1. トップページ
  2. 第五回 時空モノガタリ文学賞【 京都 】

第五回 時空モノガタリ文学賞【 京都 】

青龍、朱雀、白虎、玄武。四獣鎮護の王城。
今回のテーマは【京都】です。

あの女は今頃どうしているだろう。
月影が静かに照らす洛東を背に、
雲影たなびく洛中の夜を歩けば、
胸元から忍び込むのはマモノやイキモノ、
それに神仏の吐息を孕んだ洛北の風。

そんな【京都】にまつわる、
恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2012/6/11
最多評価ポイント賞発表日:2012/6/11 ※発表日12:00のポイント対象

※注意!R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ エリア
投稿期日 2012/04/30〜2012/05/28
投稿数 47 件
賞金 ◆時空モノガタリ賞(主催者賞)⇒ 5000円 ※複数受賞の場合あり

◆最多評価ポイント賞 ⇒ 5000円
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

4

貴船 蛍岩に想いを寄せて

12/05/22 コメント:1件 草愛やし美

 本日は拙い私の掌編にお越し下さいまして感謝いたしております。語り部の草愛と申します。よろしくお願い申し上げます。ここは京の都の北に位置しておりますとある川原。皆さま耳を澄ましてみて下さいませ、せせらぎの音に混じりましてあちらより話し声が聴こえてまいったようでございます。
「おはよう」
「おはよういい天気だね」
 どこからか、話し声が響いてきております。辺りはまだ暗いというのに…・・・

0

消灯させない

12/05/18 コメント:0件 isoco

 お賽銭箱の前で、幽霊に声をかけられた。
 初対面の幽霊である。それなのに、久しぶり、会いたかったよ、などという。メガネをかけた薄い顔立ちをした男性だ。身の危険を感じ、即座に逃げようとするも肩をつかまれた、はずなのに彼の手は私の体を通過した。彼は透けているのである。

 一万円札をお賽銭箱にいれ、再生させたい者の名前を唱えながらお参りすると、その死者を蘇らせることができる。ここは・・・

0

12/05/17 コメント:0件 リアルコバ

「おいでやす ようお越しくらはりましたなぁ」
東山区祇園町北側の路地の暖簾の前で待っていた三代目女将の笑顔は、学生時代と変わりはしない。
「やぁ この度は・・・」
用意したはずの弔問様の挨拶が出てこない。
「おおきに 来てくれはっただけで嬉しいおす」

案内された母屋の仏間には、寺と見紛う程の仏壇が香の香りに燻されている。
「呆気ないもんどすな・・・

0

京都嵯峨化野(あだしの)幽霊伝説殺人事件

12/05/09 コメント:4件 カシヨ

 この街ではよく殺人事件が起こる。
 現場は祇園、西陣、鞍馬、嵐山あたりが多く、だいたい市内の中心部か北寄りだ。午後九時から十一時にかけて、平均二、三人が殺される。月曜か金曜、土曜日が一般的だが、木曜八時台もおなじみだ。
 
「おはよう、しょうちゃん。きのうのドラマ見た? 九時からのやつ。あれ、しょうちゃんちの裏の竹林やろ? 血がぶしゅーって飛んですごかったな。『幽霊伝説殺人事件・・・

0

昼行燈

12/05/08 コメント:1件 tahtaunwa

 幕末の京都。とある居酒屋で、関東から上洛してきたばかりの浪人が売り出しに躍起になっていた。男の名は大田一蔵。
「わしの名前は江戸ではちょっとしたものだったぞ。ある道場主などは、道場破りが来るたびに助っ人を頼みにきたくらいでな」
「そんな情けない道場主がありますかね?」
 一緒に飲んでいた瓦版売りが疑いの目を向けた。
「わしを疑うのか?」
 そのとき、一蔵の目に店の奥・・・

最終選考作品

0

ほな、また来年。

12/05/23 コメント:0件 カシヨ

 午後八時十五分、火床に組まれた薪の炎がごうごうと燃え立つと、明見山に船形が浮かび上がる。久しぶりに西賀茂の実家に戻った赳夫は、北の方角にそのなだらかな里山を見た。
 澤井のおっちゃん。
 盂蘭盆の最終日。送り火を見るたび、彼はそう呼んでいた人のことを思い出す。父の友人だったが、赳夫にとっても年の離れた友人のようで、誰よりも身近に感じていた大人だった。

 両親が共働きで多・・・

0

恋の神さん

12/05/12 コメント:2件 カシヨ

 石段の最初の一歩目でつまづき、よろめいて手すりをつかんだ。買ったばかりのミュールに傷がついたのは間違いない。たいした段差ではなかったが、階段の両側に立ち並ぶ朱色の燈籠に見とれていたのだ。美桜子の口からは自然とため息がこぼれ出た。
「何やってんねんな。山奥に来んのわかってて、なんでそんな靴で来たん」
 ずいぶん淡然とした声が聞こえ、とたんに彼女の気持ちはひしゃげてしまう。美桜子は「そら・・・

1

京都に、行けない

12/05/09 コメント:0件 ケイ

「俺、京都に行ったことないんだよね」
「え? 修学旅行とかで行かなかった?」
 喫茶店のテーブルで向きあっている彼女が、大袈裟に驚いた。
「小学生の時は極度の下痢、中学生の時は足を骨折、高校生の時は金沢だったから。縁がないというか」
「ふうん。京都に行ったことない人なんているんだ。だってもう社会人でしょ」
 彼女はアイスティーのストローを、俺の鼻先に突きつけた。その態・・・

0

丸窓の誘い

12/05/08 コメント:0件 桐生和

丸窓の向こうはしとしとと雨が降っていた。まるでこちらの宿の中と丸窓の向こうは、隔離されたかのように、違って見えた。
丸窓は一枚の絵のようだ。さすが京都、と言えばいいのか、洗練された美、という感じか。天気はあいにく雨になってしまったが、雨の京都もいいものだな、と思っていた。

「きれいだねえ」

と、耳元で幼い声が聞こえた。私は辺りを見回す。最近おひとり様、が増えている・・・

0

京都の和菓子

12/05/05 コメント:4件 かめかめ

(明日は休みだ。今日を乗り越えれば、明日はこのツマラナイ仕事から開放される)
重い足を引きずりながら、オレは心の中でつぶやく。
毎日毎日、ノルマノルマ。
「お前が無能だから売れない!」と罵られ続ける。
毎朝、吐きそうなほどの胃痛と共に出社するコッチの身にもなれってんだ。

毒づきながら、目の前のチャイムを押す。
今時、インターホンじゃない、ただ音が鳴るだけ・・・

0

そう思ったのです

12/05/03 コメント:2件 デーオ

 紅葉には少し早かったのですが、庭園にあるモミジは綺麗に色づいており、あたしは思わず「わぁ!」と声をあげてしまいました。
 あのひとがあたしを見る視線を感じながら、あたしは精一杯の笑顔をつくったのでございます。なにしろ、久しぶりの外出でありましたさかい、もう病気のことなど忘れておりました。

 池にかかる橋をゆっくりと渡っておりますと、池畔の黄色い色と赤い色。そして水面に映る少し・・・

投稿済みの記事一覧

1

あの頃から

12/05/28 コメント:0件 kou

京都府美山町というのは少なからず僕を癒してくれる。
悩んでいるときは、いつもここに来る。
なぜだかわからないが、心が安らぐ雰囲気を醸し出している。
それはもちろん目に見えないものだ。感じることしかできない。
豊かな森と、清らかな水の流れ、自然と同化する。
都会の喧騒が嘘のようだ。

