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海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

性別 男性
将来の夢 プロ小説家になること!
座右の銘 焼肉定食!

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未来の大先生!?

16/09/12 コンテスト(テーマ):第118回 時空モノガタリ文学賞 【タイムスリップ 】 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:1015

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『葵ほむら』そう自身のペンネームが書かれた小説の原稿を印刷しながら、青井修二はため息をつく。
 修二は今まで小説の賞にたくさん投稿をした。しかし結果は全て落選。このまま一生デビューできなかったらどうしよう。その時は、いっその事死ぬか。修二に死の影がちらつく。
 そんな風に、修二が暗い気持ちでいっぱいになっている時、その声は響いた。

「へぇー、この時代はこうやって小説を書いているんだ!」

 突如響いた修二以外の声。
 目の前を見ると、そこにはさっきまでは居なかったはずの少女の姿があった。動揺する修二。少女は修二が自分を見ている事に気づくと、笑顔でこう応えた。
「こんにちは、修二おじいちゃん」

 それから少女はマシンガンのように話を始めた。少女は修二の孫で青井三葉と言う。未来からタイムスリップしてやってきたのだとか。
 修二は頭が痛くなった。自分の孫が未来からやってきた? もしかしてこの少女は頭がおかしいのだろうか。そう考える。
「あっ、修二おじいちゃん疑っているでしょう?」
「そんなつもりは」
「いいよ。この時代の人からしたら未来から孫が来たなんて言われたら混乱するだろうし。ほら、これが証拠」
 そう言って三葉が腕ごと差し出した物。それは腕時計のような物だった。三葉がそれを操作すると、映像が立体的に浮かび上がる。
「ほら、これが未来の修二おじいちゃん」
 三葉の指差した人物は、確かに未来の年老いた修二のようだった。そこには三葉の姿も映っている。もしこれが本物なら、三葉は本当に未来からやって来た孫、という事になるのだろうか。
 修二は三葉に聞いてみたい事があった。
「それじゃあ、未来の僕は何をして働いているんだ?」
 プロの小説家を目指し生きている日々。だからこそ、未来ではちゃんと小説家として暮らしているのか。修二は気になった。
「えー気になる?」
「当然だろう」
「どうしようかなー教えようかなー」
「いいから教えてくれ!」
「仕方ないなー。……ちゃんと小説家として活躍しているよ。売れっ子の大先生としてね」
 売れっ子の大先生。その言葉に修二は舞い上がった。自分のやってきた事は間違いではなかったのだ。その事実が修二には嬉しくて堪らなかった。
「それで、お願いがあるんだけど」
 修二が一人で盛り上がっていると、今度は三葉の方から話しかけてくる。「なんでも言え」と修二は調子良く応えた。
「あのね、未来の修二おじいちゃん、すごいケチでお小遣いもくれないの」
「それで?」
「だから、お小遣いちょうだい!」
 その言葉に浮かれていた修二のテンションは一気に下がり、すっかり呆れてしまった。今の自分は三食満足な食事をする事が困難な程、貧乏だ。それなのにお小遣いだなんてとんでもない。
「そんな金はない。お小遣いは未来のお金持ちな僕からもらいなさい」
「ケチー! ……まあ、過去の修二おじいちゃんが見られただけいいや。それじゃまた未来で!」
 そう言うと、そのまま三葉は一瞬にして消えてしまった。
 今まで見ていたのは白昼夢だったのか。そう修二は疑う。
『ちゃんと小説家として活躍しているよ。売れっ子の大先生としてね』
 だが、その言葉だけは修二の中に確かに残っていた。
「僕だって、頑張って書き続ければ大物作家になれるんだ」
 三葉の言葉を信じ、修二は新たに小説のプロット作りを始めた。



 一方その頃、未来の世界。
 三葉と名乗った少女はカフェで腕時計型端末を使い上司と通話をしていた。
「はい、今回も予定者の防止に成功しました。はい、はい。それでは失礼します」
 さっきまでとは打って変わって真面目な態度。これこそが彼女の本来の姿だ。
 彼女は三葉と言う名前でなければ、修二の孫でもない。(修二に見せた映像は合成だ)彼女の役職は『自殺防止官』と言い、過去の世界に行き本来なら自殺するはずだった人間を救うのが仕事だ。
 修二はあのままいけば夢破れ、自殺するはずの人間だった。それを救うため彼女は『孫の三葉』として彼の前に現れ『将来売れっ子の小説家になる』とウソをついたのだ。
「さて、そろそろ帰ろうかな」
 カフェの会計を済まし、街中に出る。ふとビルに浮かび上がる立体広告を見ると、三葉は笑みを浮かべた。
「なかなかやるじゃない」
 どうやら『過去』が変わり『現代である未来』も変わったらしい。
 立体広告にはこう書かれていた。『葵ほむら新刊三百万部突破!』と。


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