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とむなおさん

とむなお――です。 ちょっと奇妙な小説を書きます。どうぞ宜しく!

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色の無いスーパーカー

17/02/16 コンテスト(テーマ):第129回 時空モノガタリ文学賞 【 都市伝説 】 コメント:0件 とむなお 閲覧数:519

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 その奇妙な車を見たのは、川上が仕事のために徹夜をした真夜中の2時頃だった。
 シナリオライターをしている彼がアイディアに困り、近くの公園で気分転換していた時、その車が走りぬけて行ったのだ。しかも、まったくの無音で――。
「そういえば、そういう都市伝説――聞いたことがあったな……。まったくの伝説だと思っていたが……」
 色は黒っぽかったが、普通の乗用車というより、いわゆるスーパーカーのようなカッコ良さがあった。が、エンジン音も走行音もしないということは……まさか、幽霊カー? なのかな……と川上は思った。
 
 翌日、Rテレビのスタッフルームでの打ち合わせの席で、川上がその話をすると、
「先生、夢でも見たんでしょう」
 と爆笑されてしまった。
 高層マンションの5階に川上の事務所はあるのだが、その公園はそこからもからも良く見えるので、彼はその深夜も、窓から見下ろしながらスマホを構えて待っていた。こうして見ていると、その先の進行状況が、だいたい分かるからだ。無論、構えたスマホは、その姿を録画するためだった。
 やがて2時になると、赤いスーパーカーが通過して行った。川上はあわててスマホの動画機能を操作した。すぐに進行方向に目をやると、もう赤いスーパーカーの姿は無かった。
 なぜ黒ではなかったのかな……? と思いながら、スマホのメモリーを再生してみたが、わずかに赤い流れが写っているだけだった。
「これじゃダメだ。やはり、あの公園で待つ方が良さそうだな……」
 
 翌日、川上はビデオカメラを購入すると、深夜を待って例の公園に行った。三脚を使ってビデオカメラをスタンバイした。
 まもなく2時になると、緑色のスーパーカーが無音で通過して行った。
「今夜はグリーンなのか?」
 迷わずビデオを作動させ、走行に合わせてカメラをパーンさせた。そのスーパーカーは、すぐに左折して見えなくなった。
 すぐに事務所に戻り、テレビにつないで再生させた。が、写っていたのは、通過する緑のかたまり――といった感じで、車には見えなかった。
 
 翌日、Rテレビのスタッフルームに訪れた川上は、そこのテレビでも再生させて見せた。
「先生がここまでされるからは、夢でもガセでもないとは思いますが、どう見ても車には見えませんね……」
 スタッフたちは考え込んだが、それ以上の答えは出なかった。川上も、自分の努力がなかなか報われないことに歯がゆさを感じていた。
 その夕方から降雨となった。川上は事務所でパソコンに向いながら、内心ホッとしていた。ここ数日、奇妙なスーパーカーを追いかけて、睡眠不足だったからだ。
 とはいえ簡易ベッドで横になっても、奇妙なスーパーカーのことが頭を支配していた。
 はっと目を開けて暗がりの中、時計を見ると――2時だった。川上は仕方なく窓のところにいって公園を見た。まだ雨はつづいていた。が、直後、白いスーパーカーが走りぬけて行った。
「今夜は白だったのか……。毎回ボディーカラーが違う……。まるで色の無いスーパーカーだな……」
 再びベッドで横になった。そして彼の考えは、もう次の段階にいっていた。それは――
 あのスーパーカーは、どこへ向っているのか……? ということだった。あれから、どこへ向ったのか――を確認する方法は、あれしかないだろう……。
 
 翌日、川上はオートバイを購入した。無論、免許は所持している。
「よーし、こいつで、とことん追い駆けてやるぞ!」
 しかし、一つだけ問題があって、黒いスーパーカーの時は見失う可能性があることだった。
 
 敵も、そのへんを感知したのか、数日間、黒いスーパーカーがつづいた。
「オレの心が読めるのか?」
 
 ある深夜――ついに赤いスーパーカーが現われた。川上はマンションのエレベーターを使い、急いでオートバイのところへ行くと、飛び乗って赤いスーパーカーを追い駆けた。
 どこかお気に入りの場所があり、そそへ向っているのか? 赤いスーパーカーは快走をつづけた。
川沿いの道路をやや低速で走った後、メインの中央道路に入った。そしてスピードを上げながら、ターミナル前を通過すると、森に通じる道に向かった。長い森の中の一本道をひたすら走り、うす汚れた長いトンネルに入った直後、赤いスーパーカーは姿を消した。
 トンネルを出たところで川上はオートバイを止め呆然とした。1台の走る車両も無い森の中だった。彼が仕方なく戻ろうとした時、トンネルから緑色のスーパーカーが現われ、止まると後部ドアが開いた。奥には白いドレスの女がいて手招きをしている。川上が乗るとドアが閉まった。
「仲間が出来て嬉しいわ」
 緑色のスーパーカーは、前方に伸びる道路を滑走路に見立てるように、朝日が昇りつつある空へと消えていった。


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