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あずみの白馬さん

成人済 アイコンは天乃ゆうりさん作成(無断転載を禁じます) 自分なりの優しい世界観を出せるように頑張ります。 好きな作家は飯田雪子先生です。若輩者ですが、よろしくお願いします。 Twitter:@Hakuba_Azumino

性別 男性
将来の夢 旅立つときには、ひとりでも多くの人に見送られたい。
座右の銘 「これでいいのだ」

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幽霊の謎を追って

16/08/11 コンテスト(テーマ):第115回 時空モノガタリ文学賞 【幽霊 】 コメント:8件 あずみの白馬 閲覧数:1138

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「うちにスクープはいらないって言ってるでしょ!?」
 夏休み真っ盛りの登校日、安曇野高校新聞部、部長の西崎みはるが副部長の白井康永をしかっている。
「でもさ、信濃大町駅の幽霊、最近すごい噂になってるし、うちで真相つかんだらお手柄じゃない? 壁新聞コンクールも近いし」
「壁新聞コンクール? ああ、近藤先生が言ってたやつ?」
「そうそう。優勝したらさ、絶対注目度上がるって!」
「ふーん、まあどうせ枯れ木かなんかの見間違いじゃないの?」
「それならそれでいいじゃん。それをうちで記事にしたらいいんだしさ」
「あー、わかったわ。もう。わたしも今夜親いないから、一緒に行きましょ。親戚の家も近いから、何かあっても大丈夫だし」
 みはるは康永に言いくるめられ? 夜の信濃大町駅に向かった。

 この駅は中規模の風情あふれる駅だが、幽霊が現れるという噂で有名になっており、20名ぐらいの見物人が来ていた。
「これだけ人がいたら幽霊も出ないかもね」
 みはるはそういいながらスマホに目をやる。予備バッテリーも完備と暇潰し対策は万全のようだ。
「でもわかんないよ。突然出てきたりするかもね」
 康永は私物の一眼デジカメを持って来ている。予備コンデジも完備と出現対策は万全のようだ。

――午前3時

 さすがに見物客も、この時間では出ないと思ったのか、何人かは帰宅したようで、みはる、康永を含めて見物人は数えるほどになっていた。
「丑三つ時(午前2時頃)も過ぎたし、来ないんじゃないの?」
「諦めるのはまだ早いよ。朝まで待とう」
「朝って……、眠くなって来たよ、私」

 二人が言葉を交わしたその時……

――ふふふふ

 突然少女の笑い声が聞こえてきた。
「どうしたんだ? いきなり笑って」
「え? 笑ってなんか無いわよ」

 笑い声がまわりの人たちにも聞こえたのか、周囲もざわつきだした。そして!

――みなさまも私とあの世へ参りませんか……?

 その声が聴こえると同時に、病院服を着た半透明の小学校高学年ぐらいの少女が現れた。
「で、出たー」
「こ、こわい!」

 見物人の悲鳴を聞いて嬉しそうに少女は続けた。
――あらあら、大丈夫ですよ、通過する電車に轢かれれば一瞬のことですから……私もそれで死にまして。

 見物人は全員逃げてしまった。残ったのは新聞部のふたり。
「ま、まさか本当に……」
 みはるは恐怖に足が震えている。ところが康永は、一眼デジカメを片手に幽霊を撮ろうと必死になっていた。
「スクープだ、絶対おさえてやる!」
「ふふふ、私が撮れますか?」
 幽霊はそれを面白がるかのように飛びながら移動している。
「お前を撮って、新聞大会で優勝するんだ!」
 しかし連続して撮影を続けたので、一眼のバッテリーが尽きてしまった。
「ざーんねん、私の勝ちね」
「なんのっ、これがある!」
 康永はコンデジを取り出して撮影を再開した。絶対に撮るという意思表示だ。
「そんなものまで……、絶対撮らせない!」
「安曇野高校新聞部、白井康永、ジャーナリスト魂にかけて君を撮る!」

 名乗る必要があったのかはさておき、みはるは我に返った。落ちついて見ていると、幽霊は邪悪な感じでは無く、むしろ無邪気な子供に見える。康永を呪うと言うよりからかって遊んでいると言った感じだ。
「(何か変ね。私、親戚の家に行く時ここ使うけど……、ん? もしかして!)」
 みはるは何かに気がつき、早速スマホで調べる。予備バッテリーが役に立ち、それを裏付けるものが見つかり、声をかける。
「幽霊さんっ!」
「なんですか? あなたもあの世に行きたいの?」
「そうじゃない。あなた、通過する電車に轢かれて死んだって言ったわよね?」
「ええ、そうよ」
 みはるは幽霊に事実を突きつけた。
「それは嘘ね。この駅、全部の電車が止まるの!」
「え、本当ですか……?」
「本当よ。これ見て」
 幽霊が驚いた顔でスマホを覗くと、百科事典サイトに確かにそう書かれていた。
「じゃあ私、死んでないってこと? ホームで転んだら運悪く電車来ちゃって、死んだと思ってたんだけど」
 そのやり取りを聞いて、康永が落ちついて付け加えた。
「もしかしたら死んだと思い込んでいるだけなんじゃないのか?」
「あ……」
 その瞬間、霊は姿を消した。成仏したかどうかはわからないが、二人は駅を後にすることにした。その日以来、信濃大町駅に幽霊が現れることは無くなった。

――新学期

 あの夜の写真は全て使い物にならず、壁新聞コンクールの企画は練り直しになった。二人がため息をついていると……、あの夜の少女が部室に現れた!
 絶句する二人の前で、少女は口を開いた。














「今日から新聞部でお世話になります、1年の高柳佳奈です。よろしくお願いします!」


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このストーリーに関するコメント

16/08/11 黒谷丹鵺

オチにくすりとさせられました(´>ω<`)
まさかの展開ですねー!

16/08/11 あずみの白馬

> 黒谷丹鵺 さん
ありがとうございます。ミステリー風にしようとしたらこうなってしまいました……(汗)

16/08/12 葵 ひとみ

あずみの白馬さま

拝読させていただきました。

高柳さんの「柳」は幽霊、「佳奈」は「かな?」と思えた次第です。

こんなコミカルな幽霊の御話は読んでいてとても楽しいです。(^^*)

16/08/12 あずみの白馬

> 葵ひとみ さん
高柳佳奈さんの名前は、あまり深く考えずにつけたのですが、そう取れるかも? です。
読んでいて楽しかったという評価をいただきまして、ありがとうございました!

16/08/12 天野ゆうり

まさかの?!
本当に、人間ですか?!そして、お久しぶりですみはる先輩!!知的かつ冷静な観察力と推理……流石です!!でも、本当に疑わしいぞ?!
にしても、テンポよくて、映像が想像できるような楽しいお話でした!!

16/08/15 あずみの白馬

> 天野ゆうり さん
みはる先輩に今回も活躍して頂きました!
探偵役が似合う娘ですのでまた出したいです。
怪しいけど、果たして!?
映像が見えるようとの評価、ありがとうございます。

16/09/05 冬垣ひなた

あずみの白馬さん、拝読しました。

みはる先輩のシリーズ、いいですね。幽霊さんまさかの勘違いからのラスト、おおっと思いました。彼女もまた活躍するのでしょうか?楽しかったです、ありがとうございました。

16/09/08 あずみの白馬

> 冬垣ひなた さん
ありがとうございます。
みはる先輩は作者自身も好きなキャラなので、これからも活躍する予定です!
思い込みの激しい、高柳さんも活躍する場面が増えてくると思います。

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