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第十回 時空モノガタリ文学賞【 自転車 】

自転するモノガタリの世界。
今回のテーマは【自転車】です。

それに乗って風をきると、
北海の人魚が袖を濡らし、
それに乗って軌跡を描くと、
ヒマラヤの雪男が炬燵で丸くなり、
それに乗って空を飛ぶと、
ニューヨークのロックスターがくしゃみする。

そんな「自転車」の、
恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2012/8/27

※最多評価ポイント賞はお休みさせていただきます。
※注意!R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ ヒト・モノ・イキモノ
投稿期日 2012/07/09〜2012/08/06
投稿数 50 件
賞金 時空モノガタリ賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

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フォールティア

12/07/25 コメント:0件 kou

さあ、鐘が鳴る、鐘が鳴る。ツールドフランス第21ステージ、パリ・シャンゼリゼも残り一周」実況が興奮し、「笠原、笠原来い。抜け」と解説者が解説を放棄し私情を挟んだ。
「先頭集団に日本人の笠原!笠原が所属するチーム名は『フォールティア』ラテン語で勇気<Gース笠原はレース前、記者団から低迷するチームに秘策はありますか?と問われ、大丈夫ですよ。勇気って連鎖しますから。それに勇気っていい言葉ですよ・・・

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銀輪

12/07/09 コメント:1件 山田えみる(*´∀`*)

 郊外の公園のベンチの上。
 そこがぼくの定位置だった。ぼくはここから見る景色が好きだった。春の緑や夏の青、秋の紅に冬の白。その変化を味わうのは最高の贅沢だった。住宅街に近いので、よくお母さんが子供を連れて遊んでいる。いつもここにいるぼくは、いつ不審な眼で見られるのではとびくびくしているが、やはり公園はみんなのもの、ただここでぼけーっとしているだけのぼくも許容されていた。
 そんなぼく・・・

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自転車で駆け抜けた恋

12/07/09 コメント:7件 櫻田 麻衣

 大学生活の4年間を過ごした町は、都会育ちの私にとって驚くほど田舎だった。

 バスは1時間に1本しかなく、電車を使うためにはそのバスにさらに1時間ほどもゆられなければならなかった。交通費だって恐ろしく高額だった。友人の大半は原付か車を所有していたが、当時の私は人生の中でも最大級に貧乏だったのでそれも叶わず、どこへ行くのにも先輩から譲り受けたぼろぼろの自転車を愛用していた。

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黄金色の町

12/07/09 コメント:2件 汐月夜空

 ――お前みたいに良い自転車に乗るとやっぱり気持ちいいのか、って?
 そりゃ違えよ。別にオレは自転車本体にこだわりがあるわけじゃねえんだ。
 オレはただ、遠くに行きたいから自転車に乗るんだ。
 遠くに行きたいなら自動車があるだろって?
 はっ、あんた、分かっちゃいねえな。自転車だから良いんだよ。
 ペダルの一漕ぎ一漕ぎが、前への推進力となる充実感。
 後ろを振り・・・

最終選考作品

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自転車泥棒

12/07/25 コメント:0件 左足の小指

夕日が美しい・・久しぶりに時計屋は思った。
修理専門の店をしているのだが、1900年代の大仕掛けのからくり時計の依頼がフランスから来てから中々落ち着かなかった。

ねじは無いわ、錆びてるわ、無くなっている部品が当然、現在存在してないわ、仕掛けで出てくる女性の服は手には負えないわで、あっちこっちの職人や企業の知恵を借りて、なんとか仕上げの段階に来て、散歩をするという心の余裕が出てき・・・

2

この国を救うのは君だ! プロジェクトJに参加しよう

12/07/24 コメント:8件 草愛やし美

「ようやくここまでたどり着いた……」
 僕は感慨深い気持ちで呟いた。このNPO団体を知ってからここにたどり着くまで、随分時間がかかったように思えたが本当のところ数ヶ月だった。
 
