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むねすけさん

ブログで創作をやっていましたが、誰にも相手にしてもらえないため、こちらに辿り着きました。 面白い物語、少しほっとしてもらえるようなお話を書きたいと思っています。

性別 男性
将来の夢 作家になりたいですが、 それが無理でも、何かの原案家とか、 自分の考えた物語が世に出ること。
座右の銘 我思う、故に我在り。

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シーン181夜の懺悔室

16/08/15 コンテスト(テーマ):第114回 時空モノガタリ文学賞 【 パピプペポ 】 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:1215

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ゴルフ場の芝のように美しく整然としている。
墓標の石板はそれそれは白く、刻まれた文字も一部の隙もない。
人は亡くなると、こんなにも無機質に閉じ込められてしまうのかと、
死ぬことが嫌になる点で、アメリカのお墓というのは効果がある。

せっかく仕事でアメリカ赴任になった僕は、
夜の教会を目指す。
夜の中で見えないだけで、きっと黒猫は石板を縫ってエロイムエッサイムな紋を描いているだろうし、
ステンドグラスは月光を妖の光に変えて風に溶けたツマジリを妖怪に変身させているだろう。
いや、ここはアメリカ、妖怪ではなく、なんというのか。

教会の懺悔室に持っていくべき懺悔は、
罪であるべきで、
ならばと僕は、それに相応しき罪はもう犯してきた。

夜の教会は時間を感じさせまいと示し合わせたようにあるものすべてがないようにある。
時間は物が変化するから、引き算で現出すると誰かに教わった。
なるほど、今ここで、時間を現出するのは僕一人。
うっかりじっとしてしまう、心臓と脈だけはさすがにうっかりできないから、
引き算はとめどもなく、時間を現出し続けて、なんだかつまらない。

バッハでも弾きたくなる偉そうで荘厳なパイプオルガンに見下ろされて、
僕は急ぎ足になるのを自尊心で食い止めながら、
懺悔室に入った。

実家の廊下を思い出すような焦げ茶色が行き過ぎて、
もう何処へも行けないところまで生き過ぎた焦げ茶色の、
堅い堅い木でできたほったて。
目の細かい格子の向こうに青い瞳のシスターが居てくれたら、
ようやく僕の憧れたシーンがスタート。
カチンコが鳴る。
シーン181夜の懺悔室の独白。
カチンコを鳴らすのは映画研究会二年生で副部長になったあの時の僕。
どうだ、約束は果たしただろうと、僕は、
懺悔する身で誇らしく胸を張ってた。

格子の向こうの青い瞳が、
善も悪も一緒であると、僕の皮をかぶった子羊に語りかけてくるので、
早速僕は、僕の罪を懺悔する。

「シスター、僕は、とんでもない罪を犯しました。
昨夜のことです、同僚が一人で残業をするオフィスに忍び込んで、パピプペポ、パピプペポ、パピプペポ・・・」


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