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緑茶をすする物書きさん

自分が思っていることを文章にできたらなと思います

性別 男性
将来の夢 人の陰口や不満をなるべく言わない普通の人
座右の銘 一つ一つ丁寧に物事に取り組むこと

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新宿の歌姫

17/01/25 コンテスト(テーマ):第127回 時空モノガタリ文学賞 【 新宿 】 コメント:1件 緑茶をすする物書き 閲覧数:687

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新宿は豪雨。私の好きな歌手の歌詞だ。
私は幼い時から歌が大好きだった。中学高校とガールズバンドにハマってしまい音楽漬けの毎日を送っていた。月に一回のミニライブや文化祭で人前で歌う高揚感はなんとも言えなかった。幸せが私を包み込んで、もう二度とこの幸せな空間から出たくないと思った。高校3年になってアルバイトに精を出し上京資金を貯め込んだ。もちろん親には内緒である。

卒業してから二ヶ月ほど家でぐーたらしていると母が「あんた、東京にでて歌手なる言っていくんじゃないんか?いつまでもプラプラと働きもせんと家おらんでもええで」と一喝入れられた。情けないことに私は家の居心地の良さにこのままでいいや。ニートって流行りじゃーんとか思いつつ「まあ、私、顔も悪くないし適当に結婚するから心配しないでえ」呆れた顔の母は「昼間からソファでグータラ、せんべい食べるような子にねえ」「だいじょーぶ。だいじょーぶ。」相変わらず能天気な私である。

とは言っても、そろそろあの高揚感を味わなくてわと体がソワソワしてきた。次の日「私、半年くらい東京で歌ってくるから」と母に置き手紙を残して上京した。 まずは今日の宿を探さないと、、、。スマホを片手に調べていくと新宿のビジネスホテルに着いた。ああ、とりあえず路上ライブすっかなあ。と夜の新宿に繰り出してギター片手に歌いまくった。ああ、この高揚感。最高だぜ!と思っていると「君、ちょっと君、路上ライブはダメだよ」警察が止めにやってきた。もおお、これからがいいとこなのに仕方ない。走って逃げてやるぜと思いっきりダッシュ!「ちょっと」警察は全力で追いかけてきた。警官は速かった。交番に連行されると「君、名前と住所、電話番号教えて。何考えてるの夜中に路上ライブなんかして」「私は高橋是清って名前で栃木の山奥が実家です」ふふ、このバカ警官。私が高橋是清という偽名を使った事に気がついてないな。ニヤり「あ、身分証だしてもらえる」「え!」5秒ほど考えたが素直に提示した。「山本茜さんね。住所は栃木、、」すると隣の警官が「この子、家出か何かでしょうか。一応、栃木県警に電話して捜索願いがでてないか確認してみますね」「お、おう。確認してくれ」 私は凄く恥ずかしくなってきたが時既に遅し。母よ捜索願いをだしてないよね。警官が「あ、捜索願いでてる子ですね」 これで私の上京作戦は失敗に終わり迎えに来た両親が警察にただただ平謝りだった。ふん。国家の犬に逆らってやったのさ。私はいずれ歌で天下をとる。

そう心に誓いながら今日もソファの上でせんべいを食べている。ぽりぽりと腹を掻きながら呟く。「ああ。彼氏ほしい」


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このストーリーに関するコメント

17/01/25 あずみの白馬

拝読させていただきました。
ありがちな話かと思いきや、オチが良かったです。

「一回新宿に行っただけ」か「新宿に行ったことすら空想」
どちらとも取れますね。私は後者だと思いますが、はてさて……!?

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