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小高まあなさん

鳥と怪異と特撮ヒーローが好き。 ひねくれつつも清々しい物語がモットー。

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ヘルメット

17/02/22 コンテスト(テーマ):第128回 時空モノガタリ文学賞 【 自転車 】 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:1097

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 転校して一番驚いたのがヘルメットだった。
 中学一年の夏、転校した先の学校では自転車に乗る時、学校指定のヘルメットをかぶるのが義務だった。今でこそ、ヘルメット着用の中学生を多く見かけるようになったが、その時はあまり主流ではなかった。失礼な話、さすが田舎と思った。
 真っ白いヘルメットは大きくて、頭でっかちに見えて、正直クソダサいと思った。
 しかも、
「小学生かよ、だせぇ」
 と、からかわれる。
 そう、こんな真っ白で大きなヘルメットをかぶっているのは私だけだったのだ!
 昔からこの辺に住む子達は、小学生の時に使っていたヘルメットをかぶっていたのだ。ちなみに、小学生の時は登下校時は徒歩でもヘルメットをかぶるのが義務だったらしい。なぜだ、そんなに頭上に注意しないといけない危険な世界なのか……転校して直後の私は悩んだものだ。
 そんな小学校時代の思い出がつまったヘルメットは、ほどよい小ささで、薄汚れていて、なんだかぺったんこだった。聞いたところによると、ヘルメットの中のクッションをとり、頭にフィットするように改造しているらしい。
 それではヘルメットの意味が無い。いざという時に衝撃から身を守れない。そもそも、自分のヘルメットを買った時に、店の人には安全性を確保するためには二年で買い換えた方が良いと言われていた。したがって、改造してなかったところで小学校の時のヘルメットを使うのは意味が無い。
 頭ではわかっていた。しかし、そんな頭を守ることよりも、中学生の私に大切だったのは心を守ることだった。
 そもそも、転校先の中学校は、基本的にメンバーがまるまる小学校からの持ち上がりだ。西小学校の子がそのまま西中学校に進学している。
 そんな中で対してコミュニケーション能力があるわけでもなく、顔がいいわけでもなく、勉強も運動もできるわけでもない根暗な転校生が馴染むのには多大な労力が必要だった。
 そこでのあの、一人だけあからさまに違うヘルメットは疎外感を強める以外のなんの役割もなかった。
 私は、ヘルメットを捨てる決意をした。
 しかし、半端に真面目で、先生に媚びていると陰口を叩かれる私にはせっかく買ったヘルメットを改造する勇気はなかった。高かったし。
 そこで、私は自転車を捨てることにした。
 距離が遠いが学校まで歩いていくのだ。自転車に乗ればヘルメットをかぶらなくて良いのだから。
 まあ、部活の大会で自転車に乗らざるを得ない時もあったけれども……。
 そんな私の戦いも一年半で終わった。再びの転校。それも昔住んでいた場所で、「あ、ヘルメットかぶらなくてもいいんだ」と真っ先に思った。我ながらそんなに嫌だったのか。
 そんなこんなで私のヘルメットはたいして汚れることもなく、あまり使命を果たせないまま終わった。たぶん、引越しの時に捨てたのだと思う。
 ヘルメットを捨ててまで周りに馴染みたいとがんばっていた少女も、いまや成人し、コミュ障をこじらせ、周りに馴染むことよりも自分のやりたいことや趣味を優先させる大人になってしまったが、それはまた別の話。


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