1. トップページ
  2. 第七回【 結婚 】

第七回【 結婚 】

男と女。その契約。
今回のテーマは【結婚】です。

夢みるうちが花、
と彼は言い、
私は誰のものにもなりたくないの、
と彼女はきびすを返す。
それでも、それでも、
その言葉の響きは男と女の深部を揺らめかせ続ける。

そんな「結婚」の、
恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2012/7/13
最多評価ポイント賞: 2012/7/13 ※発表日12:00のポイント対象

※諸事情により今回より選考期間を延長させていただきます。
※注意!R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ イベント
投稿期日 2012/05/28〜2012/06/25
投稿数 64 件
賞金 時空モノガタリ賞 5000円 ※複数受賞の場合あり

最多評価ポイント賞 5000円
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

0

Mr. & Mrs. イトウ

12/06/23 コメント:2件 ヨルツキ

「『いつか会社を辞めてやる』って言うけれど、私たちも『いつか離婚してやる』って思っているわよねえ〜」ミセス・イトウの声にそうよそうよ、とマダム友だちが笑い声をあげた。
「誰のおかげでメシが食えると思ってるんだよな。俺たちが働いているから3食昼寝つきの生活してやがるんだぜ」ミスター・イトウの声にそうだそうだ、と仕事仲間が笑い声をあげた。

 結婚式を挙げて30年。
 3人の子・・・

2

ウエディングケーキ請負人 朝倉真帆

12/06/12 コメント:7件 草愛やし美

「ウエディングケーキプロデューサーの朝倉です。今回はどうのようなケーキをご希望でしょうか?」
「私たち、香川県出身でしてうどんに目がないのです」
「香川といえば、有名な讃岐うどんですね。それで?」
「うどんケーキでお願いします」

 頼まれた私はどんなケーキであろうと絶対首を横に振らない。それは意地というものではなく、その人たちにとって一生一度の結婚式だからこそ、お式・・・

1

冬来たりなば春遠からじ

12/06/12 コメント:3件 そらの珊瑚

 ぶるぶるっ。冬は寒い。あたりまえか。ぼくは毛皮を着ているからいいけど、銀次は冬でもぺらっぺらっの木綿の単衣。どんだけ寒いかって思うよ。でも寒いって江戸っ子が言うのは野暮だと思ってて「はーくしょい。今日はばかにあったけいな。もう春か」なんて強がり言ってんだよ。風邪引く前に綿入れすればいいのにね。
 申し遅れましたが僕は犬の『くろ』。人間の言葉をしゃべる不思議な犬だよ。豆腐屋銀次はぼくの飼い主・・・

0

黒と白

12/05/28 コメント:4件 かめかめ

しほちゃんは、お昼ごはんのあと、画用紙にクレヨンで、絵をかいていました。
ぽかぽかあたたかい日で、おなかはくちくて、しほちゃんは、うつらうつらすると、ことん、と寝てしまいました。

しほちゃんが、すーすー、寝息を立てているのを確認して、クレヨンたちがニョキニョキっと立ち上がりました。

「あ〜あ。らんぼうに握るから、体が半分で折れちゃったよ」

「私なんか・・・

最終選考作品

1

紫陽花

12/06/21 コメント:2件 そらの珊瑚

 神楽坂。かつては花街と呼ばれていた処で私は生まれました。細い階段がまるで迷路のようにつながり、いくつもの置屋や黒板塀の料亭などがところせましの並んでおりました。
 私の母もここで芸者をしていました。花街といえども、そこには昼の生活というものがあり、子もいれば、学校もあります。
 私は小学校にあがってすぐに口さがない男の子らに「おまえんち二号さんなんだろ」とことあるごとにいじめられまし・・・

0

つけない嘘

12/06/18 コメント:4件 サトースズキ

 駅の西口を出たところにあるガードレールに腰かけていた。それはツツジの垣根と一緒になって道路と歩道を分けていた。花はまだ当分咲きそうにもない固く閉じたつぼみだった。
 せっかくの日曜だったが、空はたっぷりの雲で覆われていた。ときおり西から流れてきた低い雲がビルの中層あたりにぶつかり、まっぷたつに分割されている。それぞれがビルをぐるりと回り込んで反対側で合流する。それはまるでそうなる事が運命で・・・

0

6月の風

12/06/17 コメント:4件 龍詠

「結婚したらいいのに、いい縁談があるのよぉ。」
2度の離婚を経験し、すっかり自信を無くしている私に母が再婚を薦める。
息子たちが独立し、独り暮らしを始めた私が、1人は寂しいと漏らしたので母が心配して言ったのだ。

