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下山晃さん

性別 男性
将来の夢
座右の銘 思ったが吉日

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夢の中でタイムスリップ

16/10/04 コンテスト(テーマ):第118回 時空モノガタリ文学賞 【タイムスリップ 】 コメント:0件 下山晃 閲覧数:831

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僕は中高男子校で、野球一筋。6年間のうち、休みは数える程しかなかった。大学へは野球推薦で入ったものの、2年生の時に怪我をして、野球を辞めざるをえなくなった。そんなとき、ある女性と知り合う。名前は美結。「大学の講義で隣になった時、あまりにも暗い顔してるから思わず声をかけてもうたわ」と、あとになって美結から聞いた。講義で会うたびに話すようになり、飲みに行く仲になった。次第に美結を好きになっていき、野球ができなくなった苦しみは薄まっていった。

美結と飲みに行ったある冬の日、その日が寒すぎたせいなのか、美結に心を許し始めていたからなのか、飲みすぎて記憶を無くしてしまった。気づいたら自分の家のベッドにいて、ソファーでは美結が寝ていた。僕はまだお酒が抜けておらず、意識朦朧としながらも美結を起こし、どうなっているのか訪ねた。美結は、突然起こされて不機嫌という表情をみせながら話し始めた。
「あんた、覚えとらんの?」
僕が頷くと、続けて美結は話し始めた。
「あんたに告られた。」
一気に体からお酒が抜けていくのを感じた。
「覚えとらんの?」
「うん・・・でも、好きっていう気持ちは本当で・・・。」
「まぁ、嘘やけどな。私も好きやで。」
そんなこんなで僕は美結と付き合い始めた。

最初は僕が美結の手のひらで転がされているようで悔しかったが、次第に心地よくなり、一緒にいて楽だと感じるようになった。
大学3年になり、ともに就活をした。美結はすぐに就職が決まり、僕はなかなか決まらなかった。美結に、服装から履歴書まで散々ダメだしされ、大学4年の夏にようやく就活を終えた。
その後、お互い無事卒業が決まった。社会人に向けて引っ越し先を考えていると美結に
「あんたの会社へも私の会社へも電車一本で行ける部屋見つけたから、良ければそこ住みなよ。」と言われた。
本当に美結には敵わないなと思うのと同時に、思っても見なかった同棲に対して嬉しさを抑えるのに必死だった。ただその気持ちは伝えられず、ただありがとうとだけ伝えた。

社会人になり、同棲を始めて3年が経った。そろそろ結婚しようと決心した。これまでのことを思い返してみると、大事なことは全て美結からだったなと反省し、プロポーズはサプライズにしようと企んだ。さっそく指輪を買い、プロポーズ場所として高級なレストランを予約した。美結にいつもどおりのデートだと思わせるため、普段通り接することに必死であった。
そしてデート前日、美結が尋ねてきた。
「あんた、どうせ明日のデートの場所、決まっとらんよな?」
「まぁ、うん・・・。夜は行きたい店があるけど・・・。」
「ほんならちょうどよかった。昼に行きたいところがあんねん。」

翌日、美結に連れてこられたのは病院のような建物だった。
「ここ、今流行ってるの知らんの?他人の人生が体験できるんよ。あんたも私の人生知りたいやろ。」
なんじゃそりゃと思いながらも、美結に連れられて建物に入った。そして、その建物のスタッフに言われるがまま、美結と部屋へ連れて行かれ、椅子に座り、目隠しとヘルメットのようなものを付けた。
スタッフの方が説明を始めた。
「これより、お二方の脳波から、これまで過ごされた人生の記憶を読み取り、お互いの脳へと流し込みます。ここからは睡眠状態に入っていただき、お互いの人生を体感していただきます。」
すると美結が
「聞いたことないん?他人になって過去にタイムスリップできるって今話題やん。」と小声で話しかけてきた。なんか怖いんだけどと言いかけたがやめた。そのまま自然と眠りについた。

目が覚め、目隠しとヘルメットのようなものを外し、隣に目をやった。
まだ彼は睡眠中のようだった。この人は本当にまっすぐな人やなと改めて感じ、やっぱり好きやと思った。すると彼も目を覚まし、サングラスとヘルメットを取り外し、私の方を向いた。
「あんた、結局サプライズ失敗やん。・・・そういうところも含めて、私もあんたと結婚したいで。」
私は笑顔を抑えることができず、彼に向かったそう言った。


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