 僕の担当職員がやってきた。
「ようこそ安藤さんお待ちしていました。このNO378があなたの乗る自転車です。画期的な自転車発電が可能です。明日朝スタート、2時間ぶっ通しで漕ぐのですが大丈夫でしょう・・・

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ママチャリと私

12/07/17 コメント:13件 泡沫恋歌

「あれー? 自転車がない!」
 私は思わず大声で叫んでしまった。
 さっき、スーパーで買い物を終えて出てきたが、自転車の鍵を外した所で買い忘れた品物を思い出した。慌てて、買って戻ってきたら、私の自転車が駐輪場からなくなっていた。
 あっちこっち駐輪場の中を探し回ったがやはりない。鍵を外したままで放置したのは、私の不注意だけど……その間、たった五分くらいである。まさか、そんな短時間・・・

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決定的瞬間

12/07/10 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

超ド級宇宙船ミナモト号のコントロール室には、多くの搭乗員が集まっていた。かれらの目は一様に、巨大モニターの画面に映し出された2S惑星に釘づけになっていた。
さきほどこの惑星から、コンタクトを楽しみに待つとの連絡がはいった。
ヘイケ船長は、自信ありげに胸前で腕をくんだ。
これから二つの、おそらくこの宇宙においても一二を争う高度な文明をもった世界が遭遇するのだ。
補佐役のシキブ・・・

投稿済みの記事一覧

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部品なんて、やってられるか

12/08/06 コメント:0件 サトースズキ

 高原地帯に差し掛かり、景色は豹変する
 鬱蒼と生い茂り、狭苦しくも夏の真昼の太陽を優しく遮っていた背の高い樹々は、二つ前のカーブを最後にぱたりと見ない。 風景は悪辣な自由を想像させる雄大な眺望となり、高原の山頂部分に開けた道は蛇のように丘の上を走り、左右にはそのどちらにも遠くにそびえる山が見える。山の頂と頂の間にはさらに遠くの山が顔をのぞかせる。集合写真のように互い違いになり、それは山々が・・・

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優ちゃん

12/08/06 コメント:0件 hiroma

二週間ぶりに学校に戻って来た優ちゃんは、ぬけがらだった。
そこにいるはずなのに、いない。例えるなら、そんな感じ。

「俺の自転車はな、空飛べるんや」
優ちゃんは、それを繰り返し言うだけだった。
か細い声。けれど、どうしようもなく深くて暗い、声。
それだけで、みんなを遠ざけるのには十分すぎた。



「三澤くんさ、お母さん亡くなってから、変・・・

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やぶれ坂

12/08/06 コメント:1件 松定 鴨汀

 やぶれ坂を自転車で上がりきれば、願いがひとつ叶うという。
 ただし、一度も足を地面につけてはいけない。
 自転車で進むうちに恐ろしいことが起こるが、それに惑わされてはいけない。

 とくに最後の言い伝えのせいで、僕ら近隣の小中学生は勾配的にはゆるやかなこの坂を極力避け、通らなくてはいけない時はわざわざ自転車を押して歩いた。


「本当にやる気かよ」

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サドル

12/08/06 コメント:2件 浜田 えみな

「槙野サトルくんの携帯ですか? 同じサークルの水上です。あの……、お願いしたいことがあって」
「水上? 水上郁子?」
「そうです」

 待ちあわせの場所に現れた水上郁子は、ショートカットの髪を、水浴びした子犬のように、ブルンと振って、軽く左手をあげた。九月の空は、どこまでも高い。
「おじいちゃんのサドルを持ってきてしまったの」
 水上郁子の赤い帆布のトートバック・・・

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どこまでも続く道

12/08/06 コメント:0件 風見薫

目覚まし時計の音で目を覚ます。私は寝ぼけ眼で風呂場へ向かった。

シャワーを浴びるとやっと頭が冴えてきた。

ドライヤーで髪を乾かして制服に着替える。スカートはいつものように二つ折った。

手首に少しだけ香水をつけて、鏡を見て軽く髪を整えた。

廊下を歩いていると、朝食の香りが鼻をくすぐった。

「いってらっしゃい」

私はち・・・

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虹色の自転車

12/08/05 コメント:0件 

 あたしの涙が頬を伝って流れた。
 ママの大切な口紅を鏡でママがいつもやるように持って、あたしの唇を朱色に染めていたら、そのまま折れてしまった。
 ママが鏡台に座ったときに、折れた口紅が見つかってしまった。あたしに折れた口紅を見せながら、ママは言った。
 
