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ミラクル・ガイさん

Heyワッツァおれの趣味つまりはホビー さながらミシンのボビンみたく2択 くるくる巻かれるかそれともぐるぐる巻かれるか 黒い未来目を瞑るわらべうた

性別 男性
将来の夢 ありません。
座右の銘 ありません。

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文豪ラップ選手権(前編)

16/12/31 コンテスト(テーマ):第97回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 ミラクル・ガイ 閲覧数:3205

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DJ星
「膨大な言葉の引き出しと頭脳の高速回転が織りなす芸術、MCバトル。待ちに待った、最強のラッパーが今夜ついに決定する。『文豪ラップ選手権』決勝トーナメント、いざ開幕!」
 日本武道館に押し寄せた1万人の観客と生放送を観るお茶の間の国民が湧く。1週間前に放送された予選リーグの平均視聴率は驚異の98%であった。

DJ星
「ご来場の皆様、そしてテレビの前の皆様、本日司会を務めさせていただく私、DJ星こと星新一でございます。生前はSFのショートショートなんかをよく書いておりましたが、今は私の名前のついたコンペチションなんかもあるそうで非常に光栄でございます。それはさておき本題に入りますと、この度の文豪ラップ選手権ではまずファン投票によって現代の文豪と故人の文豪をそれぞれ8名ずつ計16名選出致しました。スクリーンをご覧ください。新文豪代表はファン投票1位東野圭吾、2位村上春樹、3位宮部みゆき、4位池井戸潤、5位有川浩、6位湊かなえ、7位佐伯泰英、8位伊坂幸太郎。旧文豪代表はファン投票1位夏目漱石、2位三島由紀夫、3位太宰治、4位司馬遼太郎、5位谷崎潤一郎、6位川端康成、7位芥川龍之介、8位樋口一葉という結果になりました。ええそうしまして、皆様も記憶に新しい先週行われた熾烈な予選リーグを突破したこちらの8名の文豪もといMCたちによって、今夜決勝トーナメントが行われます!」
 スクリーンがトーナメント表に切り替わる。

  第一試合 MC三島×MC東野 
  第二試合 MC湊 ×MC樋口 
  第三試合 MC村上×MC川端 
  第四試合 MC芥川×MC谷崎 

 8名のMCがステージに登場し、日本武道館に歓声がこだます。観客のボルテージは最高潮になった。
観客
「樋口一葉だけ若くね?!」「24歳で死んだらしい」「東野圭吾めちゃ背高い!」「第一試合が事実上の決勝か?」「いやでも村上春樹は予選で夏目に勝ってる」「第二試合フィメール対決かよ、熱いな!」「村上と川端もノーベル文学賞で因縁深くて面白い」「芥川と谷崎は生前仲が良かったらしい」「この大会はマジで最高だ」

DJ星
「即興のフリースタイルラップバトル。ルールは8小節の2本勝負。5人の審査員による多数決で勝敗を決定致します。審査員5人はこちらの方々。

 言わずと知れたノーベル賞作家、大江健三郎!
 私の大伯父で実は東大医学部出身、森鴎外!
 千年を超え読まれ続ける愛の語り部、紫式部!
 実際に探偵として働いたこともあるミステリの元祖、江戸川乱歩!
 かいけつゾロリの生みの親、原ゆたか!

 先攻後攻は事前に抽選で決まっております。
 それでは早速第一試合に参りましょう。初戦から屈指の好カード、戦うのはこの2人。
 先攻!明晰で的確なディスは付け入る隙を与えない、MC三島!
 後攻!理系的なワーディングでキリキリ舞いさせる、MC東野!
 ビートは『エヌ氏の休日』。それでは始めます。
 ブリングザビート!」


MC三島
 本選スタート俺が特攻隊長 ワックMCならば速攻逮捕!
 対戦相手は東野? びっくり背は高いんだなあ以外と
 けれども俺は別に動じない 手を抜くことのない殺し合い
 この試合は金閣ではなくて 拝むのはそうお前の焼死体!

MC東野
 Yeah胸借ります大先輩 だけど勝負じゃそんなのは関係ない
 何回も読んだよ仮面の告白 あんたも相当な大変態
 なんだって俺が焼死体? お前放火魔?てゆうかオカマだろ?
 切腹も怖いよ相手を変えて 勝利の方程式ガリレオガリレイ!

MC三島
 ドラマ大人気ガリレオだけど その前に覚えろ物書きのあいうえお!
 お前は社会に適応してる お前の作品は迎合してる!
 激情した言葉で綴る お前の精神飽くまで崩す
 露呈するぞ案外馬鹿な ところ言っとけよさっぱり分からん

MC東野
 先輩ありがとうだけど違う した覚えないぜ社会に迎合
 俺は自分の書きたいこと書いてる そこはあんたと同じだろAh
 Yeahそういうこと つまり丁寧語より学ぶC言語
 俺は言わないぜさっぱり分からん それじゃファンがあんまりだから


DJ星
「レッツジャッジ・・・4対1でMC三島の勝利!」
観客
「うぉおおお!!!」
大江健三郎
「いやー初戦から非常にレベルの高いバトルでした。お互いが相手の言葉で韻を踏んでそれでいて内容も通っていた、バチバチで素晴らしかったですね。ただ2本目のMC東野にちょっと勢いがなかったような気がして、MC三島に挙げました」
江戸川乱歩
「自分も三島に挙げました。東野が出したガリレオっていう言葉に対して、さっぱり分からんっていうのはガリレオのセリフのサンプリングですよね、そういうのを即興で出せて、全体的に三島が引っ張っているように感じました。けれど僅差だったと思います」

東野圭吾
「いやー、悔しいですね。でも流石でした」
観客
「やべーな、俺三島も東野も大好きだから最高だった」「三島の1バース目の拝むのはお前の焼死体のところ鳥肌立った」「三島は化け物、勝てる奴いるのか」「つまり丁寧語より学ぶC言語」「三島は言葉が重い、説得力がある」
 武道館の観客、そして全国民がいきなりの大熱戦に興奮冷めやらぬ状態であった。
 また、のちに東野圭吾は自伝の中でこのバトルのことを「生涯で最も体温が上がった体験」と記している。

DJ星
「では続いて第二試合。注目のフィメールラッパー対決。
 先攻!いやらしいディスがじわじわ効いてくるイヤミス女王、MC湊!
 後攻!享年24歳で紙幣の顔となった天才中の天才、MC樋口!
 ビートは『ノックの音』。それでは始めます。
 ブリングザビート!」


MC湊
 Ahなんだ目の前の小娘 バチバチのバトルがしてえのにさ
 若くして死んだ不運な作家? 蘇っても所詮はくすんだラッパー!
 お前は所詮は五千円札 五千円の価値しかない奴
 立ちはだかるのがMC湊 その独創性ならセクシーピカソ!

MC樋口
 何がセクシーじゃ勘違いババア! 数秒後あるのはお前の惨死体だな!
 ていうか使えよ敬語!容赦しねえぞ! 引きちぎる栄光とてめえの乳房!
 そっから作って飲み干す乳製品! それかこいつ売り飛ばして肉便器!
 だけどこんなババアに五千円 も払う物好きなんていま千円

MC湊
 Ah流石にあるだろ五千円 つまりお前よりは上ごめんね
 その汚い言葉は何を憎んだ? ストレスたまったカミソリ女?
 大事にしたほうがいい品格は 見せつける私大人の人格者
 どんどんできていく新作が にごりえより濁ってるお前の心

MC樋口
 いきなり始める品格の話? バチバチバトルって言ったのお前だし!
 ビビってるこいつに中出しかまし! アサシン!お前もう見れない朝日!
 震えるこいつは濡れてる!蒸れてる! 見せつける次元違うスケール!
 ババアのマンコに突き刺すナイフ! 仕上げにアナルにねじ込むバイブ!


DJ星
「レッツジャッジ・・・5対0でMC樋口の勝利!」
観客
「うぉおおおおお!!!」
森鴎外
「いやあ、これはもう、MC樋口が恐ろしくてもう、僕は怖かったです。MC湊もうまく返していたんですが、樋口のバチバチって言ったのはお前だっていうディスが完全にパンチラインでしたね。その後も怒涛のラッシュ、コンプラなんて気にしないっていうのが最後まで一貫していて圧巻でした」
原ゆたか
「MC樋口はノリノリでしたね、最高でした」

湊かなえ
「心から尊敬している樋口氏とお手合わせできてとっても楽しかったです。ありがとうございました」
観客
「あの湊に5対0とか樋口ヤバすぎる」「あれだけディスりあった後の湊のコメントが感動的」「レベルが高い、お互い無駄な言葉がほとんどない」「1バース目の樋口のダジャレから余裕が伝わった」
 フィメール対決は樋口一葉が制した。会場内の熱は凄まじく、観客たちは気づかない内に汗でぐっしょりになっていた。

観客
「けどこれで現代作家は春樹だけになっちゃったな、次の試合で川端が勝つと現代作家は全滅だよ」「次は村上と川端の試合か」

DJ星
「では続いて第三試合。こちらも大注目の対戦カード!
 先攻!現代文学を牽引するラッパー、MC村上!
 後攻!日本人初のノーベル文学賞受賞、MC川端!
 ビートは『ボッコちゃんのテーマ』。それでは始めましょう。
 ブリングザビート!」


MC村上
 HeyYo待ちわびた時が来た 締め切り近いけど今日ここに来た
 やれやれなんて言ってらんないぜ 対戦相手先輩かなりハイセンス
 だけどマイセンス崩すこの老いぼれ 毒素一滴たらそうスポイトで
 超えて行こうか伊豆の踊子 観客は僕のディスの虜Aha

MC川端
 相手村上願っても無い 伊豆の踊子を超えること無い
 だってお前取れないノーベル賞 俺なら楽勝今日は魅せるラップショー!
 貰えたとしても残念賞 お前の成績だったら万年「良」
 つまり才能ねぇんだよ村上春樹 ハルキストだけが群がる作品!

MC村上
 有り難い言葉さハルキスト 僕はファン一人一人にリスペクト
 今日も真摯にライム吐いてくよ ハイテクの言葉で相手再起不能!
 ノーベル賞がどうとかこうとか そんなこと僕は気にして無い
 勘違いしている川端康成 そのどす黒いはらわた八つ裂き!

MC川端
 OK気にして無いなら問題無い 所詮作家かラッパーかって存在だし
 確かめたかったのは純文学 背負ってける奴かどうかってこと!
 けどまだ俺も負ける気ならねぇ なりたかねぇスキルねぇ屍
 今日はお前が負ける日本武道館 だけど教訓は得られるイソップ童話
 

DJ星
「レッツジャッジ・・・3対2でMC村上の勝利!」
観客
「うぉおおおおおおお!!!」
大江健三郎
「いやぁこれも非常に甲乙つけがたいバトルでした。二人のバイブスが会場を飲み込んでいましたね。僕はMC村上に挙げたんですが、そうですね、MC川端のノーベル賞ディスに対してハルキストからリスペクト、吐いてくよ、ハイテクの、再起不能っていう韻の連打が僕的には決め手でしたね、非常に上手い返しでした。でも川端も包み込むように上手く話をまとめていましたし、本当に最後まで迷いました」
紫式部
「私は川端さんに挙げました。もうどっちが勝ちとかとても判定つけられるようなバトルじゃなくて、だから正直判定のちゃんとした決め手というのはないんですが、川端さんがバトルの流れを誘導しているような感じに受け取って、そういうフィーリング的な部分です。最高でした」
江戸川乱歩
「すいません、自分完全に号泣してます。なんというか師匠と弟子みたいなメッセージのやり取り、川端から村上へのバトンというか、ノーベル賞の話を誘い水にして、でもこういう話ってみんな気にはなってるけどこういった場じゃ無いとなかなかできない、いや本当に自分作家とラップやってて良かったなって心から思いました。ありがとうございました」