「私・・自信ないもの。自分がもう少し辛抱足りてれば別れなくても済んだのにって思うけれど、性格はなかなか変わらないし。」
初めの結婚も2度目の結婚も、基本的に・・・

0

誓いと約束と狂気

12/06/13 コメント:0件 にゃき

結婚。その二文字になら、悲しみよりも喜びをと願う。
喜びを描きたいものだと、心から。

三年前には結婚していた。
三年間同棲してからの、たった三ヶ月の結婚生活だった。
変わり者で切れる感じの男に惹かれるたちで、到底思い
つかぬような発想や生活に対する無知がいとおしかった。

とどのつまり彼は20年以上患っていた心の病で、山奥の
精神病院に入院・・・

0

12/06/10 コメント:0件 ポテトチップス

 風呂から上がった草野正人は、冷蔵庫から缶ビールを1本取り出し、部屋の中央に置いてある大きめなソファーに腰を下ろした。
 プルタブを開け、缶ビールを呷った。
 今日で俺も40歳になったのかと、時の経つ早さに驚きと寂しさを感じた。
 しみじみと缶ビールを飲み、3本程空にすると、ようやく酔いも回ってきて、心の奥深くにしまってある、大切な思い出が入っている数ある壷の中から、ひときわ鮮や・・・

0

安いドラマ

12/06/02 コメント:1件 ゆひ

それはもう少し、若かったころのことだ。

町のすみっこの小さなカフェで、僕と彼女は別れ話をしていた。
ドラマでよくある風景だなぁ。長い別れ話の最中にそんなことを考えて、
ふとカメラを探してキョロキョロしたりした。
けれどそれはどこにもないから、あぁ、現実なんだなとわかった。

現実は、たぶん安いドラマよりひどい。

このコーヒーを飲み終えると、・・・

1

夕立ち

12/06/01 コメント:4件 そらの珊瑚

 雨の匂いがする、と塔子は思った。
 
 塔子は昔から極度に嗅覚が鋭いところがあって、いい匂いにしても、そうでない匂いにしても人より早く、強く匂ってしまうタチらしい。
 匂いというものは、歓迎するしないにかかわらず、、勝手に向こうからやってくるのだから仕方ない。
 ああ、何かに似ている。そうだ、恋はたぶんこんな感じだったんじゃないか。かつて恋をしていた時のことを思い出した。・・・

0

12/05/29 コメント:4件 AIR田

男性は生涯で二度結婚することが出来た。
一度目は山から落ちる冷たい風と川の石。
二度目はビルの隙間から吹く風と道の石。

 「結婚して下さい」
  この言葉は過去に男性が女性に言ったことに間違いはないが、
「結婚して下さい」
  今その言葉を向けられた相手は道端に落ちているただの石だった。
&・・・

投稿済みの記事一覧

0

安寧の日々の終わり

12/06/25 コメント:0件 松定 鴨汀

「汝はこの男を夫とし、良きときも悪きときも……」
 ついにこの日がきた。
 待ちわびていたこのときが。
 
 思えば長かった。幼馴染は成人する一歩手前で病死し、一人目の彼は結婚式前日に圧死した。
 もう誰も好きになるまいと思っていたところにあらわれたのが、今、隣で神妙に神父様の言葉を聴いている彼である。

「……死が二人を分かつまで、ともに添い遂げることを・・・

0

泡になる条件

12/06/25 コメント:1件 白田まこ

 海に落ちてから、王子は変わった。
 あんなに結婚を嫌がっていたのに、突然結婚する意志を固めたのだ。
 当初、王子は街一番の美しい娘と結婚するはずだった。だが王子との顔合わせにと、城に来た翌日、娘は消えた。次に選ばれたのは前の娘に負けず劣らずの美しい娘。この娘も、また次の娘も、城に来たその日の内に姿を消した。王子は彼女らの葬式に出る事はなかった。その為、王子が婚約者を求めているというの・・・

0

プロポーズ

12/06/25 コメント:0件 singha

―あれは、夢だったのではないだろうか…?休日の昼下がり。遅いランチを済ませた後、傍らでクークーと寝息をたてている彼の寝顔を見ていると、ふとそんな気持ちになる事がある。

結婚して五年。まだ子供には恵まれていないけれど、私は彼と家庭を築き、凸凹ながらもこの道を二人で一生懸命に歩んできた。色々な事があったようでもあり、あっという間に月日が経ってしまった気もする。

私にも睡魔が・・・

0

かくれみの

12/06/24 コメント:2件 浜田 えみな

すればするほど楽になる。
特に人生の目的があるわけでもなく、才能も野望もポリシーもない、人の目ばかり気になる小心者は、結婚しておくに限る。免罪符! フリーパス!
子どもも二人ほど産んでおけば、なおいい。ああ、自由。ビバ結婚! チャオ出産!

たとえば、毎日、ブログを書いているだけで、人から「すごい」と言われる。
独身だったら、「何やってるの? 何になるの?」と一瞥され・・・

0

結婚式にて

12/06/24 コメント:0件 瀬田一郎

 結婚して変わったこと。結婚して変わらないこと。結婚しなくて変わったこと。結婚しなくて変わらないこと。
 頭の中がごちゃごちゃになったのは目の前にいる同級生達の変貌だろう。
 たとえばチビで太っていたけんちゃんだ。今では奥さんが美容師をやっているらしい。今ではボサボサだった髪もおしゃれなパーマをかけ、メガネのことをアイウェアと言ったりもする。
 次にツネ。わかりやすく言えば絵に書・・・

0

透明結婚式

12/06/23 コメント:0件 村咲アリミエ

 花嫁に「ありがとう」と満面の笑みで言われた彼女は、「どういたしましてーお幸せにー!」と、投げやりに返した。
「素直にどういたしましてって言いなさい」
 後ろにいた男性が、頭ひとつ分小さい彼女の後頭部をこつんと叩く。新郎新婦は、最後まで相変わらずなそのペアを見て、くすくすと笑った。
「いってーなー、たくよー……。じゃぁな、せいぜい離婚すんなよ」
 と、まぁ不吉な言葉を残し、・・・

0

幻夫婦と感動コンサート

12/06/23 コメント:0件 村咲アリミエ

「こんな酷い嘘もないわ」
 僕に向けて彼女は新聞を投げ捨てた。その一面には、大きな見出しで「西藤夕 感動コンサート」と書かれていた。
 僕は、今日少なくとも三度は読んだその記事を、ため息まじりにもう一度読見始めた。
 何度読んでも、酷い。

『「俺の奥さんに、挨拶させてください」
 先月十五日、人気歌手西藤夕(さいとうゆう)(29)のコンサートが、レオーネスタジ・・・

0

LOVE LOVE LOVE(隔世遺伝)

12/06/21 コメント:0件 ヨルツキ

「どうしてウエディングドレスを着てるんだよ」
 モニター越しに映る彼女を見てアオイは搾り出すように声を出した。彼女はなにも言わない。
「俺はそんなの聞いてない。どうしてだよ。俺だってなんどもなんどもプロポーズしたじゃねえか。なのに――」
 モニターの向こうで彼女が目を伏せる。
 ぽっちゃりとした顔つき、小さい瞳。
 お世辞でも美人ではない。それでもアオイは恋をした。ウ・・・

0

少子化騒動

12/06/21 コメント:0件 泥舟

日本の少子化が深刻化して久しい。
少子化の指標として、出生率が挙げられるが、1970年代半ばにその数値が2.00を切って以降、確実に減少を続けた。
2005年に1.26の最低数値をはじき出し、ここ数年は1.3台を維持しているにすぎない。これが、底を打った状況であるのか、それとも更なる減少の単なる踊り場に過ぎないのかは、意見の分かれるところだ。

一概に出生率というが、世界的・・・

0

伝えたい言葉

12/06/21 コメント:0件 エコーズ

 私がこの世を去ってから二年と三ヶ月。時の流れは早いものね。生きてる時は、それがどういうことかわからなかったけど、きっと今の私のような状態を成仏できないって言うのよね。

 だけど私にはやることがあるの。それはね、婚約者を呪い殺すこと。

 でもちょっと待って。呪い殺すといっても、わら人形に釘を打つとか、テレビからはい出てくるわけじゃないのよ。
(昔そんな映画があった・・・

0

不完全な私

12/06/20 コメント:4件 エコーズ

 
 彼からプロポーズを言い渡されたのは一月ほど前の出来事だった。

「結婚しよう」

 シンプルなその一言に私は耳を疑い、何度も頭の中でリプレイしていた。そして彼の言葉が理解できた時、あまりの嬉しさに心の中でガッツポーズを決めていた自分が記憶に新しい。
だけど私はその時気付くべきだった。そのガッツポーズが懸賞を当てた時のような、あるいは試験に合格した時のそれと・・・

2

六月の奇跡 約束

12/06/19 コメント:4件 草愛やし美

「結婚式なのに、黒猫って……」
「黒猫を連れてるわよ、あの人」
「何あれ! 縁起悪いわよねぇ」
「式場に猫なんか連れてきてもいいのかしら」
「何か特別申請してるそうなんだって、でもね黒猫なんてひんしゅくものよ」