 「これやったの、夏でしょう?」
 「・・・うん」
 「まったく、もう・・・」
 ママはあたしを抱き・・・

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自転車貸して

12/08/05 コメント:0件 singha

「自転車貸して。」
 そうあの娘は言った。僕は黙って僕の自転車を貸してあげた。あの娘は自転車を返してくれなかった。返しに来れなかったんだ。
 あの娘が自転車ごと川に落ちて死んだのを知ったのは次の日だった。大人たちみんなからなぜ、自転車を貸したのか?と詰られた。僕は黙っていた。でもあの娘に言われたら、誰だって自転車を貸すだろう。
 あの娘は山の上に立つ洋館に住んでいた。
 白・・・

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少女時代

12/08/04 コメント:0件 

 私たち5人組は自転車で高校まで行くことになった。新しい制服はグレーのブレザーで短いスカートが流行りだった。ウエストの所で幾重にも折ってスカートを着ていた。靴下も短めで白いものを身につけていた。もうひとつの流行りはリボンだった。髪にリボンを付けて、かわいいものが大好きだった。
 桜が咲く4月、5月までは、みんな5人がそろって、通学していた。部活がはじまると、そういう訳にもいかないので、朝は自・・・

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人事だと思うなよ

12/08/01 コメント:0件 ポテトチップス

出入り口に吊り下げている風鈴が、キーン、キーンと鳴った。
「おう、風が出てきたな」
紺の作業ズボンに、白のU首シャツを着た竹中源吉が、自転車のパンク修理をしながら出入り口を見て言った。
30分程前に、中年の女性が自転車を押して店にやって来た。タイヤがパンクしたので直して下さいと言われ、直るまでの間、近くのスーパーで買い物をしてくると。
店の棚の上に置いたラジオから懐かしい曲・・・

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追いつけないあの子

12/07/29 コメント:0件 Aミ

「なあ、自転車で時速35キロって、簡単に出るもんかな?」

社員食堂で日替わりランチを食べながら、僕は向かいの席にいる同期の男に、思い切って、ここ最近気になってしょうがなかった話題を持ちかける。

「なんだよ急に?」
「いや、自転車通勤始めたんだけどさ。毎朝、すっごく速い子に追い抜かれるんだ」
「悔しい、と?」
「いや、自転車の種類が違うからな。簡単には比・・・

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自転車テロからの生還

12/07/29 コメント:0件 泥舟

いつもの坂道だった。
自宅から駅までの道のりを自転車で通勤している私にとって、朝は苦しい上り坂も、ペダルを漕がずに一気に下る坂道は、会社帰りのちょっとした楽しみだ。
いつもなら。。。

雨だった。
朝から雨が降っていればバス通勤に切り替えたはずだが、天気予報のチェックを怠ったのか、それとも天気予報が誤っていたのか、今やどうでもいい。朝に雨が降っていなかったため、いつも・・・

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空音

12/07/29 コメント:0件 茶鶴

夏休みが始まった。
プールに行ったり、花火を見に行ったり、少し遠くの大きなお祭りに行ったり、と受験勉強なんてない中二の優雅な夏休みを満喫する予定を友人と立てて嬉々していたほんの数日前が嘘のような落胆ぶりを、教室の机に突っ伏した眞鶴は見せていた。

「補習とか無理…」

喧しい蝉の鳴き声と数学の溝口―通称、子守唄先生の低く心地よい子守唄が蒸し暑い気温をベースに程よく煮込・・・

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プリンセスと自転車

12/07/28 コメント:2件 鮎風 遊

 亮介は駅から事業所までの近道を急いでいる。
 朝一番の会議までに資料を作成しておかなければならない。しかし、そんな慌ただしい中で思うのだった。
「今朝も彼女とすれ違うかな?」

