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葵 ひとみさん

「フーコー「短編小説」傑作選8」にて、 「聖女の微笑み」が出版社採用で、出版経験があります。 第114回 時空モノガタリ文学賞 【 パピプペポ 】最終選考を頂きました。 第116回 時空モノガタリ文学賞 【 裏切り 】最終選考を頂きました。 心からありがとうございます。 感想、心からお待ちしています^▽^ Twitter @Aoy_Hitomi

性別 男性
将来の夢 毎日を明るく楽しく穏やかにおくります。
座右の銘 白鳥の湖、努力ゆえの優雅さ――。

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ギリシャ風ホテル・プロメテウス内書店――アテナ――

16/08/29 コンテスト(テーマ):第117回 時空モノガタリ文学賞 【 本屋 】 コメント:3件 葵 ひとみ 閲覧数:1401

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 ここは小豆島の恋人たちの散歩道(さんぽみち)エンジェルロードの隣りにある、

ギリシャ風ホテル・プロメテウスである。

このホテルの名物は、ホテル内にとても素敵な書店がある。

その名前は――アテナ――。

このホテルでは、レストランでギリシャ人シェフの料理を食して、

アテナで購入した書籍をゆっくりとラウンジでシガーを薫(くゆ)らせながら

楽しむことができる。

私はレストランで軽くスブラキのサンドイッチとクレタ島の赤ワイン

をグラスで注文して食した、アツアツのスブラキのサンドイッチがとても美味しい。

その後で、アテナへおもむいた。

ちょっとここのアテナでは趣向の違う書籍をとりそろえているので有名である。

その中でも、もうとっくに絶版して販売終了されている、

心理学者のユングが開発した『サイ・カード (PSY・CARD)』

が販売されていた――

これは千載一遇(せんざいいちぐう)のチャンスだから

私は躊躇(ちゅうちょ)なく購入した。

そして、ラウンジのソファーで真新しい「サイ・カード」

をシャッフルしていると、どこからともなく一人の老婆(ろうば)がやってきた。

『おまえさん、頭に何か「もや」がかかってはいないかい?』

なんだか、私が中学校二年生の時に亡くなった優しい祖母にそっくりである。

「どれ、そのサイ・カードを貸してごらん」

向かいのソファーに腰掛けて好々(こうこう)な老婆はほほえんでそう言った。

私は断る理由もないので自然にサイ・カードを老婆にさしだしていた。

老婆はそのサイ・カードをシャッフルして自分の前に3枚のカードを並べた、

そのカードはサソリとクモと天空であった。

それをしげしげと老婆は見つめてこう言った、

「これはささいな事だが人生ではとても重要なことじゃ、

おまえさんが自然界で一番好きな動物はサソリで、一番嫌いな動物はクモ……

しかしじゃな、サソリもクモも同じクモ科なのがそなたの謎なんじゃろうて……

こんなこと誰にも相談できまいて」

なんと老婆は私がつきあった彼女にさえ言うことが憚(はばか)れる

積年(せきねん)の悩みを見事に言い当てた!?

クモが嫌いなのはわかるとしても、

サソリが好きだなんて残酷な怖い性格に思われること間違いないからである。

「なんも心配せんでええ、その謎をここで解いちゃる」と老婆は呟(つぶや)いた――


「これはギリシャ神話が関係しておるんじゃな……

この地上で己(おのれ)以上に狩りの上手い者はいないと傲慢(ごうまん)になって、

ウサギを踏みつぶしたりして、傍若無人(ぼうじゃくぶじん)の限りをつくした

オリオンに罰を与える為に、神様が地上に使わしたのがサソリじゃて。

サソリのたった一刺しでオリオンは死んでしもうた、

おまえさんが本当に好きな動物はサソリではなく可愛いウサギなんじゃ。

サソリ座が天空に上がってくるとオリオン座は沈んでゆく。

可哀想なウサギもウサギ座となって今は天空で輝いておる」

老婆の意外な話の展開に私は驚きを隠せない……

老婆は話しを続けた、

「クモも同じじゃ、機(はた)織りの美しき娘アラクネが

私はギリシャ神話の神々の誰よりも上手に機織りができると思い上がり、

神々の怒りをかい、醜いクモに姿を変えられたのじゃ、

そなたが本当に好きなのは綺麗なチョウチョウで、

それを捕まえるクモがキライなんじゃろうて」そこで老婆は話しを核心に移した、

「おまえさんは、オリオンやアラクネのような傲慢で思い上がった人間が、

本当にキライなようじゃの。

この先のおまえさんの人生でも、

おまえさんが有頂天で天狗になりかけることも沢山あるじゃろうて、

その時こそユダヤ人の聖典タムルードにあるこの教訓を思い出しなさい。

戒律の厳しいユダヤ人は常に帽子をかぶっておる。

いつも、自分よりも優れた人間はいることを忘れんように……と、

常に謙虚さを忘れんようにな。これがそなたの人生の幸福の鍵となるじゃろうて」

かんで含めるように老婆は私を諭(さと)した。

そして、そっとその老婆はサイ・カードを丁寧に整えて私に返した、

老婆はまた優しい笑顔をうかべてソファーから立ち上がり

ラウンジからゆっくりとさっていった――




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このストーリーに関するコメント

16/09/09 あずみの白馬

拝読させていただきました。
謎の占い師さんは結局どういう存在だったのか、わからぬままに終わった感じがしました。
占いを聞いた後、主人公はどうしたのか、想像を膨らませると楽しそうです。

16/09/09 葵 ひとみ

あずみの白馬さま

コメント心からありがとうございます。

>拝読させていただきました。
謎の占い師さんは結局どういう存在だったのか、わからぬままに終わった感じがしました。
占いを聞いた後、主人公はどうしたのか、想像を膨らませると楽しそうです。
さすが、あずみの白馬さまですね。

主人公と謎の占い師さんがどうなったのか?
そこまで気がまわりませんでした。
登場人物は登場させた以上、どうなったのか執筆するべきですよね。
反省しています。

コメント心からありがとうございます。

19/01/31 雪野 降太

拝読しました。
正体不明の女性に対しても素直な心で対峙する主人公の素朴さが感じられました。改行と、空白行を多用されたことによる文章的効果がわかりませんでした。また、コンテストテーマの【本屋】とはあまり関係のない内容にも感じられました。加えて、「好々爺」という言葉は耳にしたことがありますが『好々(こうこう)な老婆』という表現は初めて拝見しました。勉強になりました。
読ませていただいてありがとうございます。

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