1. トップページ
  2. Monologue for myself, including some omissions and some lies

光石七さん

光石七(みついしなな)です。 子供の頃から空想(妄想?)が好きでした。 2013年から文章化を始めました。 自分では気付かないことも多いので、ダメ出しを頂けるとありがたいです。

性別 女性
将来の夢 可愛いおばあちゃん
座右の銘

投稿済みの作品

8

Monologue for myself, including some omissions and some lies

16/09/12 コンテスト(テーマ):第116回 時空モノガタリ文学賞 【 裏切り 】 コメント:11件 光石七 閲覧数:2064

時空モノガタリからの選評

「絶対的な変わらぬものなど無い」ことは、わかっているつもりでも、失ったものを数え、苦しみの連鎖に嵌ってしまうという、いつの世も変わらぬ苦しみが濃密に描かれていると思います。私たちを苦しめる原因のほとんどは、過去と未来を思う心なのではないでしょうか。心も身体も常に変化していってしまうものだから、流れに身を任せて瞬間瞬間を大切に生きれば、苦しみは生まれないはずなのですが、そうした“無常”を心から納得することは、普通の人間にとってはやはり、一筋縄にはいきません。「私」が過去の自分への「謝り」と「裏切り」の連鎖を続けていくのか、それとも別な方向に向かうのか、なかなか気になるところです。ところで、書くことは感情や思考を観察し客観視することでもあり、時に心理療法的に心を軽くする作用もあるのではないでしょうか。自己観察というのは大切なことだと思います。世間から認められるうんぬん以前の、文章を書くことの意義についても、再考させられました。

時空モノガタリK

この作品を評価する

世の中に絶対なんてものは無い。
形あるものは姿を変えゆき、
人の心も移ろう。
常識は時代や場所によって非常識へと変わり、
強者と弱者、
栄える者と衰える者、
立場と状況はめまぐるしく入れ替わっていく。

絶対じゃないものを絶対であるかのように錯覚するから、
裏切られたと思うのだ。
落胆する者、
悲嘆する者、
憤る者、
反応は様々なれど、
全てはその対象を信じていたからこその反応だ。
裏切られるのが嫌なら、
最初から信じなければいい。
そう、
絶対的な変わらないものなど無いのだ。
友達も社会も、
家族や恋人も、
愛も夢も、
未来も。
そして、
自分自身も。

時々、あの頃のことを夢に見る。
夢の中の私は、
あの頃そうだったように、
律儀に生真面目に、生き生きと、
役目を果たすべく奔走する。
夢から覚めた時の、
今の生活の現実が徐々に甦ってくる感覚。
哀しさと虚しさとあきらめとがごちゃ混ぜになって、
しばしベッドで天井とにらめっこする。

あの頃、あの『道』を懸命に歩んでいた私。
失敗や空回りも多かったけれども、
私という存在に意味を与えてくれた『道』は、
あの頃の私にとって最も正しく価値のあるものであり、
何よりも優先すべきものだった。
誇りであり、喜びだった。
「この『道』を生涯歩みます」
「この『道』に全身全霊を尽くします」
嘘偽りの無い思いであり、
本心からそう誓いを立てた。
『道』を離れた未来など考えられなかった。

もう距離を置いて久しいあの『道』。
あの時、どうしても離れざるを得なくて、
それが辛くて、
いっそ忘れようと蓋をした。
いつしか『道』から離れた生活に馴染み、
『道』が無くても生きていられる自分に気付いた。

あの思いは、
あの誓いは、
何だったのだろう?
嘘を吐くつもりなど全く無く、
百パーセント本気の本気だったはずなのに。

あの『道』が間違いだったとは思っていない。
だけど、あの頃のような情熱と一途さはもう持てない。
罪悪感とノスタルジーが胸を刺しても、
もうあの頃には戻れない。

私はあの頃の私を裏切った。
人から裏切られた経験よりも、
この自分への裏切りが今も胸を疼かせる。
あの頃の私が「裏切り者」と今の私を責め立てる。

あの頃の私よ、
あなたは自分を過信していたのだ。
己の弱さ、己の心の移ろいやすさに気付かず、
自分は変わらない、変わるはずはないと、
傲慢にも思い込んでいた。
裏切り者になるのが嫌なら、
最初から自分など信じなければよかったのに。

昨夜もあの頃の夢を見た。
現実にはもうとっくに裏切っているのに、
夢の中の私は喜々として『道』を歩んでいた。

これからも私はあの頃の私に謝り続けるのだろうか。
それとも、
それもいずれは変わっていくのだろうか。
私は再び私を裏切るのだろうか。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

