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荒木成生さん

はじめまして、こんにちは、荒木成生です。 二千字をオーバーした時の推敲作業に苦労しています。 説明不足になりがちですが、そこは想像力で補ってください。 二千字よりも長いものは小説投稿サイト『アットノベルス』に置いてありますので、興味があればこちらもよろしくお願いします。 ペンネームは同じです。

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テレ☆うら

12/10/09 コンテスト(テーマ):第十六回 時空モノガタリ文学賞【 テレビ 】 コメント:2件 荒木成生 閲覧数:2096

時空モノガタリからの選評

最終選考

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 辻占って知ってますか?
 辻占とは四辻に立ち、最初に通りかかった人の言葉によって吉凶を判断する占いのことです。
 そして、この辻占を元に考案されたのが、テレビ占いです。通称、テレ☆うら。
 このテレビ占いとは、テレビの電源を入れた直後に聞こえてきた最初の言葉で占います。
 例えば、
「現場の佐々木さん……」であれば、会社の同僚の佐々木さんに気をつけて。思わぬ無理難題をふっかけられる可能性も。
「今日のわんこ」であれば、犬に要注意。お手のつもりで差し出した手が甘噛みされることもしばしば。
 という具合です。これがけっこう当たります。
 では、今朝はどうかな?
 スイッチオン!
「……お前を殺す」
 ドラマの中の一場面が映し出される。
 これは俳優がワイドショーやバラエティ番組に出演して今日からスタートするドラマを宣伝する、いわゆる番宣というやつだ。
 この言葉で吉凶を占うと、当然ながら凶……、殺し屋や殺人犯に殺されないようにしようってことになるのかな?
 ということで、いつもどおり出勤する。
 仕事は普通の会社員。危機を回避するために有給を使って休むという手もあるが、休む理由に忌引きはあるけど、物忌みが無いため、問答無用で出社だ。
 通勤には地下鉄を使う……、気をつけるとしたらここだろう。
 ホームで白線の内側にでも居ようものなら、誰かに線路に突き飛ばされてしまう。
 白線から離れていれば何も問題は……、って、乗車順が遅れるのね。運が良ければ座席に座れる時もあるのだが、今朝は凶運だから仕方がない。
 車内に入る。混雑しているが不審な人物はいないし、これといっておかしなものも……、見ると、網棚の上にいかにも怪しげなダンボールがある。
 さらに辺りを見回すと、この車両内に同じ大きさのダンボールが網棚の上に四つ……、怪しすぎる。
 爆弾か? はたまた、地下鉄サリン?
 どう判断すればいいだろう……、占いを信じるならあの箱の中身は危険だ。
 でも、ここで私が騒げば当然車内はパニックに……、次の駅で降りて駅員さんに通報する、これが一番だと思う。
 電車が緩やかに停車し自動で扉が開く、私は急いで降りるがホームには……、誰もいない?
 朝の通勤時間、人は絶えず居るはずなのに……、それにここ恵比寿だよ、あの恵比寿駅だよ。何があった東○メトロ?
 とにかく改札へ向かおう。駅員さんか誰かはいるはずだ。
 辿り着いたその先には……、良かった、人影がある。遠目ではあったが一つの人影が自動改札の向こうにあった。
「あのー、すいませーん」
 やっとで見つけた人影に声をかける。
 駆け寄ってみると、男性らしいその人影がこちらを振り向き、応えがあった。
「殺されたいのか?」
 よくよく見ると、そのサラリーマン風の男性の手には銃があった。
 そして、彼の周りには今朝できたばかりと思われる死体の山が築かれていた。
 テロリスト……、銃口はこちらを向いている。
 迂闊な行動を取るわけにもいかないし、発言にも注意が必要だ。
 弱気な態度だとこの手の手合いはつけ上がる……、ここは思い切って、
「いいえ、けっこうです!」
 毅然とした態度で応じてみる。
 たぶん、悲鳴を上げても、泣き叫んでも助からない。それは逆に相手を逆上させるだけだ。
「そうか」
 彼はそう告げると、辺りの気配を探りつつ警戒態勢を強めた。どうやら私のことは見逃してくれるらしい。
 地下鉄から出入りする人間だけを射殺するのが彼の任務なのだろう。
 再びホームに降り、やるべきは警察へ救助を求めること。
 携帯電話で警察に……、繋がらない。
 肝心な時に繋がらない携帯は携帯じゃないよ……、いつまでもガラケー使ってないでスマホに買い換えろってことなの?
 いや待て……、地下鉄に乗ってる時なら度重なる切断もあり得るが、さすがに恵比寿駅ホームで不通になるとは考えにくい……、それだけ大きな事件ということらしい。
 警察が無理なら、とりあえずの状況確認だけでもしておいた方がいい。
 ネットはどうだ……、これも繋がらない。
 ワンセグは……、テレビで速報やってるか?
「……セーフ!」
 お、一点入ったらしい……、そういえば春のセンバツが甲子園で行われているんだっけ。
 ん? セーフ?
 テレビ占いとして見るなら、もう終わったということでいいのかな?
 あっ、サイレンが聞こえる……、パトカーか救急車かわからないけど、助かったのは間違いない。
 後日、この事件はメトロの惨劇として報道され、その時に地下鉄から生還したのは私だけだということを知った。


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このストーリーに関するコメント

12/10/29 松定 鴨汀

世にも奇妙な物語っぽいふしぎな世界、楽しかったです。

13/01/02 草愛やし美

荒木成生さん、拝読しました。

テレ☆うら、ある意味占いってこういうものかもしれません。筮竹などは、その系列かもと思います。偶然つけたように感じているその瞬間は、運命に導かれたものだとすれば、それがその人の定めかもしれませんもの。

しかし、凄い当たるんですね、このテレ☆うらって、私もぜひ参加したいです。面白かったです。セーフでほっとしました。それと、こういう緊急場面の回避方法、参考になりました。いざって時は私もこの方法で頑張りたいです。(マジですよ)

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