ス−パ−の前のバス停。私はあの日からここに通うようになっていた。バス停のベンチで何本もバスが過ぎるのを見ていた。「明日プ−ル行こうよ。もう夏休みも終わりだし水着着たいから。」とスタイルのいい友達の言葉と笑顔がが昨日の様に脳に響いて見えてきた。もう1年だ。家族や友達はここに行くというと憐れむように見てきた。あれから毎日通いよほどの悪天候以外は来た。しかしゆいの一周忌を過ぎた・・・

8

待ちわびた光は

13/09/02 コメント:10件 光石七

 カイは絵本を読んでもらうのが好きな子供だった。
「――こうして白ウサギは黒ウサギと仲直りしました。二匹が空を見上げると、きれいな虹が架かっていました。おしまい」
母のエレナが絵本を閉じた。
「ママ、虹ってなあに?」
カイがエレナに聞いた。
「雨が降った後とかね、お空に光の橋が架かるのよ。赤とか黄色とか青とか、七つの色をしてるのよ」
絵本にはちゃんと挿絵もあるの・・・

2

川辺のふたり

13/09/01 コメント:4件 同心円

「やあ」
 後ろからの声に顔だけで振り返ると、痩せぎすな男性が手をあげていた。
「こんばんは」
 夕空を乱反射する川面に顔を戻して、私たちは簡単な挨拶を交わす。この時間にこの人と会うのは今日が初めてじゃない。
「今夜も待つんですか?」
 そしてお決まりの質疑応答。
「ええ」
「待ち人は現れないかもしれないのに?」
「はい」
 彼は私の答えに満足・・・

1

逆様信仰

13/09/01 コメント:4件 平塚ライジングバード

「人智を超えたければ、人間をやめるしかない。」
五年ぶりに再会した凛ちゃんは、そう言い放った。最後に会ったのが小学生の時だったから、その頃に比べれば大きく成長しているわけだけど、僕はそんな感慨に耽る余裕はなかった。
なぜなら彼女は全くの別人だったから。正確に言えば、人とは別の存在になってしまっていたから。
示単禅寺の奥の院の中庭。目前の白装束を身に着けた美しい女性をいくら眺めても・・・

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祖父と父と孫と

13/09/01 コメント:1件 エルテネ

今日はお盆。
50歳の息子がこっちに来ると聞いて、朝早くから玄関のすぐ外で待っている。
別にうれしくとも何ともない。息子が来ることには、怒りしか感じなかった。

「孫2人、置いてくるとは・・・」

あいつは昔から出来の悪い子供だったが、ここまでひどいとは。
とりあえず、今日来たら一発殴らなければ気が収まらん。
儂の苛立はかなりたまっていた。
<・・・

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爆弾少女

13/08/31 コメント:0件 

部活が終わり、友達と談笑しながら駅へと歩く。
これが放課後の日常、変わらない毎日が、淡々と過ぎていく、今日もそんな同じことの繰り返しで一日が過ぎていくものだと僕は思っていた。


駅の前で、友達と別れて、僕は一人、無人の駅の改札を通り、電車が来る時刻を確認する。あと二十分近く待たなければ、次の電車は来ない。
今日に限って、暇つぶし対策に読んでいる本を、学校に忘れてきた・・・

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Password

13/08/29 コメント:2件 yoshiki

 カレンの衣服は屈強な女兵士によって見事に剥ぎ取られていった。カレンを蹂躙しているのは、戦闘服に身を包んだ頑健な女兵士ふたりだ。鍛え上げられ、引き締まったカレンの身体が見る間に露呈されていく。たとえプロレスラーだってカレンをこんなにも簡単に裸に剥くことなんか出来ないはずだ。カレンは組織の人間だし、あらゆる格闘技の達人であり、いくつもの修羅場を潜ってきた美しくかつ精悍な女諜報員なのだ。
 カレ・・・

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幸の旅

13/08/29 コメント:0件 @ハンク

 ガチャリ、とドアの開く音が聞こえてきた。ユキお姉ちゃんが帰って来たみたいだ。
廊下まで出ていくと、両手に買い物袋を持っているお姉ちゃんがいた。帰り道の途中で、スーパーに寄って来たのかな。

「ただいま」

 と、お姉ちゃんが言ったので、「おかえり、お姉ちゃん」と僕は言った。
お姉ちゃんは僕の脇を通り過ぎてキッチンまで行くと、冷蔵庫を開けて買い物袋の中身を次々に・・・

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いつかあの交差点で

13/08/29 コメント:1件 村上慧

 僕がその人に出会ったのは一年前のことだった。
 友人と遊んだ帰りの交差点にその人はいた。止まることを知らない雑踏の中で、まるでひとりだけ時間が止まったみたいに道路脇に佇んでいた。誰もその人を見ない空間で、僕だけがその人に気が付き、またその人も同じく時を止めた僕に気付いて。
 その人は、僕を見て、涙を流した。
 
