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山盛りポテトさん

ショートショートがすきです。 星新一さんの小説が好きです。 社会でもがいています。 わかりやすい王道のショートショートを書きたいと思いつつ・・・脱線してます。

性別 男性
将来の夢 海外旅行!一度でいいから行ってみたかったり。
座右の銘 人見るもよし見ざるもよし我は咲くなり 跪く前に開き直る

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あのステップを教えて

16/07/17 コンテスト(テーマ):第113回 時空モノガタリ文学賞 【 ダンス 】 コメント:0件 山盛りポテト 閲覧数:716

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太陽が西に傾き、男の子と女の子の影が薄くなり溶け合うように重なった。
「ねぇねぇ、見て見て」
女の子は得意げに言った。
男の子は、「どうしたの?」と言いながら目を丸くした。
「みんなには内緒だからね」
そう言うと女の子は長い髪をゆらしながら軽やかな足取りでステップを踏んだ
男の子はそのステップに目を奪われた。女の子が踊ったあとも、口をあんぐり開けたまま呆然としていた。
「すごいでしょ!絶対誰にも言っちゃダメだよ、ふたりだけの秘密だからね」
女の子は満足そうな表情でそう言うと、家に帰ってしまった。
男の子はその夜、なかなか寝付けなかった。あのステップが頭から離れないのだ。流れるような足の動きが瞼を閉じても浮かんでくるのだった。
翌日、男の子は女の子に言った。
「昨日のあのステップ、誰から教わったの?ぼくも踊ってみたい」
「だめ!ピエロのおじさんがね、」
女の子は、ばつの悪そうな顔したかと思うと、ごまかすように鼻歌を歌った。
「ピエロのおじさんってなに?その人が知ってるの?」
男の子もなぜそこまで、あのステップが気になるのか分からなかった。
「知らないよ、わたし知らない。もう帰る」
女の子はそう言うと男の子の前から姿を消した。
文字通り消えてしまったのだ。そのまま行方不明となり、消息が分からなくなった。
それから何日か経ったある日の夜、男の子は不思議な夢を見た。
道を歩いていると、真っ赤で大きな鼻をしたピエロが男の子に近づいてくる。軽やかな足取りで、女の子と同じステップを踏みながら。
男の子は言った。
「ぼくもそのステップが知りたい!」
ピエロはなにも言わずに踊り続けている。
「いじわるしないでよ、ぼくも踊りたい」
ピエロはようやく口を開いて言った。
「誰にも私のことを言わないと約束できるなら歓迎さ。さぁ、手を貸してごらん」
男の子の手をとり、ピエロは踊りはじめた。
その動きに身を任せると、男の子も軽やかにステップを踏むことができた。
「すごいすごい!こんな楽しい気分初めて!」
「喜んでもらって嬉しいよ。君のお友だちも来てるんだよ、さぁ一緒に踊ろう」
男の子はふとピエロの後ろをみると行方不明になった女の子がいた。
顔からは表情が消え、狂ったようにステップを踏み続ける女の子が。


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