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欽ちゃんさん

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性別 男性
将来の夢 顔が笑いじわだらけのじいちゃんになる
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ハゲを激しく励ます親友

16/06/06 コンテスト(テーマ):第109回時空モノガタリ文学賞 【 旅 】 コメント:0件 欽ちゃん 閲覧数:793

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このまま仕事尽くしの人生を送るのか。
部下のミスは僕の管理不足。上司のミスは僕の能力不足。
休日を変更して作成した資料は「今更遅い」と言われて一瞬でごみになる。
お世話になってるカツラを取ればストレスでできた見事なミステリサークル。
この世には神も仏もないのか
まさに「カミ」の無駄使い・・・

今日の実績報告会議の資料が出来上がった頃には、寝起きの太陽が町並みをうっすら照らし始めていた。
怒られる資料をわざわざ自分で作成することに疑問すら感じなくなっている。

気付けば12階建ての会社の屋上にある胸ほどの高さの柵を乗り越えていた。
朝日のさわやかな光が自分のみじめさを一層際立たせる。
行き交う人々を見下ろした時、洗面台に溜めた水が渦を巻いて排水溝に呑み込まれる感覚に襲われた。
その直後、突然ビルの下から突風が吹き上げた。
頭頂部を守るカツラがパタパタと音を立てると同時に天から声が聞こえた。
「え?自分羽なんて生えてないやん。落ちたら死ぬで」
!!???
周りを見渡しても誰もいない
空を見上げ、「神様?」とつぶやいた自分が恥ずかしくなった。
ついに幻聴が聞こえるようになったか・・・
「神様なんておらん。そしてお前の頭にも髪はおらん」
「は?え??」
はっきり聞こえた。その声は近く、頭の上から。
「か・・・カツラ?」
「そや!とうとう親友の声が聞こえるようになったか。声が聞こえるっちゅーことは自分もう限界やな」
カツラの声?
「カツラはいつだってハゲの味方や。ハゲを激しく励ましてハゲを輝かせるのがカツラの仕事や!・・・今のおもろい?」
「話す・・カツラ・・・」
「おもろいかどうかやろ!あかん!また後で言うわ!あんな、いつも自分の一番近くで仕事っぷり見てきたで。自分めっちゃ頑張ってるやん。人のミスを被るってなかなかでけへんで」
「いや、でも押し付けられてるだけですから・・・」
「それでもすごいやん。他人の仕事なのに最後まできっちりこなしてるやん」
「もういいんですよ」
カツラにすら限界認定をもらったことはある意味、ビルから身を投げ出す勇気をもらった気がした。
「8.8t!この数字が何かわかるか!?」
「何でもいいです」
「人間が一生の間で出すうんこの量や」
「何でうんこなんですか・・・」
「自分、毎日お腹ゆるゆるで悩んでたやん。うんこもコツコツ積み重ねれば壮大な量になるんやで。すごない?」
「いや、まぁすごいですけど」
「どんなに頑張っても経験値ってゲームみたいに数字にでけへんやん。でもな、確実に自分の身になってるんやで。自分では気付いてへんけど、めっちゃ経験値得とんねん。毎日どっさりうんこしてんのと一緒や」
「他の例えできませんか?」
「でけへん!カツラやもん!」
カツラがうんこを語る・・意味がわからない。
「ここで逝ったら全部無駄になってまうで」
「いいですよもう!うんこも出したら終わりじゃないですか」
「ええことあるかい!自分、うんこ食えるか?」
「食べれるわけないでしょ!!」
「せやろ!でも野菜食べるやん!野菜の肥料はうんこや!間接的にうんこ食うてるやん!要は考え方次第やねん。うんこかて肥料になるし無駄にならん!そう!お前は会社のうんこや!!」
「・・・僕、うんこなんですか」
「・・・ちゃう!すまん!言葉足らずや!!今の自分は自分自身をただのうんこやと思い込んでんねん。めっちゃええ肥料になれんのにな」
結局会社の肥料か。。。
人生の旅はここで終わらよう。。。
「こっから落ちたら怪我じゃすまんで!ってもう毛はないか」
「・・・」
「わかった!冗談やって!ごめんって!ほんなら最後に言っておきたいことがあるねん」
「なんでしょうか?」
「実はな・・・このカツラの毛な、陰毛やねん」
「は?陰毛?」
うんこの次は陰毛だと?
「今かぶってるこのカツラな、直毛の陰毛やねん」
確かに・・カツラを作る時に人毛と説明を受けたけど。。。
「苦労を知らんで生きとるヤツは陰毛が直毛になんねん。でもほとんどの人間はちぢれ毛や。それが当たり前やねん。苦労して迷って悩んでたまに道を外して、でもちょっとずつでも前に進んでんねん。
まぁ自分のちぢれっぷりはオリンピッククラスやけどな」
陰毛のカツラに陰毛を褒められるとは。。。
「人生の旅の列車乗り換えてみい!めっちゃええ景色が見れるかもしれんで!!」
陰毛に励まされる僕っていったいなんだろ。なんだか全てがバカらしくなってきた。
仕事を変えよう。
そんなことが今まで思いつきもしなかった。
「畑を変えれば僕もいい肥料として活躍できますか?」
返事はない。カツラを取って眺めてもただのカツラだった。
親友と共に進むこの先の人生の旅が楽しみだ。陰毛だけど。
きれいに顔を出した太陽がカツラに励まされたハゲ頭を輝かせた。


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