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デヴォン黒桃さん

「黒桃将太郎」名義でKindle作家として活動。「デヴォン黒桃」名義で猫面師としてアート活動も。人間ドラマや人の感情に興味があり、書きたい物をジャンル問わず書いております。「黒桃短篇集」発売中昭和浪漫のスコシばかり怪異なお話、アナタの脳髄へソット、注入サせて頂きます。 心の臓のヨワい御方は、お引き返し下さい。 精神に異常をキタしても、責任が取れませぬ故。http://amzn.to/2jPBe4m

性別 男性
将来の夢 りっぱなおとな
座右の銘 悔しいけど感じちゃう

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オモイデのお弁当

16/07/02 コンテスト(テーマ):第112回 時空モノガタリ文学賞 【 弁当 】 コメント:16件 デヴォン黒桃 閲覧数:1785

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 皆さんは、お母さんのお弁当の思い出は有りますか?
 ワタシのお弁当の思い出は……
 
 アレは、近所で大人気の「万得屋」女主人が、一人で切り盛りするお弁当屋。
 安くて美味いので、サラリーマンのランチタイムや、主婦のお昼。子供の遠足や運動会にも引っ張りだこだった。
 ボリューム満点で三百円という破格に誰しもが喜んでいた。
「お、オタクも万得弁当ですか? イヤ、僕もなんですよ」
「アソコは、コンナに沢山の肉を使って居るのに、三百円なんて、小遣いを減らされたサラリーマンに優しいですな」
「ハッハッハ、しかし、お昼が万得弁当なら、モット小遣いを減らして良いでしょ? なんて云われかねませんなあ」
 ナンテ会話は日常的にあった。
 
 お腹を空かせた学生たちも、万得弁当にお世話になっている。
「ホントに、コンナに豪華で三百円なんて、コノ肉、牛や豚じゃナイんじゃない?」
「あり得るな、野良犬を捕まえて来てたりしてナ。最近野良犬見なくなったじゃん」
「確かに……デモ、保健所が、野良犬を捕まえて回ってるって話も聞いたぞ」
 ソンナ噂も立つほどに、評判で有った。

 かく言うワタシも、毎日のように「万得弁当」を食べていた。
 でも、ワタシの「万得弁当」は、皆が言うほど豪華でも無かったし、お肉が多いナンテ事も無い普通のお弁当だった。
 入れられているお肉も、鶏肉や豚肉とハッキリ分かったし、皆の言う、お得感も感じなかった。

 幾日か経った有る夜、お友達と二人で「万得弁当」を食べる事が有って……お友達のお弁当の方には、ウワサの大きなお肉が入っていた。
 ソレを見たワタシは、ヤット今日こそ大きなお肉が食べられると思って、ワクワクして蓋を開けた。自分の方にも入っていると思ったのに……いつもの様子。
 落ち込むワタシを見て、お友達が申し訳なさそうに、半分あげよっか? なんて言うもんだから、一口だけ貰おうとしていた。すると、部屋の奥から母の声がした。
「コラ、人のお弁当を取るんじゃ無いよ。ちゃんと自分のをお食べ」
「ダッテ、ワタシのお弁当、いっつも大きなお肉が入ってないんだもん」
 母は、分けて貰おうとするワタシを鋭く睨む
「ソンナ事よりココラ辺で、怖い事件が沢山起きているんだ。あまり夜遅くに出歩くんじゃないよ。さらわれて仕舞うよ?」
 母の言い方がキツかったもんだから、お友達は、お弁当を口一杯にソソクサと詰め込んでから、逃げるように帰って行った。
 
 ソシテ、ソノお友達とは、ソレキリ二度と会えなくなった。
 帰り道の公園の脇で、頭だけが見つかったのだ。お友達の首から下は、三百人体制の警官たちが、どんなに探しても見つからず、捜査は迷宮入りかと思われた。
 ワタシは悲しくて、ただ泣いていた。

 ソノお友達のお葬式にも「万得弁当」
 変わらず大きなお肉が入っていた。
 弁当を食べる人たちからは、今日のお肉は何時もより柔らかいね、ナンテ会話が聞こえてきて、どうしても食べたくなって一つだけ食べた。ソレは凄く美味しくて、鶏や豚や牛では無い、何とも言えない味がした。二つ目に手を伸ばそうとしたところで、母がワタシの手を叩いて怒った。
「お肉を食べてはイケません!」
 ズット、なんでワタシだけ食べたら駄目なの? って疑問に思っていたけれど、普段は優しい母だから……ワタシが我慢すれば良いだけだと、何も言わなかった。
   

 ある日、ニュースで衝撃的な事件があった。
 町で人気の弁当屋の女主人が逮捕されたという。ソノ近辺で、最近起こっていたバラバラ殺人事件の容疑者として……
 それ以降、「万得弁当」は姿を消した。

