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寺嶋みきこさん

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不自由

16/11/30 コンテスト(テーマ):第122回 時空モノガタリ文学賞 【 美術館 】 コメント:0件 寺嶋みきこ 閲覧数:845

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美術館。それは美的センスを持ち、独特な創造力を持った人々が訪れるそんなところ。当然、私のようにセンスがなく、犬を描けば周りからそれは猫だと言われる私が来るのには不自由な場所なのである。絵のこともよく知らない。このタッチが良いだの、この絵はあの時代背景に合ってるだのそんなの全く知らない。正直、興味もない。けれども私は週に1度この美術館に訪れる。「また会いましたね」そう。この笑顔の素敵な彼に会うために。女なんてそんなものだ。興味がなくたって、好きな人が好きならそれはその日から私の好きなものになる。難しい生き物のようで単純な生き物なのだ。毎週のように私たちはここで会う。別にそこで何かを話すわけでもない。なんだか連絡先を交換するのも場所が場所だからか気が引ける。
「そのワンピース可愛いですね」一度こんなことを言われたことがある。嬉しくてたまらなかった。初めて会った時から心は彼に奪われていたが、そんなことを言われて喜ばない乙女はいない。だが嬉しいのに大きい声で喜べないことも美術館という場所が邪魔をしているから。なんて不自由な場所だ。
「もう帰られるのですか?」そう言って私を呼び止めた彼はきっと数々の乙女を誘惑したのだろう。私には分かる。私の恋は叶うはずないけれど、でもまた私は言ってしまう。
「また来ます。」
額縁の中で微笑む美しい彼に小さな声で。


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