 ヒソヒソ声が式場のあちこちから聞こえてきている。だけど私は平気だ。この黒猫は私の一番大切な付き添いなのだから。
「キチ、よく見ていてね、私、き・・・

2

晩夏の小夜時雨 (ばんかのさよしぐれ)

12/06/17 コメント:6件 鮎風 遊

 粒径は0.4ミリメ−トル。そして、落下速度は秒速2メ−トル。無色透明のまま、それらは真っ暗な夜空より、さあ−さあ−と。微かな音とともに複雑に、交叉しながら落ちてくる。
 主成分は紛れもなく[H2O]、だがそこに微量の窒素を含ませて・・・・・・。
 そんな天空からの、季節外れの落下物、それは晩夏の小夜時雨。無味無臭の性状のままで、その夜それが降っていた。

「ねえ、開けて」・・・

0

桜下爛漫ノスタルジア

12/06/16 コメント:0件 山田えみる(*´∀`*)

 ぼくたちは文芸部の新年会の真っ最中だった。
 とはいっても、学校で一番大きな桜の木の下は運動部系の賑やかなグループに押さえられているしなんでも朝の四時からブルーシートを敷いていたらしい、他の目立ったスポットも人がごった返しているので、もう使われていない校舎の裏というなんとも寂しい一本桜の下である。
 一週間前の卒業式で文芸部を支えてきた先輩たちが抜けていき、いまはぼくと後輩の女の子の・・・

0

夫婦栽培

12/06/16 コメント:2件 isoco

 大掃除をしていると置き去りにしてきた期待というものによくでくわす。たとえば挫折した教材とか、冒険して買ってみたけど尻ごみして結局着れない洋服とか、あとそれと、じょうろ。鏡がわりになれる銀色のじょうろ。週に一度だけ泊まりにくるあの人が置いていったじょうろ。やりきれたことといえば庭に植えたトマトを枯らしただけのじょうろ。僕らが一緒に作った期待の数だけ穴が空いたじょうろ。

 刃物は置いて・・・

0

ヒノモトの恋

12/06/15 コメント:0件 リアルコバ

《カタカタカタカタ》 タブレットと音声認識であまり見掛けることの無くなったキーボードの音が、今となってはモダンにさへ見えるコンクリートの部屋に響く(120年か)この建物の建築時期が西暦2000年であることを資料で読んだ事がある。
【ヒノモトムサシ】 それがこの物語の主人公である。



「あ〜ぁやっぱりこうなっちまったか」ヒノモトが溜め息を付いたのは半年前の4月1・・・

0

指輪の魔法

12/06/13 コメント:0件 

いつも校庭を見つめながら彼女を見ていた。陸上部だった彼女の走り高跳びは見事な曲線を描いて緑色の厚いマットに落ちていく。バーはそのままだった。彼女の笑顔がもっと見たくて…。僕は彼女とただのクラスメイトでいることをやめる決心をした。自転車置き場で彼女を待つことにする。彼女は自転車通学の高校3年生だった。桜木香織。性格はきちんとしすぎているといえばそうかもしれないが、しっかりしているといえば、そんなふう・・・

0

格好悪いラブレター

12/06/12 コメント:0件 村咲アリミエ

 夜中の二時、俺は彼女が寝たのを確認し、こっそりとベッドを抜け出した。暗闇の中、慎重に進み、ドアを開ける。寝室を出て、ゆっくりとドアを閉め、リビングにこそこそと移動する。
 暗闇の中、テレビの前にあるソファに静かに座る。ソファの下に隠しておいたレポート用紙を取り出し、挟んでおいたボールペンを握った。リビングの明かりはつけない、すぐ隣で寝ている彼女を起こしたくないからだ。
 ソファの横に・・・

3

わたしのエゴらいふ(笑)

12/06/11 コメント:3件 泡沫恋歌

 ――ひと言でいうと、わたしは夫の性格が嫌いです。

「おーい」
 階下で夫の呼ぶ声がする。二十五年ローンの安普請の三階建住宅は、階段ばかりが多くて昇り降りが大変、毎日がうんざり。
 一階の駐車場に置かれているゴミ袋を開けて夫が何か言っている。
「なぁに?」
「家庭ゴミの中にマヨネーズのキャップが入っていたぞ!」
 赤いキャップを摘まんで目の前に突き出す。・・・