 彼女とは、多分事業所近くに住む女性だろう。年の頃は二十五歳前後。
 きっとOLなのだろう、いつも亮介が事業所へと徒歩で向かっている時に、自転車を走らせ、軽快に駅へと飛ばしていく。
 ・・・

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もやもや

12/07/28 コメント:0件 kou

「どこか行くのか?」僕が住む三〇二号室のお隣三〇一号室の黒田さんが声を掛けてきた。
「自転車でどこまで行けるか試そうと思って」
「この暑い中?」
「そうです。この暑い中」
 最近購入したばかりの自転車を、僕は点検した。ブレーキの張り具合、タイヤの空気圧、購入してから数日経っても残る新品独特の匂いが鼻孔を掠めた。この自転車を購入する際に店員が、「この自転車はペダルが特徴的でし・・・

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夢の中の空飛ぶ自転車

12/07/27 コメント:0件 

 私の祖父が死んだのは17歳の秋頃だった。2学期の授業がはじまっていて、部活も辞めてしまったので、夕方になると、家路を自転車で走っていた。
 家の外からも電話が鳴っている音が聞こえていて、鍵をあけるのもガチャガチャと焦っていた。開いてから、バタバタと電話をとると聞こえてきたのは、祖母の声だった。
 「もしもし?みどり?おじいちゃん死んじゃったよ…」
 「えっ?おばあちゃん?大丈夫・・・

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戦う自転車

12/07/27 コメント:0件 ぐらんこ

 ガキーン! ジャキジャキーン!!

 と、豪快な金属音を奏でながら、僕の自転車は変形した。
 元の姿は、微塵も残っていない。
 あんな、華奢なフレームのシティサイクルが何をどう間違ったら、こんないかついロボットに変形できるのか?

「大丈夫か? たけし君!?」
 そのロボット――なんだろう――は、振り向きざまに僕に語りかけてくる。
 無機質なその頭・・・

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ニールとアリー

12/07/27 コメント:0件 野村レトリクス

 朝、だれかが部屋のドアをノックする。それでニールは目を覚ます。ドアの外のだれかは、まるでドアをノックアウトしようとしているみたいだ。こんなノックをするのはアリーにちがいない。ニールは毛布を丸めながら起き上がり、そう考える。
 ちょっと待ってて。
 ニールはドアの向こうに言う。声はまだ少し寝ぼけている。
 ほーい。
 ドアの向こうから返事が返ってくる。アリーの声だ。
・・・

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自転車置き場のあいつ

12/07/26 コメント:0件 ひよこもどき

暗い暗い帰り道

綺麗な青色の自転車を走らせて家へ向かう。


うっかりしていた、

早く帰りたいがために

あまりにも疲れてたために

慌ててライトをつけずに自転車に乗ってしまっていた。





「はい、君、ちょっと止まって」


交番の少し前まできた時、
交番の前にお・・・

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ローテンブルグの街角で

12/07/25 コメント:5件 エコーズ

丘の上の城壁に囲まれた中世からの旧市街。赤く染まったレンガのひとつにわたしの家は佇んでいる。ローテンブルグの街角は静まりかえり、訪れることのない来訪者を待ち続けているようだ。

殺伐とした部屋に設けられたテーブルには、封の切られていない何通かの手紙が無造作に散らばっていた。差し出し人の名前はないが、文面だけは知っている。

「いかがお過ごしですか。わたしは今日、マイスタート・・・

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思いを乗せて

12/07/23 コメント:0件 魔女

 部屋の壁にもたれさせて置かれている、ランドナー。
 それを見て、登紀子は何度溜息をついたことか。毎日毎日である。1年以上もの間である。いつかは処分しなければ・・・もらってくれる人はいるのだろうが、未だ手放せないでいる。乗り手のいない自転車。まだ一度も外を走っていない、自転車である。


「定年なったらなぁ、日本全国、ツーリングしよ、思てんねん」
 あと1年勤めれば定・・・

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そんな人ちがい

12/07/22 コメント:0件 リアルコバ

(そうか、赤い自転車に乗っていたのは郵便屋だったんだ・・・)
 実家の古いソファーに身を沈めて今更気が付いた事を呟いている自分が可笑しかった。ターンテーブルの蓋を開けてA面の終わったLPレコードを《かぐや姫さあど》と云う色褪せたジャケットに仕舞った。《そんな人ちがい》この曲は中学3年の文化祭で俺と栄一と敏ちゃん3人でバンドで歌った曲だった。
3人が3人とも《夏海》と云う名の女の子に惚れ・・・

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赤色 巡礼の旅で

12/07/21 コメント:6件 ryonakaya

 母が心不全で亡くなり、一週間が経つ。前日までお気に入りの赤い折りたたみ自転車
に乗って元気に駅前の繁華街まで出かけていたのだが、行きつけの洋品店で倒れ、その
まま帰らぬ人となった。赤い折りたたみ自転車は2日ほど前に洋品店のご主人が届けて
くれた。遺品の整理もしなければ、と思いつつ、体も頭も動こうとはしない。
 小さく折りたたまれて届いた自転車は、玄関にそのまま置いては・・・

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物心の再発行

12/07/20 コメント:0件 isoco

「あら、起きてたの。ちょうどよかった」
 レインコートを着た母が部屋にやってきて言った。
「ちょっとお留守番してて。お醤油切れちゃったから」
 まだ熱があるんだからじっとしてなさい、ゲームしちゃダメよ、などとひとしきりお小言をいうと母は家をでていった。暗い室内に取り残された私は布団の中で一歩も動かず、母が出かけていく音を聞いた。自転車の留め具が外されたときの金属音や、後輪が地面に・・・

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家出。

12/07/19 コメント:1件 翡白翠

 風が切られていく。排気ガスが僕の頬に触れて、抜けていく。僕は全速力でペダルを漕いでいた。ただ、遠く、遠くへ。
 なけなしの金を詰め込んだ財布をポケットに入れて、僕は家出をしていた。原因は単純なことである。母親の機嫌と、僕の機嫌が悪かったのだ。したがって僕は、母の料理に小言を言い、小言を返され、反論すれば屁理屈だろとわめかれる。
 大方の家庭での家出原因なんて、そんなもんじゃないだろろ・・・

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俺とあいつ

12/07/18 コメント:0件 林のりお

海が見える気持ちのよい坂道。突き抜けるような青空の下、俺はスピードをあげて下っていく。まさに地球とひとつになり、雑念は体をすりぬける風とともに消えてゆき、生きている喜びを感覚で思い知らせてくれる。

潮の匂いが鼻腔をくすぐり青い青い海が眼下に広がる。今日は昨日もいいことはひとつもなかったがそれでもこの世界はなんと素晴らしきかな。

突然ヤツは牙をむいた。無重力、崩壊の予感。・・・

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じ て ん 車

12/07/17 コメント:2件 ポテトチップス

「お父さん、新しい自転車買ってよ」
「いま乗ってる自転車、まだ乗れるだろ」
「だって、浩司君も弘田君もみんな、新しいマウンテンバイクに乗ってるんだよ」
智樹はソフトクリームを舌で舐めながら言った。
公園の噴水は、水しぶきを辺りに吹き上げながら、7月の青空に向け勢いよく昇っていた。
そこから発生した小さな7色の虹は、32年前の虹を急に思い出させ、4年前に病気で亡くなった・・・

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いつか、星空をこえて

12/07/16 コメント:2件 密家 圭

ーー自転車にのれなくたって、困らないよ……!
 寝返りをうつと、青あざが痛んだ。たくさん転んだのに、自転車に乗れるようにはならなかった。
もう練習なんかしたくないなぁ……
 暗くて見えないけれど、窓の外にある自転車へ目を向ける。すると、自転車のある辺りに、ぼんやりとした影のようなものがあった。
誰かいる……!
ベッドから飛び起きて見ていると、影がひ・・・

