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桜坂ゆかりさん

初めまして♪ よろしくお願いします。 ケータイ小説も書いています。 「桜坂ゆかり」or「櫻坂ゆかり」でネット検索くだされば幸いです。 小説サイト「Feard(フィアード)」様の「第1回怖い話コンテスト」にて拙作が佳作をいただきました。 アイコンは水瀬はるき様に描いていただきました。

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ベッドの下に……

17/02/14 コンテスト(テーマ):第129回 時空モノガタリ文学賞 【 都市伝説 】 コメント:0件 桜坂ゆかり 閲覧数:757

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 ベッドの下の男、と呼ばれる都市伝説がある。
 概ね以下のような話だ。

 一人暮らしの女性が友人を自室に泊めた際、友人には床に敷いた布団で寝てもらうことにしたという。
 すると就寝の段になって、突然友人がしつこく「外に出たい。一緒に来てほしい」と誘ってきたので、訝しがりながらも女性は渋々従った。
 そして外に出た途端、友人が血相を変えて「ベッドの下に凶器を手にした男がいた」と告げた、という話だ。

 幼少期にテレビで知ったこの話がトラウマとなり、25歳の誕生日を迎えた今日2月15日に至るまでずっと、知波(ちなみ)がベッドを使用することはなかったが、ついに状況が一変することに。
 6年来の恋人である真之介(しんのすけ)のアパートにて同棲することになったのだが、彼の強い希望により、ダブルベッドで寝ることになったのだ。
 もちろん知波は反対したものの、笑われたくなくて本当の理由を言えず、最終的には真之介に押し切られた格好だった。

 そして同棲開始となったわけだが、真之介がお手洗いへ行き、部屋で一人きりになった瞬間、知波はベッドの下が気になって気になって仕方なくなってしまった。
 もちろん怖くて仕方ないのだが、確かめずにいるほうが知波にとってはもっと怖いのだ。
 知波が勇気を振り絞ってベッドに近づきしゃがみ込んだ瞬間―――。

 突然、背後から肩を掴まれ、知波は飛び上がるほど驚いた。
 慌てて振り返った先には、ニヤニヤしている真之介の顔がある。
「もう、真之介君! やめてよ!」
 真之介にはこういう、イタズラ好きなところがあるのだ。
「ははは、ごめんごめん。知波の動きがナマケモノみたいで面白くて。何してたの?」
 相変わらず本当のことは言えず、「別に」と答えて知波はごまかそうとしてテレビをつける。
 映っていたのは、宝石店での強盗事件を伝えるニュース番組だ。
 真之介が途端に真面目顔で言った。
「最近、物騒だなぁ。昨日も色んな事件があったし。この強盗事件も、犯人は見つかってないのか。俺たちも戸締りは気をつけよう」
「そうだね」
 それから二人はしばらく一緒にテレビを見て過ごした。

 その夜、寝る前、知波はどうしても気になったので、真之介が歯を磨きに行ったのを見計らって、今度は素早くベッドの下を確認することに。
 恐る恐る確認すると、そこには雑誌の束が置かれているだけだった。
 安心すると共に少し余裕が出てきて、悪いと思いながらも、そっと雑誌を取り出そうとする知波。
 すると、後ろから真之介の叫び声がして、またしても知波は飛び上がった。
「勝手に見るなって!」
 しかし真之介が動転した様子だったのはほんの数秒のことで、すぐに諦めたように苦笑しながら言った。
「バレたならしょうがない。そこに、イヤラシ系の雑誌を置いてるわけ。捨てられないものだから、どうか見逃してくれ」
「勝手に見て本当にごめん」
 心から申し訳なくなった知波は、雑誌をベッドの下に戻す。
 その後少し気まずい空気にはなったものの、それもそう長くは続かず、1時間後には二人とも眠りに落ちた。

 それから数週間後のある夜、知波が一人で部屋にいるとき、不意にまた怖くなってベッドの下を確認することに。
 そこには、前に見た雑誌の他に、やや小さめの段ボール箱が見えた。
 悪いとは思いつつも、好奇心に打ち勝てず、知波はそっとその箱を取り出す。
 知波がそっと開けてみると、中には煌く宝石類が幾つも入っていた。
 真之介が特に宝石好きなわけではないことを知っている知波にとっては驚きだったが、勝手に見た罪悪感が募ったので、そっと箱を閉じて元の場所へと戻す。
 知波の頭の中にはたくさんの疑問符が浮かんでいる。
 だが、幾ら考えてみても、知波には何一つ分からなかった。

 その後、真之介が帰宅したが、宝石類のことは言い出せない知波。
 すると食事やお風呂などを済ませた後、真之介が言った。
「知波、どうした? 様子がおかしいぞ」
「え、そ、そんなことないけど」
「まさか……見たのか? ベッドの下」
 急に真剣な表情になった真之介が続ける。
「バレちゃしょうがない。俺、怪盗団の一味なんだ」
「ええっ?!」
 あの日のニュースを思い出す知波。

 衝撃を受けた知波の様子を見て、次の瞬間には真之介が大笑いして言った。
「うそうそ、冗談に決まってるだろ。真に受けるなってば」
 にやにやしながら真之介は例の段ボール箱を取り出して開ける。
「この中身、大半がカモフラージュのためのおもちゃなんだけど、これだけが本物だ」
 そう言いながら真之介が箱の中から取り上げたものは、銀色に輝く指輪だ。
 それを知波に差し出しながら真之介が真顔で言った。
「俺と結婚してくれ、知波」
 知波の心臓は大きく跳ねた。


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