そこは川に沿って藁葺き民家が多数存在している。自然景観と、茅葺き民家が調和・・・

0

とんかつ

12/05/28 コメント:0件 takasan

僕はとんかつを京都で食べるのをとても楽しみにしていた、それは春の鞍馬でのことであった。いつものとん平についたのは昼を少し過ぎたころでしたがもう満席であり予約帳に名前を書いた。すでに5〜6人の名前が記入されていていて30分はまたされそうである、しかしいそぐ旅でもなし日差しのゆるやかなこの鞍馬でおもいきり好物のとんかつをあげる油のいい香りを楽しむのもいいかなあ〜と思いバッグからスマホをとりだしメールの・・・

2

京都祇園から東山へ 八坂さんの都市伝説

12/05/28 コメント:2件 草愛やし美

「なんて人が多いんだろう」
 私は京都の四条大橋に佇んでいた。みんな楽しそうに歩いている。そんな喧騒の中、私は一人ぽっちだった。心細さにくずおれそうな心を抱え、それでも自らの足で京の地を踏めほっとしていた。
 私は死ぬつもりで京都へやってきた。なぜって、一言で言えば失恋。相手は二股も三股もかけていたのに私は有頂天だった。友人には知ったかぶりしていたが、本当のところ恋なんかさっぱりわかっ・・・

3

京都伏見 酒蔵情話

12/05/27 コメント:1件 草愛やし美

 
 母が亡くなって1年法事のため私は実家へやって来た。母は昔から丈夫な人で家族みんな病気とは無縁の人だとばかり思ってきた。病に気づいた時はもう手遅れで家族はみんな悔やんだがどうしようもできなかった。
 私は隣の県に嫁いだが、母は私のことを心配してくれた。嫁ぎ先が兼業農家だったため嫁である私は年中農作業に駆り出された。
「都会育ちのあんたに田植えなんかできるん? 腰はどない、無理・・・

0

私の祇園

12/05/25 コメント:2件 stargirl

 私が舞妓になったきっかけは、大好きなお姉さんが舞妓になったことでした。
私はどうしてもお姉さんのお傍にいたくて、お姉さんを追いかけて舞妓になりました。
もともと私は祇園のお茶屋の娘でしたので、置屋につてもあったのです。
毎日厳しいお稽古ばかりでしたが、お姉さんと同じ舞台にいるというだけで、心が満たされていました。
 それが、数年後のことです。お姉さんは旦那様をみつけ、結婚・・・

1

京都【さまよえる鬼】

12/05/25 コメント:0件 そらの珊瑚

「こわいよ、かかさま」」
「またこわいゆめをみたのね。だいじょうぶよ、かかさまがそばにいるわ」
   ◇
 小さな灯によって浮かび上がったその影に、ふたつの角があることを子はまだ気づいてはいない。
 ほんとうの鬼は、夢のなかに棲んでいるのではなく、現実のなかに棲んでいることをまだ知らない。
   ◇
 わたくしのことをお知りになりたいのですか?今はこんな姿に成り・・・

0

京都のおもてなし

12/05/24 コメント:0件 

京都への修学旅行で、私はあることを心に決めていた。コンビニでアルバイトをしていたとき、先輩が舞妓さんと結婚するのが夢だったと言っていた。私は高校生活の最後で、先輩は国文学を専攻している大学生だった。照れたように先輩は言っていたけど、京都への旅行には自由行動があって、その時間を使って、舞妓さんになった写真を撮って、先輩へ見せて、もっと照れた顔をさせて、先輩が私を好きになってくれたらと思っている。自・・・

0

弱った心に甘い言葉

12/05/21 コメント:0件 itaiitai

17年前には想像もしなかった現実。
かやみは春の京都が好きだった。高校入学お祝いの京都旅行に桜を見に行くも、小雨と
例年より寒く絶景は見れなかった。落柿舎から見る景色はそれでも目には輝き心を晴れ晴れとさせた。
歴女とは世間でまだ騒がれていなかったが感慨にふけっていた。

