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第一回 【 自由投稿スペース 】

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

※注意!R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2013/02/04〜2013/03/04
投稿数 42 件
賞金
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

投稿済みの記事一覧

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おかしな電話

13/02/28 コメント:2件 yoshiki

 ――その男は死ぬつもりだった。人生に絶望したのだ。
 男は吹きすさぶ強風の中をその岸壁に向かって歩いていた。真一文字に結ばれた口、頬は青白く、髪はぼさぼさであった。そして男は大きくため息をついて履物を脱いだ。
 そのとき不意に電話のベルが鳴った。携帯ではない。 
 男がベルの方向に視線を向けると岩陰に電話が一台置いてあった。
 ――命の電話であろうか? 通常こうい・・・

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山田くんの奇跡

13/02/25 コメント:12件 泡沫恋歌

 ずっと不登校だった山田くんが三ヶ月振りに登校してきた。
 山田くんは部屋でヒッキーをしていて、家族と顔を合わせずにいた。三ヶ月間、一日一度だけ部屋の前に置かれた食事を食べるだけで、風呂にも入らないし、トイレは家族が寝静まってからしかしない。徹底的に他者を排除した生活を送っていたのだ。
 何度も家族が話し合おうとしたが頑として部屋から出て来なかった。
 そんな山田くんが最近、部屋・・・

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人生

13/02/22 コメント:17件 草愛やし美

 唸っている私。昨日から大変な苦しみだ。産みの辛さがこれほどとは……、脂汗が滲み、硬く握り締めた拳の爪が手のひらに食い込む。それでも産まれぬ。この子はそれほど大きいのか? 産婆が呟く、こんな大きな赤ん坊は初めてだ、このまま産むのは無理かもしれぬと……。それでも頑張るしかない私は、いきんでいきんで、もうこれ以上は呼吸さえ止まるかと思えるほどいきんだ。

 突然、目の前に火花が散った。私の・・・

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催眠術の輪

13/02/21 コメント:2件 yoshiki

「ああ、だから、だから確かに僕が彼女を殺したのかも知れません。でも……」
「でも、どうした?」
 安っぽいテーブルの上の灰皿で、タバコをもみ消しながらニヒルに園田刑事がそう訊いた。薄暗い陰気な取調べ室である。そう訊かれた田中は狼狽えるようにして、記憶をたどりながらこう答えた。
「じ、実は僕は催眠術にかけられていたのです。でなかったら人殺しなんてできません。僕はとても気の小さい男な・・・

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影女【web幽 読者投稿怪談より】

13/02/21 コメント:3件 石蕗亮

 修学旅行で中国へ行った時のことだった。
人民大会堂で夕食の北京ダックを食べ夜の街中をバスに乗ろうとした時、壁を走る人影に気が付いた。
辺りを見渡すがそれらしい人影はなく、クラスメイトがバスに乗り切るまで私はその人影を見つめていた。
光源は道路にある街灯でオレンジの光を放っていた。その光の中を何度も影が足早に右往左往しているのだ。
よくよく見ると影は髪の長い女性のようだった・・・

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幽霊部隊【web幽 読者投稿怪談より】

13/02/21 コメント:3件 石蕗亮

 亡くなった祖父から小さい頃聞かされた話だ。
祖父は満州事変後の中国に留まり、その後の戦争にも参戦し続け、その後ロシア軍の捕虜として4年の拘留を経て日本へ帰ってきた。
その祖父がロシア軍に捕らえられた契機というのがとても奇妙な体験のためだったという。
 当時陸軍歩兵少尉だった祖父は、中国とロシアの国境付近で臨戦態勢に入っていた。
いつロシア軍が来てもおかしくない状況の中で、・・・

