タクサリさん

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19日間

17/01/15 コンテスト(テーマ):第126回 時空モノガタリ文学賞 【 304号室 】 コメント:0件 タクサリ 閲覧数:882

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19日目………。
こんなに悔しい思いは初めてだ。
こんな奴が平然と日常生活を送っていいはずはない。
今日だ。今日奴が出かけた瞬間全てが終わる…。
そう決意し私は女の子に微笑みかけた。

女の子はおそらく小学校低学年。
初めは泣いていたが今は感情を押し殺し人形の様になっている。
このままじゃダメだ。
なんとしても…
あの日のあの一瞬の行動が毎日毎日頭をよぎる。
助けに行かず通報していればあるいはすぐに助かったかもしれない。
笑顔で話しかけている男。
ニコニコ受け答え車に乗り込む女の子。
知り合い?親戚?
明らかに親ではないぎこちなさはあったがそのくらいの可能性は十分にある場面だった。
念のため…
そんな思いで声をかけた…のに…。
女の子を助けなきゃという強い思いが後悔と絶望に押しつぶされそうになる私の心を動かしていた。
何も考えてなかった訳じゃない。
必ず突破口はある。
-10日目から口を塞いでいたガムテープが貼られなくなった。…チャンス。
10日間で知り得た情報を一気に頭の中で整理する。
おそらくここは都内。ワンルーム賃貸マンション。窓から見える景色から2階から5階くらいの間にこの部屋はある。奴は毎日朝8時に出かけ、18時に必ず帰る。土日は休みの様だが日中いない。私たちは手足を縛られ基本身動きが取れないが、風呂とトイレと食事の時は奴の監視の元解かれが覗かれることはない。食事は朝と夜2回。奴の目的からすると逃げようとしない限り私たちに危害は加えないだろう。
一気に仕掛ける。10日目金曜日、18時、奴が帰宅後すぐにトイレに行き下着を脱ぎトイレに入れた。トイレットペーパーを多めに取り流した。-お願い!!
予想は的中。水が溢れ出てくる。トイレをいつもより慌ただしく出て奴に知らせた。奴は不機嫌そうな顔で私を部屋に連れて行き縛りつけるとそのまま電話を始めた。
「もしもし。トイレが詰まったんですが」
よし。奴は自分では対処しない様な人だと思っていた。
「◯◯区◯◯丁目◯◯番◯◯号◯◯マンション304号室…」
きた…!業者は2時間後にくる。
業者が来た時点で助けを求めることも考えたが私たちは口をガムテープで塞がれクローゼットに入れられた。想定内。今じゃない。
何事もなく作業を終え業者は帰った。大丈夫。今じゃない。
土日はいつも通りおとなしく過ごした。口を塞ぐガムテープはない。

そして19日目…月曜日…朝。
何度も何度も心の中でリハーサルした。絶対大丈夫。女の子をみて自分の心を奮い立たせる。大丈夫。手が震える。絶対大丈夫。絶対…大丈夫…!!
奴に声をかける…

「あの…………。」


奴は出かけた。18時まで帰ってこない。必死に叫んだ。聞こえてるか聞こえてないかもわからない携帯電話に向かって…
正直賭けだった。トイレの修理代、携帯に入ってる銀行アプリから払います、認証番号が書いているカードは財布の中です。充電がなければ充電器もあります。携帯を充電させ出かけた奴。
充電中に声をかけると反応する私の携帯。スピーカー通話にはできなかったから電話がかかっているかすらわからない。とにかく叫んだ。助けて……304号室!!

久しぶりの空、空気…久しぶりに歩いた気がした……。太陽が眩しい。
無事保護された女の子をみて私は涙が溢れ出た。




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