0

シャッターを閉じて…

12/06/11 コメント:2件 ゆうか♪

また別れがやってくる
出逢いの後にはかならず
悲しい別れがやってくる

出逢って臆病な心を開き
ほんの少し夢をみる
無意識に未来に希望を馳せる

だけどそれはいつも突然で
ようやく開いたシャッターを
いたぶり震わせ打ちのめし

もうまともには開けないように
荒々しく閉じていく

ずっと探し続けた運命の人

1

動き出した歯車

12/06/11 コメント:2件 デーオ

時間が無い。オレは佳奈の手を引いて駅の階段を急いで降りていた。中ほどまで降りた時、佳奈がアッと小さく言って足を止めた。つないだ手を引っ張る形でオレは足を止めた。通勤時間ではなかったので人混みに押されることはなかったのは幸いだった。

佳奈が降りてきた階段の上の方を見ている。オレもその視線をたどった。脱げてしまった佳奈の靴が横になっている。一瞬シンデレラのシーンが頭に浮かんだが、オレはす・・・

0

結婚券

12/06/11 コメント:0件 グラ

「誕生日プレゼント。」
そういって彼から渡されたのは一枚の紙切れだった。
もらったばかりの紙に目を向けると、そこには“結婚券”の文字。
お金も度胸もない彼からの精一杯のプレゼント。
少し恥ずかしそうに顔をそらす彼を、愛しく思った。

運が良いのか悪いのか、地元への転勤の話がきた。
大学進学で上京し、そのまま都内で就職して4年目、生まれ育った地に戻る・・・

1

結婚式ウオッチャー

12/06/10 コメント:3件 ケイ

 俺は「結婚式ウオッチャー」。あらゆる結婚式に出席し、新郎新婦の幸福そうな顔を見てやるという趣味の持ち主だ。今日も街に繰り出して、結婚式に参加してやる。さて、どんな幸福が待っているだろうか。

 とある教会で式が執り行われていた。どれどれ、俺も末席に連なり、式の行方を見守ってやるとしよう。俺は座席の最後列に加わり、新郎新婦の登場を待った。神父の前で、新郎が落ち着かない様子で立っている。・・・

1

はねむうん

12/06/09 コメント:3件 そらの珊瑚

 中腹まで登ってきただろうか。さすがに女の脚にはこたえる急斜面であり、竜馬、おりょう、そして道案内の男、三人はしばし路の岩に腰をかけ、休憩をとっていた。
 それにしても今が盛りと小さな花々が無数に咲き誇る様は圧巻であった。薄桃色の海のようだと、肩で息をしながら、おりょうはおもわず見とれた。道案内の男が『きりしまつつじ』だと誇らしげに告げる。
「この景色はまことでありましょうか?」

0

狐の娘の天気雨

12/06/09 コメント:0件 Aミ

うら若いあかね狐は山鳩に化けて、壮麗なチャペルで執り行われている豪華な結婚式を憧れの眼差しで見ていた。
 (すてき!妾もあのように美しく祀り上げられてみたい!)
あかね狐は考えた。
あのチャペルと同じ十字架の教会の人間に求婚すれば、あの結婚式ができるだろうと。
そこで、巣穴のある小高い丘からいつも見えている小さな教会を訪ねることにした。あそこには若い牧師がいるから・・・

0

汚れなき涙

12/06/08 コメント:0件 ナオイテツヤ

「今度、結婚するんだ」
幼小時代からの親友である千鶴が、電話で喜ばしい報告をしてきた。
もちろんここは喜んであげたいところだが、あいにく私はそんな気分には、なれなかった。
「おめでとう!遂にアンタも結婚かぁ」
最大限の力を振り絞って千鶴に祝福をしてみたが、覇気がないと言われないかとヒヤヒヤした。
しかし、彼女は気づくことなく今後の日程や、結婚相手について話を続けた。<・・・

2

究極結婚チャーチ

12/06/08 コメント:4件 草愛やし美

「亜里沙、このゼゼシィに出ている究極結婚チャーチってのどうだろう?」
「何々? 究極の結婚式が出来ます――ゼウス協会、何だか怪しいネーミングね。究極って大丈夫かしら慶太」
「究極なんだから凄く素晴らしい式が出来るんじゃないのかな」
「ゼウスってあの全能の神の?」
「かもな、面白そうじゃんか、行ってみようよ」
「そうね、体験会無料だもんね」

 二人の若者は・・・

0

卓袱台向こうの決闘

12/06/08 コメント:1件 バコ

 十年前の白魚の、人差し指にはインド土産の三文ルビー、薬指には無垢のしろがね、中指には立て爪のダイヤモンドが燦然と輝いております。モース硬度は足して二十一・五、息子の年を越えました。きゃつめが家を出て数年、もはや盆暮れにも顔を見せませぬ。
 それも無理はなかろうと、わたくしめすらうなずいてしまうのは、女房の憤怒の形相と振りかぶられる拳を見れば理解できるというものでしょう。柱の傷はおととしの、・・・

2

マリアージュ

12/06/07 コメント:6件 泡沫恋歌

 ――どうして私がこんな席に座ってなきゃいけないの?

