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ちょっぺ〜@小説たまに弾き語り(愛している。世界中の誰よりも)さん

小説書いたり翻訳したり弾き語りしたりブログを書いたりラジオで喋ったりしている遊び人です。いまは読書家という職業を目指して毎日本を読んでいます。海外生活の情報をまとめたエッセイ集を発売予定です。誰とでも仲良くなれるのが必殺技です。 海外生活の日常をまとめた情報誌『海外行ってみた。暮らしてみた。』の編集してます。 ▶おすすめリンクww ▶https://twitter.com/kruchoro ▶http://kruchoro.com/ ▶https://note.mu/kruchoro ▶https://www.youtube.com/channel/UCLmxmlc0GI6WiF_tl_m6HqQ

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将来の夢 コントづくりのスペシャリスト。 もしくは喋るタイプライター。喋るタイプのライターじゃなくて、お喋りをするタイプライターね。
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生きている人間は暇すぎて、死んだ人間に質問を投げかけてくるが、有益な答えを得られた例などは一度たりともない

16/08/27 コンテスト(テーマ):第115回 時空モノガタリ文学賞 【幽霊 】 コメント:0件 ちょっぺ〜@小説たまに弾き語り(愛している。世界中の誰よりも) 閲覧数:993

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何日か前に死んでしまってから、私の一日は

宙に浮かんでいる時間がすごく長くなった。

基本的にはずっと浮かんでいる。

浮かんでいないように見えても実際にはずっと浮かんでいる。

地面に立っているように見えても、寝転んでいるように見えても、実際には私はずっと浮かんでいる。

生きている間は、それほど宙に浮かんでいたわけではなかった。

というか、そんなことをした記憶もなかった。

死んだときに忘れてしまったのかもしれない。

そういうことはよくあるらしい。

死んだじじいが言っていた。

そいつは私が死ぬよりもずっと前に死んだそうで

いろいろと忘れてしまっていることがあるんだと言っていた。

だが、それはただお前がボケているだけだろう、と私は言ってやった。

それからそのじじいはもう何も教えてくれなくなった。

口さえも聞いてくれない。

こっちも話すことがないから、退屈になった私は街中をぶらつくようになった。

生きている人には私のことが見えないだろうと思っていたが、まさにその通りで、みんなは私が何をやっても関心を示さない。

生きている人間には触れられないと思っていたが、まさにその通りで、誰も私を避けようとせずに私の体の中をスイスイと通り抜けて歩き続ける。

これは汚いおっさんにやられるとこっちの気分がひどく悪くなるので、街中を歩く時はなるべく女の子たちとぶつかるように私は心掛けている。

彼女たちが体の中をすり抜けると、何だか心が浄化されているような気になる。

実際はきっとその逆なんだろうがね。

でも本当のことを言うと、人と体がぶつかりそうになるとドキッとするから、私は道の端っこを歩いている。

じゃあいったい何のために体が透けるような仕組みになっているのかというと、私にはわからない。

ところで、私のようなスケベな幽霊はみんな女湯を覗きにいっているものだと思われているだろうが、まさにその通りで、私は女湯によく出入りしている。

たいていの生きている人間がそうであるように、死んだ私も夜になると女湯に出入りをしている。

私は彼女らに抱きつこうとするが、やっぱり体はすり抜けてしまう。

しょうがないから自分の股間に手をやってみると、そこは何ともなっていない。

つまり、反応していないのだ。

よくよく考えてみると、性欲という物がなくなっている。

幽霊はセックスなんかしないのだ。何でかって言うと、あそこがタタナイから。

じゃあいったい私は何をしにこうして女湯に来ているのかというと、わからない。

女湯の端っこで小さくなって、ぼうっとしていると心が休まるのだ。

田舎の実家にいるような感じと似ているかもしれない。違うかもしれないが。

男湯だとそうはならない。男湯では、

なんだこいつら、風呂なんかに入りやがって、と思う。

わけわかんないだろう? でも本当にそう思うんだ。

男湯を見た男なら誰だってそう思うのかっていうと、そうじゃない。

私はちょっと変わっていて、女の子の方により近く寄り添っているので、そういうことが思いつけるのだ。

他の男はそうじゃないから、だからみんなアホなんだと思う。

私は女湯を覗かせてくれたお礼に彼女たちの後ろにくっついていって、彼女たちに幸せが訪れるように努力している。

そうして彼女たちを見守っているが、その効果が出たことは一度もない。

どうやったら彼女たちを幸せにすることができるのか、私にはわからない。

じゃあ、どうして彼女たちについていっているのかというと、こいつはよくわからない。

女の子たちはよく涙を流すし、よく怒るし、よく化粧直しをする。

よく映画を見るし、よく買い物をするし、よくネットサーフィンをする。

男たちに声をかけられ、飲みに出掛けたり、部屋にこもってぐうたらすることもある。

彼女たちのそういう生活を見守っているが、そばにいる私は何の役にも立たない。

彼女たちが眠りについたら、私は幽霊たちのところへ帰っていく。

ときどき、私に話しかけてくる幽霊もいる。

どうしてもっと長く生きなかったのか、ってよく聞かれる。

生きているやつでも、そんなことを聞いてくるときがある。

そんなものは聞かれてもわからない。

私の知っていることなんて、もう全部言い尽くされている。


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