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石蕗亮さん

占師。および魔術師。 WEB幽にて怪談投稿してました。 弟子育成の経験や実体験を基にした不思議な話を中心に書いていきたいです。 沢山の方に読んで頂き、反論含めコメント頂けると幸いです。

性別 男性
将来の夢 作家、起業
座右の銘 人は言葉に置き換えれるものしか理解できない。置き換えた言葉でしか理解できない。

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再びラヂオ

17/01/02 コンテスト(テーマ):第124回 時空モノガタリ文学賞 【 五分間 】 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:1028

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 クリスマスだというのに熱を出して独り毛布にくるまっていた。
看病してくれる家族も恋人も居ない孤独な独身生活。
夜も更け熱もピークで節々が痛む。
苦しさで人の温もりが恋しくなるばかり。
寂しさに耐えられず徐にラヂオを付ける。
「ハーイ、みんな今晩もうらめしやー。
クリスマスだって誰かを恨んで止まない怨霊の為に今晩も振るって放送したいと思います」
テンションの高さが熱に魘される頭にずきずきと響く。
あー、以前にも聴いたことあったなと思いながら頭を抱えた。
「クリスマスですよ!みなさん!
クリスマスですからね、当然ゲストをお呼びしております!
クリスマスといえばぁーっ?
そう当然この方!トナカイさんです!」
サンタじゃないのかよ。
頭痛が更に増す。
「やぁー、お忙しい中態々お越しいただいて有難うございます!」
 「いえいえ、引退した身なんで時間はあるんですよ」
「そうなんですね。ところで人間語がお上手ですね?」
 「うちのサンタがトナカイ語下手くそなんで自然にこっちが上手くなっちゃいました」
「そういうものなんですか?」
 「一応人間が何言ってるかは判りますよ。ただね、うちらも言いたいことあるわけですよ。そこはほら、コミュニケーションってどこの職場でも大事じゃないですか。
言わなきゃいけないことはその時その場で言わないと、後で言った言わないとかやったやらないとか水掛論になっちゃって結局有耶無耶になってしまいますからね」
「そんなにコミュニケーション必要なんですか?」
 「うちのサンタは時間にルーズでタイムスケジュールが狂うんですよ。
そうなると結局帳尻合わせるためにうちらトナカイが速度超過で移動して負担大きくなるわけですよ。そんで回り切れなかったりすると全部トナカイのせいにされますからね。
納得いきませんよ」
やけに生々しいな。そしてトナカイの声、すげぇ低い。どれだけ恨みあるんだろ。
そしてパーソナリティーのテンションの高さとのアンマッチが異様すぎる。
ついつい怖いもの見たさならぬ聞きたさで耳が離せなくなった。
「なんで時間食っちゃうんですかね?何かしてるんですか?」
 「あー、リア充死ねって言いながらブラックサンタにLineで文句いいながらだから」
「ブラックサンタって居るんですか?」
 「日本じゃまだあまりメジャーじゃないですよね。
本来サンタは黒との二人一組なんですよ。そして黒は主に大人専用なんです」
「赤と黒のコンビなんですね」
 「え?」
「え?」
 「赤?」
「サンタといえばシンボルカラーは赤でしょ?」
 「違いますよ」
「え!?世のサンタはみんな赤いじゃないですか?」
 「あれはコカコーラカラーですよ。宣伝で描かれたのがメジャー化したんですね。
本来のサンタは生命の象徴である常緑樹のモミの木色の深緑か木の幹を表す茶を纏います」
「そうなんですか!」
 「ツリーはモミの木でしょ。あれですよ」
「なるほど。で、先ほど大人専用と言ってましたが」
 「はい。悪い大人を懲らしめるんですよ」
「ほう!」
 「悪い子供って居ないんです。もし子供が悪い心を持ってしまったのならそれを植え付けた大人が居るんです。子供って悪い心にすぐに感化されてしまうんです。
特に危ないのは悪い心を持った子供は、悪い心を持った大人以上に他の子供の心に傷を付けやすいんです。だからブラックサンタは悪い心を持ってしまった子供の親に警告を与え、更に悪い大人にお仕置きをするんです」
「へぇー。初めて知りました。で、その連絡に時間を食ってスケジュールが遅れるということなんですね」
 「いえ、先ほども言いましたがリア充死ねって言ってる時点で只の八つ当たりですよ。
いい歳こいてカップル見ると超不機嫌になるんです」
「サンタも人の子ってことですかね」
 「まだまだ未熟ってことですよ」
シャンシャンシャンシャン
突然鈴の音が鳴った。
 「あ、すいません。携帯のマナーモード忘れてました。あ?サンタの奴から着信だ」
「出ていいですよ」
おい、今放送中だろ。いや面白いけどさ。
 「あ、もしもし。何?え?トナカイに逃げられた?何してんの?は?殴ったら角折れた?お前それパワハラやんか。自業自得だろ。あーもー、泣くくらいならすんなや。わかった、今立て込んでるから終わり次第行ったるわ」
「でわ、番組も丁度お時間ですので今日はこの辺でお開きと致します」
 「良いんですか?」
「そもそも5分番組なんで。それではみなさんブラックサンタに来られないよう良い大人でクリスマスを過ごしてください。パーソナリティーはお馴染みの石蕗とゲストのトナカイでお送り致しました。それではまた来来来世でお会いしましょう。安らかにおやすみなさい」

 更に熱が上がったようで朦朧とした意識ではつっこみもできなかった。


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このストーリーに関するコメント

17/01/04 白虎

拝読しました丑三つラジオ再び!
ゲストがいつもブッとんでて面白いです!
リア充死ねっていうサンタ、イヤですね(笑)

17/01/05 

拝読しました。
サンタカラーや悪い心など独特な世界観はさすがだと思いました。
そしてサンタのパワハラって生々しいですね。
面白かったです。

17/01/05 石蕗亮

白虎さん
コメントありがとうございます。
シリーズ化したいですね、これ。笑
最近ショートアニメが好きなのでそんなノリで書いてます。
また書きます。面白いゲストを交えて。

17/01/05 石蕗亮

榊さん
コメントありがとうございます。
サンタネタ、本当はクリスマスで書きたかったのですが体調不良で間に合いませんでした。
もっとクリスマスネタあったのですがまたの機会にでも。

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