 その人は飯田聡という名前だった。
 飯田さんは昔は画・・・

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霊能者ミサ

13/08/28 コメント:3件 yoshiki

 ――いつものようにあたしはビルの乱立する繁華街の、その地下の店で待っている。ネオンの看板にはこうある『霊能者ミサの館』暗いトーンの神秘的なペルシャ絨毯の敷かれた室内。そして魔女のように妖艶に着飾ったあたし。そう、あたしの職業は霊能者。予言者と言ってもいいかもしれない。あたしには霊力があるのよ。今まであたしは、その能力を使って客の運命を予測したり、様々な人たちに助言をしてきた。
 ところで誰・・・

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一瞬のシャッターチャンスを待つ2人

13/08/28 コメント:0件 ポテトチップス

水しぶきがレンズを濡らした。
萩野和弘は屈んでリュックからレンズタオルを取り出した。
「もうそろそろだぞ。シャッターチャンスは一瞬だぞ」
水木昭一が三脚にセットしたカメラのファインダーを覗きながら言った。
風が頬を掠り、木々の擦れあう音が圧倒的な滝の音とともに聞こえてきた。
萩野和弘は固唾を呑んで、三脚にセットしたデジタル一眼レフカメラのファインダーを覗きこんだ。

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待つ少女

13/08/28 コメント:4件 しーぷ

私は長崎で産まれて、長崎で育った
長崎でもかなり田舎の方

でも、今は東京にいる

大きな病院の、大きな個室の、大きなベッドの上でひとりっきり

ここに来てから、もうずいぶんと経つ

数年前
私は突然意識を失った。一時的に心肺が停止したりしたらしい
病名も何もわからない
死ぬのかどうかも

私の住んでた地域には、病・・・

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雪解け水

13/08/28 コメント:0件 ウはうどんのウ

 長い冬が明けた。あたたかい日差しが雪解けをさそい、陽光に沿うように川が流れた。彼≠ヘその雪解け水を両手に掬うと、調べるように口ですすった。それはまさしく純正の、汚染の呪縛から解かれた水だった。
 晴れるように厚い雲が離れてゆく。彼は飛び上がって喜んだ。春の時代が、ついに春の時代がやってきたのだ。

 雪はすべてを覆い隠してくれる。そして時が来るまで浄化してくれるのだ。これがこ・・・

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待ち人と私

13/08/27 コメント:0件 輿水望

 その人は、バス停のベンチに座っていた。
 バスが来て扉が開いても動かない。
 新幹線なども通る隣町からのバス停だから、もしかしたら誰か人を待っているのかもしれない。遠く離れた恋人の帰りを待っている、なんてことも考えられる。
 なんて、ロマンチックなことがあるだろうか。
 あったらいいと思う。

 待ち人は、結局現れなかった。
 彼はその日のバスが来ないの・・・

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待つ男

13/08/27 コメント:3件 しーぷ

カーテンを静かに引いた

真っ黒な空と、わずかばかりの光が瞳に飛び込んできた

下方に視線を向けると、目を細めてしまうほど眩しい光
俺は静かにカーテンを閉じた

ソファにドサッと座り
大きく息を吐いた

天井を見つめて数秒、その後時計に目をやった

まだか……

もう一度、大きく息を吐いた

この時間<・・・

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ひまわり

13/08/27 コメント:3件 かめかめ

うるさいほどの蝉時雨が降ってくる。
暦は秋ととは言え吹く風は熱を抱き、立っているだけで肌は汗ばむ。
木陰に避難して、梓は帽子で顔をあおぎながらカナに話しかけた。
「もう、沙知はまた遅刻だよ。あの子、いくつになっても変わらないねえ」
「ふふふ。しょうがないよ、沙知だもん」
「それにしても、私もずいぶんご無沙汰しちゃったね、カナ」
「ううん、ぜんぜん。梓、忙しいんで・・・

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待つ人

13/08/27 コメント:0件 伊藤K

12月某日午前0時。
僕は、彼女と二人で流星群を見るために都心から少し離れた場所に来ている。彼女から今年は天気などの条件が良いらしいから流星群を見に行こうよと誘われたのである。天体観測も行った事がなかったので、僕は、少し星が見える程度だろうと思うだけだった。しかし、今、目の前に広がる夜空いっぱいには、星が輝いている。口からは思わず、「すげー」と出てしまった。そうすると彼女が、「でしょ?。来て・・・

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不思議な鍵

13/08/26 コメント:9件 yoshiki

 ある日、私は部屋の片隅で鍵を見つけた。まだ小学生の時だ。とても小さな、とても精巧な花の模様のある美しい鍵であった。

 いったい何の鍵だろうか? 両親に訊いても、祖父に訊いても知らないと言うし、心当たりも無論なかった。家中を探しても、学校を探してもその鍵はどこにも合わなかった。
 仕方がないのでキイホルダーにつけて遊んだりしていたが、ある時きれいだから欲しいと言うクラスの女の子・・・

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