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山盛りポテトさん

ショートショートがすきです。 星新一さんの小説が好きです。 社会でもがいています。 わかりやすい王道のショートショートを書きたいと思いつつ・・・脱線してます。

性別 男性
将来の夢 海外旅行!一度でいいから行ってみたかったり。
座右の銘 人見るもよし見ざるもよし我は咲くなり 跪く前に開き直る

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みすてりー弁当

16/07/16 コンテスト(テーマ):第112回 時空モノガタリ文学賞 【 弁当 】 コメント:0件 山盛りポテト 閲覧数:800

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あなたの住んでる街にある、時代に置いていかれたような、どこか寂しげな路地裏。その一角にある小さなお弁当屋さんは今日も客足はまばらだ。
立地は悪く、地元で暮らす人間ですら、その店の存在を知らぬ者も多い。
営業時間は深夜のみで、皆が寝静まった頃、その姿を隠すようにひっそりと佇んでいる。
しかしたまに新規の客が現れると、たちまちその店の魅力にとりつかれてしまう。
また1人、何の気なしにふらっと路地裏に迷い込んだ男が肉と油の匂い、そして怪しげな雰囲気にひかれて店の扉をくぐった。
「いらっしゃい」
店主は物静かな風貌だが、愛想よく客の男を出迎えた。
店内は昭和で時が止まっているような内装で、ラジオの音が流れ、なんともいえないノスタルジックな感じがするものだ。
「おじさん、メニューは、みすてりー弁当ってのしかないの?」
男が手書きで書かれたメニュー表を指差し言った。
「ええ、うちはそれしかやってないんですよ」
「変わった名前の弁当だね、しかし、今時それじゃ経営も厳しいんじゃない?どんな店も客の好みに合わせて色んなメニュー置いてるぜ?」
「それがお客さん、うちのお弁当を食べたお客さんはみんな常連になるんですよ、またあの弁当食わせてくれーって

店主は照れるように頭をかきながら言った。
「ふーん、まあ夜中にやってる弁当屋も珍しいからなぁ、で、弁当の具材はなんなんだい?」
店主は少し間を置いて言った。
「御飯とニャカラキの唐揚げ、ポテトサラダときんぴら、それから漬物です」
「なんだいそれ、ニカラキの唐揚げって」
店主はまってましたと言わんばかりに男に言った。
「ニカラキじゃなくニャカラキです、特別に見せてあげましょうか」
店主が店の奥に引っ込んだかと思うと、聞いたこともないような甲高くて騒々しい鳴き声が聞こえた。
「お待たせしました、これがニャカラキです、これがね、うまいんですよ」
口には鋭い歯が何本もあり、体は極彩色の幾何学模様、手っ取り早く言えば化け物だ。
「ちょっと、おじさん、そんなものどこで捕まえたんだい」
「それは言えません、でもねうまいんですよ、これ」
店主の目はギラギラしていて、先程の穏やかさは失せている。
「で、お客さん、買うんですか。買 わ な い ん で す か ?」
「か、買う、買うからその化け物を早く引っ込めてくれ、気味が悪い」
さっさと代金を支払うと、男は逃げるようにみすてりー弁当を手に店を出た。
「しかし驚いた、俺は夢でも見てるんじゃないか」
男は家路へ着くとさっそく腰を下ろし、弁当の包みを開けた。
なんとも食欲をそそる匂いで、気づいた時には口におかずを運んでいた。
男の箸の勢いは次第に早くなっていく。あっという間に食べ終わると男は満足そうに言った。
「まだ食べたりない、こんなうまいものを食ったのは初めてだ、明日も行こう、明後日も、そのまた明日も」


-ある星の寂れた路地裏にある弁当屋での会話-

全身緑色のぬるぬるとした皮膚をした男が触覚をバタつかせながら言った。
「なんだいそのニーケンのフライってのは」
「はは、お客さん、ニンゲンのフライです、ニンゲンのフライ」


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