時を経て、かやみは平凡でも順風満帆な日々を過ごしていたのだが…。
短大を卒業し(初代超氷河期・・・

0

古書店にて

12/05/19 コメント:1件 山田えみる(*´∀`*)

 『京都』というところには他の土地にはない魅力があるらしい。
 だいたい創作モノでは鬼や妖怪が跋扈しているように描れることが多い。わたしもアマチュア作家だからよくわかる。だいたいそれにおまけして、和装の少年が陰陽師の子孫として札を操っては式神を使役したりする。
 だが、もちろんここはそんな現代ファンタジーな世界ではない。夏は蒸し暑く、冬はまじ寒い、いたって普通の街だ。

 ・・・

0

わらじを履いた縁結び地蔵

12/05/19 コメント:0件 Aミ

黄金の三角地帯から、偏西風に乗って東へ…

空気の妖精が独り、気流に身を任せて漂っていました。
海の泡から生まれてはや三百年。彼女は、人間たちの生活が豊かに、けれどそれに反して心は貧しく不幸になる様を、ただただ見守り続けていました。彼女にできたことはといえば、涼しい空気を運んでささやかな慈雨を招くことくらい。空気の妖精とはいえ、彼女一人の力では自爆テロの航空機を止めることも、死の・・・

0

花かんざしを君に

12/05/17 コメント:0件 密家 圭

「桜が、咲いたのですね」
春のにおいがします、と女は上品に目尻を下げて微笑んだ。枕もとの花かんざしへと色の白い手を伸ばし、以前よりも弱々しくなった声で彼女は言う。
「見れそうにないですね」
桜は散るのが早いから、と小さな声で言う。
「また咲くよ。来年、病が治ってから見れば良い」
姿勢良く座す男が励ますが、彼の顔からは胸中の複雑な気持ちが見てとれた。女の死期がすぐ・・・

0

えんむすびの神様って、本当にいるの?

12/05/17 コメント:0件 感動★タイムマシン

 縁結びの神様は本当にいる。
 そのことを証明したのは、私たち自身だった。
 直人とは付き合って1年になる。直人と一緒にいると、心が安らいだ。私は本当に直人のことを愛していた。
 しかし、私たちの恋愛には、乗り越えなければならない大きな障害があった。それは、大阪と東京の遠距離恋愛であること。毎日でも直人に会いたかったが、そうはいかない。会うのはせいぜい月に1度か2度だ。
 ・・・

0

京都のような町並みで

12/05/15 コメント:2件 龍詠

京都。
その言葉の響きは、日本人の心の奥の何かを捉えてしまう。
何だろう、この懐かしさ、心地よさ。

遠き時代の思い出なんかないくせに
目を瞑るとなぜだろう、ここに懐かしい思い出があるような気さえするのである。

ねえ、あんた。今夜も泊まっていけへんの?
こんなに月夜が艶っぽい夜やのに。。
袂を掴んで彼の眼を見つめる。

女房がうる・・・

0

京都のある日

12/05/13 コメント:0件 takasan

僕は京都が好きだ、そして、妻も京都がとてつもなく好きである。久々の京都の夜を二人で楽しむために祇園ちかくのホテルを予約しておいたのだ。今夜は祇園で二人酒のつもりだ。妻とはかれこれ30年まえにこの京都で知り合いその日のうちにいい仲になりその後大学をでると東山の精密機械を製造販売する小さな会社にはいりいまではなんとか営業部長になり毎日が多忙でなかなか休みがとれず先日やっと3日とれたので今晩は祇園であす・・・

0

徳川250年の夢

12/05/12 コメント:1件 泥舟

「わしはこの度、征夷大将軍となった」
家康は、脇に侍る本田正純に語りかけるようにつぶやいた。
「はっ、おめでとうございます」
その答えに不満なのか、家康は正純を一瞥して続けた。
「どうしてなったのかわかるか?」
「殿が戦国の世を平定した功績が認められ、日本国の運営を任せるに足る人物と認められたからにございましょう」
「そんなことはわかっとる。征夷大将軍にならずと・・・

