1. トップページ
  2. フレンチトースト

栗山 心さん

俳句歴15年。

性別 女性
将来の夢 小説家
座右の銘

投稿済みの作品

4

フレンチトースト

17/01/03 コンテスト(テーマ):第125回時空モノガタリ文学賞【優しさ】 コメント:0件 栗山 心 閲覧数:718

この作品を評価する

 おはよう、健ちゃん。起きた?うん、大丈夫?朝食、用意出来てるわよ。ママのフレンチトースト、あなた好きでしょう。クリームとイチゴジャムもあるわよ。うん、寒いから、暖房入れた。でも、パジャマの上に何か羽織って。片方の靴下は?蒲団の中?足、冷えなかったかな、風邪でも引いたら大変。熱、無い?おでこ、くっ付けて。うん大丈夫みたい。お紅茶、入れるわね。アールグレイ?ダージリン?胃を痛めるといけないから、ミルクは入れてね。
 出来の悪かった貴方のお父さんと違って、あなたは優秀で高級な人間なんだから。熱でも出して、あなたの優秀な頭脳がどうにかなったら、ママ、おかしくなってしまうわ。ほんと、あなたの優秀さはママの誇りだわ。うんうん、ママはね、健ちゃんみたいに勉強は出来ないけど、優しいってみんなに言われるの。ほら、ママって、気が効くっていうか、人が気付かないところに気付いてしまうでしょ。人より繊細、っていうのかな。それは否定しない。普通の人が見過ごしてしまうことに気が付いて、一言言ってしまうのね。ほら、普通は言わないじゃない。言わない、ってことは、無視するのと一緒。その人のためにならないの。だからママは優しいってみんなに言われるのかな。みんなって誰かって?あなたの幼稚園の時のママ友とかね。最近はあまり言われてない。ほら、ママ、あまりママ友と会わないし。みんな出来の悪い子供持って苦労してるようだから、ママみたいに出来の良い息子持った人には会いにくいんじゃないかな。ほら、ママって優しいからそういうとこ気を使っちゃう。
 あ、唇の横にクリ―ム付いてる。ママが取ってあげるね。
 この間もね、ほら、あなたの恋人のこずえたさんにラインしたの。なんでうちの健ちゃんと別れたんですかって。
そんなに驚かないで!だってママ、気になったんだもの。あなた何も教えてくれないし。結婚を前提に半年もお付き合いしていたのに、急に別れた、だなんて。健ちゃんが今までお付き合いした誰よりも、こずえさんは良いお嬢さんで、我が家に相応しいの。どうしても元に戻って欲しかったから、ママ、こずえさんに直接お願いしようと思ったのよ。
こずえさんのラインは、前にうちでバーベキューした時に聞いておいたの。あなたには言うほどのことでもないと思って言っていないけど、こずえさんに連絡取ってたのよ。だって将来のお嫁さんじゃない。女同士仲良くしておきたいと思って。我が家の味っていうの?お料理のレシピ教えたりね。そうね、だいたい毎日連絡は取っていたかな。もし本当の娘だったら毎日なんて当然じゃない。ママって優しくて世話焼きだから、一人暮らしのこずえさんが、つい気になってしまうのね。
 そうしたらね、健さんとはお互いに色々考え方が変わってきてしまって、って言うのよ、こずえさん。そういう事あるわよね。でもきっと時間が解決してくれるから、しばらく様子を見て、健ちゃんとまた仲良くして、って言ったの。ほら、ママって心が広くて優しいでしょ。こずえさんを赦してあげようと思って。梢さん最後に送ってきたよ、また連絡しますって。ママの言ったことちゃんと分かってくれた。
 健ちゃんが小学校の時も中学や高校の時も、お友達とギクシャクしちゃって、仲良くして貰えなくなった時があったでしょ。担任の先生も頼りにならなくて。その時も、ママがお友達に何度も連絡して、元通りになったでしょ?これ、言ってなかった?そう、その時と同じ。
 もう食べないの?食欲無くした?なんで急に?具合でも悪いの?山田小児科に電話して山田先生に診てもらう?子供じゃないって?いいのよ、山田先生のとこなら大丈夫。どうするの?ママが会社にお休みの連絡しておこうか?あの課長、ちょっと健ちゃんが優秀だからって意地悪するみたいだから。
 ちょっと待って健ちゃん!健ちゃん、フレンチトースト食べないの?ハンカチちり紙持った?外は寒いから上着来てマフラーして行きなさいな。
 行っちゃった、もう。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン