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むねすけさん

ブログで創作をやっていましたが、誰にも相手にしてもらえないため、こちらに辿り着きました。 面白い物語、少しほっとしてもらえるようなお話を書きたいと思っています。

性別 男性
将来の夢 作家になりたいですが、 それが無理でも、何かの原案家とか、 自分の考えた物語が世に出ること。
座右の銘 我思う、故に我在り。

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本屋さんの思い出

16/09/26 コンテスト(テーマ):第117回 時空モノガタリ文学賞 【 本屋 】 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:709

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 思い出をそのまま脚色なしで書くことは過去の自分を俯瞰することであるので、中空に浮遊する自身の五体が重力という名の約束を食いちぎるようで、心地いいのです。
 本屋さんにまつわる僕の中の思い出を、字数制限の許します限り書き連ねてまいりたいと思います。
 まずは小学生の頃、あれは確か四年生、親戚の誰かから図書券をもらった僕は、「これで何か本を書いに行こう」と、二歳年上の兄を誘って二人、陽気に元気に最寄り駅近くの小さな本屋さんに向かったのです。
 到着してしばらく、これから二人だけで本屋さんに行くという、ちょびっと大人な行為をするのだという高揚感に二人ではしゃいでいたのですが、中々何を買うか決めきれない僕が、「何か欲しい本ある?」と兄に質問したあたりで、雰囲気がおかしくなり始めました。
 突然やさしくない態度になってしまった兄に、僕は困惑し、当時アニメーションで存在を知っていた、ムーミンの原作小説を一冊選んで購入し、帰りました。
 記憶にあるのは、本屋さんに出かけるまでの兄弟のはしゃいだ高揚感と、なぜかそれが壊れてしまった気まずい雰囲気で、帰り路の記憶が一切ありません。
 今になれば思い出の中の一ページに、不思議な色合いで残っていて、こんなのもありかと思えますが、当時の僕には忘れたい出来事だったのかもしれません。そういえば、図書券だけでなく、文具券というのもありましたね、もらった文具券で鉛筆削りのオシャレなやつを買った記憶もあります。ただ、オシャレなだけで機能的ではありませんでしたが。
 二つ目の思い出は母の田舎の愛媛県松山市の巨大な本屋さんのこと。
 毎年夏休みに帰省していた松山、母の実家から田舎特有の長く長く、子供の足では永遠のようにも思えた、長細い歩道を歩いて歩いてたどり着いた、巨大すぎる本屋さんのこと。
 少年ジャンプ連載の漫画やドラえもんを購入したその本屋さんの巨大さばかりが、記憶にあります。ネットを使えばその本屋さんを特定することも可能でしょうがそれはしません。
 そこで買ったドラえもんの何巻だったでしょうか、伯母と二人、ようやく簡単な漢字を覚え始めた頃で、一話ずつ交代で読みっこした、とても穏やかでいい思い出もあります。
 本屋さんの思い出の三つめ。
 梅田駅の紀伊國屋さん。入り口がいつも人込みでごったがえしていて、独特な疲労感を想起するあの本屋さん。
 高校の校外学習の集合場所にその入り口付近が指定されたことがありました。あとはそう、漫画売り場は別の駅ビルの高層階にあって、その漫画売り場で僕は大島弓子さんの漫画を買ったことがあります。あの漫画売り場で、文系っぽい若いカップルの女性が、男性に「裕福になったんだねぇ」と言っていた言葉だけを、何かのタイミングで思いだします。
 その紀伊國屋さんの入り口付近の雑踏に関する記憶として、大きなものは、探せば日付入りで日記としてあるはずですが、あれはもう十九歳になっていたでしょうか、大検の試験勉強中で、過去の問題集を購入するために僕は紀伊國屋さんへ。
 お目当ての問題集を見つけて帰ろうとした、その入り口の人込みの中、一人の当時の僕と同い年ぐらいの女性と目が合いました。
 人がゴチャゴチャいる中で、その人は真っすぐに僕を見ていました。
 あまりに真っすぐで、僕は瞬時にぞっとしたものを感じ取っていたと思います。その子はそのまま真っすぐに僕に向かってき、手を伸ばして僕の肩に触れたのです。僕は恐ろしくなってそのまま逃げるように大慌てで切符を購入し、逃げるように電車に乗りこみました。家に帰ってから、「どうして逃げたの?」という知り合いからの電話があればいいのにと思いましたが、どうでしょうあれは僕の知りあいの誰かだったのか、やっぱり知らない誰かだったのか。
 もしも知らない誰かであったのなら、何の理由で僕に触れたのでしょう。わからないことはわからないままですね。
 さて残り文字数が迫ってまいりました。最後になります。
 僕が片思いしていた書店アルバイト女性の話は書けそうもありません。
 最後は、アルバイトの面接の帰りに立ち寄った本屋さんのこと。村上春樹の青い背表紙を確かに僕は触った記憶があるのです。
 しかし、その本屋さんに、僕はその日だけで二度と行くことはできませんでした。何度か探しに行ったのですが、そこにあったはずの場所にその本屋さんはなかったのです。
 まるで古本屋さんのように入り口に扉も何もなく、裸電球が店内をオレンジ色に照らしてたような、普段通ることない道であったので、勘違いした可能性が大きいですけど、不思議な思い出として、残っています。
 あの日だったかな、向かいのお宅の車が、ブレーキとアクセルを踏み間違えて僕の家の門扉を破壊したのは。




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