0

ある鬼の話

12/05/12 コメント:0件 鬼灯天狗

 酒呑童子様が死んだ。俺達の首領は源頼光によって討たれた。多くの鬼達が泣き悲しみ咆哮をあげる。俺は、ただ呆然と立ち尽くす事しか出来なかった。

―――…俺は赤鬼の一族の紅。酒呑童子様と茨木童子様は、まだ弱かった俺をこの鬼の軍団に引き入れてくれた。当時幼かった俺は、それはもう二人が神のように思えたに違いない。妖怪が神に例えるだなんて可笑しな話だと思われるかも知れないが、それくらい俺にとっ・・・

0

ロシアンブルーの子猫とシャム猫の絵葉書

12/05/11 コメント:0件 左足の小指

「教育って何なんだ〜!」

<また、君の飼い主、犬みたいに吠えてる>
<職場の小学校で生徒と意見が合わなかったんだって>

「おっ隣の猫じゃないか。もう、うちの真(まこと)と友達になったのか?真、日本の首都はどこだか知ってるか?」
知る訳ないから、公庄(くじょう)さんに聞く。

<京都に決まってる>
<京都>
「そうなんだよ、東京だ、それ・・・

0

天狗さまとキス

12/05/11 コメント:0件 tahtaunwa

 闇に閉ざされた鞍馬の山中。今にも燃え尽きそうな松明を持った女がひとり、さまよっていた。髪は乱れ、着物はボロボロ、素足は泥と血で染まっている。
「天狗様!どうか、義経様の仇を討ってください!憎い頼朝の首を!この願いが叶うなら私のこの身を差し上げます!」
 女の叫びは鞍馬の山中にこだました。だが、それに応えるものはない。
 女は力尽きた。神仏にも見放されて、この山で人知れず白骨にな・・・

1

再出発

12/05/10 コメント:0件 kou

切符を後ろポケットから取出し、ある異変に村野は気づいた。
右の掌をおでこにあて、しまった、と呟いた。
京都駅に着いて早々これでは、この先が思いやられる。
そう、鞄を車内に忘れた。
ここで慌てふためくのが人間だろうが、まあ、後で連絡すればいいか、と村野は楽観した。
善意ある人が係員もしくは車掌に言ってくれているか、もしくは第三者に盗られているかだろう。

そ・・・

0

京都にて、ひとり  〔『告白』の続編になります〕

12/05/10 コメント:4件 ゆうか♪

 記憶の糸を手繰り寄せると、私は30年以上も前にタイムスリップしていく。
 そして私の眼前には、映画のコマ送りのように当時の映像が浮かんでは消えていくのだった。
 京都府N郡M町は、丹後半島の付け根中央辺りに位置するド田舎の町だった。
 私がひとりで日本海側の国道9号線を走って辿り着いた伯母のうちは、食堂と錦鯉の釣堀を町外れでひっそりと営んでいた。
 家族は伯母とその夫、出・・・

0

京の夜

12/05/10 コメント:0件 takasan

目が覚めるとそこは京都駅のホームであった。東京を一番の新幹線で乗り富士くらいからうとうととして夢をみていた。途中なんどとなくぼんやりとしていて、これからの商談の計画を再度確かめようとしていたのが、季節がらやけにねむいのだ。5月の連休もなく妻と子供たちだけで信州の僕の実家に里帰りしている、ああ子供たちは楽しんでいただろうか?妻には毎度のことながら苦労をかけていると思うーーーーー、年に5月と正月はかえ・・・

0

新しい世界、それは

12/05/09 コメント:0件 そらよる

「その先」

はっとなって振り向いた。
振り返った先には、藤色の甚平を着て、右手に煙管を持っている少年がいた。
雨が降っている。

(おいおい、未成年が喫煙だなんて―)

僕の声が出るよりも先に、彼の声が空気を揺らした。

「その先、行ってもいいけど、よくないよ」

チリン
古い街並みに風鈴の音が響いた。

・・・

0

おやすみなさい、また明日

12/05/09 コメント:0件 ゆひ

お父さん、元気にしてますか。
私はいま、修学旅行で、京都に来ています。
新学期が始まったばかりで、まだ新しい友達もできてないのに、
泊まりがけで旅行なんて、私はちょっと変だと思うな。
でも、知らないところに行くというのは、楽しいとも思った。
お父さんも、私の知らないところで、楽しくしているのかな。
そうだったら、いいな。

今日は、清水寺に行きました・・・

0

仮令、これが。

12/05/09 コメント:6件 静砂

「今年も雨ですね」
手机に冷酒とつきだしを並べながら奈津さんが呟く。
「真子ちゃん、傘持って行ったかな」
「どうでしょう? あの子は毎年だから慣れてると思いますけど」
控えめな明かりを灯すよう柔和な笑みを浮かべ、彼女が向かいの座布団に腰を下ろす。
「今年もありがとうございます」
「いえ、そんな」
日中に散々出店に付き合わせたというのに、真子ちゃんは夕方から・・・

0

夜桜の願い

12/05/07 コメント:0件 藤也

 駅から私の実家に通ずる道の途中に在る一本の枝垂桜は、私が生まれた時からそこにあった。いや、正確に言うと私が生まれるずっと以前からそこに存在した木なのだ。     
 あれは、私がまだ中学2年生になったばかりの春だったと思う。部活が終わり、宵闇が迫りだした頃に駅に着き、実家に向けて帰路に着こうとしていた時、偶然その桜の木の近くに住む知り合いの陽子さんに出くわした。30代後半だけど、そんな歳に・・・

0

いけず

12/05/06 コメント:2件 カシヨ

「京都に行ったけど、やっぱり別に意地悪なんてされなかった」

 関東出身で在住の友人が、二泊三日の京都旅行を終えて口にした言葉だ。
 京都が好きで、「いずれは町家に住みたい」とそのために貯金までしているという彼女は、京都に生まれ育った私なんかよりよほどこの地に詳しい。おいしいと噂の店や期間限定で特別拝観している寺など、色々知っている。
 そんな友人の、もう何度目になるかの京・・・

0

のろとキミと

12/05/06 コメント:0件 根岸 迷

僕は東京の高校生だった。が、それももう終わり。
今年の春から京都の大学生になる。
東京から旅行以外で出たことが無かった僕は初めて「京都」という町で新生活を始める。
引っ越しなんかしたこともないから手間取ってしまって、親にいろいろ迷惑をかけてしまった。
でも、今日からはもう大学生だから迷惑かけないんだ!とか鼻の下を伸ばしていると、アイツが僕を嘲笑うかの如く鳴いた。
アイ・・・

0

修学旅行にて

12/05/04 コメント:1件 

 もっと、幻想的な所だと思っていた。
「はぁ」
 想像と現実のあまりの差に無意識の内にため息が漏れる。

 道には石畳が敷かれ、昔ながらの長屋が軒を連ねる。道行く人々はゆったりと歩を進め、まるでタイムスリップしたかのよう…………というのを想像していたのに。
 修学旅行で初めて訪れたそこは、自分が住んでいる所と変わらない、現在の日本の風景が広がっていた。
 確かに・・・

0

秋の色

12/05/04 コメント:0件 re-kowoods

どうしよう、今しかない、嫌だって言えばいい。気持ちが揺れている間に車はホテルの駐車場にバックされていた。エンジン音が止まる。
「さあ行こう」ポンと肩を撫でられる。
顏が綻ぶ有無を言わせない厳しさの誘惑に、揺れる気持ちを収める。歳は自分の父親とさほど変わらない会社の上司と、私は今ここにこうして居る。なんて愚か、なんて悪女。
愛なんてない。きっとお互い微塵も。あると敢えて言うなら、彼・・・