1

小次郎の失敗

13/02/20 コメント:2件 yoshiki

 時は江戸時代。太平の世も終盤に差し掛かった頃、相模の国に宮本小次郎という、どこかで聞いたことがあるような無いような名の悪者がいた。
 小次郎は盗人、追剥の類(たぐい)で行商人やら、町人やらから金品を奪い取っていた。
 しかし彼の顔を誰一人として見たものはなかった。なぜなら小次郎は先祖から伝授された透明になれる妙薬を密かに隠し持っているのだった。元々小次郎の家系は幕府につかえる忍者であ・・・

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乗せてますよ

13/02/20 コメント:3件 石蕗亮

これは義姉の体験談である。
当時看護学生をしていた義姉は山形市に住んでいた。
実家は月山をはさんだ鶴岡にあり、車で2時間もあれば楽に帰れる距離だった。
 その時も山形から鶴岡へ帰るところだった。
学校が終わってから車を走らせ月山の入り口に差し掛かる頃には山向うが夕焼けで真っ赤になっていた。
 月山道は片側1車線で山形側の西川から鶴岡側の朝日までの間、追い越し箇所は1箇・・・

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トンネルの女

13/02/20 コメント:3件 石蕗亮

私が占師のせいもあり、友人同士の会話にも心霊ものは多く「見ていいもの、悪いもの」などという言い回しは頻繁にある。
その日もそんな会話をしながら私の実家の秋田へと車を走らせていた。
 国道を北上し山形市から新庄を通過し更に進むとしばらくコンビニも民家も無い山の中を小1時間ほど走ることになる。仕事の都合で出るのが遅くなり山道に差し掛かる頃には日付を跨ごうとしていた。
街中と違い山間は・・・

6

カーナビの表示

13/02/20 コメント:1件 石蕗亮

山形から宮城に向かう途中「幽霊が出る」と有名なトンネルがある。
東根から以南は昔から道幅が狭く、また雪も多いし凍結も酷いので事故が多い。それがまた噂に拍車をかけているのだと思う。
 しかしひとつだけ他とは違う異質なトンネルがある。
「関山トンネル」
そこはトンネルだけでなくその近辺でも今まで様々な事件があった。
当然人死にもあり、過去の記録を紐解けば容易に誰でも知るこ・・・

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ヘルスメーター

13/02/20 コメント:2件 石蕗亮

 真夜中にネットをしていると、「ピッ」という電子音が聞こえた。
気のせいかとも思ったが暫くするとまた「ピッ」と音がする。
音の感覚は不規則で続け様に鳴ることもあれば、忘れた頃に思い出したように鳴ることもあった。
最初のうちは何処かで何かが鳴っているのだろう程度にしか考えず気にもしていなかったが、その音源が家の中であることに気づいてからは気にせずにはいられなかった。
 音源を・・・

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ゾンビ女

13/02/19 コメント:0件 おでん

 今回は、人間としての生活に戻るまでに、それほど時間を要さなかった。
 その間、世の中では大きな地震が起きたことをきっかけに、めまぐるしい変化をみせていた。原発関連での記者会見で、テレビによく顔を出す人がちょっと好みだった。でもその人は、世間の多くの人からは嫌われているようであった。昔から、わたしが好きになる人はみんなから嫌われている。それとも、みんなから嫌われている人をわたしが好きになって・・・

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おたまじゃくし

13/02/18 コメント:2件 石蕗亮

実家の近所の神社には境内に隣接して大きな庭園があり、その庭園の約半分を占める大きな池には沢山の殿様蛙や疣蛙、蝦蟇などがいた。子供の時分にはよく蛙捕りにその庭園に遊びにいったものだった。
 約20年後。私にも子供ができ、帰郷の折に子供を連れてあの神社へ散策にでた。
昔のように蛙捕りでもしようかと虫籠と網を持っていった。
4歳の子供は蛙を見ると怖がり触りたがらなかったので、虫籠に水を・・・

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窓辺の女性

13/02/18 コメント:4件 石蕗亮

コンビニ帰りのことだった。
空き家だと思っていた洋館の、道路に面した窓辺に女性の姿が見えた。
白いワンピース姿で、物憂げに景色を眺めているようだった。
髪は長いみたいだが、彼女の胸から上しか見えず、ここからではどれくらいかは判らないが、幼くも大人らしくも見える不思議な魅力を感じた。
 ふと目が合ったような気がして、恥ずかしくなり慌ててその場を去った。
家に帰ってからも・・・

