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第二十八回 時空モノガタリ文学賞【 浅草 】

今回のテーマは【浅草】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2013/05/13

※注意!R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ エリア
投稿期日 2013/03/25〜2013/04/22
投稿数 25 件
賞金 時空モノガタリ賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

10

奪われた時間

13/04/19 コメント:17件 草愛やし美

 奪われた時間は、永遠に止まったまま。彼らは、待っている……寂しさを埋めてくれる誰かを。
 
  ◇    ◇ 

「お父さん、何でそんなこと聞くのよ、友達だって言ってるじゃない」
「心配なんだ、結のことが」
「男の子だって、友達なんだから、いちいち詮索しないでよ」
 私は、父に構わず、どんどん先にたって歩き出していた。中学生にもなったというのに、父はまだ・・・

1

浅草寺異聞

13/04/03 コメント:2件 ゴンザ

 浅草寺の由来は推古天皇の御代、西暦で言えば628年にさかのぼる。現在の隅田川で、ある兄弟が漁をしていると、なにかが網にかかった。引き上げてみると、光り輝く聖観音像であった。兄弟の主人は出家し、自宅を寺に建て替えてこの像を供養した。これが浅草寺の始まりである。観音像は高さ1寸8分(約 5.5センチ)の金色の像と伝えられるが、公開されない秘仏のため、その姿を見た者はいない。

   ◇<・・・

最終選考作品

4

ほおづき市

13/04/16 コメント:9件 そらの珊瑚

浅草寺の境内入口は、にぎわっていた。七月十日、今日はほおづき市。家まで歩いて十五分という近さもあって毎年かかさず父と訪れほおづきの苗を求めるのが小さい頃からの年中行事だった。季節が夏へ向うにつれ、あおかった実のいくつかも橙色に熟し(そんな色移ろいをを見るのも楽しかった)それは幼い日の私の玩具となった。ほおづきの実は薄い皮のようなもの(よく見ればそれは血管のようなものが張り巡らされている)に守られて・・・

7

浅草ふぁんたじぃ

13/04/15 コメント:8件 草愛やし美

 浅草寺の前で、雷門の大きな提灯に見とれている僕の、袖を誰かが引っ張った。
「おっさん、おらの金斗雲知らないけ?」
 乱暴な口調に僕は、むっとして振り返った。奇妙な格好をした三、四歳の女の子が、足元に立って僕を見上げている。迷子かと思ったが、何となく様子が変だ。チャイナ服なのか、空手の稽古着のようにも見える奇抜な恰好をしている。
「おっさんは、酷いなあ。僕は、この春に、大学生にな・・・

7

浅草心中

13/04/12 コメント:11件 そらの珊瑚

 かえで姐さん、と呼びかけるとうっすら両の目を開けるものの、黒目の焦点は定まらず、くうを泳いでいる。もはやあちらの世界を映しているのやもしれない。
「絹です。早く元気になってくださいませ」
 思えばまだ私がかぞえで十(とお)の禿(かむろ)の頃、かえでは吉原随一と歌われた美貌の花魁であった。客のない夜は同じ布団で姐さんの腕に抱かれて眠り、どれだけ母のいない寂しさを紛らわせたかしれない。<・・・

5

孤独な呼吸が終わるまで

13/03/29 コメント:7件 クナリ

下町情緒が溢れていた僕の故郷は、今では世界随一の高さの電波塔が立ち、古い町特有の青黒い陰も次々に駆逐されている。
しかし夕暮れ時になると、その電波塔に西日がぶつかり、濃く長い闇の帯が一筋、町に落ちる。
まるで黄泉へ続く道の如きそれを見る度、僕は今でも姉と歩いたあの暗い隘路を、後悔と共に思い出すのだ。


昭和後期、僕が小学生の時、井戸鬼という妖怪の噂が出た。古井戸に住・・・

4

浅草の夢

13/03/28 コメント:6件 yoshiki

 浅草ときくと自分はどうしても江戸川乱歩を連想してしまう。乱歩という人は浅草と言う街を本当に愛していたらしい。浅草ゆえの東京住まいと随筆に書いていたと聞く。
 自分が初めて乱歩の小説を読んだのは十年ぐらい前の事で、『青銅の魔人』というのを読んで、全然面白いと感じなかった。それというのもこれは少年探偵団の出てくる比較的後期の作品で子供向けの要素が多かったからだろう。それから無知な自分は当分乱歩・・・

4

足元の狐

13/03/26 コメント:11件 名無

 浅草雷門前で、平蔵は往来の人々を眺めている。
 カランコロンと下駄をならして歩く人々は気忙しい。年の瀬が近いのだ。乾いた冷たい風が強く吹き付けて、平蔵は着物の襟元を掻き合わせた 。
 足早に行き交う人々から少し離れて、平蔵は地べたに腰を下ろす。切れそうな下駄の鼻緒がないかを探しているのだ。平蔵は怒り肩の目立つ小男で、目は落ち窪み口元は歪んでいる。幼い頃に親から受けた暴力が原因で、左の・・・

2

虫たちのやすらぎ

13/03/25 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 京都の平安神宮が消えた。鎌倉の大仏も消滅した。大阪の通天閣が新世界のまちごと、消えてなくなった。どれもが間際に、ピカリと閃光を発しながら、消滅した。
 浅草界隈の人々が戦々恐々となるのもむりはなかった。
「つぎは、我々のところじゃないだろうか」
 雷おこし屋の主人は、不安のあまりいてもたってもいられなくなって、隣の瓦煎餅屋にとびこんでいった。
「血相かえて、どうしたい、雷・・・

投稿済みの記事一覧

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赤い門

13/04/22 コメント:0件 松定 鴨汀

 夢をみていた。
 夢では3年間の浪人生活が報われていた。
 桜吹雪のなか、意気揚々と東大の正門の前にたち、シンボルである時計台を仰ぎ見る。
 勝ったのだ。ついに私は第一志望を勝ち取ったのだ。
 これから私は輝かしいキャンパスライフへ、約束された未来へ、新たな一歩を踏み出すのだ。

 が、いざ一歩進もうとしても、すすめない。
 気づけば、すでに前には有象無・・・

2

大局の影

13/04/22 コメント:0件 kou

 エンペラーシステムを生み出した広瀬絵美留の存在は明らかにされていない。精神状態を科学的に分析し、感情を数値化。人間の精神構造は全てが数値化され、職業適性、ストレス指数、衣食住に至るあらゆるものが、エンペラーシステムにより個々人を認識、判別、選定してくれる。常にスキャナーマシーンが人間の精神を読み取り、基準値以上の精神数値を叩き出しものは犯罪適性に分類され、地下深くの監獄に送られる。
 私は・・・

4

写真

13/04/22 コメント:5件 四島トイ

「この写真を所望とは、お目が高い」
 大福のように白くて丸い男が、口の端を吊り上げた。
「何せ一代前の雷門の大提灯が写ってるんだから。しかし御覧の通り写真は一枚。あんたらは二人。どちらかが譲るかね。いや、譲る気があるなら初めから棚を挟んで取り合わんか。失敬失敬」
 ほっほと笑うその顔に、こっそりと舌打ちする。性悪の男に頭を下げるほど嫌なこともあるまい。ついでに苛々しながら、横に立・・・

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浅草の寅

13/04/22 コメント:18件 泡沫恋歌

てやんでぃ! おいらは三代続いた浅草生まれの野良猫だぜぃ!
『浅草の寅』と言えば、この辺りでは知らない者はいねぇー。爺さんの代から、浅草寺から花やしきにかけてはおいらの縄張りだ。今日も子分をひき連れてシマの見回りに出掛けるぜぃ! 
おや? 雷門の下に見慣れない猫がいるぞ。
「やいやい! てめぇ、どこのシマのもんだぁ?」
子分のクロがいきなり脅しをかけた。
「あっ! ゴ・・・

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浅草太夫

13/04/21 コメント:0件 リアルコバ

 浅草に花街が消えてからどのくらいになるのだろうか。新橋浅草柳橋と、その名を競った花柳界を支えて来たのもまた、浅草に店を張る旦那衆であった。そんな浅草旦那衆の物語である。


 雷門から仲見世を歩き伝法院の角を曲がると、鼈甲屋で老人が通りを睨むように見ている。
「ったく副業だか何だか知らねぇが何で俺が店番を だいたい彼奴がしっかりしねぇからこんなことに・・・」
・・・

2

忘れられない瞳

13/04/18 コメント:3件 alone

 とても小さい頃、私は父の手にひかれて、雷門を訪れたことがあった。
 初めて見た雷門の巨大な赤提灯は、私の想像をはるかに超えた大きさをしていた。
 あの下をくぐっていく時、もしあの赤提灯が落ちてきたら僕はどうなってしまうのだろうか。
 そんな変な想像をして、ひとりで変に緊張してしまったのを今でもよく覚えている。
 しかし、雷門の思い出として最も胸に刻まれたのは赤提灯ではなく・・・

2

祖父の家

13/04/16 コメント:4件 青海野 灰

 私の母方の祖父は、浅草の町外れの平屋に住んでいた。
 その家にはお風呂もなく、水洗トイレもなく、古ぼけて黒ずんだ柱と壁のおかげで年中暗い印象を受ける部屋は、職人気質で寡黙な祖父の性格も相まって、子供の頃の私には恐怖心さえ抱かせた。
 ただ、夏なんかは、家から出て少し歩くだけで隅田川の花火が見えてきて、その時だけは無邪気にはしゃいで祖父に飛びついたりもした。夏の夜の蒸し暑い空気と、耳に・・・

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浅草占い日記

13/04/15 コメント:0件 堀田実

 悪魔なんていないと思うと同時に嫌な人に接する際無意識のうちに「死ねばいい」という感情が沸き起こっていることに気づいた時、すべてが光のうちに消え去ればいいと思った。そんな感情は顕れなくていいし、顕れたとしてもそれは私のホンネじゃなくって、何か別の、ユーレイのようにふいにやってくる雰囲気みたいな他人の感情だってことにすればいい、そう思い込むことに決めた、私。
 だってそう、ムースケーキが何段も・・・