0

告 白 (ひとり京都へ)

12/05/03 コメント:4件 ゆうか♪

今を溯ること、既に30年以上も昔の事です。
私はまだ免許を取って2年位でしたが、軽自動車にルーフキャリアを着け、その上に自分の身の回りの物を詰めた衣装ケースを幾つも積んで、たったひとりで京都へ向かう日本海沿いの国道9号線を走っていました。
私にとっては初めての長距離の旅です。
朝早くに家を出て、京都の丹後半島にある伯母の家に着いたのは夕方でした。
その間、時々思い出したよう・・・

0

嘘からでたホンマ

12/05/03 コメント:1件 isoco

「ちーちゃんって猫みたい」
 名前が?それとも顔が?私はたこ焼きを頬張っているからたこ焼きみたいな顔をして首をかしげるだけで、何が猫なのか声をだして聞こうにも聞けない。
「性格がほんとさぁ、猫みたいなのよ」サチエはそう言ってブランコを漕ぎ始めた。自分の膝の上に乗せているタコ焼きからかつお節が舞うと、魂がもう猫だね、こっちに首だけ向けて言ってくる。
 魂が猫。見た目は人間なのに魂は・・・

0

思い出

12/05/03 コメント:6件 智宇純子

 窓から引込川が見える。もうすぐ東福寺。あとひとつ、間に合うだろうか。

 美穂子は電車に揺られながら、うっすらとJR京都駅の改札口を思い浮かべていた。
 あの日と同じ白いタートルネックのカットソーに黒のカーディガン。あの時履いていたロングスカートは去年一也にハサミで切られてしまったので、今日はベージュ色のパンツを履いてきた。

〈そういえば、あの日はすごく寂しい思い・・・

0

石段の尽きた上

12/05/02 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

路地の多い京都のまちを、鶴乃とマーちゃんの二人は手をとりあって、黙々と歩いていた。
夜になっても、道の両側に並ぶ料亭の灯が、打ち水にしっとりと濡れた石畳に反射して一種、幻想的な色合いをかもしだしている。

「ママ、おながが空いた」

マーちゃんは、唇をとがらせて、母親をみあげた。

それもそのはず彼は、夕飯も食べずに鶴乃に外に連れ出されたのだった。
・・・

0

ON  THE  DISPLAY

12/04/30 コメント:4件 かめかめ

 「京都」と言うパソコンゲームがあった。
 もう、15年は昔の話だ。

当時、まだウィンドウズは今ほど巷間に流布しておらず、パソコンは非常に高価だった。貧乏学生な私がおいそれと買えるものではなく、姉の仕事用のパソコンを借りて遊んだ。

「京都」には、説明書というものが付いていなかった。ゲームの起動方法が、かろうじて、パッケージの裏面に印刷されていただけ。

0

歌詠いの妖怪

12/04/30 コメント:2件 汐月夜空

『そうだ、京都、行こう』
自宅に最も近い駅にはその有名すぎるキャッチコピーと美しい写真が映えるポスターが隙間無く張られている。
それを見るたびに思い出す。
あの日、一人旅で出会った一人の少女のことを。

 ☆

僕の一人旅は随分と遅く、二十歳になる三ヶ月前のある冬の日のことだった。
なんだか現実感の無いままに、夜行の高速バスに乗り込んで。
寝心・・・

0

葵祭と教授たち

12/04/30 コメント:0件 松定 鴨汀

 ある年の葵祭の日、京都工芸繊維大学の教授は講義がはじまるなりこう言った。

「皆さんの多くは、京都にきてようやく2ヶ月目ですね。今日は本当に京都らしい伝統行事がありますから、京都の大学に来た醍醐味を味わいに行ってください。講義は以上!」
 そして学生が歓声をあげながら去っていくのを見届けると、自身の研究をしにラボへ戻っていった。



 同じ頃、立命館大・・・

ログイン