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ふりかえってはいけない

13/02/18 コメント:6件 石蕗亮

小学校時代にこんな怖い噂があった。
「後ろに気配を感じて振り返っても誰も居ない時には背後におばけがいるかもしれない。その場合あと1回は振り返ってもおばけには会わないが、3回目にはおばけに会ってしまう。」というものである。
この噂が広まってから子供達はみんな一人で帰ることが少なくなった。なるべくみんな近所の者同士で帰るようになり、独りになってしまう場合は家まで走って帰る風景が多くなったと・・・

8

死霊遭遇時の不満

13/02/18 コメント:5件 石蕗亮

毎年お盆には父の故郷へ墓参りに行く。
いつもは昼過ぎに家を出て夕方に着く様に行くのだが、その年は途中で父方の親戚の葬儀に寄る為、朝早くから出発することになった。
当時子供だった私にとって1時間を越える車の移動は退屈でしかなかった。今のように携帯電話も携帯型ゲームも無かった時代である。
いい加減景色を見るのにも飽きると私は車の後部座席で寝るのが常だった。
その時も私は寝ながら・・・

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13/02/18 コメント:0件 yoshiki

 男が眼を開けるとそこは深海のように暗い世界だった。しかも墓地のような静寂が支配していて、生ぬるい風が何処からともなく吹いていた。
 それにも増して最悪な事に男は記憶というものを失くしていた。状況を把握しかねるもどかしさが男の全身に圧し掛かっていた。再び目を閉じてみると、自分が意識だけになったような気がして不安にかられる。自分の顔さえ記憶にないのだ。

「助けてくれーーーーーーー・・・

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リフレクト

13/02/18 コメント:4件 石蕗亮

「おい、陰陽師。今度は俺を身代わりにするのか。」
声のする方を向くと机の上の人形がこちらを向いている。さっきまでは確かに仰向けで置いておいたはずなのだが、不自然に首だけを捻り顔をこちらに向けている。
 「なんだお前、話せるのか。」
陰陽師はたいして驚くわけでもなくそう言うと一瞥してそれまで行っていた呪い(まじない)の準備の続きを始めた。
 会話ができるほど良い材料を使ってい・・・

7

憑き物人形の目利き

13/02/18 コメント:4件 石蕗亮

人形のネタの乏しい私は、お祓い仲間に人形について何か面白い話はないかと尋ねてみた。
 すると「お前、何かが取り憑いた人形とそうでない人形の見分け方って知っているか?」と、問い返された。
人形のお祓い自体まだ機会がない私は是非にと話を伺った。
 西洋人形や最近の人形のように中に綿を詰め込んだ人形の場合、中の綿が一部寄り集まって筋のようなものができるそうだ。特に腕や脚の部分にできるそ・・・

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憑喪神

13/02/18 コメント:4件 石蕗亮

ドサッ
私は袋の中に投げ捨てられた。見上げた視界には少し寂しげな持ち主の顔が見えた。少し溜息をつくと彼女は思い切るように袋の口を縛った。
ビニールで歪んだ世界からはもう今までの景色を見ることはできなかった。
 私は人形である。遊ぶときは友達として、夜は眠りに着くまで私を抱き私は彼女の安眠剤だった。彼女は私を糧に成長してくれた。彼女が私を必要とし大切にしてくれたから、私は自分の存在・・・

8

這い寄る

13/02/18 コメント:3件 石蕗亮

最近の携帯はカメラの性能も上がってものすごく綺麗な画像が撮れる。
花や虫などの接写から虹などの天候までも携帯のカメラで写せる。
私は琴線に触れた景色を携帯で写しては待ち受け画面にして友達に見せていた。
ある日友達に言われたことがきっかけで不思議な画像に気が付いた。
その画像は旧家の家の中を映した画像だった。味のある梁がフレームのようになり、その中に昔ながらの吊るし鉤と囲炉裏・・・

