1. トップページ
  2. 我らが文芸部の抱える二、三の問題

海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

性別 男性
将来の夢 プロ小説家になること!
座右の銘 焼肉定食!

投稿済みの作品

1

我らが文芸部の抱える二、三の問題

16/08/19 コンテスト(テーマ):第115回 時空モノガタリ文学賞 【幽霊 】 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:892

この作品を評価する

 我らが文芸部には幽霊部員が多い。部長である私としては頭痛のタネだ。
「どうしたんですか難しい顔して」
「いや、ちょっとね」
 部員の一人、アカリちゃんが心配して声をかけてくる。その腕にはプリントアウトしたのであろう原稿を抱えていた。
「それ、新しい原稿でしょう? 見るよ」
「よろしくお願いします!」
 アカリちゃんから原稿を受け取り、一枚ずつ読んでいく。
 内容は愛し合っていた男女が些細な事がキッカケでお互いを疑うようになり、最後は憎悪に飲まれた男が女を殺すという内容だった。
「うーん、男女の愛憎を書かせたらアカリちゃんの右に出る者はいないね」
「得意分野ですから」
 アカリちゃんが朗らかに笑う。その表情と原稿のギャップに、私は苦笑した。
「部長、次は俺の原稿見てくださいよ!」
「その次は私のを」
「さらにその後は僕のを!」
 他の部員達が次々原稿を見せてくる。私はそれを一つずつ読んでいった。
 部員達が渡してくれた原稿。その内容はどれも重厚で文学的だ。友人に裏切られた男の話。母親から虐待され存在意義を見失う少女の話。勉強漬けの日々なのに成績が上がらず、ノイローゼになる青年の話。どれも素晴らしい出来だ。この部はレベルが高いと改めて感じる。だが、
「もうちょっと明るい話は書けないのかな?」
 私は汗を浮かべながら部員達に問いかける。私の問いかけに対し、部員達は一斉に答えた。
「そりゃ無理ですよ。これ全部自分達の体験談ですから」
 そう笑う部員達。彼らには足がない。

 もう一度言おう。我らが文芸部には幽霊部員が多い。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン