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64GBさん

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【野球県】

16/12/05 コンテスト(テーマ):第95回 【 自由投稿スペース 】 コメント:2件 64GB 閲覧数:666

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セリーグにもパリーグにも縁のない、とある地域が異常に野球を愛していた。

「スポーツニュースつけてくれや!」
仕事を終わらせて慌ただしく因幡春吉がリビングに転がりこんできた。
「ハイハイ、晩酌セットもテレビの前ですよ」
テレビをつけながら春吉の妻が言った。
『さあ、セパ両リーグの結果と順位表です。一位と二位が共に勝って順位の変化はありません。では!優勝争いが過熱しているN市のはごろも町内会スケベーズ対!S市ときわ町内会ピンコローズの試合を完全ダイジェスト版でお送りします』

「おおっ!間に合った!」

『解説はT放送スポーツ部の山本さん実況はT放送の佐藤でお送りします。さあ、スケベーズの先発の山田、つい最近ダルビッシュの変化球の投げ方の本を購入してスライダーを覚えました。解説の山本さん、山田の変化球が決まるかどうかが勝負の明暗を分けると思いますか?』
『ん〜……。変化してませんね。山田がスライダーって叫んで投げるので、そうかな?と思ってましたが気のせいですね』
『対する平均年齢62才のピンコローズの打線ですが、全員腰痛持ちでチームに活気がありません』

1回表

『立ち上がりが心配された電気屋の山田。初球はなんで入るか?
内角高めのストレート、98キロ』

「山田のヤツ、テレビの配達で手首痛めてんだ」
「もしかして……ウチのこのテレビ?」
「そうよ!本当ヤバイぜ」

『一番、鈴木!打ちました!打った瞬間それとわかる内野ゴロ!』

「おし!」

『あっと!ショート三上トンネル!打球はレフトへ』

「なにやってんだ!三上は!」
「おとうさん?これ三上さんのメガネじゃない?」
「ああっ!お前これどこにあった?三上ずっと探してたんだぞ」
「あなたのカバンの中よ」
「あちゃー、やっちまった」

『駿足の鈴木を二塁においてバッターは今季打率6割と調子のいい斉藤です。ピッチャー山田第1球を投げました!打った!打球はセンター最深部へ!あらかじめ深く守っていた助っ人のロペスが下がりつつ取りました。おっと!鈴木タッチアップの体勢からいいスタート!内野の中継がモタついている間に二塁からタッチアップでホームイン!ピンコローズが1点を先制しました!』

「なによそれ!どんだけ足が速いんだ!」
「あなた、ウチのロペスが内野まで届かない球を投げたのが敗因よ」
「だってよ〜あいついつまでも女の子投げしかできないんだよ」

1回裏

『スケベーズの一番は町内会一の駿足、因幡春吉の息子の因幡春一!サッカーと兼任です』
『親子でスケベですからね』

「何い?山本てめー覚えてれよ」

『解説の山本さん、サッカーのほうはどうなんでしょうか?』
『春一君はね〜サポーターのミカちゃんの前でカッコつけたいだけでサッカーやってますから、心配しなくてもいいですよ。先週の日曜日にデートしようとしてましたがすっぽかされていましたね〜』

「なんだよ?それ?親が知らねー情報だぞ?」

『因幡春一!プッシュバント!打球はサードがとった!きわどいプレーになるか?あっと!送球がピッチャーの後頭部に当たった!一塁セーフ』

「あはははは!ピッチャーぼーっと立ってるからだ」

『ピッチャー泣いてますね。あっと交代です。グラブを投げ捨てました。監督が慰めてますがダメですね』
「今日も荒れた展開だな!これだからチ・リーグ(町内会リーグ)はやめられねーぜ」
『ピンコローズのピッチャーが帰ってしまいましたので中継ぎが緊急登板になりました。解説の山本さん、こんなに早く先発が下りたとなると肩ができていないままスクランブル登板になりますね?』
『いやいや〜肩はできていますよ。さっきまでずっと山田の実家の壁に100球くらい投げ込んでましたからね』
『軽い嫌がらせですね』
『毎試合なので、相当な嫌がらせです』
『打席には二番の近藤がむかいます』

「あら近藤さん顔が青いわよ」
「当たり前だ!あいつはチャンスにめっぽう弱いんだ!ランナーがいたら打てねーよ」

『山本さん、近藤の顔色が悪いのではないですか?』
『ああ、昨夜はね〜近藤はスナック綾で五種類の酒をちゃんぽんしまして……えービール、チューハイ……』
『あっ、もういいです。あっと!ぶつかりました!デッドボール!えっ?いや?ストライクです。どうやら塁に出たい一心に身を捨てた戦法に出たようです』

「近藤バカじゃねーか?まだ試合始まったばかりじゃねーか!何考えているんだ」
「近藤さんは今年成績出せなかったら自由契約になるっていう話よ」
「その前にチンピラーズの佐々木とトレードとかいいよな」
「いやよあの人、愛人が四人いて隠し子が六人いるのよ。しかも口座に貯金が124円しかない人と一緒のチームなんて」
「なんでそこまで知ってるんだよ?」
「そこがチ・リーグのいいところじゃない?」
「まぁそうだな!」

9回裏

『点差は4点、スケベーズがビハインドです。しかしまだ一発逆転のチャンスが残っています。チ・リーグのオリジナルルールの5点ホームランです!バックスクリーンに置いてあるバケツに入れると5点というものです。今日のスケベーズの打線はヒット5本と沈黙!ここはやはり代打でいくのでしょうか?あっと監督が出て来ました。代打を告げたようです。アナウンスを聞きましょう』
『スケベーズの代打をお知らせします。バッター木村に代わりまして、バッター因幡春吉!』
『やはり因幡春一の父です!過去三度代打で5点ホームランを打ったことのある春日の父が選ばれました』

「何い?!オレのことじゃねーか!オレちょっと行ってくるわ!」
「あんた!バカね!これビデオよ」

『えっと……因幡の父はベンチ入りしてないようです。どうやら仕事と偽って駅前のパチスロにいるようですね。止めればいいのに4万円も突っ込んでいるようです』

「えっと…そりゃあ……おめー……なんだ……」

『最後のバッターも三振でゲームセット!スケベーズ連敗です!敗因はいろいろありますが因幡春吉がベンチ入りさえしていなかった失態で決まり……』

春吉がプチッとテレビを消した。
「さぁ!寝るか」
「寝るかじゃないわよ!」


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このストーリーに関するコメント

16/12/05 64GB

さわらびですwww
どこで読まなくなったか教えてください。
よろしくお願い申し上げますwww

17/02/01 沓屋南実

面白かったー、笑わせてもらいました!
野球は昔けっこう見ていたので、試合がどうなっているかよくわかりましたよ。
それに、野球以外の解説、夫婦のつっこみ。
チ・リーグいいですねえ、楽しかったです!

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