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ふるさと探検クラブ<隠れ谷地>

13/02/18 コメント:5件 石蕗亮

私の小学校時代、毎週水曜日にクラブ活動があり私は「ふるさと探検くらぶ」をやっていた。
活動内容は地元の歴史を現地を訪ねながら学ぶといったもので、近所の神社や海水浴場へ自転車でいくものだった。
ある秋の日、顧問の先生が「今日のクラブは隠れ谷地にいこう。」と言った。
先生が言うには、学校から海まで直線で約600mあり、その間にある林の中に隠れ谷内という不思議な場所があるというのだ。<・・・

7

13/02/18 コメント:6件 石蕗亮

18歳の夏休み。私は受験も気にせずに占師の店を出していた。
場所は駅前のデパートの中で、毎日それなりにお客もきていた。
ある日のこと、妙な客が来た。
「あのぉ、家のことをみていただきたいのですが。」
女性客は何故か申し訳なさそうに私にそう言った。
私は普通に占いの客だと思い「よろしいですよ。」と笑顔で答え話し始めた。
「あの、すいません。占いの相談ではないんです・・・

8

逆柱

13/02/18 コメント:6件 石蕗亮

二十歳のとき家を新築した。
当時大工の棟梁をしていた母方の叔父が建ててくれた。
今はもう亡くなってしまった叔父だが、この叔父のおかげで我が家には昔からの神様が居てくれている。
その叔父が家を建てているときに私にしてくれた話だ。
叔父は昔ながらの職人で木材への記号も「あいうえお順」ではなく「いろは順」で書くような人だった。
少しづつ家が出来上がっていくのが面白くて、また・・・

8

選定

13/02/18 コメント:6件 石蕗亮

小学生の頃、母方の実家へ夏休みに遊びにいった時の事だ。
母は6人兄弟で私の従兄弟は10人になる。私は従兄弟の中ではちょうど真ん中の年代で上の従兄弟とも下の従兄弟ともよく遊んだ。
その日はひとつ上の従兄弟と年下の従兄弟たちと6人が集まり、夜には同じ部屋に寝た。
親たちは夜遅くまで飲んでいて子供の寝室まで声が届いていた。
私はなかなか寝付けずにいて、耳をすまして周りの音を聞いて・・・

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悪夢指南

13/02/18 コメント:6件 石蕗亮

占い師で夢占いも扱っている私にはお客様からよくこんなことを質問される。
 Q、夢って全部予知夢なんですか?
 A、夢には記憶の整理をするための夢、自らの六感で見る予知夢、第3者に見せられる予知夢の3種あります。
 Q、3つの違いは?
 A、記憶の整理は現実にあった出来事を夢で見たり、寝る前に見た映像や聞いた音に関連するものを夢で見たりします。必ずしもその日見たものとは限らず・・・

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お日さま

13/02/17 コメント:2件 小岩井豊

「お日さまが追いかけてくるよ。ねえ、とーちゃ」
 軽トラックの助手席に揺られながら、当時七歳の私は、父に向けてそう言った。
 私の父は昔からとにかく面白味のない人で、好奇心旺盛だった私がなにを尋ねても、ぼそぼそとした低い声で、知らん、としか言わないような人だった。そんな父が、私が何気なく発した益体もない質問に対して、こう答えたのだ。
「お日さまは鞠子が好きやけん、追っかけて来よっ・・・

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命の螺旋

13/02/15 コメント:15件 泡沫恋歌

「ああ、確か……この辺りだったわ」
 妙子は雑草に覆われた空き地に立って、敷石を探しながら玄関のあった場所を探っていた。
 こんな草ボウボウの空き地にかつて民家があったことなど誰も知らないだろう。
 そこには青々した柘植の垣根に囲われた、庭付きの二階家が建っていた。そこが紗子の生まれた家で両親や兄弟たちと暮らした場所だった。
 玄関の前の敷石がやっと見つかったので、そこに花・・・

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しあわせー!

13/02/14 コメント:4件 鮎風 遊


 バリバリバリ……、ドカーン!
 朝方の薄暗い部屋に霹靂(かみとき)の電光が走り、天鼓(てんく)が轟き渡る。近くで落雷したのだろう。
「ウッセイなあ」
 ベッドの中で、高見沢一郎は不機嫌に独り唸り、重い瞼を開けた。
 そして……ギョッ!
 口から心臓が飛び出すほど驚いた。
 ベッドの脇に、一人の男が……立っているではないか。
 さらに高見沢は度肝を・・・

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鬼遣らい

13/02/14 コメント:5件 石蕗亮

 鬼は外 福は内
どの家庭からも豆を撒く音と共に同じ台詞が響いてくる。
その音や声に叩き出されるかのように、夜の闇へ家々の門戸から影が噴出してくる。
まるで布団を叩いた時に細かい誇りが舞い上がるように
ぶわぁ もわぁ っと影は噴出してくる。
やがて影は影と重なり合い濃い闇色になると、そこから手足を生やし人型になった。
それは猫くらいの大きさで、電信柱の陰に隠れた・・・

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超能力

13/02/12 コメント:2件 yoshiki

 亜希子が俺の目をじっと見つめて言った。
「あたし……  隠していてごめんなさい」
 亜希子の奴、いきなり告るのかと思って俺の心臓がドキンとした。なぜって俺は女にもてる性質(たち)だから。
 季節は秋。枯葉の落ちる公園のベンチに俺たちは二人では座っていた。
「……あたしねえ、実は超能力があるの」
 亜希子はちょっと風変わりな子だけど、やっぱり変わっている。ま・・・

1

かぶと虫

13/02/11 コメント:0件 藤代成実

ある樹齢を経たクヌギの木に、かぶと虫の王様が住んでいた。王様は、毎日ほかのかぶと虫や、ほかの虫たちに威張り散らしていたが、ある日突然、虫取りに来た男の子に、あっけなくつかまえられてしまった。
 王様は悔しそうに少年の小さな手の中でもがいた。
「気をつけたまえよ。きみだっておれみたいにならないとも限らない」
 男の子はニヤリと笑って、虫かごの中にポトリとかぶと虫を入れた。
<・・・

2

プラウディ

13/02/11 コメント:3件 藤代成実

 こんなことになったのも元はといえばぼくが悪いのさ。そもそものきっかけは名前なんだ。もちろんぼくにも名前はあった。でもその名前ときたら、この世の中に百万人はいる、ありふれた名前なんだ。悲しいだろう?ぼくの名前はきっと他にある。そう思って、ぼくは旅に出ることにした。名前を見つける旅にね。
 ちょうど辺りはからすがカアカア鳴く夕暮れ時、八百屋のオヤジが店のシャッターを閉め始めた頃だった。
・・・

1

神は死んだ

13/02/11 コメント:0件 yoshiki

 ――これは遠い昔、まだ神というものが本当にいた頃の物語である。

 遥か南方に素晴らしい文明を誇った国があった。気候は一年中温暖で土地は肥え、その上、国王(神官)は善良で優れた統治者であったから、国の中に争い事も無く、人々は毎日仕事に精を出し、国は益々繁栄を遂げるかのように輝いていた。
 しかし、ただ一つだけ困った事があった。それはこの国を造った神が現実に御座した事だ。ギリシャ・・・

2

シマウマとライオン

13/02/08 コメント:4件 yoshiki

 ――あるところに動物の国があった。雄大な自然がどこまでも広がり、緑豊かなその大地は誰にも荒らされる事などない美しい世界だ。我々から見たら異次元の世界だと考えてほしい。 そこに住む彼らは確かに動物であったが、人間のように考えることが出来たのだ。
 その世界のサバンナにとても足の速いシマウマがいて、そのシマウマは子供のころから走るのでは、誰にも負けたことがなかった。彼は先天的に足が速いだけでな・・・

2

きほんのき〜作家篇〜

13/02/07 コメント:0件 おでん

 妻も娘もいるじゃないか、と田所は自分に言い聞かせた。不貞、という言葉が頭をよぎった時、こんな私にもまだ家族を思いやる心があったのかと、つい驚いてしまった。
 しかしベットに横たわる相手は私を望んでいた。セーラー服を脱ぎ捨て、露になっている由美の肌は、部屋の安っぽい間接照明の灯りであたたかな色に染まっていた。もはや自制心のきかなくなった田所は、ネクタイを緩めて彼女の元へと歩み寄る……、

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LPG

13/02/07 コメント:3件 おでん

 もうかれこれ、ずっと馬車の中にいる。地盤の不安定な洞窟内では、車輪がはねてよく揺れた。それになんだか湿っぽくで、すごく陰気だ。同じ馬車仲間である戦士さんと踊り子さんは、ポーカーをして遊んでいる。外では他の仲間が戦っているというのに、のんきなものだ。でもわたしは、そんな彼らにも苦言を呈(てい)することが許されていなかった。この世界では強さが全てだ。補欠の中でもさらに補欠であるわたしに、仲間たちはと・・・

1

占いとぼく

13/02/06 コメント:3件 こぐまじゅんこ

 ぼくは、小学2年生。
 毎朝、学校に行く前にテレビをみている。トーストを食べながら、テレビの占いをチェックするのが、ぼくの日課なのだ。
 今日も、いつもと同じように、ぼくは、占いをみていた。
 十月生まれの、てんびん座。わくわくしながらみていたら、今日はなんと、ビリだった。
(えーっ、いやだなぁ。)
 テレビでは、
「でも、大丈夫。てんびん座の人は牛肉を食べる・・・

4

魔人と瓶

13/02/05 コメント:6件 yoshiki

 はるか昔、灼熱の国に魔人と言うものがいました。彼は緑の肌をし、筋肉隆々たる体躯を誇っていました。強大な魔力を持ち、誰はばかることなく自分の思うままに生きていたのです。人間などは敵ではなく、人間界をいつも荒らしまわり財宝を強奪し、美女を攫い、人間のつくる最高のご馳走をいつも食べていました。
 命知らずの勇者が何人も彼に挑みましたが、ことごとくが彼に殺されてしまいました。
 人々はなす術・・・

6

帯階段の家

13/02/05 コメント:8件 クナリ

地方にある高校の入試のため、私はある寂れた町の民宿に一人で泊まることになった。
木造二階建てのその家は戸も壁も全てが黒っぽく、日なたにあるのに影の中に沈んでいる様に見えた。
無理目な受験を控え、ただでさえ逃げ出したい気分だったのに、一層落ち込んでしまう。
たかだか一回の受験で自分の人生が決まってしまうのだと、両親からは散々プレッシャーをかけられ、逃避願望ばかりが肥大していた。

3

生命保険

13/02/04 コメント:3件 やまき

生命保険の勧誘

おめでとうございます。
このたびは待望の男の子で、
将来は博士になってノーベル賞でもお取りになるような優秀なお子様に
育てられますでしょう。

もし、万一のことがあったら大変なことですから。
ぜひ、お子様の保険に加入されますことをお勧めいたしますよ。
「お高いのでしょう」
「そうですね!一人で一千万円くらいでしょうか」<・・・

1

予知侍

13/02/04 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 剣の修行とはなにも、真剣をふりまわすことだけではない。
 仁乃川大吾はときに座禅、また茶店の床几に腰をおろして、目のまえをゆくさまざまな事象に目をこらしては、勝負にとって必要な、平常心を得ようとしていた。
 いまも大吾は、道端の切り株にすわりこんで、牛にひかれた荷車をながめていた。そのときだった、彼の心のなかにある光景が浮かびあがったのは。
 荷車の車輪よりもっとふとくて黒い輪・・・

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