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海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

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首狩りさま

17/02/17 コンテスト(テーマ):第129回 時空モノガタリ文学賞 【 都市伝説 】 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:1037

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 小学校から歩いて十分。裏道に入るとそこに首狩り(くびかり)神社はあるといいます。首狩り神社には首狩りさまという神様がまつられていて、午前二時に会いにいくと、なんでも願いをかなえてくれるといいますが……?

 午前二時。小学生がいるにはふさわしくない真夜中の町を、トモコちゃんは走ります。走るほどトモコちゃんの長い黒髪(くろかみ)がなびきました。小学校から十分のところ。よく見ると建物の間に裏道がありました。
 深呼吸をすると、トモコちゃんは裏道のおくへと進みます。真っ暗やみの中を歩いて行くと、神社が現れました。
『首狩り神社』
 ここでまちがいありません。首狩り神社からは不気味な空気が流れていました。
 トモコちゃんは神社に入ると、ウワサどおりの言葉を口にします。
「首狩りさま。お願いがあります。どうか出てきてください」
 しかし、トモコちゃんがそう言葉を口にしてもなにも起きませんでした。
 やっぱりただのウワサだったか。トモコちゃんはあきらめて家に帰ろうとしました。

「待つがよい」

 いきなりひびいた低い声。おどろいてふり返ると、そこにはヨロイを身にまとった、ガイコツの姿がありました。
「あなたが、首狩りさま?」
「左様」
 トモコちゃんがふるえる声で問いかけると、首狩りさまは一度うなずきました。
「私、かなえて欲しい願いがあるんです!」
「ほう、我に願いをするということは、どういうことか、わかっているな」
 首狩りさまの問いにトモコちゃんは答えます。

「はい、私の命をささげる準備はあります」

 トモコちゃんの言葉を聞き、ガイコツなのに首狩りさまは笑っているように見えました。
 そう、首狩りさまが願いをかなえてくれるには首を狩る、つまり命をささげないといけないのです。
「お主の願いはなんじゃ」
 再び首狩りさまが問いかけます。ここまでくると決意したのでしょう。トモコちゃんははっきりその言葉を口にしました。
「お父さんの命を救って欲しいんです」
「ほう、お主の父親は死にかけているのか」
「……お母さんとリコンしてから、お父さん仕事続きで。私のためにいっぱい働いてくれたんです。でもそのせいで具合を悪くして、病院に運ばれて。今はずっとねむったままです」
 そう言葉にしていく度に、トモコちゃんの目からなみだがあふれます。
 トモコちゃんは、自分のせいでお父さんがたおれてしまったことをくやんでいました。お父さんのためなら自分の命なんて捨てられる。そうトモコちゃんは本気で思っていました。
「承知した。ではその父親を救う代わりに、お主の命をいただこう」
 トモコちゃんがうなずくのを確認すると、首狩りさまはこしから刀を引きぬきました。
 このまま自分は首を切られるのか。トモコちゃんの中でお父さんとの思い出がよみがえります。
「トモコはキレイな髪をしているな。きっとステキなおよめさんになれるぞ」
 そう言ってお父さんはいつもトモコちゃんの髪をブラシでとかしてくれました。
 お父さんを助けるためなら、自分の命なんて。そうトモコちゃんは思います。
「さあ、かくごせよ」
 首狩りさまが、刀をふり下ろします。
 その時、トモコちゃんの中でお父さんの姿が思いうかびました。
「トモコ」
 お父さんはトモコちゃんの名を呼びほほ笑みます。急にトモコちゃんは死ぬのがこわくなりました。

 私、死にたくない! 助けて、お父さん!

 しかし、首狩りさまの刀はふり下ろされました。音を立て、それが地面に落ちます。
 ところが、目を開けるとトモコちゃんは生きていました。では今切り落とされたものは? ふと後ろに手をやると、トモコちゃんの長い黒髪が切り落とされていました。
「髪は女の命という。今回はそれで許してやろう」
 首狩りさまはガイコツなのに再びニヤリと笑いました。
「それにお主の父親は自分が助かっても、お主が死ねばその心が死ぬだろう。もうここには来るのではないぞ」
 首狩りさまはそう言い残すと、姿を消してしまいました。

 翌日。
 トモコちゃんは病院に向かいました。病室に入ると、お父さんがベッドの上でねむっています。
「お父さん」
 トモコちゃんがお父さんの体をゆすります。今までだったらなにも反応がありませんでした。しかし今度はちがいます。
「……トモコ?」
 お父さんはゆっくり目を覚ましました。
「お父さん!」
 トモコちゃんはあまりにうれしくて、お父さんにだきつきました。
「髪の毛、切ったのか?」
 お父さんがぼんやりとしながら聞いてきます。
「切ってもらったの。似合ってる?」
「ああ、よく似合ってるよ」
 お父さんの言葉にトモコちゃんは目になみだをうかべます。同時にトモコちゃんは心の中でささやきました。

 ありがとう、首狩りさま……と。


おわり


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