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かわ珠さん

自分の好きな作家さんの言葉のチョイス、並べ方、区切り方、リズム、テンポに少しでも近付けるような文章が書けるようになりたいです。

性別 男性
将来の夢 世界平和
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Heaven’s door

17/01/19 コンテスト(テーマ):第126回 時空モノガタリ文学賞 【 304号室 】 コメント:2件 かわ珠 閲覧数:916

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 目が覚めると、そこは真っ白な正方形の部屋の中だった。
 それぞれの辺の中心には扉が一つずつ取り付けられている。その扉には、101,201,301,401と数字が打たれている。そして、この部屋の中には自分も含めると、四人の人間がいる。
「つまり、それぞれが一人ずつ、各部屋に入れってことなんでしょうかね?」
 と、眼鏡をかけた男が言った。
「まあ、状況から見ればそうじゃないかと……」
 女性が答える。
「しかし、何があるかもわからない。ここは全員が一緒に、離れず行動するほうがいい」
 少し太った初老の男性は大きな声で言う。
 確かに、目が覚めると、全く見知らぬ場所にいて、今自分が置かれている状況が全く不鮮明な状態で、個々人が別行動をとるのはリスキーな気がする。
「そうですね、ここは全員が一緒に行動したほうがいいと思います」
 と、僕は初老の男性の意見に賛成する。
「まあ、そうですね。僕も賛成です。ですが、その場合はどの部屋から入るか、ということが問題ですね」
 そう言って、眼鏡の男性は部屋をぐるっと一周見回す。
「順当に行けば101の部屋でしょうけど……」
 女性は言う。
「だが、わざわざ順番通りに入る必要もないだろう。もしも、ここに我々四人を閉じ込めた人物がいるとして、その人物がこの数字の順番に我々を誘導しようとしているのなら、癪だ」
 初老の男性はやや怒り気味の口調だ。
「じゃあこういうのはどうでしょう。全ての扉を開いてみて、それぞれの部屋の中を観察する。そのうえで、一番安全そうな部屋に入る。まあ、これが一番妥当な方法かと」
 僕の提案はすんなりと通った。それはそうだろう。今置かれている状況ではこれ以上の最善はないのだろうから。
 僕たちは四辺の扉をそれぞれ開く。
 けれどもそれは意味がなかった。四つの部屋は四つとも、全く同じ部屋だったからだ。部屋の中には中心に鍵が一つ落ちていて、その奥に再び扉がある。ただそれだけだった。違うのは、部屋の中の扉の数字だけ。101の奥には102の扉が。201の奥には202の扉が。301と401についても同様だった。
「どの部屋から入ればいいのかさっぱりわからん」
 初老の男性がその場にしゃがみ込む。
「やっぱり101から行くしかないんじゃないですかね」
 眼鏡の男性は101の扉の前に立つ。
「ええ、そうですね」
 女性は眼鏡の男性の言葉に頷いた。僕もそうするしかない、と思い眼鏡の男性の後ろに立つ。そして、眼鏡の男性が扉をくぐり、続いて僕も入ろうとしたところで、急に扉が閉まった。
「え!?」
 女性が今までで一番大きな声を出す。
「おい、大丈夫か!?」
 初老の男性が扉に駆けつけ、強く叩く。けれども、扉はびくともしない。
「大丈夫です。どうやら閉じ込められてしまったみたいですね」
 眼鏡の男性の声は冷静に聞こえたものの、微かに震えていた。当然だろう。この状況で恐怖しない人間なんていない。
「どうやら戻れそうにないようなので、僕は先に進みます。しばらく経っても戻ってこなかったら、三人で行動してください」
 眼鏡の男性がそう告げてから、101の部屋は静かになった。先の部屋に進んだのだろう。
 それからどれだけの時間が経ったのだろう。少なくとも二時間は過ぎたと思う。僕たちは202の部屋に三人同時に入る、という策を試すことになった。せーの、でタイミングを合わし、飛び込む。
 しかし、それでも202の部屋に入れたのは初老の男性一人だけだった。僕と女性は見えない力に弾かれるようにして押し返された。
 もう策はない。部屋には、一人ずつしか入れないようになっているのだ。僕と女性は覚悟を決めて、それぞれ先の部屋に進むことにした。
 僕は、301の部屋に入る。真ん中にある鍵をとって、302の部屋に入る。
 そこには何もなかった。303という数字の打たれた扉だけ。その扉に手を掛けようとしたところで、声を掛けられた。振り返ると、そこには自分が立っている。
「よう、俺。覚悟はできてるか?」
「覚悟って、なんの?」
「そんなのは決まっているだろうが。ここから先は地獄だぜ。覚悟も無しに地獄に飛び込もうってのか」
「うるさい、黙れ」
 覚悟なんてできていない。この先に何が待つのかなんてわからない。けれども、先に進むしかできないのだから、先に進むしかないじゃないか。僕は扉に手を掛ける。
「ふん、ま、せいぜい頑張りな」
 そう言って、もう一人の僕は姿を消す。
 303に入る。ここにも何もなかった。先にある304の扉に手を掛ける。
 瞬間、頭の中に映像が流れ込む。見覚えがある。かつての記憶。これは、走馬灯か?
 なんとなく、僕をこの部屋に入れた人物の正体を掴めてきた。ならば、この先は……
 304の扉を開く。
 そこにあったのは――


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このストーリーに関するコメント

17/01/21 クナリ

世界観はめちゃくちゃ好みなんですが、ラストの謎がまったくわかりませんでした…!
そんな状態で申し訳ないのですが、ポイントだけでも入れさせていただきます。
わからないながらも、面白かったです!

17/01/21 かわ珠

コメント、評価ありがとうございます。
ラストはもう少しわかりやすくするつもりだったのですが、いかんせん文字数制限が(笑)
まあ、これも実力ですね。
もっと上達できるように頑張りたいです。

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