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浅草の偶然な煙突と数学的な救い

13/04/14 コメント:0件 堀田実

 世の中に絶望した青年・潔志朗は東京の浅草という下町に住んでいて、あとの人生をどうやって死んでいくかを考えながら毎日過ごしていた。まだ19歳になったばかりなのに20歳までには死ぬと決め込んでいた彼は早くも人生の総決算をはじめようとしているのだった。
 上野にあるショッピングセンターでロープを買って上野恩賜公園の雑林でこっそりと首を吊って死ぬか、身元がわからないように所持品をすべて処分したあと・・・

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第16回目の願いは、「大事なものがわかったとき、大事なものに救われる」

13/04/11 コメント:0件 川島天使

全長2キロの仲見世通りを走り抜ける群衆の中に山田がいた。「あっ、山田だ!!山田だよ父ちゃん!!」幼い子供が嬉しいそうに指を差しながら訴える。「山田なわけがねーだろ、あれは・・・あれは山田?・・・山田じゃねーか!!」浅草寺へと通じる仲見世通り。年に一度の仲見世マラソン。浅草寺の雷ちょうちんに一番先に触れる事ができた者は、願いが叶う。そんな逸話が存在するのだが、意外とまんざらな話でもなく、過去27回行・・・

3

明朝体ワールド

13/04/07 コメント:6件 鮎風 遊


 何かが変だと思っていた大樹、雷門の大提灯を見上げたまま固まってしまった。
「節子、これって、いつもと違うよな」
 久々に休暇が取れ、婚約者の節子と浅草へと出掛けて来た。結婚を三ヶ月後に控え、幸せな家庭が築いて行けるようにと、浅草寺(せんそうじ)の本尊・観世音菩薩さまに祈願しに来たのだ。
 だが、大樹は雷門の前で突然立ち止まってしまった。節子が「提灯は、何も変わってないわ・・・

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ふるさとの訛りなつかし

13/04/06 コメント:2件 かめかめ

「わたくし筑紫黄楽の博多独楽(ハカタゴマ)をご覧頂きました〜!
 この後も浅草演芸ホール、まだまだ演目つづいてまいります。
 どうぞごゆるりとお楽しみ下さいませ〜」

まばらな拍手を背で受けながら舞台袖にはけて、黄楽はため息を落とした。
曲独楽(キョクゴマ)の芸一本で食べていくのだと大見得を切って博多から上京して10年。
演芸ホールに定期上演させてもらう以外は、・・・

1

浅草サンキュー!

13/04/03 コメント:0件 おでん

 いらないと言ったのに、わざわざ仕事を休んでまで見送りにきた。新幹線がずるずると動き始めると、母はあろうことかそれを数歩追いかけてきた。恥ずかしさに耐えられなくなった私は、窓に頭を持たれて寝たふりをきめこんだ。なので、母がどこまで私を追いかけたのかはわからない。でも、ホームを滑るように出た新幹線のボディが、春の陽の光を浴びて金色に光り輝いていることは、まぶたの裏に伝わるぬくもりから容易に想像ついた・・・

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煎餅好き君に

13/03/29 コメント:0件 てんとう虫

ここの浅草のせんべい屋の煎餅は美味しい。だから僕はここで修業せねばならないのだ。死ぬ気で。煎餅店のシャツタ−が上がり頑固爺・・いや亭主が顔を見せた。まるで借金取りに出くわした人間の顔になる。実にいやそうな顔になる。「おはようございます。」「おはようでも、弟子はとる気はないし息子がいるからバイトはいらん。」と顔をそむける。「金はいらないんです。ただ煎餅の「いやだ、誰が見も知らん奴に。」煎餅焼いて45・・・

2

浅草で、死ねと祈る

13/03/27 コメント:2件 堀田実

「危ねぇよ、てめぇ」
自転車に大量の空き缶を積み上げ路上をふらふらと走っていたホームレスに怒号が飛ぶ。
「買ったばかりなのによぉ…傷つけたらぶっ殺すぞ?あっ?」
相手も酔っているように思えた。目の奥が窪んでいるし、緩んだタイヤの輪っかみたいに口元が歪んでいる。
「弁償できる金も持ってないだろうによぉ?」男は彼を見下しながら罵倒し続ける。「たっく、臭っい匂い撒き散らしやがって・・・

1

迷子の私

13/03/25 コメント:2件 こぐまじゅんこ

「東京に転勤になった。」
 仕事から帰るなり、主人が言った。
「えっ!東京?」

 私は、台所で洗いものをしていた手をとめ、振り返った。
 息子は、地元の大学生、娘は高校生だから、みんなで東京に行くのは無理だ。
 それに、岡山の片田舎に住んでいる私は、東京がこわいのだ。

「ひとりで行ってくるよ。」
と、主人がつぶやいた。
「うん、そうし・・・

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