川端康成
「明るいですね、未来は」
観客
「感無量」「やべー、なんかやべーしか言えねえ」「熱かったなあ」「俺も泣きました江戸川さん」「村上面白かったな」
 のちに分かったことだが、このバトルによって日本国土の気温が1度上昇したことが観測されている。

DJ星
「では続いて第四試合。明治を代表する文豪の同胞対決!
 先攻!老若男女から愛されるラッパー、MC芥川!
 後攻!美を誰よりもストイックに追求する男、MC谷崎!
 ビートは『エヌ氏とエス氏の地下鉄デート』。
 それでは始めましょう一回戦ファイナルバトル。
 ブリングザビート!」


MC芥川
 Yeahこんばんはマイメン谷崎 ステージでまみえるとちょっと緊張するぜ
 語り明かしたよな俺たちの文学 無限の空白埋めるべく四苦八苦
 ぎくしゃくしても死ぬまでミューズ 求めたのが俺ら永遠のブーム
 クールに気取るなら中止しよう 本音を聞かせてくれよ潤一郎

MC谷崎
 芥川全くミスが無い? 違う気づかない?こいつディスがない
 今日はする気はない仲良しこよし 君はディスる気ないあざとい押韻
 つまり要らないんだ美辞麗句 別に忘れないあの頃日々青春
 吸う暇は無いぜゴールデンバット ミューズは胸の中当然勝つよ
 
MC芥川
 お前の言葉はほんと尊い 吸いたくなってきた金のコウモリ
 つまり開く羅生門閉じる肛門 そんなお前に俺が拷問!
 追求してたなお前のビューティー ナオミズム?お洒落イズム?
 リズムのりにして韻が結合 谷崎ひき殺す銀河鉄道

MC谷崎
 他人の作品銀河鉄道 持ち出すワックMCにみんな絶望
 こいつは乗れてせいぜいトロッコ そのまま一人でGoToモロッコ
 君は詰まるとこカンダタ くすんだゆがんだ希望拝んだら?
 結局掴めない蜘蛛の糸 よりも暑いし食べたい揖保乃糸


DJ星
「レッツジャッジ・・・4対1でMC谷崎の勝利!」
観客
「うぉおおおおおおおおお!!!」
森鴎外
「いやー、これもまた切迫したバトルでした。MC芥川の詩的でユニークなリリックも素敵でしたしね。ええと、少し解説めいたことをするとですね、ゴールデンバットっていうのは芥川が生前愛好していたタバコの銘柄ですね、金のコウモリでうまく踏み返していました。ナオミズムっていうのは痴人の愛に登場するナオミが元となった当時の流行語ですね。ジャッジの決め手は迷ったんですが、谷崎の2本目ですかね、銀河鉄道を拾ってそこからトロッコや蜘蛛の糸っていう芥川の著作を並べて上手く返したところでもうゾクゾクしました」
紫式部
「面白かった!二人ともワーディングがユニークで私は今日一番興奮しちゃいました。谷崎さんに挙げました、2本目で差がついたっていう印象です」
江戸川「痺れました。やっぱりお互いを知り尽くしている二人でもありますし、非常に面白いバトルでした。自分はMC芥川にあげました、言葉のチョイスや構成のセンスが光っていました」

芥川龍之介
「すーごく悔しいです、リベンジしたい。ありがとうございました」
観客
「ヤバかった」「今までのバトルと比べて落ち着いた試合だったな」「あーもう本当にすごい夜だ今夜は」
 これで1回戦のすべてのバトルが終わった。次は準決勝である。

 控え室にて
湊かなえ
「あの、か、川端さんサインお願いします!芥川さんもお願いします!さあ、この油性マジックで!きゃあ、心臓がバックバクよお」


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