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かめかめさん

http://ameblo.jp/kamekame1976/ ブログデシセイカツバクロチウ

性別 女性
将来の夢 印税生活
座右の銘 ハワイに行きたいと思ったら、一歩踏み出さないといけない。 ハワイは向こうから近づいてこない。

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未来を見て来たよ

16/10/08 コンテスト(テーマ):第118回 時空モノガタリ文学賞 【タイムスリップ 】 コメント:0件 かめかめ 閲覧数:663

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「昨日、俺、タイムスリップしたんだよ」

「タイムスリップ? なんだそりゃ」

「時空をわたったんだ。未来へ」

「ふうん」

「あ! 信じてないな」

「まあ、いいから話せよ。続きはどうなるんだよ」

「俺は午前七時十五分に起きた。いつもその時間に目覚ましをセットしているんだ」

「ふんふん」

「昨日も目覚ましのけたたましいベルを止めるために時計を叩いた俺は、顔を上げてしっかり時間を確認したんだ。間違いない、七時十五分だった。しかし、次の瞬間! 俺は九時十五分の世界にいたんだ。何が起きたかはじめは分からなかったよ。だけどだんだん実感してきたんだ。俺は時を越えたんだって。おかげで会社に遅刻したが、そんな些細なことどうでもいいよな。タイムスリップだぜ、人生の一大事だ」

「うん。それは、二度寝だな」



「昨日、俺はまたタイムスリップしたんだ」

「また遅刻したのか?」

「違う。過去に行ったんだ」

「ふうん」

「あ! また信じてないな」

「いいから話せよ。続きは?」

「昨夜、俺はバーで飲んでいた。カウンター席に座って一人でだ。いつもの馴染みのバーで、いつもの馴染みの酒だ。俺はその店に行ったらいつも三杯飲むと決めているんだ。けれど昨夜は凄く疲れていたせいで一杯目を飲み干したところでうつらうつらしてしまった。目を開けた次の瞬間、俺は目を見張った。過去に戻っていたからだ」

「時計が狂ってたんじゃないのか」

「いや、時計の問題じゃないんだ。グラスだよ。飲み干したはずのグラスに並々と酒が満ちていたんだ。俺は酒を飲む前の時間まで戻ってしまったんだ」

「それはバーテンが気をきかせて二杯目を置いたんだな」



「昨日、私は時空を超えた」

「おい、どうしたんだ『私』だなんてかしこまって」

「まあ、聞いてほしい。今度はタイムスリップだけじゃない。時空を並行移動したんだ」

「並行移動?」

「うん。SFではよく知られた概念なんだ。パラレルワールドと言えば聞いたことあるんじゃないかな。この世界は一つではないんだ。似たような世界がたくさんあって、その世界は少しずつ違っている。隣あった世界はよく似ているけれど少しだけ違う。私の世界はこの世界とすぐ近くにあったようだ、ほとんど同じだ。ただひとつ違っていたのは、あちらの世界では私と君は恋人同士だったということだ」

「おい、気味悪いこと言うなよ」

「もちろん、向こうの世界で私は女性だった。そして君の秘密を知っていた」

「なんだよ、秘密って」

「君が隠れ家を持っているということ」

「……それで?」

「そこで人には言えない趣味を堪能しているということ」

「……ふうん」

「私はその趣味に付き合わされていた。手伝わされていた」

「手伝うって?」

「女性を安心させて隠れ家に連れ込む役目をしていた。そして下処理をする。君はただそこで女性が来るのを待っていればいいだけだった。獲物が来るのを」

「……」

「私はこの世界に来る前にタイムスリップしている。未来へ。たった一か月先へ。そこで私は君の獲物を獲ってくるのはもう嫌だと言ったんだ。そうしたら君はどうしたと思う?」

「……」

「私を生きたまま解体したんだよ」

「……男をやるのは趣味じゃないんだがな。まあ、仕方ない……」

「だめだよ」

「!?」

「今の私は男だ。そして君のやり口は熟知している。どんなタイミングでナイフを出すのか。どこにナイフを隠し持っているのか。すべて君が私に教えたんだ。そう、一番大事なことも。命を奪う時はためらうな、と」

「おまえ……、俺を……ころすのか」

「さよなら。安心して。他の世界で君に会ったら、全員殺してあげるから寂しくないよ。いつの時代でも、君がおじいさんでも、赤ん坊でもね」


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