1. トップページ
  2. イザムαXZe星のまち人

W・アーム・スープレックスさん

性別 男性
将来の夢
座右の銘 作者はつねにぶっきらぼう

投稿済みの作品

0

イザムαXZe星のまち人

16/11/02 コンテスト(テーマ):第121回 時空モノガタリ文学賞 【 捨てゼリフ 】 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:928

この作品を評価する

イザムαXZe星はまっていた。1千万年、一億年、十億年―――最初は星のかけらにすぎなかったイザムαXZe星が、いまのように威風堂々とした惑星になるまでの時間を体験した彼に、そんな歳月など瞬く間の出来事にすぎなかった。
まてばまつほど期待はふくらんだ。彼は、歓迎のためのお膳立てをすることにした。まず、大気を生み出した。太陽の熱に蒸気となった大気が冷えて地上に雨をもたらす光景をみていると、頭のなかに青い水平線が思いうかんだ。彼が思い描いたものは、どんなものでも、いつかは現実のものとなって地上に出現した。げんに、それから数十億年未来には、世界は、三分の二以上が深い海の底になっていた。その海から、うじゃうじゃと生命が生まれてくるのがわかった。彼はそのいずれの生命も一つ一つ、丹念に記憶にきざみこむことを忘れなかった。どんな微小であっても、何億年をかければみな、いっぱしの生命体に成長した。それが巨大な肉食恐竜の場合もあれば、ちょろちょろ動き回るちっほけで毛むくじゃらの哺乳類ということもある。見かけだけで判断するのは厳禁だ。さらに何億年の歳月をかけてみないことには、どちらが勝者かはだれにもわからない。げんに、生き残り組は哺乳類のほうで、恐竜を含む爬虫類はほとんど全滅していた。
それからさらに何億年がすぎたころ、南の空にぽつんと光る、人工の乗り物がみえた。
それが飛蚊症からくる目の錯覚ではないのか、それとも鳥が空をよこぎっただけではないのかと、疑念はなかなか晴れず、イザムαXZe星はなおも慎重に、時間をかけることにした。そして一千年後にみたとき、やはりそれは南の空の、同じ位置に、まえみたときよりはるかに鮮やかな光をはなっているた。もはや疑う余地はなかった。
その人工の光は、イザムαXZe星の願いにみちた予測どおり、まもなく地上におりてきた。宇宙船からあらわれたのは二人の、直立歩行する男女だった。男と女であるかぎり、かれらから生まれた子孫によっては地上は栄えることだろう。イザムαXZe星はもろ手をあげて二人を歓迎した。
―――ようこそ、友よ。心からきみたちを歓迎する。どうかここを第二の故郷として、ここにきみたちの文明を築きあげてくれたまえ。
イザムαXZe星が真にのぞんでいたのは、まさにその文明だった。さまざまな生命形態が地上に陸続と出現しては消え、消えては生まれながら、たゆまない進化をくりひろげてきた生命体も、肉体的に目覚ましい発展はしても、イザムαXZe星がもとめる知的な進化をとげることはできなかった。高度な文明をうちたてるにはどうしても、他の宇宙からその種をよびよせなければならなかった。かれらもまた、幾多の星をへめぐりながら、進化と絶滅をくりかえしてきた種族なのだろう。どうかここを、最終の地として、最大限に繁栄してくれたまえ。
それから何万年という歳月がすぎさった。イザムαXZe星のゆめみたとおり、いまでは地上は最初の男女の子孫たちで大繁栄していた。従来存在した動植物を家畜化し、また地下資源を有効活用して、村をつくり、まちをつくり、そして都市を築きあげた。鉄道がとおり、空には飛行機がとびかった。かれらの戦闘をこのむ性格も、進歩の原動力には不可欠なものとイザムαXZe星は良心的にうけとめた。が、あるときイザムαXZe星は、異常ともいえる振動をかんじた。その自然にはおこりえない、いびつな揺れに、イザムαXZe星は不快感にみまわれた。彼らが実験によって第三の火を発見した瞬間だった。それからのかれらの目にあまる暴走ぶりは、イザムαXZe星に多大な不信感をあたえた。何億年も費やして実現した遠大な計画が、もしかして失敗だったのではと言う懸念がめばえたのもそのときだった。
かれはしかしもちまえの寛大さを発揮して、彼らが第三の火を有効活用してきっと、世界に平和をもたらしてくれると祈るような気持で見守ることにした。しかしその祈りはことごとくが無残にふみにじられた。気がついたら地上は、しょうこりもなくくりかえす人間たちの戦争と自然破壊によって乱れにみだれ、もはや回復不可能なまでの状況に追いやられていた。
かれらが招かれざる客だったと後悔とともにさとったイザムαXZe星の、何億年にもおよんだ期待が瞬時にして憤りにかわったときのものすごさはたとえようがなかった。たちまち地軸はへし折れ、すさまじい轟音とともになにもかもをまきこんで大爆発をおこした。
世界の最期をまえにして人間たちは、さっさと脱出用ロケットにのりこみ、宇宙に逃れ去った。、そんなかれらにむかって、二度とくるなとど捨て台詞をなげかけながら、イザムαXZe星の破片たちは、またあらたな誕生をゆめみて広大な宇宙空間めざして旅立っていった。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン