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蹴沢缶九郎さん

どうもはじめまして、蹴沢缶九郎と申します。暇つぶしに読んで頂ければ幸いです。「小説家になろう」でも同ニックネームで掌編小説を書いてます。http://mypage.syosetu.com/707565/ よろしくお願いします!!

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渾身の一杯

16/06/06 コンテスト(テーマ):第111回 時空モノガタリ文学賞 【 蕎麦 】 コメント:2件 蹴沢缶九郎 閲覧数:795

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蕎麦屋の店主は日に日に遠退く客足に頭を悩ませていた。決して蕎麦の味が悪い訳ではなかったのだが、近頃の舌の肥えた客達には物足りなかったのかもしれない。

このままではダメだと、店主は蕎麦の研究に取り掛かる。それまで築いてきたものを全て捨て、ゼロからのスタートである。世代、客層に好まれる蕎麦の統計を取り、日々様々な店を食べ歩き、蕎麦の麺に合う粉や汁、具材との相性、それらを作り上げる工程を研究した。失敗の連続だったが止めようとは思わなかった。全ては美味しいオリジナルの蕎麦を作る為である。

そして、蕎麦の研究を開始してから三年が経った頃、ようやく自身の納得のいく渾身の一杯が完成した。

「旨い、絶対にいける…」

それは今までにない、完璧な店主オリジナルの蕎麦であり、三年の努力の集大成と言える一杯だった。さっそく店主は、渾身の一杯を常連の客に食べてもらう事にした。出された蕎麦をズズズとすする常連客。

「どうだ?」

店主は緊張した面持ちで聞いた。

「…旨い」

「本当か?」

「ああ、旨いよ。…でもダメだな」

「何でだ!! 旨いんだろ!? 苦労してやっと作った一杯なんだぞ!!」

解せないという様子の店主に対して、常連客は静かに言った。

「残念ながら、これは世の中ではラーメンと言うんだ…」


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このストーリーに関するコメント

16/06/12 蹴沢缶九郎

中華そばの存在がありますからね、アウト寄りのグレーゾーン…かな(笑)

ご感想、読んで頂きありがとうございました!!

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