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一夫多妻制

12/07/14 コメント:0件 AIR田

 B子は自転車を365台所有していた、ということに気付いたのは結婚してから。
 付き合い始めてから結婚するまでの3年間、偶然にも、お互い自転車に乗って待ち合わせすることはなく、またデートで自転車の話題が出たこともなかった。結婚後、365台の自転車を前にして、「まぁ、これだからね」とB子に言われ、偶然ではなく意図的だったのだと、人生一番の納得をした。
「おかしいよね。自転車を365台持っ・・・

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坂道

12/07/14 コメント:8件 郷田三郎

 病院へ向かう長い坂道を、僕は自転車を押して上ってゆく。
 心臓の音が直接鼓膜に響く。呼吸が速過ぎて喉がガラガラと鳴った。汗が気持ち悪いし目に入って痛い。
 それでも僕は長い坂道を、自転車を押して上ってゆく。
 週に一度のこの辛いお使いを、僕はもう半年以上も続けている。バスで通っていたのも入れれば一年半ほどになる。中学に入って直ぐに始まった事で、僕は二年生になった。
 長い・・・

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空色の青いブルーの自転車

12/07/13 コメント:0件 

私が彼との結婚を決めたのは、男女の別学だった頃の同級生だったからだ。
「結婚して下さい」いつも彼はそれしか言わなかった。
同級生とはいっても、授業は別々だし、部活にも入らなかったので、私が、当時の彼と出逢うことなどなかった。
もしかしたら風のように、図書館や食堂や音楽室で出会っていたのかもしれない。だけどやはりお互い知らない人同士であることに変わりはなかった。
 私は彼と出・・・

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騙された

12/07/13 コメント:0件 はちゃめちゃ太郎

煙草をくわえたまま煙を立ちのぼらせ、作業着姿のおじさんは、中腰で自転車のタイヤをくるくると回し、パンクの最終チェックをしてくれている。
カラカラカラと軽い音をさせ、「よし」と、油で黒く汚れた顔をくしゃくしゃの笑顔にし、「ボウズ、これでもう大丈夫だ。次からは気をつけろよ」と言った。
空き地の小さな段差から自転車で落ちるのが楽しくて、何度も何度も繰り返しているうちに、板に刺さっている・・・

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ランキング

12/07/11 コメント:2件 デーオ

今日は自ファミリー、転ファミリー、車ファミリーと3つのファミリーに集まってもらいました。テーマはランキングです。世の中には色々なランキングがありますね。売り上げランキングなんかは分かりやすいですね。人気ランキングというものもあって、これはどういう人がどういう基準で選ぶかが問題になります。あ、もう討論が始まっているようです。

車体:そもそもランキングってのは数で決めるもんだからよ、自さ・・・

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永遠の海よ

12/07/11 コメント:16件 そらの珊瑚

 僕たちを乗せたあの自転車は、どこへ消えてしまったのだろうか。
       
        ◇
 
 僕たちは海辺の町で育ったおさななじみだった。小さい頃は磯に出て、カニを採ったり潮だまりに取り残された小魚を採ったりして共に遊んだものだった。
 小学校へ進級してからはどちらともなく距離を置くようになった。『男女七才にして席を同じゆうせず』という言葉があったように、・・・

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めぐさん

12/07/10 コメント:1件 ゆひ

隣の部屋から、めぐさんの声が聞こえてきた。

「起きてるかー!」

起きてるに決まってる。
あと10分もしたら出勤しなければいけない時間だ。

「またチャリ乗せてってことー?」

大きな声なら聞こえるほどの薄い壁に向かって、ぼくはそう返事をした。
その数秒後には、ノックもせずににめぐさんが、ぼくの部屋のドアを開けた。

「お、・・・

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おじさんでゴメン

12/07/10 コメント:2件 デーオ

自転車には盗難がつきまとう。長年自転車に乗っているので、何回も盗難にあっている。盗まれて数日後、自分で駅の近くで発見したこともあるが、たいていは出てこない。最近もサイクリングに出かけた公園で、置いたはずの場所になく、何度も範囲を広げて探したが見つからなかった。この自転車はもう6年間乗っていて、チェーンンがギシギシ鳴り、うるさいので買い換えようと思っていたので、あまり惜しいとは思わなかった。何しろ、・・・

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自転車でいこう!

12/07/10 コメント:9件 そらの珊瑚

赤信号で
一台の自転車が止まる
重そうなブレーキ音
それはそのはす
後ろの荷台には
補助シートに乗せた幼子
お母さんはハンドルを
ぎゅっと握って
足をつく
背中におぶわれた赤ちゃんは寝ていて
首がガクリと折れて
天を向いている
前かごには
買い物袋
白ネギが飛び出している

ハンドルには
トイレッ・・・

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届け!

12/07/09 コメント:10件 汐月夜空

 ペダルを踏み込む足は既に鉛のように重くて鈍かった。
 心臓の早鐘は容赦なく激痛を生み、懸命に酸素を求める肺が無理やりにでも意識を断とうともがいている。
 ぜっ、ぜっ! と短く濁った呼吸が耳障り。髪は振り乱れてきっと山姥みたいになってる。風に捲れたスカートが隣を走る車の人に見られているかもしれない。

 
 ――かまうものか!

 美紀はさらに強くペダルを・・・

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春の日

12/07/09 コメント:2件 縁合 紫

 春風を感じながら麻理香はひたすら自転車をこぐ。小学校入学の時に買ってもらったピンクの自転車はまだピカピカだ。そして麻理香にはまだ少し大きい。それでも自転車で友達の家に行けることが嬉しくて自転車をこぐスピードも少し早まる。
 
 実は麻理香は補助輪無しの自転車に幼稚園の年長になっても乗れなかった。そのことに母親は呆れ、父親は「まあそのうち乗れるようになる」と余裕というふりをした放置を重・・・

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願いごと、ひとつ

12/07/09 コメント:6件 かめかめ

「まいちゃん、またリハビリさぼったって?」
看護師と廊下で顔をあわせた途端、そう声をかけられた。
「手術までに筋力つけておかないと、後がキツイよ?」
「私、手術うけませんから」
舞は視線をそらして答える。
「えっ?なんで?」
「歩ければ十分ですから。今のままで十分」
「でも、手術さえ受ければ…」
「もう、いいんです!」
大声を出した舞自身がビッ・・・

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秋の門出

12/07/09 コメント:1件 鷹元

周りを見ていると、その景色がどんどんと通り過ぎていって、決して止まることはなかった。唯一その景色がゆっくりめになるのは、ちょっとした上り坂になったときくらいで、それは一向に止まることを知らない。

 また、田んぼに生える菜の花の、花の数を数えられるまでゆっくりとしたスピードになったので、藤内は、目の前にある背中にむかって「降りようか」と声をかけた。

 短く切り揃えられた・・・

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お隣さん

12/07/09 コメント:5件 智宇純子

 カビ臭い雨合羽を脱いで自転車の上に放り投げる。管理人が窓から横に頭を出して睨んでいるのが視界に入り、仕方がなく綺麗にかけ直す。すぐ横に止まっているブルーメタルの自転車を目で確認すると、舞は重たいカバンを胸元に抱え込んだ。
 
 時間がないのに。あの電車に乗らないといけないのに!
 
 舞は管理人に軽くお辞儀をすると、スカートのシワを叩いて直しながら駐輪場から飛び出した。傘・・・

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空と風と少年と…

12/07/09 コメント:10件 ゆうか♪

 坂道を颯爽と一人の少年が滑降してくる。
 晴れた日の青空をバックに降りてくる真っ白な自転車。
 それに乗って、いかにも楽しそうな表情で降りてくる。
 彼の笑顔はまるで空と友達でもあるかのように明るく、風を仲間として飛ぶように降りてくる。

 毎日閉じこもった部屋の窓から眺める風景。
 その中に時々覗く彼の笑顔。
 わたしは唯一それを見るのが楽しみだった。・・・

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