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光石七さん

光石七(みついしなな)です。 子供の頃から空想(妄想?)が好きでした。 2013年から文章化を始めました。 自分では気付かないことも多いので、ダメ出しを頂けるとありがたいです。

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平和にまつわるとある愚話

16/11/07 コンテスト(テーマ):第120回 時空モノガタリ文学賞 【 平和 】 コメント:0件 光石七 閲覧数:863

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 昔々、ビッグバンが起こるよりも前のこと。そこには、今の宇宙とは別の宇宙が広がっていました。その宇宙の中に、今の地球によく似た惑星がありました。住人の姿も、動植物も、地球と似ていました。
 その星の人々は科学を発達させ、医学で病気を克服しながら、便利で豊かな生活を手にしていきました。しかし、人々がどうしても解決できない問題が一つありました。戦争です。その星の人類史は、そのまま戦争の歴史でもありました。村と村が、民族と民族が、国と国が、様々な理由で戦ってきました。いつの時代も、常にどこかで戦いが起こっていました。世界規模の大きな戦争に発展したこともありました。大戦がどうにか落ち着いた後も、各地で紛争が相次ぎ、過激思想集団によるテロも頻発するようになりました。科学の進歩は武器の威力も強大にさせ、より多くの犠牲を出すようになっていました。
「本当は皆平和を願っている。どうしたら戦争がなくなるのだろう?」
 同じ志を持った有識者たちが集まり、平和な世界を実現するための話し合いが何度も行われました。しかし、なかなか有効な解決策はみつかりませんでした。
「人間が考えても答えが出ないなら、コンピュータに判断を委ねてはいかがでしょう?」
 一人の科学者がこんなことを言い出しました。彼が開発したコンピュータは、頭脳部分である本体と、手足となって働く複数の人型ロボットがセットになっており、かつて世界的な食糧危機を見事に解決した実績を持っていました。それまで誰も着目しなかった新たな食糧を発掘し、その調理法と保存法を実際に提示してみせたのです。有識者たちは科学者の提案に同意しました。
 科学者は研究室に戻ると、その星の現状をデータ化し、余すことなくコンピュータに入力しました。
「この星から戦争をなくし、平和な世界を実現せよ」
 そうコマンドを指定すると、コンピュータはデータの分析を始め、たちまち一つの解決策を導き出しました。直ちにロボットたちがその実現のために動き出します。
 ほどなく、その星の住人たちは皆息絶えてしまいました。

 コンピュータは生みの親である科学者が想定していた以上に優秀でした。指示を受けたロボットたちは、まず科学者を監禁して外部と連絡が取れないようにしました。そして、有識者や人々が疑問を抱く前に、強力な殺人ウイルスを作り出して各地にばらまいたのです。
 優秀なコンピュータは確かにその星から戦争をなくし、その星で暮らす人間以外の動植物たちに平和をもたらしたのでした。


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