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泡沫恋歌さん

泡沫恋歌(うたかた れんか)と申します。

性別 女性
将来の夢 いろいろ有りますが、声優ソムリエになりたいかも。
座右の銘 楽しんで創作をすること。

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優しさの裏側

17/01/16 コンテスト(テーマ):第125回時空モノガタリ文学賞【優しさ】 コメント:5件 泡沫恋歌 閲覧数:887

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半年前まで、僕らは恋人同士だった。
それが今ではボクのお姉さんか、まるで母親みたい。

「ああ〜またこぼしてる」
朝食のトーストを食べるとき、ほんの少しパン屑をこぼしたら、
キミは目ざとく見つけて、すぐにふきんで拭きとる。
「あら、ネクタイがゆがんでる」
横からボクのネクタイを直そうとする。
そうやって四六時中、なにかを正そうとしている。

「ねえ、コーヒーのお代わりいかが?」
コーヒーカップの中まで、気を配っているようだ。
それがキミにとって、ボクへの愛もしくは、
優しさだと思っているのかい?

最初はキミの優しさが好きだった。
とても気が利くし、いつも気配りしている人。
相手を大事にする、その姿勢にとても好感がもてた。
だからキミと一緒に暮らしたら、
もっと幸せになれると思っていたのに……。

そうじゃなかった!
自己満足の優しさを押しつけてくるし、
ひとり合点して、なんでも通そうとするし、
優しさに対する感謝の言葉を求めてくるし、
キミの愛が重たい!

ああ、正直めんどくさい。
なんだか、いつも監視されているようで息が詰まる。
キミの優しさが、ボクから自由を奪っていく。
まるで蜘蛛の糸のように絡みついてくる。

本当の優しさなんて伝わらない。
言葉を尽くせば、尽くすほど……
優しさから遠ざかって――。
剥き出しのエゴが牙をむく。

「ねえ、コーヒーのお代わりいかが?」
またボクに訊く。
コーヒーのお代わりはいらない。
この部屋からボクは出ていくから、
おそらく、二度と、ここへは戻らないだろう。

なぜ、出ていったのか?
残された者は考えることだろう。
優しいキミが傷つかないように、
その理由はあえて言わないでおくよ。
それがボクの優しさだと気づいてほしい。

優しさには、いつも表と裏がある。
見える優しさと、見えない優しさと、
本当の優しさは、月の裏側みたいに、
目を凝らしても見えないけれど、
いつか、その想いは伝わるだろう。


グッバイ マイ ハニー


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このストーリーに関するコメント

17/01/30 そらの珊瑚

泡沫恋歌さん、拝読しました。

散文詩のような趣きですね。
優しさというものに対する見解の
ひとつの凝縮されたエッセンスのようなものを感じました。

17/02/01 泡沫恋歌

そらの珊瑚 様、コメントありがとうございます。

最初は小説風に考えていたんですが、ストーリー的に凹凸が少ないので、
散文詩風のひとり語りにしてみました。
まあ、要するに優しさも押し付けがましくなると嫌われるということです。

17/02/06 冬垣ひなた

泡沫恋歌さん、拝読しました。

愛情を含んだ優しさというのは難しいですね、度が過ぎれば恋だって冷めてしまうというもの。
散文詩風のスタイルが素敵だと思います、去ってゆく優しさの意味がいつか彼女に伝わりますように。

17/03/24 泡沫恋歌

冬垣ひなた 様、コメントありがとうございます。

愛情を含んだ優しさというのは、たとえ迷惑であっても相手を傷つけたくないので、
我慢しちゃうでしょう。
だから、限界を超えちゃうと後戻り出来ないんですよ。

17/03/24 泡沫恋歌

冬垣ひなた 様、コメントありがとうございます。

愛情を含んだ優しさというのは、たとえ迷惑であっても相手を傷つけたくないので、
我慢しちゃうでしょう。
だから、限界を超えちゃうと後戻り出来ないんですよ。

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