16/09/14 泡沫恋歌

光石七 様、拝読しました。

散文詩風に書かれた文体に、鬼気迫るほどの心情を吐露されて、
読む者としてはどう受け止めるべきか悩みます。

私ほど生きてくると、夢とか、理想とか、そういうものに裏切られ、
自分からも裏切ってきて、
もうなるようにしかならないのが人生だと悟ります。

しかしながら悟ったといいつつも、やっぱり内心は懊悩としてますが、そういう熱い想いが
創作へと実を結んでいくことでしょう。お互いに頑張りましょう。

16/09/19 光石七

>泡沫恋歌さん
コメントありがとうございます。
悩ませてしまい、すみません<(_ _)> 読んでくださる方々を複雑な思いにさせる、反応やコメントに困る話(というより詩?)であることは自覚しております。
自分に向けて書いた部分が大きいのですが、真摯に向き合って下さり、感謝です。

>海月漂さん
コメントありがとうございます。
時々、ふとしたきっかけで蓋をしていた過去や見ないふりをしていた思いが意識に上ってくることがあります。このテーマもそういうきっかけの一つでした。
全部をさらけ出すことはできなくて抽象的な文面に留めていますし、タイトルにもあるように端折った部分や嘘も混じっていますが、書くことで少し心が整理されたようにも感じます。
創作には不思議な力がありますね。

16/09/21 黒谷丹鵺

拝読して我が身を打つ悲痛な叫びのようなものを感じました。年齢を重ねるにつれ過去の自分を裏切り、裏切りの言い訳として自分に嘘をついていく……誰の心にもそんな人生の裏側のような思いがあるのでしょうね。

16/09/22 光石七

>黒谷丹鵺さん
コメントありがとうございます。
その時は本気だったのに結果的には嘘や裏切る形になってしまうのは、多くの方が経験しておられることなのかもしれませんね。
抽象的な中途半端な文章であるにもかかわらず、感じ取ってくださり、ありがたく思います。

>OHIMEさん
書くことでいろいろな心的作用がありますね。
このテーマでなければ書かなかったでしょうし、人様にお見せするような代物ではないと自覚しつつも、こうして読んでいただいて反応をいただいて、自分への中途半端なモノローグですが書いた意味があったかなと思います。
こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございます。

16/09/23 そらの珊瑚

光石七さん、拝読しました。

私も過去の私へごめんなさいと云わねばならない気がします。
ただ生来の臆病者なので、そんなことは忘れて(つもりで)生きているだけなのです。
ただ、ありがとう、という用意もあります。
過去の私がいなければ書くことなど出来なかったと思うからです。

16/09/27 光石七

>そらの珊瑚さん
コメントありがとうございます。
自分という狭い視野でしか書いていませんでしたが、過去の自分への懺悔は大なり小なり皆さん抱えておられるのかもしれませんね。
過去の自分への「ありがとう」、珊瑚さんのコメントにハッとさせられました。確かに過去があって今があるけど……今の私は「ごめんなさい」の比重のほうが大きいかも。もしくは、日常にかまけて忘れたふりをしてるか。
創作って自分をさらけ出す覚悟も必要だなと、このテーマで改めて感じました。

16/09/29 浅月庵

光石七様

自分自身に対する裏切りというのは、簡単にできるようでいて、ずっと後悔し続ける裏切りなのかもしれません。自分と重ね合わせると胸が痛くなりました。

16/10/01 葵 ひとみ

光石七様

拝読させて頂きました。

私も無意識に感じていないだけで、沢山の裏切りを自分にしているのかも?と
ハっとさせられた作品でした。

16/10/01 奈尚

作品拝見いたしました。
詩のように短く切られた文章が、力強く響いてくる素敵な作品でした。
以前は強く胸に描いていた夢も、時とともに様々な理由で抱き続けることが困難になる。
必死に生きていく中で、誰しもが一度は経験することではないかと思います。
あの頃の自分を裏切ってしまった。そう思い続けているという事実こそ、心の芯の部分では裏切りきれていないという証拠なのではないか、と感じました。
素晴らしい作品を、ありがとうございました。

16/10/03 光石七

>浅月庵さん
コメントありがとうございます。
自分の中での一番大きな裏切りとそれに対して燻っている思いを、自分に向けて吐き出す形で書いてみました。
具体性に乏しいし、あまり理解・共感はされないだろうと思っていましたが、真摯に向き合って読んでくださり、ありがたく思います。

>葵 ひとみさん
コメントありがとうございます。
自分への小さな裏切りはしょっちゅうですね。「今日のおやつはこれ一つだけ」「これが済んだら寝る」等、一度決めたことをあっさり覆すのは日常茶飯事です(苦笑)
この話(というより詩?)は、自分の中での一番大きな裏切りがベースですが。
裏切りながらも前に進むこと、気にしすぎないことも、生きていく上では大切なのかもしれませんね。

>奈尚さん
コメントありがとうございます。
読んでくださる方への配慮や具体性に欠ける中、真摯に読み込み受け止めてくださる皆様には感謝しかありません<(_ _)>
自分への裏切りも整理し切れていない思いも、普段は日常に没頭して忘れていますが、ふとした時に意識に上がってくるんですよね……
“心の芯の部分では裏切りきれていないという証拠なのではないか”、そういうふうに考えたことは無かったですね。
こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございます。

ログイン