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あきさん

現代小説を中心に書いています。 読んだ後に少しでもホッコリしていただけるような小説を目指しています。 よろしくお願いします。

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ボクとぺポ

16/08/06 コンテスト(テーマ):第114回 時空モノガタリ文学賞 【 パピプペポ 】 コメント:0件 あき 閲覧数:1051

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 ボクの家族はお父さん、お母さん。
 それと緑色のオウムのペポ。
 ペポは小さい頃からずっと一緒で、8歳になった今でもペポのことが大好きだ。
 ただ、ペポはオウムのくせに全然しゃべれないんだ。
 ボクがどんなに「おはよう」や「おやすみ」を教えても、いつも同じ言葉ばかり。
 いつだってパピプペポしかしゃべってくれない。
 しかも『ペポ』だけ元気よくしゃべるから、名前はペポ。
「ぱぴぷ……ペポ!」
 ほらね。
 何だかつまんない。
 ああ〜、早くペポとたくさんお話したいなぁ。

 そんなある日、お仕事から帰ってきたお父さんはうれしそうに手のひらに乗っけた黄色の機械を見せてくれた。
「じゃ、じゃ〜ん! 昴(すばる)、これな〜んだ?」
「わかんな〜い」
 お父さんは人差し指をふって教えてくれた。
「ふっふっふ、これはだな。なんと動物の言葉が分かる道具なんだ!」
「す、スッゴーイ!」
 ボクが驚いていると、お母さんがお父さんを先生みたいにしかった。
「あなた、昴を騙しちゃダメよ」
「だ、騙してなんかいない! 本当だ!」
 お母さんはため息をつく。
「そのバイリンガルの説明書に『必ずしも動物の言葉が翻訳できるわけではありません』って書いてあるじゃない」
「うっ、それは……」
 お父さんは一瞬黙ったけど、すぐに大声で笑った。
「細かいことは気にするな! なぁ、昴!」
「うん、そうだね!」
「「わっはっはっは!」」
 ボクたちが大声で笑うとお母さんは困ったように笑った。
「本当、しょうがない人達ね。……それで、ペポに試すんでしょう?」
 なんだかお母さんも楽しそうだ。
「もちろん!」
 お父さんは元気よくうなずいた。
「さぁ、ペポいつものように喋ってみろ!」
 そう言って、黄色の機械を向けた。
 ペポは少しおどろいたみたいだけど、すぐにしゃべってくれた。
「ぱぴぷ……ペポ!」
 黄色の機械の真ん中の画面が動いた。
「おっ、『解析中』だって!」
「見せて見せて」
「お母さん、ボクも見せて〜」
 ワクワクして見つめていると、文字が浮かび上がった。
「えっ?」
「ねぇ、お父さんなんて書いてあったの?」
 難しい漢字で読めないボクが聞くと、お父さんはちょっと困ったように笑った。
「『解読不能』、つまり『わかんない』だって」
「え〜」
「やっぱりただのおもちゃね」
 お母さんも残念そうだ。
「もう一回! もう一回だ、ペポ!」
 ペポは首をかしげていた。
 その後も何回もペポの言葉を分かろうとしたけど、ずっと機械は『わかんない』を繰り返した。

 そんな夏休みのある日、部屋にはボクとペポだけ。
 ペポがいつものようにしゃべった。
「ぱぴぷ……ペポ!」
 机の置いてあった黄色の機械は『ピッ!』と鳴った。
 ボクは何となく黄色の機械を見つめた。
 しばらくすると、いつもと違う文字が浮かび上がった。
『そら』
 ……その後、また文字が浮かび上がった。
『とびたい』
 いつもと違った機械の文字におどろいてペポを呼んだ。
「ペポ……空、とびたいの?」
 ペポは黙って、リビングの窓から見える大きな白い雲と、ペンキのような青空を見つめていた。
 ボクは、ちょっと迷って。
 すぐに胸の前でギュッと右手をにぎった。
 そして、窓を勢いよく開けて、ペポの鳥かごを開けた。
 ペポは少しびっくりしたようだったけど、鳥かごの入り口から羽を大きく広げて飛んで行った。
 ボクはすぐにベランダに出たけど、ペポはもうどこにもいなかった。

 その夜、お母さんからいっぱい怒られた。
「昴! なんでペポを逃がしちゃったの!」
「にがしてないよ! ペポは帰ってくるもん!」
「帰ってくるわけないじゃない!」
「ここがペポのおうちなんだもん! だからぜったい帰ってくるもん! うわ〜ん!」
「まぁまぁ、昴を怒ってもしょうがないよ」
「もともとはあなたの所為でしょう!」
「……すみません」
 泣いているボクと、小さくなるお父さんと、悲しそうなお母さん。
 はじめてペポがいなくなった夜。
 ……ボク達はとってもさびしかった。

 コンコン……。
 うん?
 リビングで眠っていたボクが目を開けると、カーテンからお日様の光がさしていた。
 そして、ずっと窓から何かをたたく音がする。
 あっ……!
 ボクはいきおいよく起きて、カーテンと窓を大きく開けた。
 朝のちょっと冷たい風が吹きこんで、ボクは息をすいこむ。
 そしてーー。
「おとうさーん! おかあさーん!」
 ボクは大声でさけんだ。
 その声と重なりいつもの声が聞こえた。

「ぱぴぷ……ペポ!」
 
 黄色の機械は反応し、4文字を表示させた。

『ただいま』


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