 今日はいとこの美帆の結婚式だ。
 彼女は純白のウエディングドレスに身を包み、誇らし気に笑みを浮かべている。そして、その隣でデレデレ笑っている新郎が、私の元カレの和貴――。
 親戚でなければ、こんな結婚式には絶対に出席したくなかった。怒りでグラスを持つ手が震えた。

 美帆は父の妹夫婦の娘で私より一歳年下・・・

2

ウエディングベルの丘 

12/06/06 コメント:2件 草愛やし美

 長い冬が終わり、生れたばかりの白うさぎは、お母さんと一緒に初めて穴から出てきました。春の野に出た白うさぎは、丘の上で眩しさに驚きました。可愛いピンクの花が 咲いています。
「なんて可愛くキラキラ輝いているんだろう」
 白うさぎはその花に恋をしました。でも、白うさぎはその花に話したくても、恥ずかしくてどうしても話すことができません。毎日丘の上に登って行き、木陰からじっと小さな花を見つめ・・・

0

狐の嫁入り

12/06/06 コメント:1件 tahtaunwa

 その老人ホームは、のどかな田園の中にあった。青々とした芝生の庭からは稲荷山が見える。誰が読んだのか、またの名を“天国へのスロープ”という。
 
 久々に娘が老人を訪ねてきた。ウエディングドレスを着て。
「お父さん、長い間、お世話になりました」
 芝生に三つ指をついて頭を下げる。
「私、お嫁に行きます」
 こんな光景、こんなセリフを、昔、見たことがある。老人は思・・・

0

旅のあと

12/06/05 コメント:5件 寒竹泉美

 彼女は二週間の旅を終えて帰ってきたところだ。いつも仕事で忙しい恋人(現在は夫だ)とずっと一緒に過ごすなんて初めてのことだった。二十四時間×十四日。とても長い贅沢な時間だったような気もするし、泡のように儚く短い時間だったようにも思えた。

 彼女は、旅行の一日目に、「また旅がしたいね」なんてことを口走って彼に笑われる。
「まだ旅は始まったばかりだよ?」

 彼は朝早・・・

0

結婚の条件その1

12/06/05 コメント:0件 takasan

僕は結婚することにした、式は上げないつもりだ、今まで50何年生きてきて今回で2回目の結婚である、前妻は昨年先に天国に行ってしまった、急性の白血病だった、享年57歳でありいまでは若死にである。22歳のときに々会社で知り合い3か月後にはもう同棲していて子供ができ籍をいれた結婚式はしていない、かわりにイタリアとフランスにふたりでいったがはじめてのパリでは意外とさわがしい町の様子に期待をうらぎられたような・・・

0

恋の寿命は

12/06/04 コメント:2件 密家 圭

  三年で別れる恋人、四年で離婚する夫婦の割合は高いらしい。大学で心理学を学び始めたときにこのデータを知った。つまり恋の寿命なんてもって三、四年で、「愛しい」なんて感情はいずれ消えてしまうんだ。だから、別れ話をしてあれほど怒られる謂われなんて俺にはないはずだ。むしろ、五ヶ月も続いたことを褒めて欲しい。
まだ冷たいアイスコーヒーを口にし、数分前にいた女のことを思い出す。「 ・・・

0

テセウスの薬指

12/06/04 コメント:1件 山田えみる(*´∀`*)

 「あなたー、ちょっと肩が凝っているの。直していただけないかしら?」
 買い物から帰って来たらしい妻の声が、工房の方まで聴こえてきた。ちょうどキリがよかったので、いま手がけている作業に一区切りをつけ、エプロンで手についた油汚れを拭う。オートメーションの量産品より、職人の一点物を――という復古ブームが来ていることもあって、次から次へと注文が止むことはない。そのおかげでわたしも食べていけるし、妻・・・

