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あの頃

17/01/21 コンテスト(テーマ):第126回 時空モノガタリ文学賞 【 304号室 】 コメント:0件 みみ 閲覧数:632

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「宜しくお願いします」と挨拶をし私は大家さんに鍵をもらい部屋の扉を開けた。*304号室*ここが新たな住まいになる。私は大学進学のため独り暮らしを始める。慣れない街だけど昔の自分とは見違えるように変わるんだと胸を張ってここにきた。明日から授業が始まるし友達を作って沢山勉強して有意義な学生生活を送ろうと決心していた。

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「あなたにぴったりよ、ここの部屋。とても素敵ね、明日から大学だものね」と微笑ましそうに母は言う。それは私が今日から住む*304号室*の部屋で引っ越しを終えたばかりの時だった。こんな風に学校に通える日が来るなんて本当に幸せだ。私は高校2年生の夏に交通事故に遭い入院生活を送っていた。リハビリや両親のおかげで怪我は完治することができた。けれど、入院生活が長かったせいで友達付き合いやクラスの行事に参加出来ず、あまりいい思い出がない。大学では青春を謳歌したいと思い独り暮らしを始めようと思っていた。

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真由と出会ったのは大学が始まってしばらくした頃。学科の集まりで一際明るく色んな子に話し掛けていた。私にはあんなキラキラしてる子とは話せないな…そう思っていたとき「良かったら、連絡先交換しない?」と話し掛けてくれた。そこから授業も同じだったり帰る方向も同じで良くお互いの家にも行き来する仲になり、私の一番の信頼できる親友になった。真由は本当に明るくて面白くて何より私は大好きだった。ある時真由の家で課題をしょうという話になり真由の家に行った時だった。「写真がない」と言ったのだ。「どうしたの?」と私が聞くと「棚に飾ってた私と由衣の写真がないの」と焦った声色で言う。「真由がどっか片付けたんじゃないの?」とフォローする。その言葉を聞くと「そうだね」と落ち着きを取り戻す。でも、その時は私も真由もそんなに気にしていなかった。写真が無くなる本当の意味を。

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大学が始まって以来私にはとても可愛く素敵な子に見えた。学科の集まりだったのに周りを見てみると一人で居た。今がチャンスと思い勇気を出して話しかけた。「良かったら、連絡先交換しない?」少し恥ずかしかったけどあの子の方が恥ずかしそうに「いいよ」と答えてくれた。その子の名前は由衣。由衣はお洒落で落ち着きがあって大人で私とは正反対なのにとても仲良くしてくれた。そもそも今までの学生時代に親友と言える子が居なかったから私にとっては一番初めの一番の親友になった。
テスト期間だった時に私の家で由衣と一緒に課題をすることになり由衣を連れて家に帰ったときだった。「写真がない」私は唐突に叫んでしまった。いつも棚に飾ってた由衣との写真が無くなっていたことに気づいた。「真由がどっか片付けたんじゃないの?」由衣のその一言でハッとした。多分そうかもしれない。でも、昨日まではあったはずだけど…。そう思ったが気に止めなかった。

***
ここの所、真由が「由衣との写真が無い」とか「由衣とのお揃いのキーホルダー無くしたかも」という真由の何気ない無くし癖が気になっていた頃、私自身真由との思い出や真由との会話があまり思い出せなくなっているような気がしてた。 そんなことは有り得ないと思っているが心のどこかで真由てどんな人だったけ…。と考えてしまうことが多くなった。
今日は授業が終わったあと真由を家に呼ぶ予定で真由と待ち合わせをし私の家に連れた。真由を連れて部屋に入った時に気づいた。…棚に飾ってた真由との写真が無い…そう言えばこんなこと前に真由の部屋であったな。とでも気づかない振りをした。なんとなくその方がいいと思ったから。それが正解だとは分からなかったけど。

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由衣との写真がなくなったり、お揃いのキーホルダーが無くなっていたことに気付いた頃、由衣の家に遊びに行くことになった。由衣の部屋に入った時に由衣の動揺してる感じとその場にあったものがないと私は気づいた。…私と由衣の写真が無い…由衣もそれに気づいたようだけど私に悟られないようにしていた。私は家に帰って確認したそしたら、高校時代の写真や小さいときの写真が無くなっていたことに。怖くなった。どうして。なんで。その時いきなり激しい頭痛に襲われた。

***
その日の夜、急に頭痛がし出した。…その激しい頭痛に襲われ薄れゆく記憶の中で真由という子が、私の記憶から消えてしまうような感じがした…
私はそのまま気を失い目覚めたのは朝だった。衝動的に家を飛び出し真由の家に行った扉を叩いても返事はなかったが、扉の鍵が開いていた。勢い良く開けるとそこは殺風景だった。何もなかった。玄関に手紙が落ちていた。そこには「由衣へ この日がついにきてしまったのね。私は高校2年の時に亡くなっていたの。あの頃の戻らない青春を謳歌したかった。由衣に出逢えて良かったありがとう。」と。


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