 町の人たちは、一体アレが何の肉だったかなんて話はしない。真実が思っている物で正解だったら、と思うとトテモやりきれないから。
 皆は、弁当の材料が事件と関係無い事を祈るだけしか出来なかった。
  
 でも、ワタシは真実を知っている。何で知っているかって?
 二つ目を食べようとしたときに、「万得屋」の女主人でもあった、お母さんがこう言ったから。

「お友達を食べちゃあ駄目よ」

 ってね。
 コレが、ワタシのお母さんのお弁当の思い出なんです。


 了


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このストーリーに関するコメント

16/07/02 あずみの白馬

最初の仮名交じりの文面から、少しずつあかされて行く恐怖。
そしてラストに至るまでの流れは本当に怖かったです。

自分の子供に「万得弁当」を食べさせ無かったのは、せめてもの親の愛情なのでしょうか……

16/07/02 田中昌平

なんだか、話の最初から人肉弁当と判ってしまうので怖くありませんでした。
この話だと「ワタシ」「ソレ」「コレ」「トテモ」などカタカナを使う必然性を感じません。

16/07/02 デヴォン黒桃

あずみの白馬様

自分の子には食べさせたくないという、親のエゴを読み取って頂き嬉しく思います。ありがとうございます。

16/07/02 デヴォン黒桃

儚月響様
文体はワタシのカラーなので、必要性もナニも、ワタシの個性で御座います。
人肉と分かるのは想定内で、ソノ奥の母の気持ちが伝わらなかったようで残念です。

16/07/02 田中昌平

個性というか、ストーリーと文体がかみ合ってない印象を受けます。文体が浮いている印象です。
ストーリーに合った文体を模索するか、文体に合ったストーリーにするほうが良いのではないでしょうか? この小説はチグハグです。

最初に母親と書かずに、最後に母親と書くというのも物語の構成としては不自然です。ご都合主義に思えます。

独語に、こういう印象を抱くのは私一人だけではないと思います。
私のような印象を抱くのが一万人に一人の特殊な感想とは思えません。

16/07/02 デヴォン黒桃

儚月響様

>最初に母親と書かずに、最後に母親と書くというのも物語の構成としては不自然です。ご都合主義に思えます。
最初に母親と書いてしまうと、女主人=母親と確実に成ってしまうのでぼかしております。ご都合主義云々はもう、批評書評のコメント以上に攻撃的に感じますが、もうご覧にならないほうが宜しいのではないでしょうか。
余りキモチのいいものでは有りませんので。

16/07/02 田中昌平

間違えました。独語ではなく、読後です。

人間的に小さい人がいる。
自分のシンパやイエスマン以外とは付き合おうとしない人。
小さなお山の大将になって天狗になっている人。
はたから見ていて実に哀れで滑稽だ。
自分の間違いを指摘してくれるのが本当の友人ではないのか?

誰かにそこを直した方がいいよ、と具体的に注意されたとする。すると、まるで自分の全人格を否定されたように思う人がいる。そうではなくて、素直にそこを直そうと、心掛ければ良いだけの事。むしろ、教えてくれてありがとう、と思いたい。誰からも注意や忠告されない方が僕は嫌だな。(小池一夫)

16/07/02 田中昌平

>最初に母親と書いてしまうと、女主人=母親と確実に成ってしまうのでぼかしております。

だから、そこ(ぼかしてる)が読んでいてわかりにくく不自然でご都合主義に思えます。構成に難ありです。

16/07/02 デヴォン黒桃

儚月響様
はい、ありがとうございます、精進いたします

16/07/02 クナリ

日常だと思っていたのが実は静かながら非日常、というのが好きなので、個人的に好みの作品でした。
自分のお弁当だけに感じていた違和感が、ストーリーを構成する重大要素になっていく様が巧みですね。
カタカナについては元々デヴォンさんの文体だとは存じていますが、今作においてはそのカタカナで「何か奇妙なことが起こっているぞ……」という怪しい雰囲気が序盤から感じられて、効果的に活かされていたと思います。

16/07/02 デヴォン黒桃

クナリ様
ありがとうございます。
日常の中にいつの間にか浸透してしまっている恐怖。
恐らくほのぼの系が集まるお題とは思いますが、自分のカラーで攻めてみました。

16/07/05 石蕗亮

拝読いたしました。
猟奇的な物語なのに母親が我が子にはまともなのが更に猟奇感を増幅させてすごく良かったです。

16/07/05 デヴォン黒桃

石蕗亮様
ありがとうございます。
ソコを感じて頂いたら嬉しく思います。

16/07/22 タック

時折使われるカタカナがとても効果的であるように思いました。
ぞわぞわと染み込んでくるような恐怖が印象的な作品でした。

16/07/22 デヴォン黒桃

タック様
感想ありがとう御座います
不気味さが伝わって嬉しいです

16/07/22 デヴォン黒桃

タック様
感想ありがとう御座います
不気味さが伝わって嬉しいです

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