1

迷ったときに

12/06/04 コメント:0件 kou

翌日に結婚式を控えた青柳は一人ドライブを決行した。

車の中でFM放送のJAZZ音楽番組を流した。するとピアノ演奏が青柳の耳をかすめた。前半はトビウオのようにスタッカートを意識し、後半は春の穏やかな風のように右から左、左から右へと鍵盤を軽やかに操っているのが耳に伝わってきた。
演奏者は無名の女性ピアニストだった。ベストテイクは最高の精神状態だったのではないか、気分がのった女性ピア・・・

0

夜明けのカノン

12/06/04 コメント:0件 黒沢 文章

 あなたが目を覚ますと、カーテンの向こうにある世界は少しだけ白みを帯び始めていた。あなたは横で寝ている彼を起こさぬよう、慎重な動きでステレオ・コンポのリモコンを取る。曲はヨハン・パッヘルベルのカノンニ長調、フルオーケストラバージョン。あなたはその音楽を小さな音量で、微睡みの淵で聴くのが好きなのだ。

 物語は夜明け前から始まる。静かに月が沈んでいくシーンからだ。世界はまだ暗く、希望の光・・・

0

リセット

12/06/04 コメント:3件 佐川恭一

 休日の朝、妻がオムレツを作る音が聞こえる。僕は新聞を広げながらソファに腰掛けて、煙草を吹かしている。結婚して三年が経ち、まだ子供はいないが、柴犬を部屋の中で飼っている。犬はとてもよく懐いていて、その無邪気な瞳が僕たちをいつも癒してくれる。
 文句のない生活だ、と僕は思っていた。妻はとても可愛らしく僕に甘えてきてくれるし、僕もそれを嬉しく思っている。特に給料は高くないが、大きな不自由のない生・・・

0

欠片

12/06/03 コメント:1件 はちゃめちゃ太郎

 幸せが怖かった。あたしの全てが終わると思っていた。
 あたしは舞台女優。どんな役でも演じられる。世間からは天才と呼ばれ、常に脚光を浴びていた。
 あの役と出会うまでは――。

 二年前、あたしはあるお芝居のヒロイン役に抜擢された。
 その人物の設定は、大恋愛の末に結婚をして幸せな生活を送るも、やがて自身が難病に侵されていることを知り、それを頑なに隠し続けて最後に病死・・・

0

結婚式にはお金がかかる

12/06/02 コメント:0件 汐月夜空

「マスター、ちょっと聞いてほしい話があるんだ」
 ある春の日のことだ。
 空が橙から紫へグラデーションを描く黄昏時。
 アンブレラカフェ『雫』のカウンター席に座ったミカドが、雫の定番メニューである、ほろ苦いガトーショコラをつつきながら、呟くように話を切り出した。
「はい。私でよければどうぞお話下さいませ」
 マスターはシルバースプーンを磨いていた手を止めて、ミカド以外・・・

0

林檎

12/06/02 コメント:2件 桐生和

「私、一の瀬みずきは駆け落ち致します!」という何ともはっきりとしたメールが送られてきたのはある日の深夜だった。
 メールの送り主である人物は何というか、温室で育てられたような、培養されたような思考をしている。簡単に言えば、純粋。で、無知だ。蝶よ花よと育てられた彼女は、悪意を知らない。いわゆるお嬢様である。
 今まで数えきれないほどのお見合い写真が送られてきている。そしてそれに対して彼女・・・

0

結婚恋愛

12/06/02 コメント:0件 stargirl

「結婚していただけないでしょうか?」
ホテルの最上階で食事を終えたとき、彼がそう言った。
窓の外には、きらきらとネオンが輝いていた。
目の前に差し出された彼の手の中には、ネオンよりも輝くものもあった。
理想のシチュエーションだった。
この瞬間を手に入れるために、どんな努力でもしてきた。

それなのに―
それなのに、どうして私は嬉しくないのだろう。

0

星をみあげる

12/06/01 コメント:4件 かめかめ

もう、二時間。
葉子と並んで、夕焼けで赤く染まった川を眺めている。
黙ったまま、ぼーっとしている。

「恋愛ってさ」

独り言みたいに、葉子がつぶやく。

「恋愛って、お互いを見つめ合うことなんだって。そんでさ」

ぽつり、ぽつりと言葉をつむぎ、また、だまってしまう。
僕は、川を見たまま、聞くとも無く聞いている。

「結・・・

0

結婚狂乱時代

12/05/31 コメント:1件 クリイプ

「それにしても君、結婚というものもずいぶん昔と変わってしまったじゃないかね」

 新郎に声をかけられて、礼服を着た痩身の男は「左様でございますか」と当たり障りのない答えを返した。
 
 新郎の結婚式を直前に控え、客席はすでにほとんどが埋まっていた。礼服の男は早くタキシードの着付けを終わらせてしまおうと、ピッチリと伸びたサスペンダーを新郎のパンツまで伸ばした。

・・・

0

シューズクロークの住人たち

12/05/31 コメント:2件 左足の小指

-王様へ-
あれは貴方が王子と呼ばれていた頃・・

舞踏会ですもの・・美しい靴をはき、着飾って行ったのに、貴方は、私くしを一度もご覧にならなかった・・
貴方は、他の女性と語らい、その女性に微笑み、その女性と踊った・・その方だけをご覧になっていた・・
時計が12時の鐘を鳴らし始めた時、その方のお顔が青カエルの様になったのを私くし、見逃しませんでしたの。
その方が、・・・

0

マリッジブルー

12/05/30 コメント:1件 はやみしいな

結婚式が近づくにつれて怖くなる……

「本当にこの人でいいの?」
「私なんかが家族としてやっていけるのかな?」

考えれば考えるほど体が動けなくなって、友人の声も愛する彼の声すら遠くて、気が付けば聞こえなくなっていた。

きっと私は深い海にでも沈んでしまったんだろう、
この海はきっと私の涙、心なしかとても冷たい


些細なことで心は・・・

0

獣道

12/05/29 コメント:2件 智宇純子

 オヤジが泣いた。

「なんだよ。オヤジだってそんな時があっただろう?」
「まあな」
「やっぱり。そうだと思ったよ。オヤジも隅には置けないなぁ〜」
 一瞬間が空いて、次の瞬間。「おまえは………どうしておまえはいつも自分勝手なんだ」そう震えているような声が聞こえてきた。晋一郎は軽快に相槌を打ち電話を切ると、いきなりその場に蹲った。枕から漂ってくる整髪剤と汗が混ざった臭い・・・

0

叶わない夢

12/05/28 コメント:2件 汐月夜空

あの時、私には好きな人が居た。


私が彼に初めて出会ったのは、大学に入ってしばらく経ってからだった。
季節は初夏で、時刻は辺りが紅く染まり始めたくらい。
私はその日、授業が終わったお昼からずっと木陰で本を読んでいた。
周りの人は授業が終わるなりカラオケやボウリング、ショッピングに繰り出していったが、私は決して誘われなかった。
避けられてたわけじゃない。自・・・

0

満月

12/05/28 コメント:2件 智宇純子

 ドラマのヒロインが、行きつけの洒落たレストランで上司役の二枚目俳優と食事をしている。そこに、上品なセレブが登場。上司の驚いたような顔がアップで映り、聞きなれた派手な曲がテレビから流れてくる。

「あ、ええ。聞いてる。今日は遅くなるのね。わかった」
 頑張ってね。尚美はテレビの方に顔を向けたまま手探りで受話器を置いた。
「ああ、やっぱりね。このままうまく行くはずないと思った・・・

0

無敵のファイター

12/05/28 コメント:3件 W・アーム・スープレックス

一瞬のスキをついて剣先士郎の、腕ひしぎ十字固めががっちりきまり、さしものワフー・デビルもたまらずレフェリーにギブアップをつげた。
15分にわたる熱戦をくりひろげた両選手に対して、観客席からさかんに拍手がおくられた。
ただひとり、峰子だけは、うなだれた顔をしきりに左右にふりつづけていた。
リング上で勝利の叫びをあげた士郎が、いきなりロープの間から身をすべらせるなり一散に、峰子のとこ・・・

0

遠距離恋愛のその先は…

12/05/28 コメント:0件 ゆうか♪

「もう終わりにしようか」
雅也の口から出たその言葉を、優美は少し伏し目がちにして聞いていた。
遠からず聞かされるだろうと覚悟はしていたけれど、だけどやっぱり聞きたくはなかった。できれば雅也の気が変わる何かを言いたかったけれど、言葉が見つからないまま、一旦開きかけた口をそのまま閉じてしまった。
冗談だよと笑って欲しい――その思いで胸はいっぱいだった。
しかし雅也は、何も返事を・・・

0

泡沫の重み

12/05/28 コメント:2件 八子 棗

 六月に入るのを待っていたかのように、蒸し暑さは日を追い増していった。毎日のように通っている駅前の喫茶店は、冷えた飲み物を求めて立ち寄る客が以前より増えた気がした。少なくとも、私がいる時間帯の空席は、ほとんど見られなくなった。
 すっかり私の中で定位置と化したカウンター席の隅で、今日も私は九月の院試に向けて勉強をしていた。大学受験の勉強をしていた頃の癖で、ついこの喫茶店に来てしまう。一杯の飲・・・

ログイン