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デヴォン黒桃さん

「黒桃将太郎」名義でKindle作家として活動。「デヴォン黒桃」名義で猫面師としてアート活動も。人間ドラマや人の感情に興味があり、書きたい物をジャンル問わず書いております。「黒桃短篇集」発売中昭和浪漫のスコシばかり怪異なお話、アナタの脳髄へソット、注入サせて頂きます。 心の臓のヨワい御方は、お引き返し下さい。 精神に異常をキタしても、責任が取れませぬ故。http://amzn.to/2jPBe4m

性別 男性
将来の夢 りっぱなおとな
座右の銘 悔しいけど感じちゃう

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ソシテ、アタシはこう云うの

16/08/27 コンテスト(テーマ):第116回 時空モノガタリ文学賞 【 裏切り 】 コメント:0件 デヴォン黒桃 閲覧数:1810

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 アタシとアノ子は大親友。幼い頃からズット一緒。
 幼稚園でのお遊び時間。お気に入りの玩具で遊んでいたアノ子。無茶に振り回して、自分の玩具が壊れたからって、アタシの分を奪っていく。当たり前のように。玩具が失くなって、カラになった両手をグーパーしてアタシは遊ぶ。
 ソシテ、アタシはこう云うの。
「良いの……友達だもの」


 小学校では、仲良しグループを作る時に独りあぶれてたアノ子。
 既にグループに入っていたアタシを押し退けて、仲良しグループに入り込んだ。
 おかげでアタシはあぶれてしまってポツンと独り。少し離れたところにブルーシートを敷いて、お弁当を広げ、独りで食べる。ソンナアタシに、ゴメンネ独りにさせちゃって、とアノ子が云う。
 ソシテ、アタシはこう云うの。
「良いの……友達だもの」
 

 中学校の頃、アノ子はアタシが想いを寄せる人と付き合ってた。
 アタシの気持ちは知ってるはずなのに。アノ子は彼のこと好きなのカシラ?
 ソレでも、アノ子のほうが可愛いから、って自分に云い聞かせる。
 勝ち誇った笑顔をアタシに向けるアノ子が口を開く。ゴメンネ、彼、私のことが好きだってサ。
 ソシテ、アタシはこう云うの。
「良いの……友達だもの」 


 高校に通ってもズット一緒。
 お金が幾ら有っても足りないからと、アタシの財布からお札を抜き取るアノ子。
 真っ赤な口紅を引いた唇で、目も見ずにこう云うの。
 タブン……イツカ返すからソンナ顔しないでって…… 
 ソシテ、アタシはこう云うの。
「良いの……友達だもの」


 社会へ出ても縁は切れずに、同じ所へ勤めた。
 アノ子は上司に可愛らしく振る舞って、仕事の失敗をアタシになすりつける。
 手玉に取られた上司はアタシを責める。
 ソンナつもりじゃ無いのよと、アノ子は目も見ずに繰り返して嗤う。
 ソシテ、アタシはこう云うの。
「良いの……友達だもの」


 アタシにも婚約者が出来て、結婚も近いだろうなって時。
 アノ子がアタシの大事な婚約者と浮気してた。
 ゴメンネ、って一言で片付ける。
 でも、ソンナ浮気者と結婚しなくて良かったじゃない、と口紅を引きながら云う。
 ソンナに非道く裏切られても友達でいる。
 ソシテ、アタシはこう云うの。
「良いの……友達だもの」


 お気に入りの玩具も、仲良しの友達も、淡い初恋も、お金も、仕事も奪っていく。
 コレ以上アタシから、何を奪っていくのカシラ?

 アタシから何もかも奪っていった上に、アノ子は自分の幸せも手に入れた。
 素敵な男性と出逢って、恋をして結婚。子供にも恵まれて、庭付きの一軒家を手に入れて、大きな白い犬を飼い、幸せの見本みたいな生活をしてた。
 時折、呼ばれてお話相手。高価なカップに注がれた外国のお紅茶をすすりながら、自慢話を聞かされる。
 旦那さまの会社が順調で、お金が余ってるって。アタシから借りたお金は返さないのにね。
 旦那さまは私だけを愛してくれる。幸せ過ぎて怖いくらい、って。アタシからは彼も婚約者も奪っていったのにね。
 アノ子は最後に決まってこう云って嗤う。
 私ばかり幸せになってゴメンネ。
 結局そうやってアタシを下に見て優越感に浸りたいだけ。わかっているの……そのセリフを何時も聞かされる。
 ソシテ、アタシはこう云うの。
「良いの……友達だもの」


 とある日、呼びだされた私は、何時もと違うアノ子を目にした。
 どうやら旦那さまが他所に愛人を作ったみたい……落ち込んだアノ子は、もう幸せの見本では無くなっていた。
 ゴメンネ、コンナ暗い話を聞かせて。そう云ってアノ子はうなだれる。
 ソシテ、アタシはこう云うの。
「良いの……友達だもの」


 アノ子は心配に飲み込まれて、だんだん弱っていく。自信を失くしてしまって、今ではアタシだけが頼り。そんなアタシを毎日呼び寄せては、不安と悲しみを撒き散らして精神の安定を保つ。

 やがてアタシに依存して、アタシの言葉に耳を傾けるように成って来た。
 ドンドン私という存在が大きくなってきたみたい。
 コレからもし、旦那さまと別れた時や、抱えきれないショックなことがあった時。
 ドンナ時にもそばに居てやる


 ソシテ、アタシはこう云うの。
「早く……死になさいよ」


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